Artist: MF DOOM
Album: Operation: Doomsday
Song Title: The Mystery of Doom (Skit)
概要
1999年のデビューアルバム『Operation: Doomsday』に収録された、約20秒の短いながらも極めて重要な意味を持つスキット。1967年のアニメ版『ファンタスティック・フォー』の音源をサンプリングし、スーパーヴィラン「MF DOOM」がいかにして誕生したのか、その「移行(transition)」の謎を解き明かすための導入部として機能している。弟DJ Subrocの不慮の死やElektra Recordsからの不当な解雇を経て、数年間の沈黙を余儀なくされたDaniel Dumile。メディアや業界の人間が勝手に語る自身の噂話に対し、自ら部屋に乗り込み「自分の物語は自分で語る」と宣言するこのセリフは、KMDのZev Love Xが鉄仮面を被り、アンダーグラウンドの覇王として復活を遂げる歴史的瞬間の幕開けを告げている。
和訳
[Sue]
There's still DOOM, what of him?
まだドゥームがいるわ。彼はどうなったの?
※マーベル・コミック『ファンタスティック・フォー』のヒロイン、インビジブル・ウーマン(スー・ストーム)のセリフ。「彼(Zev Love X)はどうなったのか?」という、90年代半ばにシーンから突如姿を消したダニエル・ドゥーミレイに対するヒップホップ業界やリスナーの疑問、あるいはゴシップを代弁している。
[Dr. Doom]
What of DOOM, my dear lady? As I stood outside your door, I heard quite a bit of your story. If you wish, I'll add mine. To clear up the mystery of DOOM's transition
ドゥームがどうしたって、愛しきレディ? お前たちのドアの外に立って、その話をたっぷりと聞かせてもらったぞ。お望みとあれば、俺の話も付け加えてやろう。ドゥームの「移行(トランジション)」の謎を解き明かすためにな
※アニメ版からのサンプリングだが、MF DOOMというペルソナの核心を突く極めて重要なライン。「ドアの外(シーンの外部/アンダーグラウンド)」からメインストリームの勝手な噂話(your story)を聞いていた彼が、ついにドアを開けて自らの口で真実を語り始めるという宣言である。「DOOM's transition(ドゥームの移行)」とは、かつて陽気なBボーイ(Zev Love X)だった青年が、絶望と復讐心を抱え、鉄仮面を被ったスーパーヴィラン(MF DOOM)へと変貌を遂げた空白の数年間を指している。他人の口からではなく、自身のラップで自身の悲劇と再起の物語(ヒストリー)を語るという、強烈なヒップホップ的マニフェストだ。
