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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Whatcha Know About It - Kendrick Lamar 【和訳・解説】

Artist: Kendrick Lamar

Album: Youngest Head Nigga in Charge (Hub City Threat: Minor of the Year)

Song Title: Whatcha Know About It

概要

本作は、2004年にケンドリック・ラマーが弱冠16歳(リリック内では17歳と言及)で「K.Dot」名義にてリリースした処女ミックステープ『Y.H.N.I.C.』の収録曲である。後の『good kid, m.A.A.d city』等でも繰り返し描かれる「キッチンでクラック・コカインを精製する叔父」や「R指定の過酷な環境で育った少年時代」といった彼の原風景が、極めて荒々しいギャングスタ・ペルソナを通して語られている点が興味深い。映画のワンシーンを引用したアイク・ターナーのDVへの言及や、マフィア映画さながらの暴力描写など、初期特有の露悪的なリリシズムが全開となっている。しかし、バスケットボールのポジションを用いた比喩や「Dough(金)」と「Cake(金/ケーキ)」をかけた言葉遊びには、コンプトンのストリートから世界的リリシストへと飛躍する彼の早熟な天才性が既に刻み込まれている。

和訳

[Verse]

I've been known to flip on niggas, spaz on bitches
俺はニガどもにキレて、ビッチどもにブチギレることで知られてるぜ
※「flip on」「spaz on」は激怒する、暴れるの意。自身の凶暴な気性をアピール。

One state of mind, I'm out for the riches
思考は一つだけ、俺は富を求めて突き進む
※「out for the riches」は金稼ぎに執着するストリートのハングリー精神。

I've seen good crack, uncle stuck in the kitchen
上質なクラックを見てきた、叔父貴はキッチンに引きこもってたな
※ケンドリックの後の名盤でも度々言及される、親族がキッチンでクラック・コカインを精製していたというゲットーの生々しい原風景の描写。

Now behind prison, phone calls can't visit
今じゃムショの中だ、電話越しの面会しかできやしねぇ
※犯罪に手を染めた叔父が投獄され、直接会うこともできない現実。

Seventeen, half of my life has been explicit
17歳、俺の人生の半分はR指定(エクスプリシット)だった
※「explicit」は過激なコンテンツに対する警告ラベル。当時16〜17歳だった彼が、幼少期から暴力やドラッグに囲まれた過酷な環境で育ってきたことを示す。

Rated R content, no supervision
親の監視もない、R指定のコンテンツさ
※ストリートの子供たちが大人の保護なしに危険に晒されている状況。

With you talking nonsense, I'm not trynna listen
お前が戯言をほざいてても、俺は聞く気はねぇよ
※ヘイターやフェイクな連中への拒絶。

I'm a point guard, small forward, play your position
俺はポイントガードでスモールフォワードだ、お前は自分のポジションを守ってな
※バスケットボールのメタファー。自身がゲームメイク(PG)も得点(SF)もこなす万能な存在であることを示しつつ、実力のない者は「自分の身の丈に合った場所(play your position)」にいろという警告。

Before you wind up in the lake with the fishes
魚どもと一緒に湖の底に沈められる前にな
※「sleep with the fishes(魚と一緒に眠る)」というマフィア映画(『ゴッドファーザー』等)でお馴染みの、暗殺されて水底に沈められるという古典的な死の脅し。

On a blind date with a crocodile, vicious
ワニとのブラインド・デートさ、凶悪だろ
※前行の「湖に沈める」を受け、水中の捕食者(ワニ)の餌食にしてやるという残酷なジョーク。

I switch the flow so you say that I sound different
俺がフロウを切り替えるから、お前らは「あいつの音は他と違う」って言うのさ
※自身の変幻自在なラップスキルへの自負。

But the flow is the same reason my dick kill bitch kissing??
だがそのフロウは、俺のイチモツがビッチのキスを殺すのと同じ理由だぜ
※女性を圧倒する性的魅力と自身のラップスキルの威力を並列に語る、典型的なマッチョイズムの誇張表現。

And that's the same reason your not in my competition
そしてそれこそが、お前が俺の競争相手(コンペティション)にならねぇ理由さ
※次元が違うため、比較対象にすらならないというボースト。

Cause I swear right now that none of yall existing
だってマジな話、今この瞬間、お前らなんて存在してないも同然だからな
※他のラッパーを完全に視界から消し去るほどの絶対的エゴ。

Fall off is probably what you wishing
俺が落ちぶれる(フォール・オフ)のを、お前らは願ってるんだろうが
※成功を妬むヘイターたちの心理。

But I can't stop, won't stop, young gunning you niggas
だが俺は止まれないし、止まらない。若き銃弾(ヤング・ガン)がお前らをブチ抜くぜ
※Diddyの有名なフレーズ「Can't stop, won't stop」の引用。若き勢いそのままにシーンを制圧するという宣言。

I've been known to have stash for the burnnin
俺は燃やす(吸う)ためのハッパの隠し場所(スタッシュ)を持ってることで知られてる
※マリファナの所持とストリートでの優位性。

And break a bitch down to the point that I learn them
そしてビッチを徹底的に解体して、奴らの本性を暴いてやるんだ
※女性を意のままにコントロールし、完全に掌握するというピンプ(ポン引き)的なマインドセット。

And when I get dough, I'mma let you know, throw the cake in your face like Ike Turner
金(ドウ)を手に入れたら教えてやるよ、アイク・ターナーみたいにお前の顔にケーキを投げつけてな
※「dough」と「cake」はどちらも「大金」を意味するスラングであり、同時に「生地」と「ケーキ」という見事なワードプレイ。さらにティナ・ターナーの伝記映画『TINA ティナ(What's Love Got to Do with It)』の有名なDVシーン(アイクがティナの顔にケーキを押し付ける描写)を引用し、金で相手を屈服させる暴力性を表現している。Geniusでも高く評価される、初期の残酷なパンチライン。

I turn a schoolgirl into a dick smuggler, sex publisher, rated X government
俺は女子高生をイチモツの密輸業者、セックスの出版者、X指定の政府に変えちまう
※平凡な少女すらも過激なポルノの世界(Rated X)やドラッグの運び屋へと堕落させるほど、自分には悪のカリスマ性があるという、極めて過激でミソジニー的なボースト。

See me in the hooptie boy, it's not a cover up
ボロ車(フープティ)に乗ってる俺を見なよボーイ、これは偽装(カバーアップ)なんかじゃねぇ
※「hooptie」はオンボロ車。高級車に乗るフェイクなラッパーとは違い、自分がリアルなゲットーの生活から抜け出そうとあがいている真っ最中であるという真実の提示。

See I'm a young black boy who don't give a fuck, what
俺は何も気にしちゃいねぇ、若き黒人のボーイなんだよ、何だ文句あるか
※失うものがないフッドの若者の無敵感とニヒリズム。

This that gangsta shit that make you wanna grab your shit
こいつは、お前が自分の「モノ(銃)」を掴みたくなるようなギャングスタ・シットだ
※この暴力的なラップを聴けば、誰もが武装したくなるという危険なバイブスの提示。ここからコーラス的なアウトロへ。

Cock back and blast some shit
撃鉄(コック)を引いて、何かをブッ飛ばしたくなるようなな
※銃の装填から発砲への具体的な動作。

Empty, reload the clip
空(エンプティ)になれば、クリップ(弾倉)をリロードしろ
※ストリートの抗争が果てしなく続く描写。

You won't find nothing hotter than this
これ以上にホット(ヤバい)なモンなんて見つからねぇぜ
※自身のトラックがストリートで最高のものであるという自信。

Whatcha know about it
お前にこのヤバさが分かるか?
※タイトルの回収。ゲットーの現実を知らない者たちへの挑戦的な問いかけ。

This that gangsta shit that make you wanna blaze this spliff
こいつは、お前がこのスプリフ(ハッパ)に火をつけたくなるようなギャングスタ・シットだ
※銃撃戦のアドレナリンの後は、マリファナ(spliff)でチルするというストリートのルーティン。

Get drunk, grab a fifth, open it, guzzle it quick
酔っ払え、フィフス(酒のボトル)を掴み、開けて、一気に飲み干しな
※「a fifth」は1/5ガロン(約750ml)の酒のボトル。暴力とドラッグ、アルコールに溺れる退廃的な光景。

You won't find nothing hotter than this
これ以上にホット(ヤバい)なモンなんて見つからねぇぜ
※再びの自信の表明。

Whatcha know about it
お前にこのヤバさが分かるか?