Artist: Wu-Tang Clan
Album: Enter the Wu-Tang (36 Chambers)
Song Title: Wu-Tang: 7th Chamber
概要
本作は、歴史的デビューアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』の中盤に配置された、彼らの荒々しいストリートの日常と高度なマイクリレーが交差するポッセ・カット(多人数参加曲)である。タイトルの「7th Chamber(第7の房)」は、少林寺の修行房を意味すると同時に、Wu-Tangのメンバーが次々と襲い掛かる試練の場を暗喩している。特筆すべきは、楽曲冒頭の伝説的なスキットである。カンフー映画のビデオテープの貸し借りを巡る些細な口論から、突然の銃撃事件の報告へと一気に緊張感が高まり、最終的にブラックユーモアで落とされるこの寸劇は、当時のスタテンアイランドの過酷な現実と彼らの絆をドキュメンタリーのように活写している。RZAの極太のドラムと不穏なベースラインの上で、7人のMCが一切の妥協なく自身のスキルと「Five Percent Nation」の哲学、そしてストリートの暴力性を限界まで見せつける、東海岸ハードコア・ヒップホップの極北とも言える一曲である。
和訳
[Skit]
[Raekwon]: Yo, Meth.. hold up! Hold up!
[Raekwon]:ヨォ、メス…ちょっと待て! 待てよ!
※伝説的なスキットの幕開け。当時のWu-Tangのスタジオ(あるいはアジト)における日常会話をそのまま切り取ったような生々しさがある。
Yo, Meth, where my Killer tape at, God?
ヨォ、メス、俺の『キラー』のテープはどこにあるんだよ、なあ?
※「Killer tape」は、ジョン・ウー監督の1989年の香港映画『狼 男たちの挽歌・最終章(原題:The Killer)』のVHSテープのこと。Wu-Tangのメンバーはカンフー映画だけでなく、チョウ・ユンファ主演の香港ノワール(ガンアクション)も熱狂的に愛好しており、彼らの美学に多大な影響を与えている。「God」はFive Percent Nationの教義に基づき、黒人男性(仲間)を互いに「神」と呼ぶ挨拶。
First of all, where my.. where the fuck is my tape at?
そもそも、俺の…俺のクソテープはどこにあるんだよ?
※貸したお気に入りのビデオテープが返ってこないことへのイラ立ち。
[Method Man]: Yo, son, I ain't got that piece, son
[Method Man]:ヨォ、兄弟、俺はあのテープ(ピース)は持ってねえよ、マジで
※「piece」はここではビデオテープを指すが、通常は銃を意味するスラング。わざと曖昧な言い訳をしてごまかそうとするMethod Man。
[Raekwon]: How you ain't got my shit when I let you hold it, man?
[Raekwon]:お前に貸してやったのに、持ってねえってどういうことだよ!?
※「let you hold it(持たせてやる=貸す)」というストリート特有の言い回し。
[Method Man]: Yo, niggas came over to have 40's and blunts, kid, the shit just came up missin', son
[Method Man]:ヨォ、野郎共が40オンス(モルト・リカー)とブラント(葉巻に詰めた大麻)をやりに遊びに来ててよ、兄弟、いつの間にか無くなっちまってたんだよ
※フッドの日常的な言い訳。酒とクスリでラリった仲間が出入りしている間に誰かにパクられたと主張している。
[Raekwon]: Come on, man, that don't got nothin' to do with my shit, man. Come on, man, go 'head with that shit, man
[Raekwon]:おいおい、俺のテープには関係ねえ話だろ。ふざけんなよ、そのクソみたいな言い訳はやめろ
※当然ながらRaekwonは納得しない。
[Method Man]: Come on, man, I'll buy you four more fuckin' Killer tapes, man!
[Method Man]:わかったよ、なら『キラー』のクソテープをもう4本買って返してやるよ!
※逆ギレ気味に言い返すMethod Man。「同じものを4本買う」という無茶苦茶な返しが彼らのユーモアセンスを表している。
[U-God]: banging on the door Ayo! Ayo!
[U-God]:ドアを激しく叩きながら エイヨォ! エイヨォ!
※緊迫した様子でU-Godが外からドアを叩く。些細な喧嘩が一気に中断される。
[Raekwon]: Open the door, man! What the fuck, man? Yo, what? What's up?
[Raekwon]:ドアを開けろ! 一体何だってんだ? ヨォ、何だ? どうした?
※ただ事ではない空気を察知するRaekwon。
[Ghostface Killah]: Yo, yo, god, word is bond, yo, Shameek just got bust in his head two times, God!
[Ghostface Killah]:ヨォ、ヨォ、神よ、マジな話だ、ヨォ、シャミークが頭を2発撃たれちまったぞ、神よ!
※「word is bond」は「嘘偽りない真実だ」を意味する当時のNYヒップホップの定番フレーズ。Shameekという彼らの地元の仲間が頭部を銃撃されたという衝撃的な凶報をGhostface Killahが息を切らして伝える。
[U-God]: Word to mother!
[U-God]:マジで誓うぜ!
※「Word to mother」は「母親にかけて誓う(本当だ)」というスラング。
[Ghostface Killah]: Word life, god
[Ghostface Killah]:命にかけてマジだぜ、兄弟
※「Word life」も前行と同じく真実であることを強調するスラング。
You know Shameek from fuckin' 212, God?
クソ212(ビル)のシャミークを知ってるだろ、兄弟?
※「212」はスタテンアイランドのパークヒル・プロジェクト(公営住宅)の特定の建物の番号。彼らのリアルな生活圏での出来事であることを示している。
The nigga just got bust, niggas in a black Land, God, word is bond
あいつが撃たれたんだ、黒のランドクルーザーに乗った野郎共にな、マジだぜ
※「black Land」はトヨタのランドクルーザー。90年代のストリートのハスラーやギャングの間で人気のあった車種で、ドライブバイ・シューティング(車からの通り魔的銃撃)に使われた。
Came through, God, from outta nowhere, God
いきなり現れたんだ、どこからともなく突然な
※銃撃の突発性とストリートの日常に潜む死の恐怖をリアルに描写している。
Word is bond, I'm comin' to get my Culture-Cipher, God
マジだぜ、俺は自分の「カルチャー・サイファー」を取りに来たんだ、兄弟
※「Culture-Cipher」については諸説あるが、Five Percent Nationの用語で「Culture(文化・生き方)」と「Cipher(円陣・知識を共有する場)」を意味する。ここでは、銃(報復のための武器)の隠語、あるいは仲間を集めて報復の作戦会議(サイファー)を開くため、という意味合いで使われている可能性が高い。
And they just… word is bond
奴らが突然…マジな話だぜ
※Ghostfaceが興奮して上手く言葉をまとめられないほどのパニック状態。
Crazy shots just went the fuck off, God
クソ狂ったように銃弾が乱れ飛んだんだ、兄弟
※現場の凄惨さを伝えるライン。
[U-God]: Niggas let off crazy shots, kid
[U-God]:野郎共、狂ったように弾をブッ放しやがったんだよ、兄弟
※U-GodがGhostfaceの言葉を補足し、現場の緊迫感を強調する。
[Ghostface Killah]: The nigga layin' there like a fuckin' newborn fuckin' baby, God
[Ghostface Killah]:あいつはそこで、生まれたばかりの赤ん坊みたいに倒れ込んでたんだぜ、兄弟
※頭を撃たれ、血の海の中で胎児のように丸まって倒れているShameekの無惨な姿を「newborn baby(新生児)」に例える、生々しくも詩的な表現。
[Method Man]: Is he dead?
[Method Man]:死んだのか?
※それまで黙って聞いていたMethod Manの間の抜けた質問。
[U-God]: Word up!
[U-God]:ああ!
※致命傷であったことを肯定するU-God。
[Ghostface Killah]: Is he fuckin' dead? What the fuck you mean is he fuckin' dead, God?
[Ghostface Killah]:死んだのかって? 死んだのかってどういう意味だよ、おい!?
※頭を2発撃たれて赤ん坊のように倒れていると言っているのに「死んだのか?」と間抜けな質問をしたMethod Manに対し、Ghostfaceがブチギレる。
[U-God]: What the fuck kind of question is that, B? Fuck you think?
[U-God]:なんてクソみたいな質問してんだよ、兄弟? どう考えても分かるだろ?
※U-GodもMethod Manの空気の読めなさに呆れ返る。
[RZA]: Easy, easy, easy, easy
[RZA]:落ち着け、落ち着け、落ち着けって
※ここでようやくグループのリーダーであるRZAが仲裁に入り、怒り狂うメンバーをなだめようとする。
[Ghostface Killah]: The nigga layin' there with his fuckin' all types of fuckin' blood comin' out of his fuckin..
[Ghostface Killah]:あいつはあそこで、ありとあらゆる種類の血をブチ撒けながら倒れてたんだぞ…
※頭部への銃撃による脳漿や大量の出血など、凄惨な現場の記憶がフラッシュバックして言葉に詰まるGhostface。
[U-God]: (sarcastically) Is he— is he— is he dead?
[U-God]:(皮肉を込めて)「し、死んだのか?」じゃねえよ!
※先ほどのMethod Manの間の抜けた質問を馬鹿にして真似るU-God。
[Ghostface Killah]: Yo, God, what's up, God? It's the God, God, word is bond
[Ghostface Killah]:ヨォ、神よ、どうするんだ? 俺たちでやるしかねえだろ、マジな話だ
※仲間を殺されたことへの報復(リベンジ)の決意を固めるGhostface。
Yo, what's up? I'm ready to fuckin' lay… I'm ready to get busy, God, what's up?
ヨォ、どうする? 俺はブチ殺す準備ができてる…ひと暴れする準備はできてるぜ、兄弟、どうする?
※「get busy」は暴れる、戦闘態勢に入る、あるいは銃を撃つことのスラング。
[Raekwon]: Yo, let's go do what we got…
[Raekwon]:ヨォ、やるべきことをやりに行こうぜ…
※武闘派のRaekwonも報復に賛同する。
[U-God]: What's up, yo?
[U-God]:どうするんだよ?
※すぐに行動を起こすべきだと急かす。
[Raekwon]: Yo, let's go do what we gotta do, man, fuck it
[Raekwon]:ヨォ、俺たちがやらなきゃならねえことをやりに行こうぜ、クソッたれ
※ストリートの掟に従い、報復の連鎖に身を投じる悲壮な決意。
[U-God]: Yo, we out or what, man?
[U-God]:ヨォ、行くのか? どうなんだよ?
※「we out」は「出かけるぞ(行くぞ)」の意。
[Ghostface Killah]: It's the God, God, fuck that, man!
[Ghostface Killah]:俺たちでやるしかねえんだよ、クソが!
※怒りと悲しみで冷静さを失っているGhostface。
[U-God]: You sayin' we out?
[U-God]:行くって言ってんのか?
[Method Man]: They probably took the tape
[Method Man]:多分、そいつらが俺のテープをパクったんだな
※この極限の緊迫状態の中で、Method Manが放った信じられない一言。「Shameekを撃った奴らが、ついでにRaekwonから借りた『キラー』のテープも盗んだんだろう」という、責任逃れと現実逃避が混ざった究極のサイコパス的(あるいはマリファナで完全にボケている)発言。
[Ghostface Killah]: What the fuck?
[Ghostface Killah]:はあ!? 何言ってんだ!?
※人が死んで報復に行くという時に、まだテープの話をしているMethod Manに対して本気でドン引きするGhostface。
[Raekwon]: Nigga still sweatin' the tape, man
[Raekwon]:こいつ、まだテープのことで焦ってやがるぜ
※「sweatin'」は冷や汗をかく、気にするの意。親友の死よりも、貸したテープを紛失した言い訳を優先するMethod Manの異常なマイペースさに、呆れを通り越して諦めるRaekwon。
[Ghostface Killah]: What the fuck is you talkin' about? Get the fuck out of here!
[Ghostface Killah]:てめえは一体何の話をしてんだ!? とっとと失せろ!
※緊張感が一瞬で崩れ去り、コントのようなオチでスキットが終了する。ストリートの暴力の凄惨さと、彼らのキャラクターの特異性が同居するヒップホップ史に残る名演。
[Raekwon]: Fuckin' corn!
[Raekwon]:クソダサい野郎だぜ!
※「corn」はcorny(ダサい、見当違い)のこと。Method Manへの罵倒と共に、楽曲のビートがフェードインしてくる。
[Intro: Wu-Tang Clan]
Good Morning Vietnam!
グッドモーニング、ベトナム!
※ロビン・ウィリアムズ主演の1987年の映画『グッドモーニング、ベトナム』の有名なラジオDJの掛け声のサンプリング。戦場(ベトナム戦争=NYのストリート)の朝の目覚めを告げると共に、これから始まるラップという名の戦争の開幕を宣言している。
Yeah, good morning to all you motherfuckin' knotty-headed niggas
ああ、おはようさん、頭のイカれた(ノッティ・ヘッド)クソ野郎ども
※「knotty-headed」は髪の毛が結び目だらけ(ドレッドヘアなど)の荒くれ者や、言うことを聞かない頑固者(スタテンアイランドのハスラーたち)への呼びかけ。
Word to the camouflage large niggas
迷彩服を着込んだデカい野郎どもに敬意を
※90年代のNYヒップホップシーンで流行していた軍服(迷彩服)ファッション。彼ら自身がストリートの兵士であることを表している。
Bitch, where the fuck is my bottle?
おいビッチ、俺の酒のボトルはどこだ?
※録音スタジオでの乱痴気騒ぎの様子。
Bring that fuckin' meth in here, man!
そのクソ「メス」をここに持ってこい!
※「meth」はMethod Manのことでもあり、彼が巻いたマリファナのブラント(Methという名前はマリファナの隠語にも由来する)を寄こせという要求。
Yo, yo, yo
ヨォ、ヨォ、ヨォ
Now we gonna drink some good night train, get you goin'
これから上等なナイト・トレインを飲んで、テンションをブチ上げていくぜ
※「Night Train」は安価でアルコール度数の高いワイン(フルーティな風味の強化ワイン)。スラム街やホームレスの間でよく飲まれていた酒であり、彼らのゲットーでのルーツを示すアイテム。
Yo, yo, yo, yo!
ヨォ、ヨォ、ヨォ、ヨォ!
※ビートが本格的にキックインし、Raekwonのヴァースへ突入する。
[Verse 1: Raekwon]
Champion gear that I rock, you get your boots knocked
俺が着こなすチャンピオンのギア、お前らはブーツを脱がされる(ボコボコにされる)ぜ
※Raekwon(The Chef)の登場。90年代のヒップホップ定番ブランド「Champion」のパーカーやスウェット(ギア)を誇示。「get boots knocked」は本来「セックスする」というスラングだが、ここでは「ブーツを脱がされるほど叩きのめされる」という暴力的な意味合いで使われている。
Then attack ya like a pit, then lock shit down
そして闘犬(ピットブル)みたいにお前に噛みつき、全てをロックダウン(制圧)する
※「pit」はピットブル・テリア。一度噛み付いたら離さない狂暴な犬のようにシーンを支配するという比喩。
As I come and freaks the sound, hardcore
俺がやって来てサウンドを自在に操る(フリークする)ぜ、ハードコアにな
※「freak」はビートを乗りこなす、メチャクチャにするの意。
But givin' you more and more like, "Ding!"
だがお前らにもっともっと喰らわせてやるよ、「チーン!」ってな
※「Ding!」はボクシングのラウンド開始のゴングの音。次から次へと休む間もなくパンチ(パンチライン)を打ち込むというメタファー。
Nah, shorty, get you open like six packs
いや、お嬢ちゃん、6缶パック(シックス・パック)みたいにお前を開けちまうぜ
※「shorty」は女性や若者への呼びかけ。「get open」は「心を開かせる(夢中にさせる)」と「物理的に開ける(ビール缶を開けるように傷つける)」のダブルミーニング。
Killa Beez attack, flippin' what? Murder one phat tracks, a'ight?
キラービーズの攻撃だ、何をフリップする(サンプリングする)って? 第一級殺人の最高なトラックをだ、分かったか?
※Wu-Tangの別働隊・関連メンバーの総称であるKilla Beez。「Murder one」は第一級殺人。「phat」は最高にクールな。「殺人的にヤバいビートを構築する」というRZAのプロデュースワークへのシャウトアウト。
I kick it like a Nike Flight
俺はナイキのフライトみたいにキックする(ラップする)ぜ
※「kick」はラップすること。当時の人気スニーカー「Nike Air Flight」と掛けた秀逸な言葉遊び。
Word life, I get that ass robbed on spite
マジな話、腹いせでお前のケツの毛まで毟り取ってやるよ
※「robbed on spite」は単なる金目当てではなく、悪意や恨み(spite)に基づく強盗行為。情け容赦のないストリートの現実。
Check the method from Bedrock
ベッドロックからのメソッド(手法)をチェックしな
※「Bedrock」はアニメ『フリントストーン』に登場する石器時代の町の名前だが、ここではスタテンアイランド(またはNYの地下深くのアンダーグラウンド)を指す。原始的で荒々しい根源的なスタイルであることを誇示している。
'Cause I rock your head to bed just like rockin' what? Twin Glocks!
なぜなら俺はお前の頭をベッドに寝かしつける(殺す)からさ、何を揺らす(ロックする)ようにって? 2丁のグロック拳銃さ!
※「rock to bed(揺り籠を揺らして寝かしつける)」と「rock Glocks(グロック拳銃をぶっ放す)」を掛けた狂気のワードプレイ。両手持ちの拳銃(Twin Glocks)による容赦ない銃撃による永遠の眠り。
Shake the ground while my beats just break you down
地面を揺るがし、俺のビートがお前を精神的・肉体的に破壊する
※重低音の効いたRZAのビートの物理的な破壊力。
Raw sound, goin' to war right now!
生々しい(ロウな)サウンドだ、今すぐ戦争に行くぜ!
※商業的なクリーンさを排した「Raw」な音こそがWu-Tangの武器。
So, yo, bombin', We-Usually Take-All-Niggas-Garments
だから、ヨォ、爆撃するぜ、俺たち(W)は・いつも(U)・全ての野郎の(T・A・N)・服を奪い取る(G)
※Raekwonが考案した「W-U-T-A-N-G」の有名なバクロニム(後付けの頭字語)。「We Usually Take All Niggas Garments」。音楽シーンに殴り込み、他のラッパーたちの身柄や財産(Garments=服、プロップス、金)を根こそぎ奪い取るという野心に満ちた強盗の宣言。
Save your breath before I vomit!
俺がゲロを吐く前に、息を整えとけよ!
※「vomit」はラップを吐き出すことの汚いメタファー。俺のラップの勢いに圧倒される前に深呼吸しておけという警告。
[Verse 2: Method Man]
I be that insane nigga from the psycho ward
俺は精神病棟(サイコ・ウォード)から抜け出してきた狂った野郎だぜ
※Method Manの登場。自身の予測不能でクレイジーなフロウとキャラクターを「精神異常者」に例えて自己紹介。
I'm on the trigger, plus I got the Wu-Tang sword
俺は引き金に指をかけてるし、おまけにウータンの剣も持ってるんだ
※現代の銃器(trigger)と伝統的な武術(Wu-Tang sword=ラップスキルの比喩)の両方を備えた無敵の存在。
So how you figure that you can even fuck with mine?
だから、俺のスキルに少しでも対抗できるなんて、どうして思えるんだ?
※他のMCたちと自分とでは次元が違うという圧倒的な自信。
A-yo, RZA! Hit me with that shit one time!
エイヨォ、RZA! あのヤバい音をもう一回鳴らしてくれ!
※プロデューサーのRZAに対するシャウトアウト。ここで一瞬ビートが変化、あるいはスクラッチが入る演出。
And pull a foul, niggas, save the beef for the cow
ファウルを引き出してやるよ、野郎共、ビーフ(揉め事)は牛にでも残しておきな
※「pull a foul」はバスケットボールで反則をもらうような狡猾なプレイ。「beef」はラッパー同士の諍いと牛肉を掛けた古典的な言葉遊び。「俺と揉めても無駄だから、牛肉でも食ってろ」という皮肉。
I'm milkin' this ho, this is my show, Tical!
俺はこのビッチ(業界)から乳(金)を搾り取ってるんだ、これは俺のショウだぜ、ティカル!
※「milk」は搾取する、最大限に利益を得ること。「Tical」はMethod Manの別名であり、彼が愛好していた上質なマリファナに由来するスラング(後の彼のソロデビューアルバムのタイトルにもなる)。
The FUCK you wanna do for this mic piece, duke?
このマイク(ピース)を奪うために、てめえはどうしたいって言うんだ、公爵(デューク)気取りの野郎?
※「duke」は相手を見下して呼ぶ時のスラング(偽物の貴族)。
I'm like a sniper, hyper off the ginseng root
俺は高麗人参(ジンセン・ルート)をキメてハイになったスナイパーみたいだぜ
※カンフー映画などでおなじみの漢方薬「高麗人参」で精力を増強し、スナイパーのように遠距離から正確にライムを撃ち込むという、Wu-Tangならではの東洋趣味とストリートの暴力の融合。
P.L.O. Style, buddha monks with the owls
P.L.O.スタイル、フクロウを従えた仏教の僧侶(ブッダ・モンク)たちさ
※「P.L.O.」はパレスチナ解放機構のことで、ゲリラ的で戦闘的なスタイルの比喩。「buddha monks」は「ブッダ(極上の大麻)」を吸う僧侶たち。スタテンアイランドの夜の闇(owls=フクロウ)に潜む武装した東洋の修行僧という、情報量の多すぎるサイケデリックなイメージ。
Now, who's the fuckin' man? Meth-Tical
さあ、最強の男は誰だ? メス・ティカルさ
※自身の別名を高らかに宣言してヴァースを終える。
[Break: Method Man & (Inspectah Deck)]
On the chessbox
チェスボックスの上で
※Wu-Tangのメンバーはチェスを愛好しており、ラップの知的な戦略戦やストリートの抗争をチェスの盤面(chessbox)に見立てている。
"Wu-Tang style"
"ウータン・スタイル"
※映画からのサンプリング音声。
(Yo, yeah, yo)
(ヨォ、イェア、ヨォ)
[Verse 3: Inspectah Deck]
I leave the mic in body bags
俺はマイクを死体袋(ボディバッグ)にブチ込んでやる
※Inspectah Deck(Rebel INS)の登場。マイクそのものを破壊するほどの殺人的なラップスキルを、死体袋という残酷なイメージで表現している。
My rap style has the force to leave you lost like the Tribe of Shabazz
俺のラップスタイルは、お前を「シャバズ族」みたいに迷子にさせるフォースを持ってるんだ
※「Tribe of Shabazz」は、Nation of Islamの教義に登場する、アフリカから離れて世界中に散らばったとされる黒人の古代部族。敵のMCが俺の高度なラップを聴いて、自分のルーツや立ち位置を見失ってしまう(lost)という宗教的・歴史的なディープな比喩。
Murderous material made by a madman
狂人(マッドマン)によって作られた殺人的なマテリアル(素材・曲)だ
※緻密なライムを構築するDeck自身の技術を、狂った科学者が致死性の兵器を開発する様に例えている。
It's the mic wrecker, Inspectah, bad man
マイクの破壊者、インスペクター、悪党のお出ましだ
※自身の名前(Inspectah Deck)の自己紹介。
From the bad lands of the Killa
殺人鬼(キラー)の棲むバッドランド(荒野)からやってきた
※スタテンアイランドの過酷なスラム街を無法地帯に例えている。「Killa」はGhostface KillahやMasta Killaなど、メンバーの名前に多用される言葉。
Rap fanatic, representin' with the skill that's iller
ラップの狂信者、誰よりも病んだ(最高な)スキルでレペゼンするぜ
※「ill」は病気だが、ヒップホップでは「最高にドープ、ヤバい」という最高の褒め言葉。
Dare to compare, get pierced just like your ear
あえて俺と比較しようってのか、ならお前の耳みたいにピアス穴を開けてやるよ
※俺とスキルを比べようとする身の程知らずは、耳にピアスを開けるように身体に風穴(銃弾)を開けられるという警告。
The Shooby Doo-Wop pop, strictly hardware
シュービー・ドゥーワップ・ポップ、完全にハードウェア(武器)だぜ
※「Shooby Doo-Wop」は50〜60年代のR&B・ドゥーワップのコーラスフレーズ。「pop」は銃を撃つ擬音。軽快でリズミカルな音楽のように、スムーズに銃(hardware)を連射するという冷酷なライン。
Armed and geared 'cause I just broke out the prison
武装し、ギアを身につけてるぜ、俺はムショを脱獄したばかりだからな
※社会からの抑圧(刑務所)を打ち破り、ヒップホップシーンという戦場にフル装備で乗り込んできたというハングリー精神。
Charged by the system for murderin' the rhythm
リズムを殺した(乗りこなした)罪で、システム(警察・体制)に起訴されてるんだ
※「charge」は罪に問われること。自身のラップスキルの高さが、法で裁かれるほどの破壊的な犯罪行為(ビート殺し)であるという比喩。
Now, lo and behold another deadly episode
さあ、見よ、次なる致命的なエピソードの幕開けだ
※「lo and behold」は「見よ、驚くなかれ」という古い言い回し。ドラマの次回予告のような演出。
Bound to catch another fuckin' charge when I explode!
俺が爆発した時、また新たなクソみたいな罪を着せられることは確実だぜ!
※スキルを爆発(explode)させれば、さらにシステムから危険視される(前科が増える)というアウトローとしての矜持を見せてヴァースを締める。
[Verse 4: Ghostface Killah]
Slammin' a hype-ass verse 'til your head burst
お前の頭が破裂するまで、この超ハイプなヴァースを叩きつけるぜ
※Ghostface Killahの登場。前のめりで感情的なフロウが特徴的。
I ramshack dead in the track, and that's that!
俺はこのトラックのど真ん中(デッド)を家探し(ラムシャック)して荒らす、それで終わりだ!
※「ramshack」はramshackle(ガタガタにする)またはransack(強盗に入る)の変形。ビートを完全に制圧し、全てを奪い尽くすという宣言。
Rap assassin, fast and quick to blast in hard rock
ラップの暗殺者、素早く迅速に、ハードな岩(ハードコアな奴)を爆破する
※「hard rock」はタフガイを気取るフェイクなラッパーのこと。彼らの虚勢を一瞬で打ち砕くスキルの速さ。
I ran up in spots like Fort Knox
フォート・ノックスみたいに厳重な場所にも押し入るぜ
※「Fort Knox」はアメリカの金塊保管庫があり、世界で最も警備が厳重とされる陸軍基地。どんなにディフェンスが硬い敵の陣地(クラブやチャート)でも簡単に侵入し、金(成功)を強奪するという比喩。
I'm hot! Top notch, Ghost thinks with logic
俺は熱いぜ! 最高峰(トップ・ノッチ)だ、ゴーストは論理(ロジック)で思考する
※感情的に叫んでいるように見えて、実はその裏に綿密な計算と論理(ハスラーとしての知恵)があるという主張。
Flashbacks how I attacked your whole project
俺がお前らのプロジェクト(公営住宅)全体をどう襲撃したか、フラッシュバックするだろ
※「project」は低所得者向け公営住宅。過去のストリートでの抗争や強盗のトラウマを敵に思い出させる脅迫。
I'm raw! I'm rugged and raw! I repeat
俺はロウ(生)だ! ラギッドでロウだ! 繰り返すぜ
※洗練されていない、剥き出しの荒々しさこそがGhostfaceの真骨頂。
If I die, my seed'll be ill like me
もし俺が死んでも、俺の種(子供)が俺みたいに病んだ(最高な)奴になるさ
※「seed」は自分の子供、または後継者のこと。自身のレガシーが血脈を通して永遠に受け継がれるという、ギャングスタ特有の死生観。
Approachin' me? Yo, outta respect, chops to neck
俺に近づいてくるのか? ヨォ、リスペクトを欠いたら、首にチョップをお見舞いするぜ
※カンフーの「空手チョップ」と、銃撃(chopper=AK-47などの自動小銃)を掛けた言葉遊び。
I get vexed like crashin' up a phat-ass Lex
超イカしたレクサスを大破させた時みたいに、激しくイラつく(ベックス)んだよ
※「Lex」は高級車レクサス。ハスラーの成功の象徴である愛車を事故でパーにした時の、怒髪天を突くような理不尽な怒りをラップのエネルギーに変換している。
So, clear the way! Make way! Yo! Open the cage!
だから、道を空けろ! どきな! ヨォ! 檻を開けろ!
※野獣(Ghostface自身)が檻から解き放たれる直前の警告。
Peace, I'm out, jettin' like a runaway slave
ピース、俺は行くぜ、逃亡奴隷(ランナウェイ・スレイヴ)みたいに一目散にな
※「jet」は逃げる、急いで去ること。命懸けで南部から逃げ出した黒人奴隷の歴史的な切迫感を引き合いに出し、圧倒的なスピードでシーンを駆け抜ける様を表現して退場する。
[Verse 5: RZA]
You gettin' stripped from your garments, boy, run your jewels
お前は服をひん剥かれるんだ、坊や、お前の宝石(ジュエル)を渡しな
※RZAの登場。Verse 1のRaekwonの「W-U-T-A-N-G」の解釈(服を奪う)を継承し、ストリートの強盗(run your jewels=金目のものを出せ)をラップバトルに持ち込む。
All the meth got me open like Fallopian tubes
大量のメス(マリファナ)のせいで、俺の頭は卵管(ファロピアン・チューブ)みたいにパックリ開いちまってるぜ
※「meth」はMethod Manが巻いた大麻。「open」は薬物で思考が拡張(ハイ)になることだが、それを女性の「卵管」という極めて解剖学的でグロテスクな生殖器のメタファーで表現するRZAの異常な言語感覚。彼のリリックの変態性が最も表れているパンチラインの一つ。
I bring death to a snake when he least expect
蛇(裏切り者)が全く予期していない時に、俺は死をもたらす
※「snake」はストリートにおける密告者や裏切り者。背後から音もなく暗殺する忍者のようなスタイル。
Ain't a damn thing changed, boy, Protect Ya Neck!
クソみたいな事は何一つ変わっちゃいねえ、坊や、自分の首を守りな!(プロテクト・ヤ・ネック)
※彼らのデビューシングルのタイトル『Protect Ya Neck』を引用。ストリートの過酷な現実は昔も今も変わらないという戒め。
Ruler Zig-Zag-Zig Allah, jam is fatal
支配者ジグ・ザグ・ジグ・アラー、このジャム(曲)は致命的だぜ
※「Zig-Zag-Zig Allah」はRZAの名前の由来。Supreme Mathematics(Five Percent Nationの数秘術)において、Zは「Zig-Zag-Zig(知識・知恵・理解、または建設から破壊へのジグザグな過程)」を意味し、Aは「Allah(神=黒人男性)」を意味する。
Quick to stick my Wu-Tang sword right through your navel
素早く俺のウータンの剣を、お前のヘソ(ネイブル)のど真ん中に突き刺す
※カンフーの切腹や急所突きを思わせる物理的な攻撃の描写。
Suspenseful force bein' brought through my utensil
俺の道具(ユテンシル)を通して、サスペンスに満ちたフォースがもたらされる
※「utensil」は通常、キッチン用品やスプーンなどを指すが、ここでは次の行に繋がる「ペン」のこと。
The pencil, I bring strong winds up against you
そのペンシル(鉛筆)さ、俺はお前に向かって強烈な風を巻き起こす
※前行の「道具」の正体は、リリックを書くための「鉛筆(剣よりも強し)」。そのペンから生み出される言葉が、暴風となって敵を吹き飛ばす。
Havoc, then run through your county like the Maverick
大惨事(ハヴォック)を引き起こし、マーベリックみたいにお前の郡(カウンティ)を駆け抜ける
※「Maverick」は異端児、または空対地ミサイル(AGM-65 Maverick)、あるいはテキサスの牛(刻印のない放れ牛)のこと。ミサイルのように敵の陣地を破壊し尽くすという比喩。
Caps through the tablets, I gots to make the fabrics
石版(タブレット)に大文字(キャップス)を刻み込み、俺は織物(ファブリック)を作らなきゃならねえ
※「Caps」は銃弾(bust caps)と大文字(Capital letters)のダブルミーニング。「tablets」はモーセの十戒のような石版、または薬の錠剤。「fabrics」は札束(紙幣は布でできている)、または自分たちの服(Garments=アパレル展開などのビジネスの構築)。「歴史に名を刻み、音楽で大金を稼いで俺たちの帝国(組織構造)を織り上げる」というRZAの壮大なマスタープランを暗示している。
[Break]
"Wu-Tang Style"
"ウータン・スタイル"
[Verse 6: Ol' Dirty Bastard]
A-a-a-ah-ah, are you a warrior, killer? Slicin' shit like a samurai?
ア・ア・ア・アー・ア、お前は戦士か? 殺し屋か? サムライみたいにクソどもを切り裂くのか?
※Ol' Dirty Bastard(ODB)の登場。奇怪な叫び声と共に、東洋の武士道精神を狂気的に解釈して敵を挑発する。
The Ol' Dirty Bastard from the bar!
バーからやってきたオール・ダーティ・バスタードだ!
※酒場で泥酔して暴れ回る酔拳の使い手のようなイメージ。
Ol' Dirty clan of terrorists
古くて汚い、テロリストのクラン(一族)だ
※音楽業界の常識を破壊するテロリスト集団としてのWu-Tang。
Comin' at your ass like a sorceress, shootin' that piss!
魔女(ソーサレス)みたいにお前のケツに襲い掛かり、その小便をブッ放すぜ!
※「sorceress」の魔法の呪いと、「piss(小便)」という下品な言葉を組み合わせる、ODBにしか許されない支離滅裂でスカトロジカルなパンチライン。
Niggas be gettin' on my fuckin' nerves
野郎共、俺のクソ神経を逆撫でしてきやがる
※フェイクなラッパーたちに対する苛立ち。
Rhymes they be kickin' make me wanna kick they fuckin' ass to the curb
あいつらがキックする(蹴る)ライムを聴いてると、あいつらのクソみたいなケツを縁石(カーブ)まで蹴り飛ばしたくなるぜ
※「kick rhymes」と「kick ass(ケツを蹴る)」の言葉遊び。映画『アメリカン・ヒストリーX』などで見られる「カーブ・ストンプ(縁石に顎を乗せさせて踏みつける処刑法)」を思わせる暴力的な表現。
Boy got funky fresh like the Old Specialist
少年は「オールド・スペシャリスト」みたいにファンキーでフレッシュになった
※ヒップホップ黎明期のオールドスクールなバイブスを保ち続けているという主張。
A carrier, messenger, bury ya
運び屋、メッセンジャー、お前を埋葬(ベリー)してやるよ
※メッセージを伝える使者であると同時に、敵を墓場へ運ぶ葬儀屋でもある。
This experience is for the whole experience
この経験は、全体の経験のためのものだ
※一見すると意味不明な同語反復だが、ODBのラップのバイブスそのものを体感すること(経験)が、宇宙的・全体的な悟り(経験)に繋がるというサイケデリックな思想。
Let it be applied, Unique, drop that science!
それを適用させろ、「ユニーク」、そのサイエンス(知識)を落としてやれ!
※「Unique」はWu-Tangのメンバー「U-God」の別名(Golden Arms / Baby U / Unique Ason等)。彼に向けてのシャウトアウトとも取れるが、次のGZAへのパスの合図、あるいは単に「独自の(Uniqueな)知識を披露しろ」という意味にも解釈できる。Five Percent Nationにおいて「drop science」は真実の知識を語ることを意味する。
[Verse 7: GZA]
My-My-My-My clan is thick like plaster, bust ya, slash ya
俺の、俺の、俺の、俺のクランは漆喰(プラスター)みたいに分厚いぜ、お前をブチのめし、切り裂く
※グループの頭脳、GZA(The Genius)によるラストヴァース。9人という大所帯の結束力(thick)を、壁を塗り固める漆喰に例えている。
Slit a nigga back like a Dutch Master Killer
ダッチ・マスター・キラーみたいに、野郎の背中を切り裂く
※「Dutch Master」は当時のラッパーたちが大麻を巻くために中身を抜いて使っていた定番の葉巻の銘柄。「葉巻の背中(縦)をカッターで切り裂く(slit)」動作を、人間の背中を切り裂く殺人に例えた強烈なメタファー。「Killer」は映画『The Killer』やWu-Tangのメンバー名に呼応している。
Style jumped off in Killah Hilla
スタイルはキラー・ヒルから飛び出したんだ
※「Killah Hilla」はスタテンアイランドの「パークヒル・プロジェクト(Park Hill)」。彼らのルーツであり、犯罪多発地帯であったことからキラー・ヒルと呼ばれていた。
I was the thriller in the Ali-Frazier Manila
俺は「マニラでのアリ対フレージャー」におけるスリラーだった
※1975年にフィリピンのマニラで行われた、モハメド・アリとジョー・フレージャーによるボクシング史に残る伝説の死闘「スリラー・イン・マニラ(Thrilla in Manila)」。自身のラップが、その歴史的激闘の中心にいるかのような興奮と破壊力を持っているという比喩。
I came down with phat tracks that combine and interlock
俺は結合し、噛み合う(インターロック)最高なトラックと共に降り立った
※Wu-Tangの9人の異なる個性が、RZAのビート上で完璧なパズルのように噛み合っている(interlock)状態。
Like gettin' smashed by a cinder block
シンダー・ブロック(コンクリート・ブロック)で叩き潰されるみたいにな
※前行の「結合して固まる」という言葉遊びから、固まったコンクリートブロックで敵の頭を粉砕するという物理的暴力へのスムーズな移行。
PAOW! Now it's all over
パウ!(銃声) これで全テは終わりだ
※銃声の擬音と共に、敵のMCに止めを刺す。
Niggas seein' pink hearts, yellow moons, orange stars and green clovers
野郎共は、ピンクのハート、黄色い月、オレンジの星、緑のクローバーを見てるぜ
※アメリカの子供向け定番シリアル「Lucky Charms(ラッキーチャーム)」に入っているカラフルなマシュマロの形をそのまま羅列している。GZAにコンクリートブロックで頭を殴られた敵が、アメリカのアニメ(『トムとジェリー』等)のように、頭の周りを「カラフルな星やハートがピヨピヨと飛んでいる(脳震盪を起こしている)」状態を、シリアルの具材でユーモラスかつ残酷に表現した、ヒップホップ史に残るGZAの天才的なパンチライン。このシュールな情景描写で楽曲は唐突に幕を閉じる。
