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Drips - Eminem (feat. Obie Trice) 【和訳・解説】

Artist: Eminem (feat. Obie Trice)

Album: The Eminem Show

Song Title: Drips

概要

2002年のメガヒットアルバム『The Eminem Show』に収録された本作は、エミネムが主宰するShady Recordsの期待の新人(当時)であったオービー・トライスのお披露目とも言えるショーケース・トラックである。テーマは「性感染症(STD)の恐怖と女性の裏切り」という極めて下世話なもの。Verse 1でオービーが名もなき女性と一夜を共にして性病をもらった経緯を語り、Verse 2でエミネムが妻の浮気による性病感染のパラノイアをまくし立てるが、終盤で「エミネムの妻の浮気相手がオービーであった(二人は同じ女性に騙されていた)」という衝撃のオチがつく見事なストーリーテリングとなっている。なお、オービーのVerseは性病の分泌物をサワークリームに例えるなどあまりにもグロテスクで過激な性描写が連続するため、本作のクリーン版(検閲版)CDでは彼のVerseが丸ごと無音(約1分半の不自然な空白)になるという、ヒップホップ史に残る伝説的なトリビアを生み出した楽曲でもある。

和訳

[Intro: Eminem & Obie Trice]

Obie, yo
オービー、おい

I'm sick
俺、病気になっちまったぜ
※性感染症(STD)にかかったという曲のテーマを一言で表す不吉なイントロ。

Damn, you straight, dog?
マジかよ、大丈夫なのか兄弟?

[Chorus: Eminem & Obie Trice]

That's why I ain't got no time (I think I got chlamydia)
だから俺には暇なんかねえんだよ(クラミジアうつされたかもな)

For these games and stupid tricks
あいつらの駆け引きや、くだらねえ罠に引っかかってる時間はな

Or these bitches (Bitch) on my dick
俺のイチモツに群がるビッチども(ビッチ)の相手をしてる暇もねえ

That's how dudes be gettin' sick (That bitch)
男たちはそうやって病気をもらうんだ(あのビッチめ)

That's how dicks be gettin' drips
そうやってチンコからドリップ(分泌物)が垂れるようになるのさ
※曲のタイトル「Drips」の回収。淋病やクラミジアなどの性感染症によって尿道から垂れる膿(うみ)や分泌物を指すストリート・スラングである。

Fallin' victims to this shit
こんなクソみたいな病気の犠牲者になっちまう

From these bitches on our dicks
俺たちの股間に群がってくるビッチどものせいでな

Fuckin' chickens with no ribs
アバラ骨のねえクソったれなチキンどもさ
※「chickens」は尻軽女やビッチを指すスラング。「with no ribs(アバラがない)」は中身がない、あるいは安っぽい肉(マックリブのような加工肉)に例え、彼女たちが安直で価値のない存在であることを嘲笑している。

That's why I ain't got no time
だから俺には構ってる暇なんかねえんだよ

[Verse 1: Obie Trice]

Yo, I woke up, fucked up off the liquor I drunk (Damn)
ヨー、目が覚めたら、ガブ飲みした酒のせいで最悪な二日酔いだった(クソッ)

I had a bag of the skunk, won in last night's tunk
昨夜のトンクで勝ち取ったスカンク(極上ウィード)の袋を持ってたぜ
※「skunk」は匂いが強くTHC濃度の高い上質なマリファナのこと。「tunk(トンク)」は黒人コミュニティでよく遊ばれるトランプのギャンブルゲーム(ラミーの一種)。

Pussy residue was on my penis, Denise from the cleaner's
俺の息子には女の愛液がこびりついてた。クリーニング屋のデニスのやつさ

Fucked me good, you shoulda seen this
最高のヤリマンだったぜ、お前らにも見せてやりたかったよ

Big booty bitch, switch unbearable (Shit)
デカいケツしたビッチで、腰の振りは耐えられないほどヤバかった(クソッ)

French roll stylin', body like a stallion
フレンチロールのヘアスタイルに、スタリオンみてえなナイスバディ
※「stallion(種馬)」はAAVE(黒人英語)において、背が高く肉感的で魅力的な女性を褒めるスラング。人気女性ラッパーMegan Thee Stallionの名前の由来でもある。

Sizin' up the figure, while my shit gettin' bigger
そのスタイルを値踏みしてるうちに、俺の息子はどんどんデカくなる

Debatin' on a fuck or do I wanna be her nigga?
ただヤルだけにするか、それともあいつの彼氏(ニガ)になってやるか悩んだぜ

Caressin' this bitch, plus I'm checkin' out them tits (Damn)
このビッチを愛撫しながら、胸の形もチェックしてやった(たまんねえ)

Sippin' on that fine shit, I ain't used to buyin'
普段は買わねえような高級な酒をチビチビやりながらな

I gotta hit it from behind, it's mandatory
後ろから突くのはマスト(義務)だろ

Like takin' hoes' money, but that's another story
売春婦から金を巻き上げるようにな。まあ、それはまた別の話だが

For surely pussy on toast, after we toast
乾杯(トースト)した後は、確実に極上のプッシーをいただく

Her clothes fell like Bishop in Juice (C'mere)
あいつの服は『ジュース』のビショップみたいにストンと落ちたぜ(こっち来い)
※1992年のヒップホップ映画の金字塔『Juice』のクライマックスシーンのオマージュ。2Pacが演じた主人公ビショップ(Bishop)が建物の屋上から転落するシーンに、女の衣服が床に脱ぎ落とされる様を重ね合わせた秀逸なメタファー。

The womb beater, clean pussy eater, insertin' my jock
子宮を打ち据え、綺麗なプッシーを喰らう。俺の息子を挿入するぜ

In that spot hotter than the hottest block
一番ヤバいストリート(ブロック)よりも熱い、あのスポットにな

"Don't stop", response I got when I was knockin' it
俺がガンガン突いてる時、あいつは「やめないで」って反応を返してきた

Clock's steady tickin', kinky finger-lickin'
時計はチクタク進み、変態チックに指を舐め合う

And can on, semen's at my tip when she moans
あいつが喘ぐ頃には、俺の先端には精液が滲んでる

I gotta slow down before I cum soon
すぐイク前に、少しペースを落とさなきゃな

And work that nigga like a slave owner (Yeah)
そして奴隷の所有者みたいに、あのニガ(自分のイチモツ)を酷使してやる(イェー)

When I dropped off my outfit, she knew I wanted to bone her
俺が服を脱ぎ捨てた時、あいつは俺がヤリ(bone)たがってるって分かってたさ

She foamin' at them lips, the ones between the hips
あいつの唇から泡が吹いてたぜ、顔じゃなく腰の間にある唇(陰唇)からな
※エミネムのアルバムが検閲の対象となる最大の原因の一つとなったオービーの超過激なバース。興奮による愛液ではなく、性病による異常な分泌物を「泡(foamin')」と表現している。

Pubic hair's lookin' like some sour cream dip
陰毛はまるでサワークリームのディップソースみたいに見えたぜ
※ヒップホップ史上で最もグロテスクで不快な性描写(Gross-out rap)としてReddit等のファンダムで語り草になっているライン。クラミジアや淋病による白い膿が恥毛に絡みついている様を、メキシコ料理などのサワークリームに例えている。クリーン版でこのバース全体がカットされた決定的な理由である。

Without the nacho, my dick hit the spot though
ナチョスは無かったが、俺の息子はバッチリとスポットを突いてやったよ

Pussy tighter than conditions of us black folks
俺たち黒人の生活環境よりもタイト(窮屈)な名器だったぜ
※ゲットーの黒人たちが強いられている経済的・社会的な「厳しい(タイトな)状況」と、女性の膣の「タイトさ」を掛けた、ストリート・ラッパーならではのブラックジョーク。

We in the final stretch (C'mere), the last part of sex
俺たちは最終コーナーを回った(こっち来い)、セックスの最終段階だ

I bust a fat-ass nut, then I woke up next (Holy)
ドデカい一発をぶちまけて、次に目が覚めた時は(マジかよ)

Like, what the fuck is goin' on here? (Shit) This bitch evaporated
「おい、一体ここで何が起きたんだ?」って感じだ。(クソッ)あのビッチは蒸発して消えてた

Pussy and all just picked up and vacated
プッシーも何もかも荷物をまとめて、空っぽになってやがった

And now I'm frustrated, 'cause my dick was unprotected (Damn)
今じゃ俺はフラストレーション溜まりまくりだ、だって生ハメ(unprotected)だったからな(クソッ)

And doctor Wesley tellin' me I really got that shit (Fuck)
それにウェズリー先生が、俺がマジで「アレ(性病)」に感染してるって告げてきやがったんだ(ファック)

[Chorus: Eminem]

That's why I ain't got no time
だから俺には暇なんかねえんだよ

For these games and stupid tricks
あいつらの駆け引きや、くだらねえ罠に引っかかってる時間はな

Or these bitches on my dick
俺のイチモツに群がるビッチどもの相手をしてる暇もねえ

That's how dudes be gettin' sick
男たちはそうやって病気をもらうんだ

That's how dicks be gettin' drips
そうやってチンコからドリップ(分泌物)が垂れるようになるのさ

Fallin' victims to this shit
こんなクソみたいな病気の犠牲者になっちまう

From these bitches on our dicks
俺たちの股間に群がってくるビッチどものせいでな

Fuckin' chickens with no ribs
アバラ骨のねえクソったれなチキンどもさ

That's why I ain't got no time
だから俺には構ってる暇なんかねえんだよ

[Verse 2: Eminem]

Now I don't wanna hit no woman, but this chick's got it comin'
なあ、俺は女を殴りたくなんかないが、このアマは自業自得だろ

Someone better get this bitch 'fore she gets kicked in the stomach
誰かこのビッチを引き離した方がいいぜ、腹を蹴り上げられちまう前にな

And she's pregnant, but she's eggin' me on, beggin' me to throw her
しかもこいつは妊娠してる。なのに俺を煽って、自分を放り投げろって懇願してやがる

Off the steps of this porch, my only weapon is force
このポーチの階段からな。俺の唯一の武器は「腕力」だけだ
※当時の妻キム・マザーズとの泥沼のDV(ドメスティック・バイオレンス)や家庭内トラブルを想起させるライン。キムは他の男の子供を身籠っていた時期があり、エミネムの怒りと愛憎の対象であった。

And I don't wanna resort to violence of any sort
どんな種類の暴力にも訴えたくなんかないんだよ

Though what's she shovin' me for? (Bitch) Doesn't she love me no more?
なのに、こいつはどうして俺を小突いてくるんだ?(ビッチ)もう俺を愛してないのか?

Wasn't she huggin' me four minutes ago at the door?
たった4分前には、ドアのところで俺を抱きしめてたじゃねえか?

Man, I'm this close to goin' toe-to-toe with this whore
なあ、俺はこの売春婦と今にも殴り合い(toe-to-toe)の喧嘩になりそうなギリギリのところなんだよ

What would you do if she was tellin' you she wants a divorce?
もしお前の女が「離婚したい」って言ってきたら、お前ならどうする?

She's havin' another baby in a month, and it's yours
1ヶ月後にはもう一人子供が生まれる予定で、それはお前の子供なんだぜ

And you found out it isn't, 'cause this bitch has been visitin' someone else
でもお前は、それが自分の子じゃないって気づいちまった。だってこのビッチが他の男のところに通ってて

And suckin' his dick and kissin' you on the lips when you get back to Michigan
そいつのチンコをしゃぶった口で、お前がミシガン(地元)に帰ってきた時に唇にキスしてたからな

Now the plot is thickenin' worse
さあ、ここからさらに状況(プロット)は悪化していくぜ

'Cause you feel like you've been stickin' your fuckin' dick in a hearse
だって、自分の中身が霊柩車(hearse)にクソッタレなチンコを突っ込んでた気分になるからな
※「hearse(霊柩車)」。浮気性の妻と寝ることは、死(エイズや不治の性病)を運んでくる霊柩車と交尾しているのと同じであるという、恐ろしくも完璧なメタファー。

So you're paranoid at every little cold that you get
だからお前は、ちょっと風邪を引いただけでパラノイア(被害妄想)に陥るんだ

Ever since they sold you this shit, you've been holdin' your dick
あいつらがこのクソ(性病)をお前に押し付けて以来、ずっと自分の股間を押さえて怯えてる

So you go to the clinic, sweatin' every minute you in it
だからお前はクリニックに行って、中にいる間中ずっと冷や汗をかくハメになる

Then the doctor comes out, lookin' like Dennis the Menace (Ha-ha-ha-ha-ha)
そしたら医者が出てきて、わんぱくデニスみたいな顔で笑ってやがるんだ(ハハハハハ)
※「Dennis the Menace(わんぱくデニス)」はアメリカの有名なコミックのいたずら好きなキャラクター。医者が、死の宣告(エイズの陽性反応)を伝える前に、まるで悪戯を仕掛ける子供のようにニヤニヤと笑っている(エミネムの被害妄想フィルターを通した)恐ろしい情景。

And it's obvious to everyone in the lobby it's AIDS (Sorry)
ロビーにいる全員にとって、お前がエイズだってことは一目瞭然だ(ご愁傷様)

He ain't even gotta call you in his office to say it (Sorry)
医者はお前を診察室に呼んで伝える必要すらないのさ(ご愁傷様)

So you jet back home, 'cause you gon' get that ho
だからお前は急いで家に飛んで帰る。あの娼婦をブチ殺してやるためにな

When you see her, you gon' bend her fuckin' neck back, yo
あいつの顔を見た瞬間、そのクソッタレな首を後ろにへし折ってやるんだよ

'Cause you love her, you never would expect that blow
だってお前はあいつを愛してたから、そんな裏切り(ブロー)を受けるなんて夢にも思ってなかった

Obie told you the scoop, how could she stoop that low?
そこでオービーがお前にスクープ(特ダネ)を教えてくれた。あいつがどうやってあそこまで堕ちたのかをな
※ここで曲の最大のどんでん返しが起こる。エミネムが妻から移された性病の「感染源(浮気相手)」が、Verse 1でヤリマンの「デニス」と寝たオービー・トライス本人であったことが明かされる。二人のVerseがここで完全に接続する。

Jesus, I don't believe this bitch works at the cleaner's
ジーザス、信じられねえよ。このビッチ、クリーニング屋で働いてたなんて
※Verse 1でオービーが寝た「クリーニング屋のデニス(Denise from the cleaner's)」は、偽名を使って働いていたエミネムの妻(の暗喩)であったことが判明する。

Bringin' me home diseases, swingin' from Obie's penis
家に病気を持ち帰りやがって。オービーのペニスにぶら下がってた(ヤッてた)ってわけかよ

She's so deceivin', shit, this ho's a genius, she G'd us
マジで騙し上手だな、クソッ。この娼婦は天才だぜ、俺たちを見事にハメ(G'd)やがった
※「G'd us」は「G(ギャングスタ)のように俺たちを出し抜いた、騙した」という意味のスラング。親友のオービーとエミネムが、一人の女性の巧みな嘘によって性病の連鎖(Drips)に巻き込まれたというバカバカしくも秀逸な結末。

[Chorus: Eminem]

That's why I ain't got no time
だから俺には暇なんかねえんだよ

For these games and stupid tricks
あいつらの駆け引きや、くだらねえ罠に引っかかってる時間はな

Or these bitches on my dick
俺のイチモツに群がるビッチどもの相手をしてる暇もねえ

That's how dudes be gettin' sick
男たちはそうやって病気をもらうんだ

That's how dicks be gettin' drips
そうやってチンコからドリップ(分泌物)が垂れるようになるのさ

Fallin' victims to this shit
こんなクソみたいな病気の犠牲者になっちまう

From these bitches on our dicks
俺たちの股間に群がってくるビッチどものせいでな

Fuckin' chickens with no ribs
アバラ骨のねえクソったれなチキンどもさ

That's why I ain't got no time
だから俺には構ってる暇なんかねえんだよ

[Outro: Eminem & Obie Trice]

I'm busy, yeah, fuck these bitches
俺は忙しいんだ、イェー、こんなビッチどもクソ食らえだ

Fuck 'em all
全員くたばれ

Get money, Shady Records
金を稼ぐぜ、シェイディ・レコード

Ha, whoa
ハッ、ウォウ

Obie Trice, Eminem, motherfucker
オービー・トライス、エミネムだ、クソ野郎ども

New millennium shit, yeah
ニュー・ミレニアム(新世紀)のシットだぜ、イェー

Turn this shit off, man
こんなクソみたいな音楽、消しちまえよ

Turn this shit the fuck—
とっとと電源を切れ——
※エミネム特有のメタ的なアウトロ。自分たちの作った下品な曲を「こんなクソ音楽消せ」と自虐的に打ち切ってアルバムを進行させるユーモアである。