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Tha Shiznit - Snoop Dogg 【和訳・解説】

Artist: Snoop Dogg

Album: Doggystyle

Song Title: Tha Shiznit

概要

1993年の歴史的名盤『Doggystyle』に収録された本作は、スヌープ・ドッグがスタジオで完全なフリースタイル(即興)で録音したという伝説を持つ楽曲である。タイトルの「Shiznit」は彼特有の「〜izzle」スラングであり、「最高のもの(The Shit)」を意味する。ドクター・ドレーによるプロダクションは、ビリー・ジョエルの「The Stranger」の哀愁漂うメロディラインをサンプリング(弾き直し)し、強靭なG-Funkビートへと昇華させている。第2ヴァースでは、当時デス・ロウ・レコードとビーフ状態にあったマイアミの2 Live Crewのリーダー、ルーサー・キャンベル(Luke)への痛烈なディスが展開されており、東西海岸のみならず南部をも巻き込んだ90年代ヒップホップ・シーンの激しい抗争の歴史を色濃く反映した重要作である。

和訳

[Intro]

That was Tha Dogg Pound here right on WBallz
ドッグ・パウンドの曲をお届けしたぜ、ここ「W-Balls」でな
※「W-Balls」はドクター・ドレーやスヌープの作品群に登場する架空のラジオ局。「Balls」はスラングで「金玉(睾丸)」を意味し、局名全体が下品なジョークとなっている。

187.4 on your FM dial
FMダイヤルは187.4に合わせてな
※「187」はカリフォルニア州刑法における「殺人」のコード番号。ギャングスタ・ラップにおいて頻繁に引用されるアイコニックな数字。

You're tuned in to the biggest balls of them all, DJ Sal T. Nuts
今お前らが聴いてるのは、誰よりもデカいタマの持ち主、DJソルティ・ナッツだ
※DJ名「Sal T. Nuts」は、「Salty Nuts(汗をかいて塩辛い金玉、または不満を持って怒りっぽい奴)」をもじった極めて下品なワードプレイ。スヌープの幼馴染である俳優・コメディアンの故リッキー・ハリスが演じている。

Ayy, don't forget about my homeboy Eazy Dick and The Jackoff Hour
ああ、俺のダチ、イージー・ディックと『ジャックオフ・アワー』のことも忘れるなよ
※「Eazy Dick(ヤリチン、軽い男)」「Jackoff(オナニー)」という性的な隠語を連発するブラック・コメディの手法。

That's happening at twelve o'clock tonight
今夜12時から始まるからな

Right now we got some new Snoop Doggy Dogg for that ass
今からお前らのケツに、スヌープ・ドギー・ドッグのニューシットをぶち込んでやるぜ

This one is called "Tha Shiznit"
タイトルは「Tha Shiznit(ザ・シズニット)」だ

You're about to go downtown, bitch
ダウンタウンに連れてってやるよ、ビッチ
※「go downtown」は文字通りの「ダウンタウンへ行く」という意味に加え、スラングで「オーラルセックスをする」という意味が掛けられたダブルミーニング。

Right here on the station that plays only platinum hits
プラチナ・ヒットしか流さないこの局でな

That's 187.4 on your FM dial
FMダイヤルは187.4だ

If you're lickin', that's WBallz
舐めてるなら、それがW-Ballsだ
※「If you're listening(聴いているなら)」を「If you're lickin'(舐めているなら)」と言い換え、局名の「Balls(金玉)」と繋げたパンチライン。

Everybody's got to hear the shit
誰もがこのヤバい曲を聴かなきゃなんねえ

On WBallz, WBallz, WBallz
W-Balls、W-Balls、W-Ballsでな

[Verse 1]

Poppin', stoppin', hoppin' like a rabbit
ウサギみたいに飛び跳ねて、止まって、また弾けるぜ

When I take the Nina Ross, ya know I gots to have it
「ニーナ・ロス」を手にしたら、俺がブチかますって分かるだろ
※「Nina Ross」は9mm口径のピストル(Nine millimeter)を女性の名前に見立てたストリート・スラング。銃を常に携帯しているというギャングスタの日常を描写している。

I lay back in the cut, retain myself
目立たねえ場所でくつろぎながら、自分を保つ

Think about the shit and I think it well
色んなことを考えて、しっかりと思考を巡らすんだ

How can I makes my grip?
どうやって俺の「グリップ(金)」を稼ごうか?
※「grip」は札束を握りしめる様子から転じて、大金を意味するスラング。

And how should I make that nigga straight slip?
どうやってあの野郎の隙(スリップ)を突いてやろうか?

Set trip, gotta get him for his grip
抗争を仕掛けて、あいつの金を奪ってやる
※「Set trip」はギャングが敵対する縄張りで暴力沙汰を起こす、あるいは抗争を始めることを意味するロサンゼルスのギャング用語。

As I dip around the corner, now I'm on a
角を曲がって、今はまた別の

'Nother mission, wishin' upon a star
ミッションの最中さ、星に願いをかけながらな

Snoop Doggy Dogg with the caviar
スヌープ・ドギー・ドッグとキャビアの組み合わせだ
※「caviar(キャビア)」は極上の富と贅沢の象徴。ゲットーのストリートライフから一転してトップスターへと成り上がった自身のステータスを誇示している。

In the back of the limo, no demo, this is the real
リムジンの後部座席でな。デモ音源じゃねえ、これはマジ(本物)だ

Breakin' niggas down like Evander Holyfield, chill
イベンダー・ホリフィールドみたいに野郎どもをぶっ倒す。落ち着けよ
※Evander Holyfieldは当時圧倒的な強さを誇っていたプロボクシングの世界ヘビー級王者。マイク・タイソンと並び、ヒップホップのリリックで「最強」の代名詞として頻繁に引用された。

'Til the next episode
次のエピソード(曲)までな

I make money and I really don't love hoes
俺は金を稼ぐが、ビッチどものことはマジで愛しちゃいねえ
※名曲「Gin and Juice」等でも一貫して語られる、女性に執着せずビジネス(金稼ぎ)を最優先するピンプの哲学。

Tell you the truth, I swoop in the coupe
本当のことを言うと、俺はクーペで颯爽と現れて

I used to sell loop, I used to shoot hoops
昔は「ループ」を売りさばき、バスケもやってた
※「sell loop」はストリートでの違法なドラッグ売買(またはルートを巡回すること)を指すスラングの一種。「shoot hoops(バスケットボールをする)」と韻を踏み、ゲットーの黒人青年が直面する2つの典型的な生き残り方(ハスラーになるか、スポーツ選手になるか)を提示している。

But now I make hits every single day
でも今じゃ、毎日毎日ヒット曲を生み出してるぜ

With that nigga, the diggy Dr. Dre
あのマイ・ニガ、ディギー・ドクター・ドレーと一緒にな

So lay back in the cut, motherfucker, 'fore you get shot
だから大人しく引っ込んでろ、クソ野郎。撃ち殺される前にな

It's 1-8-7 on a motherfuckin' cop
クソッタレなサツには1-8-7(殺害予告)だ
※スヌープのデビュー曲であり、彼を一躍スターダムに押し上げた映画主題歌「Deep Cover」の伝説的なフック「187 on an undercover cop」の完全なセルフオマージュ。

[Chorus]

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

[Verse 2]

Boy, it's gettin' hot, yes, indeed it is
おい、熱くなってきたぜ。ああ、間違いない

Snoop Dogg is on the mic, I'm 'bout as crazy as Biz
スヌープ・ドッグがマイクを握る。俺は「ビズ」くらいイカれてるぜ

Markie, spark the chronic bud real quick
「マーキー」な。さっさと極上のクロニック(大麻)に火をつけな
※80年代後半〜90年代に活躍した東海岸の伝説的ラッパー、Biz Markieへのシャウトアウト。彼のコミカルで型破りなスタイル(代表曲「Just a Friend」など)を引き合いに出し、自身のフリースタイルの予測不可能性を表現している。

And let me get into some fly gangster shit
そして、イケてるギャングスタ・シットに突入させてくれよ

Yeah, I lay back, stay back in the cut
ああ、俺は目立たねえ場所でくつろいでる

Niggas try to play the D-O-G like a mutt
雑種犬(mutt)みたいに、このD-O-Gを舐めてかかる野郎どもがいるが
※「mutt(雑種、野良犬)」と「D-O-G(血統書付きのトップ・ドッグ=スヌープ)」を対比させ、格下のラッパーたちが自分に喧嘩を売ってくることを嘲笑している。

I got a little message, don't try to see Snoop
ちょっとしたメッセージがある。スヌープに逆らおうとするな

I'm finna fuck a bitch, what's her name? It's Luke
これから一人のビッチを犯してやる。そいつの名前は? 「ルーク」だ
※マイアミのラップグループ 2 Live Crewのリーダー、Luther "Luke" Campbellに対する極めて直接的で痛烈なディス。当時Lukeは楽曲「Cowards in Compton」等でドレーやスヌープを「スタジオ・ギャングスタ(偽物)」と侮辱しており、それに対するアンサーとして彼を「女(ビッチ)」呼ばわりしている。

You tried to see me on the TV, you'se a B.G
お前はテレビ越しに俺に喧嘩を売ったが、お前なんてただのB.G.だ
※「B.G.」はBaby Gangstaの略で、ストリートの経験が浅いチンピラや新米を意味する。OG(Original Gangster)である自分とは格が違うという宣告。

D-O-double-G, yes, I'm a OG
D-O-ダブルG、そう、俺がO.G.さ

You can't see my homie Dr. Dre
お前じゃ俺のダチ、ドクター・ドレーの足元にも及ばねえ

So what the fuck a nigga like you gotta say?
お前みたいなクソ野郎に、一体何が言えるってんだ?

Gotta take a trip to the M-I-A
M-I-A(マイアミ)までひとっ飛びして

And serve your ass with the motherfuckin' AK
お前のケツにクソッタレなAK(ライフル)の弾をブチ込んでやるよ
※前述のLukeの地元である「M-I-A(マイアミ)」へ乗り込み、AK-47で襲撃するという生々しい殺害予告。当時の西海岸vs南部(マイアミ)の緊迫したビーフの歴史を証明するラインである。

You can't see the D-O-double-G 'cause that be me
D-O-ダブルGには敵わねえ、だってそれが俺だからな

I'm servin' 'em, swervin' in the coupe
あいつらを片付けて、クーペで蛇行運転(スワーヴ)する

The Lexus flexes from Long Beach to Texas
レクサスを見せびらかして、ロングビーチからテキサスまで流すぜ
※「Lexus」は90年代のヒップホップ・コミュニティにおいて絶対的な成功の象徴(フレックスの道具)であった。LAのロングビーチから南部テキサスまでの広大な影響力を誇示している。

Sexiest hoes, they wanna get with this
最高にセクシーなビッチどもが、俺とヤリたがってる

'Cause Snoop Dogg is the shit, biatch
だってスヌープ・ドッグは「最高(The shit)」だからな、ビッチ

[Chorus]

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

[Verse 3]

Uh, I'm somewhat brain boggled
ああ、頭がちょっとイカれちまってる

So I look to the microphone and slowly start to wobble
だからマイクを見つめて、ゆっくりと揺れ始めるのさ

Grab it, habit, stick it to the plug
掴むのは癖(ハビット)だ、プラグにぶっ刺しな

It's Snoop Doggy, I got a fat dub
俺はスヌープ・ドギー、パンパンの「ダブ」を持ってるぜ
※「dub」は20ドル分のマリファナ(dub sack)のこと。当時のストリートにおける標準的なドラッグの取引単位。

Sack of the chronic in my back pocket low
極上クロニックの袋を、ケツのポケットの奥に忍ばせてる

Need myself a lighter so I can take a smoke
一服キメるために、ライターが必要だ

I toke everyday, I loc everyday
毎日吸い込み、毎日狂ったように(loc)暴れまわる

With the P-O-U-N-D and my nigga, Dr. Dre
P-O-U-N-D(ドッグ・パウンド)と、マイ・ニガのドクター・ドレーと一緒にな

Lay back in the cut like I told your ass
お前に言った通り、目立たねえ場所でくつろいでる

Give me the microphone and let me hit you with a blast
マイクをよこしな、強烈な一撃を食らわせてやるから

I got a little cousin by the name of Daz
俺にはダズって名前のイトコがいるんだ
※Daz Dillinger(Tha Dogg Poundのメンバーであり、名プロデューサー)。スヌープの実際の従兄弟であり、デス・ロウの屋台骨を支えた重要人物を紹介している。

And bitches who fuck him give me the ass
あいつとヤったビッチどもは、俺にもケツを差し出すのさ

'Cause they know about the shit that we be goin' through
俺たちがどんなヤバい橋を渡ってきたか、あいつらは知ってるからな

And they know about the shit that I be puttin' up
俺がどれだけのものを背負ってるか、分かってるんだ

And they be knowin' 'bout the shit I do when I'm on the mic
俺がマイクを握ったらどんなヤバいことをするかもな

'Cause Snoop Dogg is Trump tight like a virgin, the surgeon
だってスヌープ・ドッグは処女みたいに「トランプ・タイト(ガチガチ)」だからな。執刀医は
※「Trump tight」は、ドナルド・トランプの(90年代当時の)巨万の富や破綻しないビジネスに由来するスラングで、「完璧な」「隙がない」という意味。「処女(virgin)」のキツさと掛けて自分のラップスキルの完璧さを表現している。また、続く「surgeon(外科医=Dr. Dre)」へと踏韻していく見事な連想ゲームである。

Is Dr. Drizzay, so lizzay and plizzay
ドクター・Drizzay(ドレー)だ。だからLizzay(横になって)Plizzay(遊ぼうぜ)
※ここからスヌープの代名詞である「〜izzle」言語(単語の中にizzを挿入する独自の暗号的スラング)が炸裂する。DreをDrizzay、LayをLizzay、PlayをPlizzayと変換している。

With D-O-double-Gizzay the fly human being, seein'
D-O-ダブルGizzay(ドッグ)と一緒にな。俺はイケてる人間さ、分かるだろ

No, I'm not European, bein' all I can
いや、俺はヨーロッパ人じゃねえ、自分にできる全てをやってるだけさ
※即興のフリースタイルゆえのコミカルなワードプレイ。「European(ヨーロピアン)」という単語の中に「You're a peein'(お前は小便をしてる)」という小学生のようなダジャレの響きが含まれており、「seein' / European / bein'」と強引に脚韻を踏むための天才的な言葉遊びである。

When I put the motherfuckin' mic in my hand, and
このクソッタレなマイクを手に握った時はな、そして

You don't understand what I'm kickin'
俺が何をキックしてるか、お前らには理解できねえだろ

'Cause Snoop is on the mic and I gets wicked, follow me
だってスヌープがマイクを握れば、最高にヤバく(wicked)なるからな。ついて来な

Listen to me, 'cause I do you like you wanna be done
俺の言うことを聞け。お前らがされたいようにしてやるから

Snoop Doggy Dogg on this three, two, one, um
スヌープ・ドギー・ドッグがカウントするぜ、3、2、1、アム

Dum, diddy-dum, here I come
ダム、ディディ・ダム、俺の登場だ

With the gat and the guitar will strum, um
銃(gat)を片手にな、そしてギターがかき鳴らされる

Not that lunatic nigga who you thought I was
お前が思ってたような、ただの狂った野郎じゃねえぞ

When I caught you slippin', I'ma catch you then I'll peel your cap
お前が隙を見せた(スリップした)時、捕まえて頭を吹っ飛ばしてやる
※「peel your cap」は「帽子を剥がす」ように「頭を銃で撃ち抜く」という非常に暴力的なストリート・スラング。

Snap back, relax
我に返って、リラックスしな

Ya bet' not be slippin' with them Ds on that '83 Cadillac
83年式のキャデラックに「D」を履かせて隙を見せるんじゃねえぞ
※「Ds」はDayton製の高価なワイヤーホイール(Dayton rims)のこと。高級なカスタムカーに乗ってストリートで油断(slippin')していると、カージャックや強盗の標的になるというゲットーの厳しい警告。

So we gon' smoke an ounce to this
だから、俺らはこれに合わせて1オンスのウィードを吸い尽くすぜ
※前曲「Gin and Juice」のアウトロでも使用されたアイコニックなフレーズのリフレイン。

Gs up, hoes down while you motherfuckers bounce to this
ギャングスタは上、ビッチは下だ。お前らがこの曲でバウンスしてる間にな

[Chorus]

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ

Da-da-da-da, da, da-da-da
ダ・ダ・ダ・ダ、ダ、ダ・ダ・ダ