Artist: Snoop Dogg (feat. Daz Dillinger)
Album: Doggystyle
Song Title: Gin and Juice
概要
1993年リリースの歴史的名盤『Doggystyle』からの第2弾シングルにして、西海岸G-Funkを世界的なポップカルチャーへと押し上げたヒップホップ史に残るクラシックである。ドクター・ドレーのプロデュースによる本作は、ファンクバンドSlaveの「Watching You」(1980年)のコーラスメロディをサンプリング(補作)し、George McCrae「I Get Lifted」のベースラインを再構築した極上のグルーヴを持つ。前作の攻撃的なギャングスタ・ラップから一転、親の留守中に開かれるハウス・パーティー、ウィード(大麻)、そして安酒の「ジン・アンド・ジュース」というLAの若者のリアルで快楽主義的な日常を描き出した点が革命的であった。特にフックの「With my mind on my money...」という交錯配列法を用いたフレーズは、資本主義社会におけるハスラーの究極のスローガンとして、現在に至るまで無数のアーティストに引用され続けている。
和訳
[Intro: Daz Dillinger]
(Ahh) Hahaha, I'm serious, nigga
(ああ) ハハハ、マジだぜ、マイ・ニガ
One of y'all niggas got some bad motherfuckin' breath (Oh, man)
お前らの誰か、口の臭いがマジでヤバいぜ (おいおい)
Ayy, baby, ayy, baby (Shit)
ヘイ、ベイビー、おいベイビー (クソッ)
Ayy, baby, gimme some bubblegum in this motherfucker or somethin', haha
ヘイ、ベイビー、ガムか何かくれよ、ハハハ
Ride with me to get somethin' to eat, dog, ayy, nigga
飯でも食いに行こうぜ、兄弟、なあ
Study long, study wrong, nigga
考えすぎると失敗するぜ、ニガ
※「Study long, study wrong」は「躊躇したり考えすぎたりするとチャンスを逃す」という意味を持つアフリカ系アメリカ人の古いことわざ。直感で動けというストリートの教訓であり、リラックスしたパーティーの始まりを告げる合図となっている。
[Verse 1: Snoop Dogg]
With so much drama in the L-B-C
L-B-Cじゃ毎日揉め事ばっかりで
※L-B-Cはカリフォルニア州ロングビーチ(Long Beach City)の略称。クリップスとブラッズの激しいギャング抗争や警察の弾圧など、当時の過酷なストリートの日常(drama)を指している。
It's kind of hard bein' Snoop D-O-double-G
スヌープ・D-O-ダブルGでいるのも結構しんどいんだぜ
But I, somehow, some way
だけど俺は、どうにかこうにか
Keep comin' up with funky-ass shit, like, every single day
毎日毎日、最高にファンキーなシットを生み出し続けてる
May I kick a little something (Yeah)
ちょっとカマしてもいいか? (イェー)
For the Gs and make a few ends (Yeah)
ギャングスタたちのために、少しばかり小銭を稼がせてもらうぜ (イェー)
※「ends」は「make ends meet(収支を合わせる)」から派生したスラングで、お金のこと。
As I breeze through? Two in the mornin'
颯爽と駆け抜けるぜ。今は朝の2時
And the party's still jumpin' 'cause my mama ain't home
お袋が留守だから、パーティーはまだまだ大盛り上がりさ
※親がいない隙に自宅でどんちゃん騒ぎをするという、アメリカのティーンエイジャーの典型的な「ハウス・パーティー」の描写。殺人や抗争を語るハードコアなギャングスタであるスヌープが、「お袋(mama)」を気にする等身大の若者の姿を見せたことで、幅広い層から絶大な共感を得た。
I got bitches in the livin' room gettin' it on, and
リビングルームじゃビッチどもがイイ感じでヤってて
They ain't leavin' 'til six in the mornin' (Six in the mornin', six in the mornin')
あいつら朝の6時まで帰る気はねえみたいだ
※Ice-Tの1986年のクラシックであり、西海岸ギャングスタ・ラップの始祖的楽曲「6 'N The Mornin'」へのオマージュ。
So what you wanna do? Shit
で、お前はどうしたいんだ? クソッ
I got a pocket full of rubbers and my homeboys do too
俺のポケットにはコンドームがパンパンだし、ダチも同じだ
So turn off the lights and close the doors
だから電気を消してドアを閉めな
But (But what?) we don't love them hoes (Yeah)
だけど(だけど何?)俺らはあのビッチどもを愛しちゃいねえ(イェー)
※「We don't love them hoes」は、女性に執着せず遊びと割り切るピンプ(ポン引き)の哲学。のちにスヌープのトレードマークとなるドライな女性観の基本スタンスがここで示されている。
So we gon' smoke an ounce to this
だから、これに合わせて1オンスのウィードを吸い尽くすぜ
※1オンスは約28グラム。個人で消費するには相当な量であり、彼らの常軌を逸した喫煙量を誇張している。
Gs up, hoes down while you motherfuckers bounce to this
ギャングスタは上、ビッチは下だ。お前らがこの曲でバウンスしてる間にな
※「Gs up, hoes down」は西海岸のストリートカルチャーを象徴するスローガン。男性(Gangstas)の優位性と女性(Hoes)の服従を意味し、当時のミソジニー的な価値観を端的に表している。同時に、物理的な体位(騎乗位の逆、あるいはドギースタイル)を暗喩するダブルミーニングでもある。
[Chorus: Daz Dillinger & Lil David Ruffin, Snoop Dogg & Daz Dillinger]
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
※「indo」は室内栽培(indoor)された高品質なマリファナのこと。当時の西海岸ヒップホップにおいてステータスシンボルであった。メロディラインはファンクバンドSlaveの1980年の楽曲「Watching You」から借用している。
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
※安価なジンをオレンジジュース等で割ったカクテル。金のないゲットーの若者たちの定番の酒であり、この曲の大ヒットによって全米中のパーティーの定番ドリンクへと昇華した。
Laid back
のんびりくつろぎながらな
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
※ヒップホップ史に残る最も有名なパンチラインの一つ。交錯配列法(キアズム)を用いた詩的な表現で、常にハスラーとして稼ぐことに集中しているという、ストリートにおける生存戦略と拝金主義を見事に表現している。
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Laid back
のんびりくつろぎながらな
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
[Verse 2: Snoop Dogg]
Now that I got me some Seagram's gin
シーグラムのジンを手に入れたから
※シーグラム(Seagram's)は大衆的で安価なジンのブランド。当時のスヌープたちのリアルな金銭感覚と生活レベルを反映している。
Everybody got they cups, but they ain't chipped in
みんな自分のカップを持ってるが、一銭もカンパしちゃいねえ
※「chipped in」はお金を出し合う、割り勘にするという意味。酒やウィードを他人の金でタダ乗りしようとするフリーライダー(たかり屋)へのストリート特有の不満を描写している。
Now this type of shit happens all the time
まあ、こういうクソみたいなことはしょっちゅう起きる
You gotta get yours, but fool, I gotta get mine
お前はお前の分を稼げよ、でもなバカ野郎、俺は俺の分を頂くぜ
Everything is fine when you listening to the D-O-G
D-O-Gのラップを聴いてりゃ、すべて上手くいく
I got the cultivating music that be captivating he
俺の音楽は人を教化し、魅了する力を持ってるんだ
Who listens to the words that I speak
俺が語る言葉に耳を傾ける奴らをな
As I take me a drank to the middle of the street
ストリートのど真ん中で酒を飲みながら
And get to mackin' to this bitch named Sadie (Sadie?)
セイディって名前のビッチを口説き始める(セイディ?)
※「Sadie」はThe Spinnersの1974年のソウルクラシック「Sadie」への言及という説もあるが、ここでは特定の誰かというより、ストリートにいる典型的な遊び女の仮名として使われている。
She used to be the homeboy's lady (Oh, that bitch?)
あいつは昔、ダチの女だったんだ(ああ、あのビッチか?)
Eighty degrees when I tell that bitch, "Please
気温は80度だけど、俺はあのビッチにこう言ってやった「頼むから、
※華氏80度(摂氏約27度)は、西海岸LAの典型的な暖かく快適な気候。しかし、スヌープの態度はそれとは裏腹に極めて冷酷であるという対比になっている。
Raise up off these N-U-Ts, 'cause you gets none of these"
俺の金玉から離れな、お前には一滴もやらねえよ」
※「nuts」は睾丸の隠語。ここでは文字通りの性的な意味と、「俺に媚びて甘い汁を吸おうとするな(get off my nuts)」というスラングとしての拒絶を掛けている。
At ease, as I mob with the Dogg Pound
気楽なもんさ、ドッグ・パウンドの仲間とつるんでる時はな
Feel the breeze biatch, I'm just
風を感じな、ビッチ。俺はただ
※「biatch」はbitchを間延びさせた、スヌープ(および西海岸)特有のアイコニックな発音。
[Chorus: Snoop Dogg & Daz Dillinger]
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Laid back
のんびりくつろぎながらな
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Laid back
のんびりくつろぎながらな
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
[Verse 3: Snoop Dogg]
Later on that day, my homie Dr. Dre
その日の遅く、ダチのドクター・ドレーが
Came through with a gang of Tanqueray
大量のタンカレーを引っさげてやって来た
※第2ヴァースの大衆酒「シーグラム」に対し、成功者でありプロデューサーのドレーは高級ジンの「タンカレー(Tanqueray)」を持参している。ここにはレーベル内のヒエラルキーや、彼らが底辺から抜け出しつつある状況が酒の銘柄のコントラストを通して明確に描かれている。
And a fat ass J of some bubonic chronic
それに「ブボニック・クロニック」の極太ジョイントもな
※「J」はジョイント(大麻を巻いたタバコ)。「bubonic」はペスト(黒死病=bubonic plague)のことであり、致死率が高い=「ぶっ倒れるほど強力な」極上のマリファナ(chronic)であることを意味する最上級の褒め言葉。
That made me choke, shit, this ain't no joke
あまりの強さにむせちまった、クソッ、こいつはマジで冗談じゃねえ
I had to back up off of it and sit my cup down
一旦吸うのをやめて、カップを置かなきゃならなかったぜ
Tanqueray and chronic, yeah, I'm fucked up now
タンカレーにクロニック、ああ、俺は完全にキマっちまった
But it ain't no stoppin', I'm still poppin'
だけど止まらねえ、まだまだイケるぜ
Dre got some bitches from the city of Compton
ドレーがコンプトンからビッチどもを連れてきたんだ
To serve me, not with a cherry on top
俺に奉仕させるためにな、チェリーなんかじゃねえぞ
※「cherry on top(パフェなどに乗せる飾り、おまけ)」という一般的なイディオムと、スラングでの「cherry(処女)」を掛けた巧妙なワードプレイ。百戦錬磨の擦れたビッチたちであることを示している。
'Cause when I bust my nut, I'm raising up out the cot
だって俺はイクもんイッたら、さっさとベッドから起き上がるからな
※「cot」は簡易ベッド。「bust a nut」は射精すること。行為が終われば情を交わすことなく即座に立ち去るという、ピンプとしてのドライな関係性を描写している。
Don't get upset, girl, that's just how it goes
怒るなよ、ガール。そういうルールなんだ
I don't love you hoes, I'm out the door, and I'll be
俺はお前らみたいなビッチを愛しちゃいねえ。ドアを出て、俺は
[Chorus: Snoop Dogg & Daz Dillinger]
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Laid back
のんびりくつろぎながらな
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Laid back
のんびりくつろぎながらな
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Biatch
ビッチ
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
Rollin' down the street, smokin' indo
ストリートを流しながら、極上のインドア産ウィードを吸って
Sippin' on gin and juice
ジンとジュースをすすってる
Biatch
ビッチ
With my mind on my money and my money on my mind
頭の中は金のことばかり、金のことばかり考えてるぜ
