Artist: Eminem
Album: The Eminem Show (Expanded Edition)
Song Title: Jimmy, Brian And Mike
概要
本作は、2002年の傑作アルバム『The Eminem Show』のリリース20周年を記念した「Expanded Edition」(2022年発表)に収録された未発表曲である。元々は2000年の『The Marshall Mathers LP』セッション時にレコーディングされたデモ音源であり、当時の全盛期特有の「スリム・シェイディ(Eminemの過激な別人格)」としての狂気とブラックユーモアが色濃く反映されている。内容は、デトロイトの若者たちが親の留守中に開いた、ドラッグとアルコールまみれの無軌道なハウスパーティの描写だ。シンナーや笑気ガスの乱用から、ビル・クリントン元大統領への痛烈な皮肉、さらにはR&Bグループ「New Edition」のサンプリングまで、90年代〜00年代初頭のUSポップカルチャーとミシガン州のローカルなストリートカルチャーが入り混じっている。Eminemの卓越したストーリーテリング能力と、声色の使い分けによる一人芝居が堪能できる初期の隠れた名作である。
和訳
[Intro]
Yeah, woo, yeah
イェー、ウー、イェー
Fetch me a beer, man
ビール持ってこいよ、なぁ
The fuckin' Red Wings are playin'
クソ熱いレッドウィングスの試合中だぞ
※「Red Wings」はEminemの地元デトロイトを本拠地とするプロアイスホッケー(NHL)の強豪チーム。ミシガン州のブルーカラーの日常と深い地元愛を象徴するフレーズである。
Ayy, the fuckin' Red Wings are playin', man, fuck
おい、レッドウィングスの試合やってんだよ、マジでよ
Shut up, man, you're gonna fuckin' make me miss the game
うるせぇな、お前のせいで大事なシーン見逃しちまうだろ
[Verse 1]
It goes, one, two, three, four
いくぜ、1、2、3、4
Rush room, C4
ラッシュルーム、C4爆薬だ
※「Rush」は当時クラブ等で乱用された吸入薬(アミールナイトライト、通称ポッパー)の商品名。C4は軍用爆薬だが、ここでは頭が爆発するようなドラッグの強烈なキックバックを比喩している。
Need more bleach, breathe more (Yo, I said)
もっと漂白剤が必要だ、もっと吸い込め(おい、聞いてんのか)
Reach for ether, either or (Either one)
エーテルでも何でもいいから取ってくれ(どっちでもいい)
※漂白剤やエーテルなどの家庭用品から発生する有毒ガスをドラッグ代わりにして吸引する、貧困層のティーンエイジャーによる危険な遊び(Huffing)をリアルに描写している。
Markers, paint, inhale, faint
マジックペンにペンキ、吸い込んで、気絶する
Yeah, heh, heh, smells great, heh
イェー、ヘヘ、最高の匂いだな、ヘヘ
Acid (Woah), you don't got that? Just melt plastic
アシッド(おっと)、持ってねぇのか?ならプラスチックでも溶かそうぜ
※LSD(アシッド)がないならプラスチックを燃やしてその有毒ガスを吸うという、常軌を逸した末期的な行動を描くブラックジョーク。
That's it, now let it smoke and smell that shit
そうそう、その煙を吸ってこのクソみたいな匂いを嗅ぐんだ
I can't see shit, you're foggin' up the room
何も見えねぇよ、部屋中真っ白じゃねぇか
Gimme that shit, bitch, you're hoggin' the balloon (Hey)
それよこせよビッチ、お前風船を独り占めしてんじゃねぇぞ(おい)
※「balloon(風船)」は、亜酸化窒素(笑気ガス、Nitrous oxide)を風船の中に充満させて吸引する乱用方法(ウィピッツ)を指している。
I might just suck nitrous all night long
一晩中ナイトラス(笑気ガス)を吸い続けてやるぜ
If I just die, Mike, just call my mom (911)
もし俺が死んだらさ、マイク、母ちゃんに電話してくれ(911だろ)
※「死んだら母ちゃんに電話して」と情けないことを言う主人公に対し、背後の声が「(母親じゃなくて救急車の)911だろ」と冷静にツッコむGeniusでも人気のコミカルな掛け合いである。
Greg can drink a whole keg through a funnel
グレッグの奴は漏斗(ろうと)を使って樽ごとビールを飲み干せるぜ
※「keg(ビールの樽)」と「funnel(漏斗)」。アメリカの大学生や若者のパーティで定番の「ビアボング(漏斗とチューブを使ってビールを一気飲みする遊び)」のこと。
Put his foot through it and crawl in it like a tunnel
足を突っ込んでトンネルみたいに這い回ってる
From the 313 to the 810
313から810エリアまでな
※「313」はデトロイトの市外局番、「810」はその北部に位置するフリントやマコーム郡などの市外局番。ミシガン州一帯で大暴れしていることを示すローカルなレペゼン表現。
Hey, Brian, you ain't coverin' the rush hole
おいブライアン、お前ラッシュの穴を塞いでねぇじゃんか
※マリファナのパイプやボングの「カーブ(空気穴)」を指で塞いでいないため、上手く煙が吸えていない様子を指摘している。
You're not doin' it right, pay attention
やり方が間違ってんだよ、ちゃんと見とけ
Who the fuck taught you to smoke? Bill Clinton?
一体誰に吸い方を教わったんだ?ビル・クリントンか?
※ビル・クリントン元米大統領が過去のマリファナ使用疑惑に対し「口には入れたが、肺には吸い込んでいない(I didn't inhale)」と苦しい言い訳をした有名なエピソードへの強烈なパンチライン。
Come on, inhale, puff, pass, puff, pass
ほら、吸い込んで、パフ、パス、パフ、パスだ
※「Puff, puff, pass」はマリファナを吸う時のストリートの絶対的なマナー(2回吸ったら次の人に回すこと)。
Okay, that's enough, damn
よし、もう十分だ、クソが
Tom, that's my mom's lamp
トム、それ俺の母ちゃんのランプだぞ
Goddamn, dude, fuckin' calm down (Sorry)
マジかよ、おい、頼むから落ち着けって(わりぃ)
Look at you guys, you're makin' a mess, where's Jason?
お前ら見ろよ、部屋中めちゃくちゃじゃねぇか、ジェイソンはどこだ?
"Dude, I'm in the basement with Jeff
「おい、俺はジェフと一緒に地下室にいるぜ
He just dropped a bunch of weights on his chest
あいつが胸に大量のウェイトを落としちまったんだ
Help me get 'em off," wait, you're breakin' his neck (Alright)
退けるのを手伝ってくれ」待て、お前あいつの首の骨折ろうとしてるぞ(分かったよ)
You grab that end, dick, I'll grab this end
お前はそっちの端を持てよ、このクソ野郎、俺はこっちを持つから
I told him not to lift when he sniffs, he don't listen
ヤク吸ってる時は筋トレすんなって言ったのに、あいつ聞かねぇんだからよ
[Chorus]
Get me drunk, let me go and get me high tonight
酔わせてくれ、今夜はハイにさせてくれ
Jimmy, don't, Jimmy don't let me die tonight
ジミー、やめろ、ジミー今夜俺を死なせないでくれ
Get me home, Jimmy, don't let me drive tonight
家に連れて帰ってくれ、ジミー、今夜は俺に運転させんな
I just wanna get blown with Brian and Mike
俺はただブライアンとマイクと一緒にぶっ飛びたいだけなんだ
Get me drunk, let me go and get me high tonight
酔わせてくれ、今夜はハイにさせてくれ
Jimmy, don't, Jimmy don't let me die tonight
ジミー、やめろ、ジミー今夜俺を死なせないでくれ
Get me home, Jimmy, don't let me drive tonight
家に連れて帰ってくれ、ジミー、今夜は俺に運転させんな
I just wanna get blown with Brian and Mike
俺はただブライアンとマイクと一緒にぶっ飛びたいだけなんだ
[Post-Chorus]
(Chicka) Ronnie, Bobby, Ricky, and Mike
(チカ)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
※伝説的R&Bグループ「New Edition」の1984年の大ヒット曲「Cool It Now」の歌詞「Ronnie, Bobby, Ricky, and Mike」をサンプリング・オマージュしている。タイトルにある「Mike」と韻を踏む形でクラシックを巧妙に引用するEminemらしいギミックだ。
(Chicka) Ronnie, Bobby, Ricky, and Mike
(チカ)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
(Ch—) Ronnie, Bobby, Ricky, and Mike
(チー)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
(Chicka) Ronnie, Bobby, Ricky, and Mike
(チカ)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
[Verse 2]
I spilled beer on the carpet, the walls are drunk, you asshole
カーペットにビールこぼしちまった、壁まで酔っ払ってやがる、このクソ野郎
I ain't leanin' on 'em, I'm holdin' 'em up
俺が壁にもたれかかってんじゃねぇ、俺が壁を支えてやってんだよ
※泥酔者が千鳥足で壁に寄りかかっている時の言い訳。Redditのファンコミュニティでも「全酒飲みの究極の言い訳」として頻繁に引用されるユーモラスな名ラインである。
Shit, tonight, man, I ain't holdin' 'em up
クソッ、今夜は、なぁ、俺は何も抑え込まねぇぜ
I'm openin' up shop to the cops and closin' it shut
サツに向けて店を開いて、すぐに閉めてやる
※どんちゃん騒ぎで警察にバレることを「店を開く」と表現し、すぐ誤魔化して隠蔽する(店を閉める)というストリートな比喩。
Nineteen shots might seem like a lot, but it's not
19杯のショットは多く見えるかもしれないが、大したことねぇ
I ain't even buzzin', man, I swear to God
神に誓って、まだほろ酔いすらしてねぇよ
Tom, stop, you're gonna scare the dog
トム、やめろ、犬がビビってるじゃねぇか
He's gonna bark and Mr. Johnson's gonna come downstairs, and, ugh
あいつが吠えたら、ジョンソンさんが下りてきちゃうだろ、あーもう
"Hey, I want some peace and quiet here
「おい、ここは静かに平穏に過ごしたいんだ
Or I'ma send the goddamn police in riot gear"
さもなきゃ暴動鎮圧用の装備をしたサツを送り込んでやるぞ」
Shut up, Mr. Johnson, don't even start
うるせぇよジョンソンさん、ガタガタ抜かすな
Go have another fuckin' heart attack, you old fart
もう一回心臓発作でも起こしてろ、このクソジジイ
※隣人(または大家)の老人に向けた容赦ない暴言。他人の迷惑を顧みない無軌道な「スリム・シェイディ」の人格が全開になっている部分。
I hate that guy, Brian, that's the hamper
あいつマジでムカつくぜ、ブライアン、それは洗濯カゴだぞ
What's the matter, you can't go to the damn bathroom?
どうしたんだよ、まともにトイレにも行けねぇのか?
"Sorry, I had to shit, dude, where's the tissue?"
「わりぃ、クソが漏れそうだったんだよ、おい、トイレットペーパーはどこだ?」
I don't know, just use this XXL issue
知るかよ、このXXLの雑誌でも使っとけ
※有名なヒップホップ誌「XXL」をケツを拭く紙扱いしている。当時のEminemはメディア全体に対して攻撃的なスタンスを取ることが多く、音楽誌への軽蔑を込めたパンチラインだ。
Look at this house, who put this couch crooked?
この家見てみろよ、誰がこのソファをこんな斜めに置いたんだ?
Ow, stupid, you just stepped on my foot, now look it
痛ぇ、バカ野郎、お前今俺の足踏んだだろ、これ見ろよ
It looks like I just stepped in a mud puddle
まるで泥の水たまりに突っ込んだみたいじゃねぇか
You fuckin' dick (I'm sorry), shut up, butthole
このクソ野郎(わりぃ)、うるせぇよケツの穴野郎
You prolly did it on purpose, you fuckin' drunk bastard
どうせわざとやったんだろ、このクソ酔っ払い野郎が
Here, take your keys, go cruisin' up Gratiot
ほら、鍵を持て、グラティオット通りでもクルージングしてきな
※「Gratiot(グラティオット・アベニュー)」はデトロイト東部を貫く主要道路。週末になると車好きや若者が集まってクルージングする地元の名物スポットであり、ローカルな情景を描写している。泥酔した友人に車の鍵を渡すという最悪の行動である。
I hate you guys, you ain't my friends
お前らなんか大嫌いだ、俺のダチじゃねぇ
Look what you just did to my mom's eight-by-tens
俺の母ちゃんの8×10(写真立て)をどうしてくれたか見てみろよ
※「eight-by-tens」は8×10インチの標準的な写真サイズのことで、家族の記念写真などが飾られた写真立てを指す。乱痴気騒ぎで親の思い出の品までぶっ壊されたことへの怒り。
Now she's gonna blame me, I hope you're happy now
これで母ちゃんは俺を責めるんだぞ、これで満足かよ
Party's over, everybody get your asses out
パーティは終わりだ、全員とっとと出てけ
Out, I said out
出てけ、出てけって言ってんだろ
Put that beer down, out
そのビールを置け、出てけ
[Chorus]
Get me drunk, let me go and get me high tonight
酔わせてくれ、今夜はハイにさせてくれ
Jimmy, don't, Jimmy don't let me die tonight
ジミー、やめろ、ジミー今夜俺を死なせないでくれ
Get me home, Jimmy, don't let me drive tonight
家に連れて帰ってくれ、ジミー、今夜は俺に運転させんな
I just wanna get blown with Brian and Mike
俺はただブライアンとマイクと一緒にぶっ飛びたいだけなんだ
Get me drunk, let me go and get me high tonight
酔わせてくれ、今夜はハイにさせてくれ
Jimmy, don't, Jimmy don't let me die tonight
ジミー、やめろ、ジミー今夜俺を死なせないでくれ
Get me home, Jimmy, don't let me drive tonight
家に連れて帰ってくれ、ジミー、今夜は俺に運転させんな
I just wanna get blown with Brian and Mike
俺はただブライアンとマイクと一緒にぶっ飛びたいだけなんだ
[Post-Chorus]
(Chicka) Ronnie, Bobby, Ricky and Mike
(チカ)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
(Chicka) Ronnie, Bobby, Ricky and Mike
(チカ)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
(Ch-chicka) Ronnie, Bobby, Ricky and Mike
(チ・チカ)ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
Ronnie, Bobby, Ricky and Mike
ロニー、ボビー、リッキー、それにマイク
