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P.Y.T. (Pretty Young Thing) - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: Thriller

Song Title: P.Y.T. (Pretty Young Thing)

概要

1982年発表の歴史的モンスターアルバム『Thriller』に収録された、極上のシンセ・ファンク/ダンス・ナンバーである。元々はマイケル・ジャクソンとグレッグ・フィリンゲインズによってメロウなミディアム・バラードとして書かれたが、プロデューサーのクインシー・ジョーンズがアルバムのバランスを考慮し、よりアップテンポな楽曲を求めたため、ジェームス・イングラムを招き入れて全く新しいファンク・トラックとして作り直された。アルバム全体を覆う「メディアへのパラノイア(被害妄想)」や「ダークなオカルト世界」とは対極に位置する、明るく快楽主義的なアプローチが特徴である。ボコーダー(音声合成機)を用いたエレクトロニックなサウンドや、マイケルの実妹であるジャネット・ジャクソンとラトーヤ・ジャクソンをコーラス(P.Y.T.s)として起用した遊び心に満ちたアレンジは、当時のディスコ/R&Bの最先端を提示し、ポップカルチャーにおける彼の普遍的な魅力を確立する重要な一曲となった。

和訳

[Intro]

You know you, you make me feel so good inside
ねえ、君は僕の心を最高に満たしてくれる
※イントロのスポークン・ワード。当時のブラック・ミュージック特有の甘い語りかけだが、マイケルが持つイノセントな声質により、生々しい性愛よりも洗練されたロマンスへと昇華されている。

I've always wanted a girl just like you
ずっと君みたいな女の子を探していたんだ

Such a P.Y.T., pretty young thing, ooh
まさにP.Y.T.、若くて可愛い女の子さ、ooh
※タイトルの「P.Y.T.」は「Pretty Young Thing(若くて可愛い女の子)」の頭文字。このキャッチーな略語のセンスは、R&Bの伝統的なフレーズをポップ市場で大衆化させるクインシー・ジョーンズとジェームス・イングラムの卓抜したプロデュース手腕である。

[Verse 1]

Where did you come from, lady?
どこからやって来たんだい、レディ?

And ooh, won't you take me there?
そしてooh、僕をそこへ連れて行ってくれないか?

Right away, won't you, baby?
今すぐにさ、どうだいベイビー?

Tenderoni, you've got to be
テンダローニ、君はまさにそんな女の子だ
※「Tenderoni(テンダローニ)」は「Tender(優しく柔らかい)」と「Macaroni(マカロニ)」を掛け合わせた黒人英語のスラングで、「若くて魅力的な女の子」を指す。ブラック・カルチャーのローカルな言語を世界的ヒット曲に織り交ぜることで、彼のルーツであるアフリカ系アメリカ人のコミュニティへの目配せを行っている。

Spark my nature, sugar, fly with me
僕の本能に火をつけておくれ、シュガー、一緒に飛んでいこう

[Pre-Chorus]

Don't you know now is the perfect time?
今が完璧なタイミングだって分からないかい?

We can make it right, hit the city lights
僕らなら上手くやれる、街のネオンへ繰り出そう

Then tonight, ease the lovin' pain
そして今夜、愛の痛みを和らげよう

Let me take you to the max
君を最高潮(マックス)まで連れて行かせてよ
※「take you to the max」という1980年代特有の高揚感に満ちた表現。アルバム全体を覆うパラノイアや孤独の影を完全に払拭し、ディスコ・フロアにおける純粋な快楽主義をストレートに肯定している。

[Chorus]

I want to love you (P.Y.T.)
君を愛したいんだ(P.Y.T.)

Pretty young thing
若くて可愛い女の子

You'll need some lovin' (T.L.C.)
君には愛が必要だろう(T.L.C.)
※「T.L.C.」は「Tender Lovin' Care(優しい愛のいたわり)」の略。医療用語(手厚い看護)から派生した言葉を恋愛の甘いフレーズへと転用している。

Tender lovin' care
優しさと愛のいたわりが

And I'll take you there, girl, ooh-oh
僕が君をそこへ連れて行くよ、ooh-oh

I want to love you (P.Y.T.)
君を愛したいんだ(P.Y.T.)

Pretty young thing
若くて可愛い女の子

You'll need some lovin' (T.L.C.)
君には愛が必要だろう(T.L.C.)

Tender lovin' care
優しさと愛のいたわりが

And I'll take you there
僕が君をそこへ連れて行くよ

[Post-Chorus]

(Anywhere you wanna go) Yes, I will, ooh
(君が行きたい場所ならどこへでも)あぁ、連れて行くさ、ooh

[Verse 2]

Nothin' can stop this burnin' desire to be with you
君と一緒にいたいという、この燃えるような欲望は誰にも止められない

Gotta get to you, baby
君の元へ行かなきゃならないんだ、ベイビー

Won't you come? It's emergency
来てくれないか? これは緊急事態なんだ
※「emergency(緊急事態)」という大げさな表現をロマンティックな駆け引きに用いるユーモア。緊迫したサスペンス調の『Thriller』や『Beat It』とは対照的な、プレイボーイ的で余裕のあるマイケルのボーカル・アプローチが光る。

Cool my fire yearnin'
この燃え盛る渇望を冷ましてくれ

Honey, come set me free
ハニー、僕を自由にしておくれ

[Pre-Chorus]

Don't you know now is the perfect time?
今が完璧なタイミングだって分からないかい?

We can dim the lights just to make it right
完璧なムードを作るために、明かりを落とそう

In the night, hit the lovin' spot
夜の闇の中で、愛のツボ(スポット)を探り当てて

I'll give you all that I've got
僕のすべてを君に捧げよう

[Chorus]

I want to love you (P.Y.T.)
君を愛したいんだ(P.Y.T.)

Pretty young thing
若くて可愛い女の子

You'll need some loving (T.L.C.)
君には愛が必要だろう(T.L.C.)

Tender lovin' care
優しさと愛のいたわりが

And I'll take you there, yes, I will, yes, I
僕が君をそこへ連れて行くよ、あぁ、連れて行くさ

I want to love you (P.Y.T.)
君を愛したいんだ(P.Y.T.)

Pretty young thing
若くて可愛い女の子

You'll need some lovin' (T.L.C.)
君には愛が必要だろう(T.L.C.)

Tender lovin' care
優しさと愛のいたわりが

And I'll take you there
僕が君をそこへ連れて行くよ

Yes, I will, hee-eeh
あぁ、約束するよ、hee-eeh

[Bridge]

Pretty young thing, uh!
若くて可愛い女の子、uh!

You make me sing, ha, ha, ha
君は僕を歌わせるんだ、ha, ha, ha

Pretty young thing, uh!
若くて可愛い女の子、uh!

You make me sing, ha, ha, ha
君は僕を歌わせるんだ、ha, ha, ha

Pretty young things, repeat after me
若くて可愛い女の子たち、僕の後に続いて歌って
※ここで登場するコーラス隊(P.Y.T.s)には、マイケルの実の妹であるジャネット・ジャクソンとラトーヤ・ジャクソンが参加している。「僕の後に続いて(repeat after me)」とコール&レスポンスを促す演出は、ライブ空間でのファンとの一体感をレコード上で再現する見事なギミックである。

Sing, "Na, na, na" (Na, na, na)
歌って、「Na, na, na」(Na, na, na)

"Na, na-na, na" (Na, na-na, na)
「Na, na-na, na」(Na, na-na, na)

Sing, "Na, na, na" (Na, na, na)
歌って、「Na, na, na」(Na, na, na)

"Na-na, na-na, na" (Na-na, na-na, na)
「Na-na, na-na, na」(Na-na, na-na, na)
※ボコーダー(音声合成機)を通したエレクトロニックなマイケルの声と、肉声の女性コーラスの掛け合い。当時流行していたPファンクやエレクトロ・ブギーの要素を取り入れつつ、マイケルらしい洗練されたポップスへと見事に着地させている。

I will take you there, take you there
僕が君をそこへ連れて行くよ、そこへ連れて行く

[Chorus]

I want to love you (P.Y.T.)
君を愛したいんだ(P.Y.T.)

Pretty young thing
若くて可愛い女の子

You'll need some lovin' (T.L.C.)
君には愛が必要だろう(T.L.C.)

Tender lovin' care
優しさと愛のいたわりが

And I'll take you there
僕が君をそこへ連れて行くよ

Take you there, take you there
君をそこへ、そこへ連れて行く

I want to love you (P.Y.T.)
君を愛したいんだ(P.Y.T.)

Pretty young thing
若くて可愛い女の子

You'll need some lovin' (T.L.C.)
君には愛が必要だろう(T.L.C.)

Tender lovin' care
優しさと愛のいたわりが

And I'll take you there, take you there, hoo-ooh
僕が君をそこへ連れて行くよ、そこへ連れて行く、hoo-ooh

[Outro]

Hoo-ooh! (I want to love you, P.Y.T., P.Y.T.)
Hoo-ooh!(君を愛したいんだ、P.Y.T.、P.Y.T.)

Oh, baby (I want to give you T.L.C., T.L.C)
Oh, ベイビー(君にT.L.C.を与えたいんだ、T.L.C.)

Oh, baby
Oh, ベイビー

Oh, darling, ooh
Oh, ダーリン、ooh

Girl, I can think you're really nice
なぁ、君は本当に素敵な女の子だと思うよ

I want to love you, P.Y.T., P.Y.T
君を愛したいんだ、P.Y.T.、P.Y.T.

You know I can, you know, just get together
僕ならできるって分かってるだろ、なぁ、ただ一緒にいよう

I want to give you T.L.C., T.L.C
君にT.L.C.を与えたいんだ、T.L.C.

You're such a P.Y.T. to me, pretty young thing
君は僕にとってまさにP.Y.T.、若くて可愛い女の子さ

Oh, baby, oh, baby, oh, darling
Oh, ベイビー、oh, ベイビー、oh, ダーリン

I want to love you, P.Y.T., P.Y.T. (Oh, baby)
君を愛したいんだ、P.Y.T.、P.Y.T.(Oh, ベイビー)

I want to give you T.L.C., T.L.C (You can be, ooh)
君にT.L.C.を与えたいんだ、T.L.C.(君ならなれるさ、ooh)

I just wanna love you, you know?
ただ君を愛したいんだ、分かるかい?

Ha-ha-ha, I'll give you all that I got
ハ・ハ・ハ、僕のすべてを君に捧げるよ
※笑い声とともにフェイドアウトしていくアウトロ。『Thriller』というアルバムに内包された重厚なプレッシャーやパラノイアから一時的に解放され、マイケル・ジャクソンが純粋にダンスと音楽の歓びを謳歌する、愛すべきアップナンバーの完璧なエンディングである。