Artist: Michael Jackson (feat. Siedah Garrett)
Album: Bad
Song Title: I Just Can’t Stop Loving You
概要
1987年のモンスターアルバム『Bad』から、世界的な旋風の幕開けを告げる記念すべき先行第1弾シングルである。ホイットニー・ヒューストンやバーブラ・ストライサンドら大物歌手にデュエットを断られる中、急遽大抜擢されたのは同アルバムの「Man in the Mirror」を共作した無名のシンガー、サイーダ・ギャレットであった。クインシー・ジョーンズの洗練されたアレンジに乗せ、二人の声が織りなす究極のラブ・バラードである。激しいダンスや派手なショートフィルムを伴わず、純粋なボーカルの力だけで全米1位を獲得し、『Bad』エラの完璧な助走となった。愛する対象への過剰なまでの執着と、それを失うことへの恐れが同居するこの曲は、マイケルのイノセンス(純真さ)と根源的な孤独という本質を美しくも切なく描き出している。
和訳
[Verse 1: Michael Jackson & Siedah Garrett]
Each time the wind blows
風が吹くたびに
※自然現象(風)と愛する人の存在が結びつく描写。マイケルの楽曲において「風」はしばしば運命や神聖な力(不可視の引力)のメタファーとして機能し、ここでも超自然的な魂の繋がりを示唆している。
I hear your voice so I call your name
君の声が聞こえて、僕は君の名前を呼ぶんだ
Whispers at morning, our love is dawning
朝の囁き、僕らの愛の夜明け
Heaven's glad you came
天国も、君が来てくれたことを喜んでいるよ
You know how I feel, this thing can't go wrong
僕の気持ちは分かっているよね、この恋が間違いなはずはない
I'm so proud to say I love you
君を愛していると、誇りを持って言えるんだ
Your love's got me high, I long to get by
君の愛が僕をハイにする、どうにかこの想いを伝えたい
This time is forever, love is the answer
今度こそ永遠さ、愛こそがその答えなんだ
※「Love is the answer(愛こそが答え)」。世界平和から個人的なロマンスに至るまで、マイケルが生涯を通じて訴え続けた普遍的なテーゼが、極めてパーソナルなラブソングの中にも刻まれている。
I hear your voice now
今、あなたの声が聞こえる
You are my choice now, the love you bring
あなたこそが私の選んだ人、あなたがもたらす愛
Heaven's in my heart
天国は私の心の中にあるの
At your call, I hear harps and angels sing
あなたに呼ばれると、ハープの音と天使の歌声が聞こえるわ
※無名のシンガーであったサイーダ・ギャレットの透明感のあるボーカルが、マイケルのイノセントな世界観(天使や天国といった宗教的・純潔的なモチーフ)と完璧に合致している。クインシー・ジョーンズのキャスティングの妙である。
You know how I feel, this thing can't go wrong
私の気持ちは分かっているでしょう、この恋が間違いなはずはないわ
I can't live my life without you
あなたなしでは生きていけないの
I just can't hold on, I feel we belong
もう抑えきれない、私たちは結ばれる運命だと感じるわ
My life ain't worth living if I can't be with you
あなたと一緒にいられないなら、私の人生に生きる価値なんてない
※愛する対象を失うことへの極端なまでの恐怖と、自己の存在意義の完全な喪失。彼のラブソングにはしばしば、このような「相手への絶対的な依存」という彼自身の深い孤独感と背中合わせの愛情表現が見られる。
[Chorus: Michael Jackson & Siedah Garrett, Siedah Garrett]
I just can't stop loving you
ただ、君を愛さずにはいられないんだ
I just can't stop loving you
ただ、あなたを愛さずにはいられない
And if I stop
もし愛することをやめてしまったら
Then tell me just what will I do
僕はどうすればいいのか、教えてほしい
※愛が止まること=生きる術を失うこと。タイトル・フレーズ「I just can't stop loving you」は、単なるロマンティックな誓いを超え、自らの意思ではコントロール不可能な「愛の引力に対する完全な降伏」の宣言である。
'Cause I just can't stop loving you
だって、君を愛さずにはいられないのだから
[Verse 2: Michael Jackson, Siedah Garrett & Both]
At night when the stars shine
星が輝く夜には
I pray in you I'll find a love so true (Mmm)
君の中に真実の愛を見つけられるようにと祈るんだ(Mmm)
When morning awakes me, will you come and take me?
朝が私を目覚めさせるとき、迎えに来てくれる?
I'll wait for you
あなたを待っているわ
You know how I feel (Ah), I won't stop until
私の気持ちは分かっているでしょう(Ah)、私は絶対にやめないわ
I hear your voice saying, "I do" (I do)
あなたの口から「誓うよ(I do)」という言葉を聞くまではね
※「I do」はキリスト教の結婚式における誓いの言葉。単なる恋愛感情の吐露を超え、相手への永遠の献身と契約を求める、非常に重みと覚悟のあるフレーズである。
This thing can't go wrong, this feeling's so strong
この恋が間違いなはずはない、この想いはとても強いんだ
Well, my life ain't worth living if I can't be with you
あぁ、君と一緒にいられないなら、僕の人生に生きる価値なんてないさ
[Chorus: Michael Jackson & Siedah Garrett, Siedah Garrett, Michael Jackson]
I just can't stop loving you (Woah-oh)
ただ、君を愛さずにはいられないんだ(Woah-oh)
I just can't stop loving you (If I stop)
ただ、あなたを愛さずにはいられない(もし愛することをやめてしまったら)
And if I stop (Uh-huh)
もし愛することをやめてしまったら(Uh-huh)
Then tell me just what will I do (Woah-oh)
私はどうすればいいのか、教えてほしい(Woah-oh)
I just can't stop loving you
だって、君を愛さずにはいられないのだから
[Bridge: Siedah Garrett, Michael Jackson & Both]
We can change all the world tomorrow
明日になれば、私たちはこの世界のすべてを変えられる
We can sing songs of yesterday
昨日の歌を歌うことだってできるわ
※ここでの「世界を変える」は、のちの『Heal the World』のようなマクロな世界平和のメッセージではなく、二人の純粋な愛の力によって「二人にとっての個人的な現実(世界)」を一変させることができるという、極めて親密でロマンティックな確信である。
I can say, "Hey, farewell" to sorrow
悲しみに向かって「さよなら」と言えるんだ
This is my life and I want to see you for always
これが僕の人生さ、そして永遠に君を見つめていたい
[Chorus: Michael Jackson & Siedah Garrett, Siedah Garrett, Michael Jackson]
I just can't stop loving you (No, baby, oh)
ただ、君を愛さずにはいられないんだ(No, ベイビー、oh)
I just can't stop loving you (If I can't stop)
ただ、あなたを愛さずにはいられない(もし愛することをやめられないなら)
And if I stop (Oh, oh)
もし愛することをやめてしまったら(Oh, oh)
Then tell me just what will I do (Oh, oh, what will I do?)
私はどうすればいいのか、教えてほしい(Oh, oh、私はどうすればいいの?)
I just can't stop loving you (Hee-hee-hee, love you, girl)
ただ、君を愛さずにはいられないんだ(Hee-hee-hee、愛しているよ)
※アウトロに向けて、二人のボーカルが自由なフェイク(即興)を交えて激しく交差していく。世界最高峰の大スターであったマイケルに対し、無名だったサイーダ・ギャレットが全く引けを取らない堂々たるボーカル・パフォーマンスを披露しており、この魂の拮抗がデュエット曲としての圧倒的な説得力を生み出している。
I just can't stop loving you (I know I do)
ただ、あなたを愛さずにはいられない(愛しているわ)
And if I stop (Oh, oh, oh)
もし愛することをやめてしまったら(Oh, oh, oh)
Then tell me just what will I do
僕はどうすればいいのか、教えてほしい
