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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Jam - Michael Jackson (feat. Heavy D) 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson (feat. Heavy D)

Album: Dangerous

Song Title: Jam

概要

1991年発表のアルバム『Dangerous』のオープニングを飾る、ニュージャックスウィングの金字塔的楽曲である。長年連れ添ったクインシー・ジョーンズの下を離れ、気鋭のプロデューサーであるテディ・ライリーを共同制作者に迎えた本作は、マイケル・ジャクソンが90年代の最新ストリート・サウンドへと劇的なシフトを果たしたことを宣言するマニフェストとなった。「Jam」という言葉には「音楽に乗って楽しく踊る」という意味と、「困難な状況(渋滞、窮地)」というダブルミーニングが含まれている。鋭く機械的なビートに乗せて歌われるのは、国家間の対立、無責任なメディアの煽動、さらには彼自身の家族関係の軋轢といった「困難」を、自らの音楽とダンスの力で打ち破ろうとする決意である。同名のマイケル・ジョーダン(MJ)と共演したショートフィルムは、音楽とスポーツという二つの頂点が交差した、90年代ポップカルチャーを象徴する歴史的映像作品となった。

和訳

[Intro: Teddy Riley]

One, two, three, jam
ワン、ツー、スリー、ジャム

Jam, jam, jam
ジャム、ジャム、ジャム

Jam, if you wanna get up, then jam
ジャム、立ち上がりたいなら、ジャム(踊ろう)ぜ

Jam, jam, you wanna get up, then jam
ジャム、ジャム、立ち上がりたいなら、踊ろうぜ
※ガラスが砕け散る衝撃的なサンプリング音から始まるテディ・ライリーによるアジテーション。過去の己のイメージ(『Bad』までのクリーンなポップス)を粉砕し、全く新しいヒップホップ/R&Bの領域へと踏み込む強烈な意志表示である。

Jam, jam, jam, you wanna get up, jam
ジャム、ジャム、ジャム、立ち上がりたいなら、踊ろうぜ

You wanna get up, jam, you wanna get up, jam
立ち上がりたいなら、踊ろうぜ、立ち上がりたいなら、踊ろうぜ

You wanna get up, jam, you wanna get up, jam
立ち上がりたいなら、踊ろうぜ、立ち上がりたいなら、踊ろうぜ

You wanna get up, jam, you wanna get up, jam
立ち上がりたいなら、踊ろうぜ、立ち上がりたいなら、踊ろうぜ

You wanna get up, jam, you wanna get up and jam
立ち上がりたいなら、踊ろうぜ、立ち上がってブチかまそうぜ

Jam, jam, you wanna get up and jam
ジャム、ジャム、立ち上がって踊ろうぜ

Jam, jam, said you wanna get up and jam
ジャム、ジャム、立ち上がって踊ろうと言ってるんだ

Jam, jam, said you wanna get up and jam
ジャム、ジャム、立ち上がって踊ろうと言ってるんだ

Jam, jam, said you wanna get up and jam
ジャム、ジャム、立ち上がって踊ろうと言ってるんだ

[Verse 1: Michael Jackson]

Nation to nation, all the world must come together
国から国へ、全世界が一つにならなければならない

Face the problems that we see then maybe somehow we can work it out
目の前の問題に立ち向かえば、きっと何とか解決できるはずだ

I asked my neighbor for a favor, she said later
隣人に助けを求めたのに、彼女は「後にして」と答えた
※国家間の壮大な平和(マクロ)を語った直後に、足元の隣人関係の冷たさ(ミクロ)へと視点を急激にズームインさせる。大義名分を掲げながらも、隣人すら愛せない現代社会の分断と矛盾に対する鋭い皮肉である。

What has come of all the people, have we lost love of what it's about?
人々はどうしてしまったんだ、愛の本当の意味を忘れてしまったのか?

I have to find my peace 'cause no one seems to let me be
僕は自分自身の平和を見つけなきゃならない、誰も僕を放っておいてはくれないから
※世界的スーパースターとしての苦悩の吐露。『Leave Me Alone』から引き継がれた、メディアやパパラッチの過剰な干渉に対する精神的な疲弊を描写している。

False prophets cry of doom, what are the possibilities?
偽りの預言者たちが破滅を叫ぶけれど、そこにどんな可能性があるというんだ?
※「偽りの預言者(False prophets)」。ゴシップを捏造し、社会の不安やスキャンダルを煽り立てるタブロイド紙やマスメディアを暗に指している。

I told my brother there'll be problems, times and tears for fears
僕は兄弟に言ったんだ、「問題も起きるし、恐怖に涙する時代も来るだろう」と

But we must live each day like it's the last
だからこそ、今日が最後の日であるかのように、一日一日を生きなければならないんだ

Go with it, go with it
流れに乗るんだ、そのまま進め

[Chorus: Michael Jackson]

Jam (Jam it)
ジャム(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題(壁)じゃない

(Jam) It ain't too much (Jam it)
(ジャム)重荷なんかじゃないさ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャム(突破)するのに

Jam, it ain't (Jam it)
ジャム、ハードルなんて高くない(ブチかませ)
※「Jam」の極めて多層的なダブルミーニング。「どんな困難(Jam)があっても、俺にとっては音楽に乗って踊り(Jam)、それを打ち破るのに高すぎる壁(too much stuff)ではない」という、音楽を武器にした無敵の宣言である。

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)

It ain't too much for me
僕にとって高すぎる壁なんてないんだ

[Verse 2: Michael Jackson]

The world keeps changing, rearranging minds and thoughts
世界は変わり続け、人々の心や思考を再構築していく

Predictions fly of doom, the baby boom has come of age, we'll work it out
破滅の予言が飛び交い、ベビーブーム世代も大人になった、僕らはきっとやり遂げる
※冷戦終結や湾岸戦争といった1990年代初頭の激動する世界情勢と、社会の中核を担い始めたベビーブーマー世代への言及。時代がどう変わろうと、自らの手で未来を切り開くというポジティブなアジテーションである。

I told my brothers don't you ask me for no favors
僕は兄弟たちに言ったんだ、「僕に頼み事なんかしないでくれ」と

I'm conditioned by the system, don't you talk to me, don't scream and shout
「僕はシステムに縛られているんだ、話しかけないでくれ、叫んだり怒鳴ったりしないでくれ」
※ここでの「brothers」は全人類という意味と同時に、マイケルの富や名声に依存しようとする「彼自身の家族(ジャクソンズ)」への痛烈な絶縁状とも解釈されている。巨大な音楽産業(system)の歯車として生きる彼の、血縁関係すら重荷となる生々しい苦悩が表出している。

She prays to God, to Buddha, then she sings a Talmud song
彼女は神に祈り、仏陀に祈り、そしてタルムードの歌を歌う

Confusions contradict the self, do we know right from wrong?
混乱が自我を矛盾させる、僕らは何が正しくて何が間違っているか分かっているのか?
※キリスト教、仏教、ユダヤ教(タルムード)を並列に提示することで、宗教的な盲信や形骸化への皮肉を込めている。真理を外に求めるあまり、自己矛盾に陥る大衆の姿を冷徹に描いている。

I just want you to recognize me in the temple
僕はただ、神殿の中で君に僕を見つけてほしいだけなんだ

You can't hurt me, I found peace within myself
君は僕を傷つけることはできない、僕は自分の中に平和を見つけたのだから
※外側の宗教施設(temple)ではなく、自分自身の内面(within myself)にこそ神聖なサンクチュアリと絶対的な平和があるという、極めてスピリチュアルで悟りに近い境地を宣言している。

Go with it, go with it
流れに乗るんだ、そのまま進め

[Chorus: Michael Jackson]

Jam, it ain't (Jam it)
ジャム、ハードルなんて高くない(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't too much (Jam it)
(ジャム)重荷なんかじゃないさ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Jam, it ain't (Jam it)
ジャム、そうじゃないさ(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Jam (Jam it)
ジャム(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't too much (Jam it)
(ジャム)重荷なんかじゃないさ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Jam, it ain't (Jam it)
ジャム、そうじゃないさ(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

[Verse 3: Heavy D]

Jam, jam, here comes the man
ジャム、ジャム、主役の登場だ

Hot damn, the big boy stands with an upper hand
なんてこった、このビッグ・ボーイが完全に優位に立ってるぜ

Makin' funky tracks with my man Michael Jackson
マイ・マン、マイケル・ジャクソンとファンキーなトラックを作ってるのさ

Smooth criminal hat, the man is Mike, so relaxed
『スムース・クリミナル』のハットを被り、マイクは超リラックスしてるぜ
※90年代のヒップホップ・シーンを牽引したラッパー、ヘヴィ・Dによる客演。『Bad』期の象徴であるフェドーラ帽(Smooth criminal hat)を引き合いに出しつつ、プレッシャーから解放され自由にビートを乗りこなす新たなマイケルの姿を称賛している。

Mingle, mingle, jingle in the jungle
ジャングルの中で交ざり合い、音を鳴らせ

Bum rushed the door, 3 and 4's in a bundle
ドアを押し破れ、3つも4つも束になって

Execute the plan, first, I cooled it like a fan
計画を実行するんだ、まずは扇風機みたいにクールに決めてやったぜ

Got with Janet, then with Guy, now with Michael
ジャネット(・ジャクソン)とやり、ガイとやり、そして今はマイケルと一緒さ
※当時のブラック・ミュージック界の相関図。マイケルの妹ジャネット・ジャクソン、そしてプロデューサーであるテディ・ライリーのグループ「Guy(ガイ)」の名前を出すことで、この楽曲が当時のR&B/ヒップホップ・コミュニティの最先端の血脈から誕生したことをヒップホップ的なボースティング(自慢)で誇示している。

'Cause it ain't too hard to
だって、そんなに難しいことじゃないだろ

[Chorus: Michael Jackson]

Jam, it ain't (Jam it)
ジャム、ハードルなんて高くない(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't too much (Jam it)
(ジャム)重荷なんかじゃないさ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Just jam, dad gone it (Jam it)
とにかくジャムしろ、いまいましい(ブチかませ)
※「dad gone it」。マイケル特有のスラング「doggone it」の変形(God damn itのクリーン版)。リズムの一部としてパーカッシブに吐き出される。

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't stop (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、止まるな(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Just jam, it ain't (Jam it)
とにかくジャムしろ、そうじゃないさ(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to (Hoo-hoo!)
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない(Hoo-hoo!)

Just jam, it ain't (Jam it) (Hoo-hoo!)
とにかくジャムしろ、そうじゃないさ(ブチかませ)(Hoo-hoo!)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it) (Hoo-hoo!)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)(Hoo-hoo!)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Jam (Hoo!)
ジャム(Hoo!)

[Bridge: Heavy D, Michael Jackson]

It ain't too hard for me to jam
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ

It ain't too hard for me to jam
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ

It ain't too hard for me to jam
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ

It ain't too hard for me to jam
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ

It ain't too hard for me to jam
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ

It ain't too hard for me to jam
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ

It ain't too hard for me to jam, it ain't too hard for me to jam, it ain't too hard for me to jam (Get down, hoo!)
俺がジャムするのに、難しすぎることはないぜ、難しすぎることはない、難しすぎることはない(ノッていけ、hoo!)

Ooh!
Ooh!

Ooh!
Ooh!

[Instrumental Break]

Dad gone it!
ちくしょう、やってやるぜ!

[Chorus: Michael Jackson]

Jam, it ain't (Jam it)
ジャム、ハードルなんて高くない(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Just jam (Jam it)
とにかくジャムしろ(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't too much (Jam it)
(ジャム)重荷なんかじゃないさ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Just jam (Dad gone it) (Jam it)
とにかくジャムしろ(やってやるぜ)(ブチかませ)

Uh-huh (Dad gone it), It ain't too much stuff (Hee-hee!)
Uh-huh(やってやるぜ)、たいした問題じゃない(Hee-hee!)

(Jam) It ain't too much (Jam it)
(ジャム)重荷なんかじゃないさ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

Just jam, too much (Jam it)
とにかくジャムしろ、高すぎる壁なんて(ブチかませ)

It ain't too much stuff
たいした問題じゃない

(Jam) It ain't, don't you (Jam it)
(ジャム)そうじゃないさ、分かるだろ(踊り明かせ)

It ain't too much for me to
僕がジャムするのに、高すぎる壁なんてない

[Outro: Michael Jackson]

Dad gone it
ちくしょう、やってやるぜ

Dad gone it, give it, baby
やってやる、お前のすべてをぶつけてこい、ベイビー

Give it to me
俺にぶつけてみろよ

Won't you really give it to me?
本気で俺にぶつけてこないのか?

Got to give it (Uh-huh)
全力でかかってこい(Uh-huh)

You just want to give it
お前だって、本当はブチかましたいんだろ
※ヘヴィなビートと金属音のループの中で、マイケルが挑戦的にシャウトし続ける。外界のあらゆる障壁や抑圧に対し、自らの強靭なグルーヴで正面から立ち向かう王者のスタンスを見せつけながら、楽曲は熱狂の渦の中で幕を閉じる。