Artist: Michael Jackson
Album: Off the Wall
Song Title: Girlfriend
概要
1979年に発表された歴史的傑作『Off the Wall』に収録された、極めて重要なコラボレーションの布石となる楽曲である。本作は元ビートルズのポール・マッカートニーによって作曲され、元々は1974年にポールがマイケルとパーティーで対面した際に「君のために曲を書いた」と約束して誕生したものだ。しかしマイケルへの提供が遅れ、ポールが自身のバンド「ウイングス」のアルバム『London Town』(1978年)で先に発表してしまう。その後、プロデューサーのクインシー・ジョーンズがマイケルにこの曲のカバーを提案したことで、ついに本作に収録された。「他人の恋人を奪う」というスキャンダラスなテーマを、マイケルの無垢なファルセットと洗練されたメロウ・グルーヴで包み込んだこの曲は、のちのメガヒット『Thriller』における「The Girl Is Mine」や「Say Say Say」でのポールとの本格的なデュエットへと繋がる、ポップス史における二人の巨人の「最初の邂逅」として歴史的価値を持っている。
和訳
[Verse 1]
Girlfriend
ガールフレンド
I'm gonna tell your boyfriend (Yeah)
君の彼氏に言ってやるよ(Yeah)
Tell him (Woo-hoo)
彼に教えてやるのさ(Woo-hoo)
Exactly what we're doin' (Yeah)
僕らが何をしているのか、そっくりそのままね(Yeah)
※「彼氏に僕らの関係を暴露する」という、モータウン時代の「純真な少年」のイメージを覆す、意地悪で挑発的な略奪愛の宣言である。しかし、マイケルの羽毛のように軽いファルセット(裏声)によって歌われることで、ドロドロとした愛憎劇ではなく、おとぎ話のような無邪気な戯れへと中和されている。この「イノセンス」と「大人のテーマ」の奇跡的な同居こそが、クインシー・ジョーンズが引き出したマイケルの新たな魅力であった。
Tell him what you do to me
君が僕にどんなことをしているのか、彼に教えてやる
Late at night when the wind is free
自由な風が吹く、深夜の出来事をね
[Verse 2]
Girlfriend
ガールフレンド
I'm gonna show your boyfriend (Yeah)
君の彼氏に見せてやるよ(Yeah)
Show him (Woo-hoo)
彼に見せつけてやるのさ(Woo-hoo)
The letters I've been savin' (Yeah)
僕がずっと大事にとっておいた、君からの手紙をね(Yeah)
Show him how you feel inside
君の本当の気持ちを、彼に見せてやる
And how love could not be denied (Oh, no)
この愛はもう誰にも否定できないってことをさ(Oh, no)
[Chorus]
We're gonna have to tell him
もう彼には本当のことを話さなきゃならない
You'll only be a girlfriend, hehe, of mine
君は僕だけのガールフレンドになるんだってことをね、フフッ
※「hehe」という無邪気な笑い声。略奪愛という背徳的なシチュエーションにおいて、このような屈託のない笑い声を挿入できるのはマイケル・ジャクソンただ一人である。ポール・マッカートニーが作曲したこのブリティッシュ・ポップ特有の軽快なメロディが、マイケルの黒人音楽的なリズム感(ブラック・ネス)と融合し、極上のクロスオーバー・ポップスを生み出している。
Huh, a-do-do-do-do-doot-do-do-do-do
ハッ、ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ
Huh, a-do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Hoo)
ハッ、ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(Hoo)
Do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Hoo)
ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(Hoo)
We're going to have to tell him
もう彼には本当のことを話さなきゃならない
You'll only be a girlfriend of mine
君は僕だけのガールフレンドになるんだってことを
[Verse 3]
Girlfriend
ガールフレンド
You better tell your boyfriend (Yeah)
君の口から彼氏に言った方がいいよ(Yeah)
Tell him (Woo-hoo)
彼に教えてやりなよ(Woo-hoo)
Exactly what we're doin' (Yeah)
僕らが何をしているのか、そっくりそのままね(Yeah)
Tell him what he needs to know
彼が知るべきことを、ちゃんと教えてやるんだ
Or he may never let you go, yeah
そうしないと、彼は一生君を手放さないかもしれないからね、イェー
※1番の歌詞では「自分が彼氏に言う」としていたのが、ここでは「君の口から彼氏に言いなよ」と女性側に決断を迫っている。軽快なサウンドに隠された、意外なほどの強引さと男性的な主導権の誇示。マイケルがのちの「The Girl Is Mine」でポール・マッカートニー本人と女性を巡ってデュエットで対決することになる未来を暗示するような、興味深い心理的シフトである。
[Chorus]
We're gonna have to tell him
もう彼には本当のことを話さなきゃならない
You'll only be a girlfriend, heh of mine
君は僕だけのガールフレンドになるんだってことをね、フッ
Huh, a-do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Hoo)
ハッ、ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(Hoo)
A-do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Yeah, yeah, yeah)
ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(イェー、イェー、イェー)
Do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Woohoo)
ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(ウーフー)
(Gonna be your boyfriend)
(僕が君の彼氏になるんだ)
Do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Woohoo)
ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(ウーフー)
(Gonna be my girlfriend, girlfriend)
(君は僕のガールフレンドになる、僕のガールフレンドに)
Do-do-do-do-doot-do-do-do-do (Woohoo)
ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ(ウーフー)
※ジョージ・デュークのシンセサイザーとルイス・ジョンソンのベースが織りなす極上のメロウ・グルーヴに乗せて、マイケルのスキャットが自由自在に飛び回る。言葉の意味を超越したこの音楽的快楽こそが、人種やジャンルの壁を打ち破り、世界中のリスナーを虜にした『Off the Wall』の真骨頂である。
A-do-do-do-do-doot-do-do-do-do
ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥッ・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ
