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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

2000 Watts - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: Invincible

Song Title: 2000 Watts

概要

2001年のアルバム『Invincible』に収録された、テディ・ライリーらとの共同制作によるフューチャリスティックなクラブ・バンガーである。最大の衝撃は、マイケルがかつてないほどの超低音(ディープ・バス)ボーカルで歌い上げている点だ。当初はR&Bシンガーのタイリース・ギブソンが歌う予定だったデモの低いキーをマイケルが気に入り、あえて自身の声帯を極限まで低く響かせたと言われている。歌詞はオーディオ機器や電力の専門用語(2000ワット、オーム、電圧、3D、ドルビーなど)が羅列されるが、それはそのまま彼の圧倒的なエンターテイナーとしてのエネルギーと、濃密なセクシュアリティのダブルミーニングとして機能している。自らの声すらも機械的な重低音インストゥルメントの一部と同化させた、異端にして革新的なエレクトロ・ファンクである。

和訳

[Intro: Teddy Riley]

You may now apply (You may now apply)
今すぐ装着せよ(今すぐ装着せよ)

Your 3D glasses (Your 3D glasses)
3Dグラスを(3Dグラスを)

As we proceed, prepare for proceed
先へ進むにあたり、準備を整えよ
※テディ・ライリーによるロボットのようなアナウンス。これから始まる楽曲が、単なる音楽ではなく「3D(立体的)で危険なほどの高電圧体験」であることを警告する、SF映画のオープニングのような演出である。

Two-thousand watts, two-thousand watts
2000ワット、2000ワット

Two-thousand watts, two-thousand watts
2000ワット、2000ワット

Two-thousand watts, two-thousand watts
2000ワット、2000ワット

Two-thousand watts, two-thousand watts
2000ワット、2000ワット

[Verse 1: Michael Jackson]

Bass note, treble, stereo control, how low you go
ベース音、トレブル(高音)、ステレオ・コントロール、お前はどこまで低く(ディープに)いけるんだ?
※オーディオのイコライザー調整を語る体裁をとりながら、同時にベッドルームでの性的なリードを暗喩している。特筆すべきはマイケルの異常なまでの低音ボーカルであり、自ら「どこまで低くいけるか(how low you go)」と歌うメタ的な構造になっている。

Give you just enough to make your juices flow
溢れ出させるのに十分なだけのものを与えてやる
※「make your juices flow」。音楽のノリ(ジュース)を引き出すという意味と、女性の性的興奮や愛液の分泌を意味する直接的なダブルミーニング。彼のキャリアの中でも極めて露骨な性描写の一つである。

Press play, don't stop, rotate, too hot, you feel I'm real
再生ボタンを押せ、止まるな、回転させろ、熱すぎる、俺が本物だと感じるだろう

I'm everything you need, so tell me, what's the deal?
俺がお前の求めるすべてさ、だから教えてくれ、どうしたいんだ?

[Chorus: Michael Jackson]

Two-thousand watts (Two-thousand), eight ohms (What?), two-hundred volts, real strong
2000ワット(2000)、8オーム(What?)、200ボルト、強烈だぜ

Too much of that, fuse blown
やりすぎれば、ヒューズが飛ぶぞ

Be careful what you say, don't overload
口の利き方に気をつけな、過負荷(オーバーロード)を起こすなよ
※「2000ワット、8オーム、200ボルト」。オーディオアンプの出力やスピーカーのインピーダンスを示す専門用語の羅列。マイケル自身の持つ圧倒的なエネルギー(スター性、セクシュアリティ)を巨大な電力に見立てており、不用意に近づけば相手(リスナーや女性)のキャパシティを超えて「ヒューズが飛ぶ(理性が吹き飛ぶ)」と警告している。

Two-thousand watts, eight ohms, two-hundred volts, real strong
2000ワット、8オーム、200ボルト、強烈だぜ

Too much of that, fuse blown
やりすぎれば、ヒューズが飛ぶぞ

Be careful what you say, don't overload
口の利き方に気をつけな、過負荷を起こすなよ

[Verse 2: Michael Jackson]

3D, high speed, feedback, Dolby
3D、ハイスピード、フィードバック、ドルビー

Release two or three, when I reach, I can go 'til I hit my peak
2つか3つを解放しろ、目標に達した時、俺はピーク(頂点)に達するまでイケるぜ
※「hit my peak(ピークに達する)」。音響機材のピークレベルと、オーガズムの絶頂を掛け合わせた表現。

Compact steelo, chico, D-Lo, highpost lady
コンパクトなスタイル、チコ、D-Lo(低姿勢)、ハイポスト(高飛車な)レディ
※当時のストリート・スラングの連続。「steelo」はスタイル(style)のヒップホップスラング。「highpost」は気取った、高飛車な女性。作詞に参加したタイリース・ギブソンの影響が色濃く出た、ストリート仕様のリリックである。

Shorty really wanna be there for me
あの娘(ショーティ)はマジで俺のそばにいたがってる

[Chorus: Michael Jackson]

Two-thousand watts (Come on now), eight ohms, two-hundred volts (Yeah), real strong
2000ワット(さあ来い)、8オーム、200ボルト(Yeah)、強烈だぜ

Too much of that, fuse blown
やりすぎれば、ヒューズが飛ぶぞ

Be careful what you say, don't overload (Yeah)
口の利き方に気をつけな、過負荷を起こすなよ(Yeah)

Two-thousand watts, eight ohms (Yeah), two-hundred volts, real strong
2000ワット、8オーム(Yeah)、200ボルト、強烈だぜ

Too much of that, fuse blown
やりすぎれば、ヒューズが飛ぶぞ

Be careful what you say, don't overload
口の利き方に気をつけな、過負荷を起こすなよ

[Bridge: Teddy Riley & Michael Jackson]

We now prepare to take you to the next level (Yeah)
これより、皆様を次のレベル(次元)へと導く準備に入ります(Yeah)
※テディ・ライリーのナビゲーションによって、楽曲がさらに重厚なクラブ・サウンドの深淵へと没入していく。

Two-thousand watts, (Two-thousand) eight ohms (Alright now)
2000ワット(2000)、8オーム(さあ)

Two-hundred volts (Are you ready?)
200ボルト(準備はいいか?)

Voltage high
高電圧

Two-thousand watts, (What?) 2000 watts
2000ワット(What?)2000ワット

Two-thousand watts, two-thousand watts, (Dolby)
2000ワット、2000ワット(ドルビー)

Two-thousand watts, (What?) two-thousand watts
2000ワット(What?)2000ワット

Two-thousand watts, two-thousand watts (Three-dimensional)
2000ワット、2000ワット(3次元空間)

3D, high speed, (High speed)
3D、ハイスピード(ハイスピード)

Feedback, Dolby (Baby)
フィードバック、ドルビー(ベイビー)

Release two or three (3D), when I reach, can I go 'til I hit my peak? (3D, 3D, 3D now)
2つか3つを解放しろ(3D)、目標に達した時、俺はピークに達するまでイケるか?(3D、3D、今すぐ3Dだ)

Compact (Come on) steelo, chico, D-Lo, highpost lady
コンパクトな(カモン)スタイル、チコ、D-Lo、気取ったレディ

Shorty really wanna be there for me
あの娘はマジで俺のそばにいたがってる

[Chorus: Michael Jackson]

Two-thousand watts, eight ohms, two-hundred volts (Yeah), real strong
2000ワット、8オーム、200ボルト(Yeah)、強烈だぜ

Too much of that, fuse blown
やりすぎれば、ヒューズが飛ぶぞ

Be careful what you say, don't overload (Yeah)
口の利き方に気をつけな、過負荷を起こすなよ(Yeah)

Two-thousand watts, eight ohms (Yeah), two-hundred volts, real strong
2000ワット、8オーム(Yeah)、200ボルト、強烈だぜ

Too much of that, fuse blown
やりすぎれば、ヒューズが飛ぶぞ

Be careful what you say, don't overload
口の利き方に気をつけな、過負荷を起こすなよ

[Outro: Michael Jackson]

Dance!
踊れ!

Don't you overload, baby
オーバーロード(過負荷)を起こすなよ、ベイビー
※全編を通して不気味なほどの低音を保っていたマイケルが、最後に突然「Dance!」と甲高い本来のトーンでシャウトを放ち、リスナーの聴覚を急襲する。自らを高圧電流そのものとして表現した彼が、サウンドの過負荷で世界をショートさせる寸前でクールに立ち去るという、圧巻のエンディングである。