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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

In the Closet - Michael Jackson (feat. Princess Stephanie of Monaco) 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson (feat. Princess Stephanie of Monaco)

Album: Dangerous

Song Title: In the Closet

概要

1991年発表のアルバム『Dangerous』に収録された、マイケル・ジャクソンのキャリア史上最も官能的で挑発的なニュージャックスウィング・ナンバーである。当初はマドンナとのデュエットが企画されていたが、音楽性と演出の方向性の違いから決裂し、モナコ公国のステファニー王女(アルバムのクレジットでは「ミステリー・ガール」と伏せられていた)が魅惑的な語りを担当した。「In the closet」という言葉は、一般的に同性愛を隠している状態を指すスラングであるが、マイケルはこれを異性間の「秘密の情事」へと逆説的に用いることで、当時のメディアが執拗に書き立てていた自身のセクシュアリティに関する噂を逆手にとって挑発している。ハーブ・リッツ監督によるショートフィルムでは、スーパーモデルのナオミ・キャンベルを相手に灼熱の砂漠で濃密なダンスを披露し、彼の大人の男性としてのセクシュアリティを世界に知らしめた金字塔である。

和訳

[Intro]

There's something I have to say to you
あなたに言わなきゃならないことがあるの
※ステファニー王女による、低く囁くような語り(スポークン・ワード)。密室での親密な会話を覗き見しているかのような、極めてパーソナルで覗き見趣味的な(ヴォイヤリスティックな)空間が構築される。

If you promise you'll understand
理解してくれるって約束するならね

I cannot contain myself when in your presence
あなたの前にいると、自分を抑えきれなくなるの

I'm so humble
私はとても素直よ(従順になるの)

Touch me, don't hide our love
私に触れて、私たちの愛を隠さないで

Woman to man
女と男としてね
※「Woman to man(女と男)」。この楽曲が「秘密」をテーマにしながらも、それが明確に「異性間」のロマンスであることを宣言する重要なフレーズ。「In the closet(同性愛を隠す)」というタイトルが持つパブリックイメージを、冒頭で鮮やかに覆している。

[Verse 1]

She's just a lover who's doin' me by
彼女はただ、僕のそばにいる恋人さ

It's worth the givin', it's worth the try
すべてを捧げる価値がある、試してみる価値があるんだ

You cannot cleave it or put it in the furnace
君がそれを切り裂くことも、炉の火に投げ込むこともできない

You cannot wet it, you cannot burn it
濡らすことも、燃やすこともできないんだ
※「it(それ=情欲、愛)」。物理的な力では決して破壊したりコントロールしたりできない、人間の根源的で圧倒的な欲望の本質を表現している。テディ・ライリーが構築した金属的で乾いたビートが、この制御不能な衝動を見事に音響化している。

She wants to give it
彼女はそれを求めている(捧げたがっている)

[Chorus]

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Dare me)
Ah, 彼女はそれを求めている(私を試して)
※マイケルの喘ぐようなパーカッシブなボーカルと、ステファニー王女の「Dare me(やってごらんなさい、私を試して)」という挑発的な囁きが交差する。男女の主導権争いがサウンド上で官能的に展開される。

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (She wants to give it)
Ah, 彼女はそれを求めている(彼女はそれを求めている)

She wants to give it (Yeah)
彼女はそれを求めている(Yeah)

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

[Verse 2]

It's just a feelin', you have to soothe it
それはただの感覚さ、君がそれを鎮めなきゃならない

You can't neglect it, you can't abuse it
無視することも、乱暴に扱うこともできないんだ

It's just desire, you cannot waste it
それはただの欲望さ、無駄になんてできない

Then if you want it, then won't you taste it?
もし君が欲しいのなら、味わってみないか?
※『Bad』期の「Dirty Diana」等に見られた「女性の誘惑への恐怖(ファム・ファタール)」から一転し、ここではマイケル自身が欲望の主体として、女性を能動的に誘惑しリードしている。彼のアーティストとしてのセクシュアリティが新たなフェーズに突入したことを示す決定的なヴァースである。

She wants to give it
彼女はそれを求めている

[Chorus]

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Dare me)
Ah, 彼女はそれを求めている(私を試して)

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (She wanna get it)
Ah, 彼女はそれを求めている(彼女はそれを手に入れたいんだ)

She wants to give it (Yeah)
彼女はそれを求めている(Yeah)

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

[Interlude]

One thing in life you must understand
人生において、一つだけ理解しなければならないことがあるわ

The truth of lust, woman to man
女と男の間にある、欲望の真実よ

So open the door and you will see
だから扉を開けて、そうすれば分かるわ

There are no secrets, make your move, set me free
秘密なんてないのよ、さあ行動を起こして、私を自由にして
※「秘密なんてない(There are no secrets)」。クローゼット(秘密の隠し場所)の中にいるにもかかわらず「秘密はない」と語る矛盾。これは、タブロイド紙が必死にマイケルの「裏の顔(秘密)」を暴こうとしていることへの冷笑であり、「本当の僕はここにいる(異性を求める生身の男だ)」という彼からの究極の回答である。

[Refrain]

Oh, because there's somethin' about you, baby
Oh, だって君には何か特別な魅力があるからさ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

I swear there's somethin' about you, baby (Oh)
誓うよ、君には何か特別な魅力があるんだ、ベイビー(Oh)

[Interlude]

Just promise me whatever we say or whatever we do to each other
ただ約束して、私たちが互いに何を言い、何をしようとも

For now, we'll make a vow to just keep it in the closet
今のところは、すべてをクローゼットの中(秘密)にしまっておくって誓いましょう
※世間の目を逃れ、絶対的なプライバシーの保護(クローゼット)の中でしか真実の愛や欲望を解放できないという、メガスター特有の孤独と悲哀が込められたライン。

[Verse 3]

If you can get it, is it worth the try?
もし手に入るなら、試してみる価値はあるのかい?

I really want it, I can't deny
本当に欲しいんだ、否定できないよ

It's just desire, I really love it
それはただの欲望さ、僕はそれが本当に好きなんだ

'Cause if it's achin', you have to rub it
だって、もしそこが疼くなら、擦らなきゃならないだろ
※「achin', you have to rub it」。マイケルの全キャリアにおいて、最も直接的で肉体的な性描写。メディアが押し付けた「無性的なピーターパン」という虚像を、彼自身の手で決定的に破壊する過激なパンチラインである。

She wants to give it
彼女はそれを求めている

[Chorus]

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Dare me)
Ah, 彼女はそれを求めている(私を試して)

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Get it)
Ah, 彼女はそれを求めている(手に入れろ)

She wants to give it (Yeah)
彼女はそれを求めている(Yeah)

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

[Post-Chorus]

Just open the door and you will see
ただ扉を開けて、そうすれば分かるから

This passion burns inside of me
この情熱が私の中で燃えているのが

Don't say to me you'll never tell
絶対に誰にも言わないなんて、言わないで

Touch me there, make the move, cast the spell
そこに触れて、行動を起こして、魔法をかけて
※女性側からの積極的な誘惑が最高潮に達する。マイケルのサウンドプロダクションは、この囁き声をリズム楽器と同列に扱い、楽曲のグルーヴを極限までセクシュアルに高めている。

Oh, because there's somethin' about you, baby
Oh, だって君には何か特別な魅力があるからさ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

I swear there's somethin' about you, baby
誓うよ、君には何か特別な魅力があるんだ、ベイビー

That makes me want
僕に求めさせるようなね

Just promise me whatever we say or do to each other (Whatever we do)
ただ約束して、私たちが互いに何を言い、何をしようとも(何をしようとも)

We'll make a vow forever that we'll just keep it in the closet
永遠の誓いを立てましょう、ただクローゼットの中に秘密にしておくって

[Refrain]

Because there's somethin' about you, baby
だって君には何か特別な魅力があるからさ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

Because there's somethin' about you, baby
だって君には何か特別な魅力があるからさ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

I swear there's somethin' about you, baby
誓うよ、君には何か特別な魅力があるんだ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

I swear there's somethin' about you, baby
誓うよ、君には何か特別な魅力があるんだ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

I swear there's somethin' about you, baby
誓うよ、君には何か特別な魅力があるんだ、ベイビー

That makes me want to give it to you
君にすべてを捧げたくなるようなね

I swear there's somethin' about you, baby
誓うよ、君には何か特別な魅力があるんだ、ベイビー

That makes me want
僕に求めさせるようなね

[Interlude]

Just promise me whatever we say or whatever we do to each other (Baby, whatever we do)
ただ約束して、私たちが互いに何を言い、何をしようとも(ベイビー、何をしようとも)

For now, we'll make a vow to just keep it in the closet
今のところは、すべてをクローゼットの中(秘密)にしまっておくって誓いましょう

[Chorus]

She wants to give it (Dare me)
彼女はそれを求めている(私を試して)

Keep it in the closet
クローゼットの中にしまっておけ

She wants to give it (Dare me)
彼女はそれを求めている(私を試して)

Keep it in the closet
クローゼットの中にしまっておけ

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Dare me)
Ah, 彼女はそれを求めている(私を試して)

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Break it down)
Ah, 彼女はそれを求めている(ブレイクダウン)

She wants to give it (Dare me)
彼女はそれを求めている(私を試して)

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it
Ah, 彼女はそれを求めている

She wants to give it (Keep it in the closet)
彼女はそれを求めている(クローゼットの中にしまっておけ)

She wants to give it (Ah)
彼女はそれを求めている(Ah)

She wants to give it (Ah, better keep it in the closet)
彼女はそれを求めている(Ah, クローゼットの中にしまっておくべきだ)
※楽曲のエンディング。過熱する情欲のビートが、ドアの閉まるような重い音(秘密の隠蔽)と共に断ち切られる。ポップスターが世間に自らのセクシュアリティを提示しながらも、最終的な核心部分は決して誰にも触れさせない(クローゼットに封印する)という、マイケルの見事な情報操作とミステリアスな美学が完結する瞬間である。

She wants to give it
彼女はそれを求めている

Ah, she wants to give it (Dare me)
Ah, 彼女はそれを求めている(私を試して)