Artist: Michael Jackson (feat. Aqil Davidson)
Album: Dangerous
Song Title: She Drives Me Wild
概要
1991年発表のアルバム『Dangerous』に収録された、テディ・ライリーとの共作による革新的なニュージャックスウィング・ナンバーである。最大の特徴は、車のエンジン音やクラクション、ドアの開閉音などの実環境音(サンプリング)だけで構築された変則的かつ金属的なビートだ。これは、自動車というアメリカの消費文化の象徴をファンクの骨格に据えるマイケルの先鋭的な実験であった。また、ヒップホップ・グループ「Wreckx-n-Effect」のラッパーであるアキル・デヴィッドソンをフィーチャーし、ストリートのタフな言語感覚を導入している。彼を狂わせる「蠱惑的な女性」への欲望を荒々しく歌い上げており、これまでの無性的なイメージを完全に破壊する、生々しく攻撃的なアーバン・ファンクの傑作である。
和訳
[Verse 1]
She's got the look, she's so fine
彼女は最高のルックスを持っている、本当に魅力的だ
And you know damn well the girl will be mine
そして誰もが分かっているはずだ、あの娘はいずれ僕のものになるってね
She's got the breaks, she's the scene
彼女はチャンスを掴み、その場を完全に支配している
※「the scene(シーンそのもの、注目の的)」。彼女が存在するだけでそこが舞台(シーン)になるという、圧倒的なオーラとカリスマ性を表現している。
And you know damn well she gives it to me
そして誰もが分かっているはずだ、彼女が僕にすべてを捧げるってことを
Uh-huh!
Uh-huh!
Black jeans and a turtleneck sweater
ブラックジーンズにタートルネックのセーター
※1990年代初頭のアーバン・ファッションの描写。露出を抑えたタートルネックとジーンズという一見地味な出立ちでありながら、かえって肉体的なラインや内面から滲み出るセクシュアリティが強調されるという、マイケルの洗練されたフェティシズムが垣間見える。
I know the girl is fakin' 'cause
彼女が猫を被っているのはお見通しさ、だって
I've seen her look better
もっと魅力的な彼女の姿を、僕は知っているからね
She's composition, she's statistical fact
彼女は完璧な構成物であり、統計学的な事実さ
※女性の美しさを「composition(芸術的な構成)」や「statistical fact(統計学的に証明された事実)」と表現する、極めて特異で理系的なアプローチ。誰もが客観的に認めざるを得ない絶対的な美貌であることを、テディ・ライリーの無機質な機械的ビートに呼応する冷徹なワードセンスで表現している。
Got it ready for the willing
望む者のために、すべてを準備している
Got it kicking in the back
そして背後から強烈なキックを見舞うのさ
[Chorus]
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
※タイトル「She drives me wild」。車(ドライブ)のエンジン音やクラクションのサンプリングビートと、「彼女が僕を狂わせる(drive me wild)」という慣用句を見事に掛け合わせたダブルミーニングである。感情の暴走を、車の暴走になぞらえている。
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
[Verse 2]
Come to the place, shocktacy
その場所へおいで、「ショックタシー」へ
※「shocktacy(ショックタシー)」。衝撃(Shock)と恍惚(Ecstasy)を掛け合わせたマイケル特有の造語。危険で刺激的な快楽の世界へと相手を誘い込んでいる。
And you know damn well you know what I mean
僕が何を言いたいか、君ならよく分かっているはずだ
Hot in the face, one to three
顔が火照る、1、2の3で
Like a pleasure trip like you've never seen
まだ見たことのないような、快楽の旅へと連れて行くよ
Uh-huh!
Uh-huh!
Satin lace and a paisley cut top
サテンのレースに、ペイズリー柄のカットトップ
The girl is wasting over
あの娘はすっかり持て余しているよ
'Cause she knows she looks hot
だって彼女は、自分が最高にイケてることを自覚しているからね
She's got position, she's got just what it takes
彼女は自分の立ち位置を理解し、必要なものをすべて備えている
Got a mojo in her pocket
ポケットの中に「モジョ」を忍ばせて
※「mojo(モジョ)」はブードゥー教由来のスラングで、魔法の力や魅力、特に「性的な魅力やフェロモン」を指す。彼女が持つ魔術的なまでの誘惑の力を表現している。
Got it ready just in case
万が一のために、いつでも使えるように準備しているのさ
[Chorus]
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
(That look, my baby)
(あのルックスさ、僕のベイビー)
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
[Rap: Aqil Davidson and Michael]
Please, no, keep back, I can't take it
頼む、やめてくれ、離れてくれ、もう耐えられない
You're drivin' me wild, I might not make it
君が俺を狂わせる、もう正気じゃいられないかもしれない
Uh-huh!
Uh-huh!
You got me lookin' like buckwheat, oh
君のせいで俺はバックウィートみたいな見た目になっちまったよ、oh
※「buckwheat(バックウィート)」。アメリカの古典的コメディ番組『ちびっこギャング(Our Gang)』に登場する、髪がボサボサに逆立った黒人の少年のキャラクター。過激な誘惑によって精神的にも肉体的にも振り回され、ボロボロになっているユーモラスな描写である。
Hair pulled every which way but me
髪の毛は俺の意志とは裏腹に、あちこちに引っ張られてボサボサだ
(Uh-huh!)
(Uh-huh!)
Far from Medusa, but your looks are deadly
メデューサとは程遠いが、君のルックスは命取り(デッドリー)だ
※ギリシャ神話に登場し、目を見た者を石に変えてしまう怪物メデューサの引用。彼女の美しさが、男を硬直させるほどの破壊力や危険性を孕んでいることを示している。
You're walkin' soft, still, I hear the medley
静かに歩いているのに、俺には君のメドレー(足音の旋律)が聞こえる
(Uh-huh!)
(Uh-huh!)
Uh, shiver my timberland boots, cramped my style
Uh、俺のティンバーランドのブーツを震え上がらせ、俺のスタイルを台無しにする
※「shiver my timberland boots」は、海賊の驚きを表す古いスラング「Shiver my timbers(肝を冷やす)」と、90年代のヒップホップ・カルチャーを象徴するアイテム「ティンバーランドのブーツ」を掛け合わせた見事なパンチライン。アキル・デヴィッドソン(Wreckx-n-Effect)の参加により、楽曲が一気に当時のストリートの最前線と接続された。
She drives me wild (Hoo!)
彼女が俺を狂わせるんだ(Hoo!)
[Chorus]
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
(Hoo!)
(Hoo!)
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
I want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
(She's got the look)
(彼女は最高のルックスを持っている)
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
And she's driving me wild
そして彼女が僕を狂わせるんだ
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
She's driving me wild
彼女が僕を狂わせるんだ
She's got the look, I
彼女は最高のルックスを持っている、僕は
Want to know better
もっと彼女の深くを知りたいんだ
She's got the look
彼女は最高のルックスを持っている
And she's driving me wild
そして彼女が僕を狂わせるんだ
※車のエンジン、クラクション、ホイールキャップのきしむ音など、幾重にもサンプリングされたストリートのノイズが、ニュー・ジャック・スウィングのビートと混ざり合いながら激しくフェイドアウトしていく。マイケルが構築した音楽的実験の極致であり、都市の喧騒と抑えきれない欲望が融合したカオスを見事に表現しきっている。
