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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Workin’ Day and Night - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: Off the Wall

Song Title: Workin’ Day and Night

概要

1979年の歴史的名盤『Off the Wall』に収録された、マイケル・ジャクソン単独の作詞作曲による容赦ないスピード感に満ちたファンク・チューン。表向きは「恋人を養うために昼夜問わず身粉にして働く男と、すれ違いによる浮気の疑心暗鬼」を描いたコミカルかつ悲哀のある物語である。しかし、幼少期からショービジネスの過酷な労働環境に身を置き、完璧主義者としてスタジオに幽閉されるように生きたマイケル自身の「ワーカホリックな実人生」のメタファーとして聴くとき、この曲は特異な切迫感を帯びる。特筆すべきは、息継ぎやシャウトなどの「声」そのものをパーカッション(打楽器)として配置する画期的なボーカル・アレンジである。この肉体的なリズム構築は、のちのカニエ・ウェストやタイラー・ザ・クリエイターといったヒップホップ界の鬼才たちのプロダクションにも多大なインスピレーションを与えた、ブラック・ミュージック史における極めて先駆的な録音である。

和訳

[Intro]

Aaow!
アォゥ!

No, no, no
ノー、ノー、ノー

[Verse 1]

Ooh, my honey
Ooh、僕の愛しい人

You got me workin' day and night
君は僕を、昼も夜も働かせるんだ
※表向きは「要求の多い恋人のために働く男」の愚痴だが、幼少期からジャクソン5のリードボーカルとして過酷なツアースケジュールを強いられてきたマイケル自身の「仕事に縛られた人生」の生々しいメタファーとして響く。彼にとって「昼も夜も働く」ことは、比喩でも何でもない日常であった。

Ooh, my sugar
Ooh、僕のシュガー

You got me workin' day and night
君は僕を、昼も夜も働かせるんだ

Scratch my shoulder
僕の肩を掻いて(揉んで)おくれよ
※「Scratch my shoulder(肩をマッサージする)」という極めて肉体的な疲労の描写。彼がステージ上で見せる超人的なダンス・パフォーマンスの裏にある、アスリートのような肉体的消耗と痛みをリアルに示唆している。

It's achin', make it feel alright
痛むんだ、楽にしてくれないか

When this is over
この仕事が終わったら

Lovin' you will be so right
君を愛することが、どれほど素晴らしいことか分かるはずさ

I often wonder
僕はよく考えるんだ

If lovin' you will be tonight
今夜こそ、君を愛せる時間があるのだろうかって

But what is love, girl
でも、愛って一体何なんだろう、なぁ

If I'm always out of sight (Ooh!)
僕がいつも、君の目の前にいないのなら(Ooh!)
※スターダムの頂点に登り詰めるほど、スケジュールに追われ、愛する人(あるいは普通の生活)から遠ざかってしまうという、スーパースターの根源的なパラドックスを突いている。

[Pre-Chorus]

(That's why)
(だから)

You got me workin' day and night
君は僕を、昼も夜も働かせるんだ

And I'll be workin'
僕は働き続けるよ

From sun up to midnight
日が昇ってから、真夜中になるまでね
※「日の出から真夜中まで」。マイケルの伝説的なレコーディング・セッションの長さをそのまま表している。妥協を知らない彼の完璧主義は、関係者全員を巻き込んで文字通り「真夜中まで」続くのが常であった。

[Chorus]

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

[Verse 2]

You say that workin'
君は言うよね、「働くことこそが

Is what a man's supposed to do
男の義務(あるべき姿)なのだ」って
※社会的な「男らしさの規範(家父長制)」や、一家の大黒柱としての重圧。ジャクソン家の絶対的権力者であった父ジョセフ・ジャクソンから刷り込まれた「休むことは許されない」という強迫観念への、かすかな反抗のようにも聴こえる。

And I say it ain't right
でも、それは間違っていると僕は言うよ

If I can't give sweet love to you (Yeah)
もし僕が、君に甘い愛を与えることすらできないのなら(Yeah)

(Ah)
(Ah)

I'm tired of thinkin'
考えるのにはもう疲れたんだ

Of what my life's supposed to be
「自分の人生はどうあるべきか」なんてことについてね
※ここにマイケルの強烈な本音が漏れている。大衆、メディア、そしてレーベルから「マイケル・ジャクソン像」を規定され続けることへの深い精神的疲労が、軽快なビートの裏で痛切に吐露されている。

Well, soon enough, darlin'
まぁ、すぐにさ、ダーリン

This love will be reality (Ah, ah)
この愛は現実のものになる(Ah, ah)

How can you live, girl
どうやって生きていけるっていうんだい

'Cause love for us was meant to be
僕らの愛は、運命だったはずなのに

Well, then you must be seein'
それなら君は、会っているに違いない

Some other guy instead of me (Ooh!)
僕の代わりに、他の誰か別の男とね(Ooh!)
※多忙によるすれ違いが引き起こした浮気の疑心暗鬼(パラノイア)。マイケルが後年『Billie Jean』や『Who Is It』などで反復して描く「愛する者の裏切りと疑心」というダークなテーマの初期段階の表出である。

[Pre-Chorus]

(That's why)
(だから)

You got me workin' day and night
君は僕を、昼も夜も働かせるんだ

And I'll be workin'
僕は働き続けるよ

From sun up to midnight
日が昇ってから、真夜中になるまでね

[Chorus]

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

(Hold on)
(待ってくれよ)

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

(I'm so tired, tired now)
(僕はもう、ひどく疲れてしまったんだ)
※「I'm so tired(ひどく疲れた)」。ダンス・チューンの中に挿入されるこの悲鳴のような合いの手は、単なる歌詞の枠を超え、休むことのないスーパースターの孤独と過労を生々しく伝えている。

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

(Hold on)
(待ってくれよ)

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

[Ad-libs]

(Hoo-hoo-hoo!)
(Hoo-hoo-hoo!)
※マイケル特有のボーカル・パーカッション。言葉を持たない息遣い(ヒカップ)やシャウトをファンクのビートと完全に同期させるこの手法は、のちのヒップホップのサンプリング文化において最上級の「声ネタ」として重宝されることになる、極めて先鋭的なリズム・アプローチである。

(Hoo!)
(Hoo!)

(Hee-hee-hoo!)
(Hee-hee-hoo!)

(Ah, dah)
(Ah, dah)

(Aaow!)
(Aaow!)

(Hoo! Hee, hoo!)
(Hoo! Hee, hoo!)

(Ah, ah, dah)
(Ah, ah, dah)

(Ah, ah, dah)
(Ah, ah, dah)

(Ah, uh, dah)
(Ah, uh, dah)

(Ah, uh, dah)
(Ah, uh, dah)

[Verse 3]

You say that workin'
君は言うよね、「働くことこそが

Is what a man's supposed to do
男の義務(あるべき姿)なのだ」って

And I say it ain't right
でも、それは間違っていると僕は言うよ

If I can't give sweet love to you
もし僕が、君に甘い愛を与えることすらできないのなら

How can you live, girl
どうやって生きていけるっていうんだい

'Cause love for us was meant to be
僕らの愛は、運命だったはずなのに

Well, then you must be seein'
それなら君は、会っているに違いない

Some other guy instead of me (Ooh!)
僕の代わりに、他の誰か別の男とね(Ooh!)

[Pre-Chorus]

(That's why)
(だから)

You got me workin' day and night (I don't understand it)
君は僕を、昼も夜も働かせるんだ(僕には理解できないよ)

And I'll be workin'
僕は働き続けるよ

From sun up to midnight
日が昇ってから、真夜中になるまでね

[Chorus]

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

(Hold on)
(待ってくれよ)

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

(I'm so tired, tired now)
(僕はもう、ひどく疲れてしまったんだ)

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

You got me workin', workin' day and night (Aaow!) (Aaow!)
昼も夜も、働きっぱなしさ(Aaow!)(Aaow!)

[Ad-libs]

Haa, hoo!
Haa, hoo!

Haa, ah, dah (Takin' over)
Haa, ah, dah(乗っ取られる)
※「Takin' over(支配する、乗っ取る)」。とめどなく押し寄せるファンクのビートに、彼自身の理性が乗っ取られていくようなトランス状態の表現。音楽の神(あるいは労働の狂気)に完全に憑依された瞬間である。

Haa, girl
Haa、なぁ

Haa, takin' over
Haa、乗っ取られていくんだ

[Outro]

You got me workin', workin' day and night (Girl)
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ(なぁ)

You got me workin', workin' day and night (Aah, dah)
昼も夜も、働きっぱなしさ(Aah, dah)

(I'm so tired, tired now)
(僕はもう、ひどく疲れてしまったんだ)

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ

(Doo-doo-doo-do-doo-doo-doo-doo)
(Doo-doo-doo-do-doo-doo-doo-doo)

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

(How can I get to you?)
(どうすれば君にたどり着けるんだ?)
※アウトロに向かう混沌の中で放たれる「どうすれば君にたどり着けるのか」という問い。永遠に働き続けても真の愛(あるいは心の平穏)には手が届かないという、彼の人生そのものの残酷なメタファーとしてフェイドアウトしていく。

You got me workin', workin' day and night (Woo!)
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ(Woo!)

(Yeah, by do what you do, girl) (Ooh!)
(Yeah、君のやりたいようにやることでね)(Ooh!)

You got me workin', workin' day and night
昼も夜も、働きっぱなしさ

(Easy, better see)
(気をつけな、よく見ておくんだ)

You got me workin', workin' day and night
君のせいで、昼も夜も働きっぱなしさ