Artist: Michael Jackson
Album: Music & Me
Song Title: Too Young
概要
1973年発表のサード・ソロ・アルバム『Music & Me』に収録された本作は、1951年にナット・キング・コールが大ヒットさせたポピュラー音楽のスタンダード・ナンバーのカバーである。大人たちから「恋をするには若すぎる」と諭される十代の切ない恋心を歌った楽曲だが、当時14歳で変声期を迎えていたマイケルが歌唱することで、極めて重層的な意味を持つに至っている。というのも、当時の彼は「恋をするには若すぎる」年齢でありながら、世界的なスーパースターとしての重圧、過酷なツアースケジュール、そして父親からの支配という「背負うには重すぎる」大人の世界に完全に組み込まれていたからである。失われた子供時代への郷愁と、大人たちの理不尽な抑圧に対する静かなる抵抗が、彼のイノセントな歌声を通じて見事に表現された、初期の重要かつ悲痛なテイクである。
和訳
[Chorus]
They try to tell us we're too young
大人たちは僕らに言い聞かせようとする、「君たちは若すぎる」って
※「They(彼ら=大人たち)」という主語は、恋愛を否定する親や世間の象徴であるが、マイケルの人生に置き換えると、彼のキャリアやプライベートを徹底的に管理・搾取しようとしたモータウンの経営陣やメディア、そして絶対的な権力者であった父ジョセフ・ジャクソンの暗喩として機能する。
Too young to really be in love
本当の恋に落ちるには、まだ早すぎるってね
[Verse 1]
They say that love's a word
大人たちは言うんだ、愛なんてただの言葉に過ぎないって
A word we've only heard
僕らがどこかで聞きかじっただけの言葉だってね
But can't begin to know the meaning of
その本当の意味なんて、まだ分かりっこないんだってさ
※大人の傲慢さと、子供の感情を無意識に軽視する社会構造を批判するフレーズ。マイケルは後年、「子供たちこそが純粋な愛(アガペー)の本当の意味を理解している」という哲学を掲げ、「Heal the World」等で子供の純真さを世界を救う鍵として提示した。この時点ですでに、大人の冷笑主義に対する彼特有の静かなる抗議(プロテスト)の姿勢が垣間見える。
And yet, we're not too young to know
だけど、僕らは若すぎやしない、ちゃんと分かっているんだ
This love will last though years may go
何年経とうとも、この愛はずっと続いていくってことを
And then someday, they may recall
そしていつの日か、大人たちも思い知るはずさ
We were not too young at all
僕らは決して、若すぎたりなんかしてなかったんだって
※ナット・キング・コールの包容力ある大人の歌唱とは異なり、マイケルの震えるようなボーイ・ソプラノで歌われるこのラインは、抑圧された弱者からの切実な「証明」の宣言として響く。未来において自らの真実(愛や才能)が世界に認められることを予言するような、若き天才の自己確信が込められた圧巻のフレーズである。
[Chorus]
They try to tell us we're too young
大人たちは僕らに言い聞かせようとする、「君たちは若すぎる」って
Too young to really be in love
本当の恋に落ちるには、まだ早すぎるってね
[Verse 2]
And yet, we're not too young to know
だけど、僕らは若すぎやしない、ちゃんと分かっているんだ
This love will last though years may go
何年経とうとも、この愛はずっと続いていくってことを
And then, someday, they may recall
そしていつの日か、大人たちも思い知るはずさ
We were not too young at all
僕らは決して、若すぎたりなんかしてなかったんだって
(We're not too young, we're not too young)
(僕らは若すぎない、決して若すぎやしないんだ)
※バックコーラスと共にフェイドアウトしていく中での切実なリフレイン。「子供扱いしないでほしい」という思春期特有の叫びであると同時に、アーティストとしての自立を渇望し、自らの音楽的イニシアチブを握ろうともがいていた当時の彼の内なる葛藤とフラストレーションが生々しく表出している。
At all
決してね
