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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Up Again - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: Music & Me

Song Title: Up Again

概要

1973年リリースのサード・ソロ・アルバム『Music & Me』に収録された、フレディー・ペレンとクリスティーン・ヤリアンのペンによる隠れた名曲である。変声期という肉体的・精神的な過渡期にあった14歳のマイケルが、挫折から立ち直る不屈の精神を瑞々しく歌い上げている。童謡「ハンプティ・ダンプティ」のメタファーを用いながらも、その奥底には、ジャクソン5としての巨大な成功とそれに伴う重圧、そして大人たちのビジネスの渦中で自己を見失いそうになりながらも、愛を支えに再び飛躍しようとする若き天才の決意が滲む。後の「Off The Wall」や「Thriller」で世界を制覇する彼の、強靭なバウンス(跳ね返る力)を予感させる重要なポップ・チューンである。

和訳

[Verse 1]

Into each life, some rain falls
誰の人生にも、時には雨が降るもの

Then comes the snow
そして雪が降る季節もやって来る

But after the snow
でも、雪が溶けたその後には

The flowers will grow
美しい花が咲き誇るんだ
※「雨」「雪」を人生の試練、「花」を希望のメタファーとして用いる伝統的なポエトリーの形式。幼い頃から休みなく働き、普通の子供としての「四季」の移ろいを奪われたマイケルが自然の摂理に希望を見出す表現は、後の「Earth Song」などに見られる自然回帰やヒューマニズムの萌芽を強く感じさせる。

Girl, when my life got stormy
ねぇ、僕の人生が嵐に見舞われたときも

You stayed for the ride
君は逃げずに、一緒に乗り越えてくれたね
※「stay for the ride(一緒に車に乗ったまま・困難に付き合う)」という口語表現は、めまぐるしく変化するショービジネスのジェットコースターのような環境を暗示している。後にマイケルが幾度ものメディアのバッシングやスキャンダルという「嵐」に直面した際、常にファンや真の友人の存在を心の支えとしていた事実と深く重なり合う。

You stayed by my side
ずっと僕のそばにいてくれた

You make the sun shine
君が僕の世界に太陽を輝かせてくれるんだ

[Chorus]

I'm up again, I never let you down
僕はまた立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせたりしない

Nothing's ever gonna stop me now
今の僕を止められるものなんて、何もないんだ
※「Up again(再び立ち上がる)」の力強い反復は、挫折からの復活の宣言である。モータウンの「愛らしい天才子役」という型からの脱却を図り、セルフプロデュースの道を模索し始めていた思春期のマイケルの、アーティストとしての強烈な自我と野心の目覚めを象徴するフレーズとして響く。

Up again, I never let you down
また立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない

I love you
愛しているよ

[Verse 2]

This Humpty Dumpty's lucky
このハンプティ・ダンプティは運が良かったんだ
※「ハンプティ・ダンプティ」はイギリスの伝承童謡(マザー・グース)に登場する卵のキャラクター。塀から落ちて元に戻らなくなる悲劇の象徴だが、ここでは「落ちても自力で戻れる幸運なハンプティ」として反転させている。メディアによって一度でも「転落」の烙印を押されれば復活が困難な業界において、何度でも蘇るマイケル自身のレジリエンス(回復力)のメタファーとして極めて秀逸だ。

He's had his fall
彼も一度は転げ落ちたけれど

But after it all
でも、すべてが終わった後

He brushed himself off
自分で服の土を払って立ち上がったんだ

Knowing how much you loved me
君がどれだけ僕を愛してくれているかを知って

I made one more try
僕はもう一度だけ、挑戦してみたんだ

I reached for the sky
この手を大空へと伸ばして
※「reached for the sky(空に向かって手を伸ばす)」という身体的・空間的な拡張表現は、後の彼のトレードマークとなる、つま先立ちで天を指差すアイコニックなダンスポーズの精神性をすでに内包している。限界を超えてさらに高みを目指す彼自身の完璧主義的なアティテュードが、この一節に凝縮されている。

And I made it this time
そして今度こそ、やり遂げたのさ

[Chorus]

I'm up again, I never let you down
僕はまた立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせたりしない

Nothing's ever gonna stop me now
今の僕を止められるものなんて、何もないんだ

Up again, I never let you down
また立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない

I love you
愛しているよ

[Instrumental Break] [Chorus]

I'm up again, I never let you down, oh-oh
僕はまた立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない、あぁ

Nothing's ever gonna stop me now
今の僕を止められるものなんて、何もないんだ

Up again, I never let you down
また立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない

I love you
愛しているよ

Up again, I never let you down
僕はまた立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない

Nothing's ever gonna stop me now
今の僕を止められるものなんて、何もないんだ

Up again, I never let you down
また立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない

I love you
愛しているよ

Up again, I never let you down, no, no, no
僕はまた立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない、絶対にね
※フェイドアウトに向かうにつれ、激しさを増すシャウトとアドリブ。この「no, no, no」という否定の反復は、自分を押し留めようとするすべてのネガティブな重圧や制約に対する強烈な抵抗であり、後の「Bad」や「Scream」で爆発させる怒りや反骨精神のルーツを明確に感じ取ることができる。

Nothing's ever gonna stop me now
今の僕を止められるものなんて、何もないんだ

Up again, I never let you down
また立ち上がるよ、絶対に君をガッカリさせない

I love you, yeah
愛しているよ、そうさ

Never let you down, baby
絶対にガッカリさせないよ、ベイビー

Nothing's ever gonna stop me now, yeah
いまの僕を止められるものなんて、何もないんだ、そうさ