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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Give In to Me - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: Dangerous

Song Title: Give In to Me

概要

1991年発表のアルバム『Dangerous』に収録された、マイケル・ジャクソンのキャリアにおける最もヘヴィでダークなロック・バラードである。「Beat It」や「Dirty Diana」の系譜を受け継ぎ、本作ではガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュをギタリストに起用。愛という名の支配、性的欲求への渇望、そして冷酷な女性に翻弄される男性の絶望と激情が、歪んだギターサウンドに乗せて生々しく歌われている。ドイツのミュンヘンで撮影されたショートフィルムでは、アンダーグラウンドなクラブでの熱狂的なパフォーマンスが描かれ、彼のアーティストとしての剥き出しのセクシュアリティとロック的アティテュードが極限まで表現された傑作である。

和訳

[Verse 1]

She always takes it with a heart of stone
彼女はいつも、石のように冷たい心で受け取る
※「heart of stone(石の心)」。感情が欠落した冷酷な態度を表す。マイケルが歌ってきた純粋な愛のテーマとは対照的な、精神的な繋がりが完全に断絶された関係性の描写から幕を開ける。

'Cause all she does is throws it back to me
そして、僕にそっくりそのまま投げ返してくるだけなんだ

I've spent a lifetime looking for someone
僕は生涯をかけて、ある人を探し続けてきたのに
※真実の愛を求めて孤独な人生を歩んできた彼が、ようやく見つけた相手が自分を傷つけるだけの存在であったという深い悲劇性を帯びている。

[Pre-Chorus]

Don't try to understand me
僕を理解しようとなんてしないでくれ

Just simply do the things I say
ただ単に、僕の言う通りにしてくれればいい
※精神的な交流を諦め、肉体的な服従だけを相手に要求する。傷つけられることへの防衛機制として、彼自身が支配的な態度へと転じている。

[Chorus]

Love is a feeling
愛は感情さ

Give it when I want it
僕が欲しい時に、それを与えてくれ

'Cause I'm on fire
だって、僕は燃え上がっているんだから

Quench my desire
僕のこの欲望を鎮めてくれ
※「Quench my desire(欲望を鎮める、渇きを癒やす)」。非常にセクシュアルで直接的な渇望の表現。モータウンの少年スターから、生々しい性衝動を歌う成熟した大人の男性への完全なる脱皮を宣言している。

Give it when I want it
僕が欲しい時に、与えてくれ

Talk to me, woman
僕に話しかけてくれ、女(おまえ)よ

Give in to me, give in to me
僕に屈服してくれ、僕に身を委ねるんだ
※タイトル「Give in to me」。相手に「降伏する、屈服する、身を任せる」ことを強要するフレーズ。恋愛におけるパワーゲームとマゾヒスティックな関係性が、圧倒的なロック・ボーカルで叩きつけられる。

[Verse 2]

You always knew just how to make me cry
君は僕を泣かせる方法を、いつだって熟知していた

And never did I ask you questions why
それでも僕は、その理由を問いただすことなんて決してしなかった

It seems you get your kicks from hurting me
君は僕を傷つけることで、快感を得ているみたいだね
※「get your kicks(快感を得る)」。サディスティックで感情を弄ぶ「ファム・ファタール(魔性の女)」の典型。彼自身のトラウマや、スターを利用しようとする人々への不信感(パラノイア)が女性像に投影されている。

[Pre-Chorus]

Don't try to understand me
僕を理解しようとなんてしないでくれ

Because your words just aren't enough
だって、君の言葉だけでは満たされないんだ

[Chorus]

Love is a feeling
愛は感情さ

Quench my desire
僕の欲望を鎮めてくれ

Give it when I want it
僕が欲しい時に、それを与えてくれ

Takin' me higher
僕をもっと高みへ連れて行って

Love is a woman
愛とは女そのものさ
※「愛は女である」。美しく魅惑的でありながら、予測不能で残酷に人を傷つける愛の本質を、彼を翻弄する女性の存在そのものと重ね合わせている。

I don't wanna hear it
もう何も聞きたくない

Give in to me, give in to me
僕に屈服してくれ、僕に身を委ねるんだ

[Bridge]

You and your friends were laughin' at me in time
君と君の友達は、僕を笑い者にしていたね

But it's okay, yeah, that's okay
でもいいんだ、あぁ、それでいいさ

You won't be laughin', girl, when I'm not around
僕がいなくなれば、君も笑えなくなるはずさ、なぁ
※搾取される側だった主人公が自己価値に気づき、相手を冷徹に突き放す瞬間。依存関係からの脱却を図る、力強い自立の宣言である。

I'll be okay, and I, I've gotta fight
僕は大丈夫さ、そして僕は、戦わなきゃならない

Gotta, for peace of mind, oh
心の平穏を取り戻すためにね、oh
※外部の敵(メディアやギャング)ではなく、有害な恋愛関係から自身の精神(peace of mind)を守り抜くための「内なる戦い」が表現されている。

[Guitar Solo]

[Guitar Solo]
[ギター・ソロ]
※スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)による、感情の決壊を表現するような情熱的で歪んだギター・ソロ。クインシー・ジョーンズの手を離れたビル・ボットレルとの共同プロデュースにより、マイケルのロック・アプローチはよりヘヴィでグランジ的な質感へと進化した。

[Pre-Chorus]

Don't try to tell me
僕に言い訳しようとしないでくれ

Because your words just aren't enough
だって、君の言葉だけでは満たされないんだ

[Chorus]

Love is a feeling
愛は感情さ

Quench my desire
僕の欲望を鎮めてくれ

Give it when I want it
僕が欲しい時に、それを与えてくれ

Takin' me higher
僕をもっと高みへ連れて行って

Talk to me, woman
僕に話しかけてくれ、女よ

Love is a feeling
愛は感情さ

Give in to me, give in to me, give in to me, ah
僕に屈服してくれ、僕に身を委ねるんだ、僕に服従しろ、ah

Oh, love is a feeling
Oh, 愛は感情さ

I don't wanna hear it
もう何も聞きたくない

Quench my desire
僕のこの欲望を鎮めてくれ

Takin' me higher
僕をもっと高みへ連れて行って

Tell it to the preacher
牧師にでも懺悔するんだな
※「Tell it to the preacher(牧師に言え)」。嘘や言い訳を並べ立てる女性に対し、「俺ではなく神に懺悔しろ」と完全な拒絶を突きつける、極めてハードボイルドなパンチラインである。

Satisfy the feeling
この感情を満足させてくれ

Give in to me, give in to me
僕に屈服してくれ、僕に身を委ねるんだ

[Guitar Solo]

[Guitar Solo]
[ギター・ソロ]

[Outro]

I don't wanna, I don't wanna
もう嫌なんだ、もう嫌なんだ

I don't wanna hear it
もう何も聞きたくない

Give in to the fire
この炎に身を委ねろ

Talk to me, woman
僕に話しかけてくれ、女よ

Quench my desire
僕のこの欲望を鎮めてくれ

I'd like a lady
僕は淑女(レディ)を求めているんだ

Talk to me, baby
話しかけてくれ、ベイビー

Give in to me
僕に屈服してくれ

Give in to the fire
この炎に身を委ねろ

Give in to me
僕に屈服してくれ

Give in to me
僕に身を委ねるんだ

Give in to me
僕に服従しろ

Love is a woman
愛とは女そのものさ

Give in to me
僕に屈服してくれ

Give in to me
僕に身を委ねるんだ

Give in to me
僕に服従しろ

Give in to me
僕に屈服してくれ

'Cause I'm on fire
だって、僕は燃え上がっているんだから

Talk to me, woman
僕に話しかけてくれ、女よ

Quench my desire
僕のこの欲望を鎮めてくれ

Give in to the feeling
この感情に身を委ねろ
※マイケルのシャウトとスラッシュのギターが激しく交錯しながらフェイドアウトしていく。支配的な女性から精神的に自立しようとしながらも、抑えきれない肉体的な欲望に引き裂かれる主人公の混沌(カオス)が、ハードロックの圧倒的な熱量とともに叩きつけられている。