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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Just a Little Bit of You - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: Forever, Michael

Song Title: Just a Little Bit of You

概要

1975年のモータウン期最後のソロ・アルバム『Forever, Michael』に収録され、全米R&Bチャートで4位を記録した洗練されたソウル・ナンバー。モータウン黄金期を築いた伝説的ソングライター・チーム、ホランド兄弟(ブライアン・ホランド&エドワード・ホランド・Jr.)が制作を手掛けた。「1日1個のリンゴで医者いらず」という有名なことわざを捩り、愛する人の存在を万能薬に見立てたプレイフルな楽曲である。当時16歳、変声期を経てソウルシンガーとしてのグルーヴ感を完全に我が物としたマイケルのリズミカルなボーカルアプローチは、のちにクインシー・ジョーンズと共に『Off The Wall』で爆発させるパーカッシブな歌唱スタイルの確かな原点として、音楽史的に極めて重要な意義を持っている。

和訳

[Chorus]

Ooh, just a little bit of you every day
Ooh、毎日ほんの少し君がいるだけで
※有名な英語のことわざ「An apple a day keeps the doctor away(1日1個のりんごで医者いらず)」の秀逸なもじり。相手の愛を「万能薬」に見立てる古典的なR&Bのマナーを踏襲しつつ、16歳のマイケルが持つ軽快でパーカッシブなボーカルが、楽曲に洗練されたモダン・ソウルの響きを与えている。

Will surely keep the doctor away
きっとお医者さんなんて必要なくなるんだ

Just a little bit of you every day
毎日ほんの少し君がいるだけで

Will surely keep the doctor away
きっとお医者さんなんて必要なくなるんだ

[Verse 1]

I told my mama how I feel about your power
ママにも話したんだ、君の愛の力がどれほどすごいかってね
※ここでの「mama」への言及は、ジャクソン5時代からの少年らしい無邪気さを残しつつも、大人の恋愛へと足を踏み入れている過渡期の絶妙なアンバランスさを表現している。絶対的な存在である母親に恋人の威力を語るという構図は、モータウン特有の親しみやすいポップ・センスである。

Your love can heal, can't no doctor's remedy
君の愛は僕を癒してくれる、どんな医者の薬でも無理なのに

Ever do what you do for me
君が僕にしてくれることの代わりなんて、誰にもできないよ

[Chorus]

Just a little bit of you every day
毎日ほんの少し君がいるだけで

Will surely keep the doctor away
きっとお医者さんなんて必要なくなるんだ

Eeny, weeny, teeny bit of your love
ほんの、ほんの、ほんの少しの君の愛でいい
※「Eeny, weeny, teeny」という韻を踏んだリズミカルな言葉遊び。のちの「Wanna Be Startin' Somethin'」などで顕著になる、マイケルの「言葉をパーカッションとして扱う」天才的なリズム感の萌芽がここにはっきりと表れている。

Baby, it's all I need, it's all I need
ベイビー、僕に必要なのはそれだけ、それだけなんだ

[Verse 2]

Since the day I have been loving you
君を愛し始めたあの日から

I can't catch a cold, I can't catch the flu
風邪もひかないし、インフルエンザにもかからないんだ
※愛の効能を具体的な病名(風邪やインフルエンザ)を出してユーモラスに語る一節。肉体的な病すらも跳ね返す精神的な「多幸感(ユーフォリア)」の表現であるが、晩年のマイケルが深刻な心身の不調と孤独に苛まれ、過剰な投薬(医師の処方)に依存せざるを得なかった歴史的事実を逆説的に浮き彫りにする、ポップス史における残酷なアイロニーでもある。

The sweet loving you've been giving me
君が僕に与え続けてくれるその甘い愛は

Has become my daily need
今や僕の毎日に欠かせないものになったんだ

[Chorus]

Ooh, just a little of your love, every day
Ooh、毎日ほんの少しの君の愛でいい

It's all I need, that's all I need
必要なのはそれだけ、僕にはそれだけで十分さ

Just a little bit, baby
ほんの少しだけでいいんだ、ベイビー

That's all I need, that's all I need
必要なのはそれだけ、僕にはそれだけで十分さ

[Verse 3]

So don't send no doctor to my door
だから僕の家のドアに、医者なんて送り込まないでくれ

'Cause Doctor John has been here before
だって、ドクター・ジョンならもう前に来たことがあるからね
※「Doctor John」は架空の医師の名前、あるいはニューオーリンズの伝説的ミュージシャンであるドクター・ジョンの暗喩ともとれる。いずれにせよ、「外から来るどんな専門家の治療も、君の直接的な愛には敵わない」というソウル・ミュージック特有のロマンティックな誇張表現である。

Don't you send him, just come yourself
医者なんか寄越さないで、君自身が来てよ

Bring your lovin' and nothing else
君の愛だけを持ってきて、他には何もいらないから

[Instrumental Break] [Chorus]

Ooh, just a, just a
Ooh、ほんの、ほんの少しの
※アウトロに向かって激しさを増すファンキーなアドリブ。スタッカートを効かせた「just a, just a」という刻みは、ジェームス・ブラウンからの影響を消化し、独自のグルーヴへと昇華させたマイケルの真骨頂。モータウンという枠組みの中で、すでに彼が次なるディスコ/ファンクの時代(エピック期)を見据えていたことが音源から如実に伝わってくる。

Just a little bit of you every day
毎日ほんの少し君がいるだけで

Will surely keep the doctor away
きっとお医者さんなんて必要なくなるんだ

Just a little bit of you every day
毎日ほんの少し君がいるだけで

Will surely keep the doctor away
きっとお医者さんなんて必要なくなるんだ