Artist: Eminem
Album: The Marshall Mathers LP
Song Title: Ken Kaniff (Skit)
概要
ヒップホップ史上最も悪質で下劣なディス・スキットの一つである。前作『The Slim Shady LP』で初登場した変態的なゲイのキャラクター「ケン・カニフ」だが、本作では初代声優のアリストテレスと決裂したため、エミネム自身が声を当てている。標的はデトロイトの宿敵、インセイン・クラウン・ポッセ(ICP)のメンバーであるシャギー・2・ドープとヴァイオレント・Jだ。エミネムは、彼らがケン・カニフに対してオーラルセックスを奉仕するという究極の屈辱的シナリオを自演。さらに彼らが無意識に「エミネム」の名を喘ぐオチをつけることで、「ICPの俺への執着は愛情の裏返しだ」という強烈な心理的マウントを果たした。表現の限界を突破したエミネムの容赦ない闘争本能が刻まれている。
和訳
[Skit: Ken Kaniff, Shaggy 2 Dope, Violent J]
Uhh...
あぁ……
Uhh... oh yeah
あぁ……そう、いいぞ。
※エミネム自身が演じる変態的キャラクター、ケン・カニフの喘ぎ声からスタートする。
Uhh, suck it (Mmm...)
あぁ、しゃぶれ(んん……)
Oh, fuck yeah (...Mmm)
あぁ、最高だぜ(……んん)
Oh, Shaggy
おぉ、シャギー。
※ここで奉仕している相手がICP(インセイン・クラウン・ポッセ)のメンバー、シャギー・2・ドープ(Shaggy 2 Dope)であることが明かされる。エミネムは自身のアルバムの中で、敵を最も無防備で従属的な状態に陥れている。
Uhh
あぁ。
This is why they call you '2 Dope', ain't it? (Mmm...)
だからお前は「2・ドープ(最高が2つ=口と手)」って呼ばれてるんだろ、え?(んん……)
※シャギーのMCネーム「2 Dope」を、「フェラのテクニックが最高(Dope)だから」という屈辱的な意味にすり替えた悪意に満ちたワードプレイ。
Uhh, fuck yeah
あぁ、最高だぜ。
Uhh, take it out, take it out
あぁ、一回出せ、口から出せ。
Uhh, now give something to J
よし、次はJにもしゃぶらせろ。
Uhh, Violent J
あぁ、ヴァイオレント・J。
※ICPのもう一人のメンバー、ヴァイオレント・J(Violent J)が登場する。敵対するグループのメンバー2人を自分のモノに従わせるという、ヒップホップ・ビーフにおける最大級のマウンティング。
Ooh, don't bite it, don't be violent with it, ow
おぉ、噛むなよ。そんな乱暴(ヴァイオレント)に扱うな、痛えよ。
※ヴァイオレント・Jの「Violent(乱暴な)」という名前をディスに絡めた見事な言葉遊び。敵の名前の由来すらも性的なジョークに貶めている。
Just suck it, nice and slow
ただしゃぶるんだ、優しく、ゆっくりな。
Yeah... uhh
そう……あぁ。
Uhh, fuck yeah
あぁ、最高だ。
You got.. uhh, now give it back to Shaggy
いいぞ……あぁ、じゃあシャギーに代われ。
He was sucking it better, uhh, now say my name
あいつの方がしゃぶるのが上手かったぜ。あぁ、ほら、俺の名前を呼んでみろ。
(Eminem) Say my name
(エミネム……)俺の名前を言え。
※ICPの二人が、ケン・カニフの名前ではなく、無意識に「エミネム」の名を口走ってしまう。Geniusの考察でも指摘されている通り、これは「ICPが表向きはエミネムを激しくディスりながらも、深層心理では彼に夢中(強烈な執着=愛情)である」というエミネム側の究極の精神的勝利(サイコロジカル・ウォーフェア)を描いたシーンである。
(Eminem) What?
(エミネム……)なんだと?
Oh, fuck you guys!
あぁ、お前らクソくらえだ!
※別の男(エミネム)の名前を呼ばれたことで、ケン・カニフが嫉妬して激怒する。
G-Give me my dick back! (Wha-a-a-a-a-)
お、俺のイチモツを返せ!(ふぁ、あ、あ、あ)
※「俺のイチモツを返せ(Give me my dick back)」という、常軌を逸したシュールな名台詞。ICP側は口から急にモノを抜かれて間抜けな声を漏らしている。
Fuck you guys! (Wait, what- wait, Ken!)
お前らなんて最低だ!(待って、なんだよ、待ってくれよケン!)
※ICPがエミネムではなく、あくまでケンに奉仕したかったかのように引き止めるという、底知れぬ屈辱描写。
If you want Eminem, you can have Eminem! (Wha-a-a-)
エミネムがいいなら、エミネムのところへ行けばいいだろ!(ふぁ、あ、あ)
Fuck you guys, I'ma leaving! (No- i-e-o- no!)
クソ野郎どもめ、俺は帰るからな!(ダメだ、あ、え、お、やめてくれ!)
No! Ken, wait! I-I- (door slams)
ダメだ! ケン、待ってくれ! 俺、俺は……(ドアが激しく閉まる音)
Aw, damn!
あーあ、クソッ!
※ケンに逃げられてしまい、本気で落胆するICP(を演じるエミネム)。
Nice going, Shaggy!
お前のせいで台無しじゃねえか、シャギー!
※「お前がエミネムの名前なんて出すからだろ」と仲間割れを始めるオチ。徹底的に相手をコケにし、自分へのコンプレックスを浮き彫りにさせた状態で、リスナーをアルバムの後半戦へと引きずり込んでいく。
