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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

EdEddnEddy - JID 【和訳・解説】

Artist: JID

Album: The Never Story

Song Title: EdEddnEddy

概要

本作「EdEddnEddy」は、JIDのデビューアルバム『The Never Story』に収録された、90年代〜ゼロ年代のポップカルチャーへの愛とフッドの日常が交差するチルな一曲だ。タイトルの由来はCartoon Networkのカートゥーンアニメ『エド エッド エディ』であり、三人の悪ガキが巨大な飴玉を買うために小遣い稼ぎに奔走する姿を、JID自身と地元の仲間(Spillage Villageの同胞EarthGangなど)のハッスルに重ね合わせている。プロデューサーのHollywood JBによるレイドバックしたジャズ・ラップ調のビートに乗せ、大麻の吸いすぎで密売の売上を使い込んでしまうストリートのリアルな失敗談や、ドラッグのダウナーな影響を、アニメやシットコムの無邪気なメタファーでコーティングするJIDの卓越したソングライティング能力が光る小品である。

和訳

[Skit]

Nah, bruh (Huh?)
いや、兄弟(あぁ?)
※曲の冒頭は、アトランタのストリートでの仲間たちとの他愛ない会話(スキット)から始まる。

What you talking 'bout, homes?
何言ってんだよ、ホームズ?
※「homes」は「homie」と同様に地元の親しい仲間を指すスラング。

Ayy, ayy, nigga, Snapchat niggas twisted up real tight
おい、Snapchatで繋がってるダチども、バッチリキマッてるぜ
※「twisted up」は大麻を巻く(吸ってハイになる)状態。「real tight」は完璧に、ガッツリと、の意。

I'm with my motherfucking brothers, nigga (Hahahahah)
俺は今、最高の兄弟たちと一緒にいるんだよ(ハハハハ)
※曲のテーマである「仲間との強い絆」を示唆する和やかな雰囲気。

They was representing for Trump tight
あいつら「トランプ・タイト」をレペゼンしてたんだ
※「Trump tight」は80〜90年代からヒップホップやハッスラーの間で使われるスラングで「隙がない」「完璧だ」「義理堅い」といった意味。トランプのカードゲームで最強の手札を持っている状態が語源であり、ドナルド・トランプの政治的意味合いとは無関係である。

But we in this motherfucker real tight
でも俺たちもこの場所で、マジでガッチリ結束してるぜ
※「tight」を繰り返し、クルーの絆の強さを強調している。

Nigga, ain't left, everything right
誰も離れちゃいねぇ、すべて順調(ライト)さ
※「left(去る/左)」と「right(順調/右)」をかけた言葉遊び。

Nigga, I'm tight!
俺はバッチリだぜ!
※ハイになっている状態と、気分が最高である状態の両方を指す。

Nigga, fuck you talkin' about?
マジで何言ってんだよ?
※仲間同士のじゃれ合い。

Bars forever, nigga!
ヤバいラップ(バース)は永遠だぜ!
※「Bars」は高度なリリックやラップのスキルを指す。ここから本編のラップへと突入していく。

[Intro]

Bars, bars
バース、バース
※スキットのテンションを引き継ぎ、自らのリリシズムを見せつける準備をする。

Me and my two, okay
俺と2人のダチ、オーケー
※JIDと2人の親友(合計3人)という構成を提示。

Me and my two, alright, me and my—, okay
俺と2人のダチ、オーライ、俺と俺の…オーケー
※ビートにノリながらフロウのタイミングを測っている。

[Verse]

Me and my two niggas, we like Ed, Edd 'n' Eddy
俺と2人のダチ、まるで『エド エッド エディ』みたいにな
※Cartoon Networkの代表的なアニメ作品(1999〜2009年放送)からの引用。名前の似た3人の少年(エド、エッド、エディ)が「ジョウブレイカー(巨大なアメ玉)」を買うため、近所の子供たちから小銭を巻き上げようとドタバタ劇を繰り広げる物語。フッドで小銭を稼ごうとするJIDと仲間たちのハッスルを、このアニメの悪ガキ3人組に重ね合わせている。Spillage Village(JIDの所属クルー)のEarthGangの2人(OluとWowGr8)を指しているという考察もGenius等で有力視されている。

I'm Zack, you AC, that Jessie and Kelly
俺がザックなら、お前はAC、あいつはジェシーで、そっちはケリーだ
※アメリカの国民的青春シットコム『Saved by the Bell(セーブド・バイ・ザ・ベル)』(1989〜1993年放送)の主要キャラクターたち(ザック・モリス、A.C.スレーター、ジェシー・スパノ、ケリー・カポウスキ)を引き合いに出している。アニメだけでなく、彼らが育ってきた時代のTV番組のメタファーを連続させ、仲間とのスクールカースト的な立ち位置やワチャワチャした関係性をノスタルジックに描写している。

I pull up to your hood, just let me know when you ready
お前のフッドに車で乗り込むぜ、準備ができたら教えてくれ
※これから仲間とつるんでストリートへ繰り出す日常の1コマ。

I'm rolling up this dub, finna face it, beheaded, mm-hmm
このダブ(20ドル分のウィード)を巻いて、一人で吸い尽くしてやる、首を刎ねるみたいにな、フーム
※「dub」は20ドル分のストリートサイズの大麻。「face a blunt」は「ブラントを一人で全部吸う(回し吸いしない)」というスラング。「face(顔・向かい合う)」という言葉から、「首を刎ねる(beheaded=頭をなくす=激しくハイになって意識を飛ばす)」という猟奇的かつユーモラスなワードプレイを展開している。

Hold on, chill out, please give me a second
待てよ、落ち着け、ちょっと時間をくれ
※クスリが効きすぎて、ペースが乱れている様子。

I'm drowsy off a Xan, nigga, legs is spaghetti
ザナックスのせいで眠てぇんだ、脚はスパゲッティみたいに力が入らねぇ
※「Xan」は抗不安薬Xanax(ザナックス)のことで、当時のヒップホップシーンで蔓延していたダウナー系ドラッグ。「legs is spaghetti」はEminemの名曲「Lose Yourself」の有名なライン(His palms are sweaty, knees weak, arms are heavy / There's vomit on his sweater already, mom's spaghetti)へのオマージュ。エミネムが極度の緊張で足元が震える様を描いたのに対し、JIDは薬物による身体の極度な脱力を表現している。

Cut all of the bullshit, nigga, chop the confetti
くだらねぇクソ事(ブルシット)は全部切り捨てろ、コンフェッティ(札束/大麻)を切り刻むんだ
※「confetti(紙吹雪)」は細かく砕いた大麻(ウィード)、あるいは「紙=お金(札束)」を指すスラング。無駄な揉め事は避けて、ハッスルして金を稼ごう(あるいは大麻を楽しもう)という意識の表れ。

You ready? I'm ready, you ready? I'm ready, uh, alright
準備はいいか? 俺はできてる。お前はどうだ? 俺は万端だ、オーライ
※仲間とのコール&レスポンス。アニメの主人公たちが企みを開始する時の合図のような軽快なフロウ。

Never sell weed 'cause I smoke it too much
俺は絶対にウィードを売っちゃダメだ、自分で吸いすぎちまうからな
※ストリートのハッスラーとしては致命的な欠陥。The Notorious B.I.G.が「Ten Crack Commandments(麻薬密売の10の掟)」で提唱した「掟の第4条:自分の商品を吸うな(Never get high on your own supply)」を完全に破っているという自己批判的なジョークである。

I fuck up the pack, I don't fuck with the sack
仕入れたパックを台無しにしちまう、サック(袋)の扱いがなってねぇんだよ
※「pack」は売り物の大麻のまとまった塊、「sack」は小分けにする袋。売るための在庫を自分で消費してしまい、ビジネスを破綻させている。

And I mean the bread come quick
金(ブレッド)はすぐに手に入るはずだったのに
※「bread」はお金のこと。本来なら大麻を捌いて手っ取り早く儲けるはずだった計画が、自分の欲のせいで狂ってしまった。

He told me bring him three hundred
元締めの奴は「300ドル持ってこい」って言ったんだ
※大麻を供給してくれた売人(プラグ)に払わなければならない卸売の代金。

I brought him excuses and like two hundred and something
俺が奴に持っていったのは、言い訳と「200ドルちょい」だった
※吸い込んで足りなくなった分の売上を誤魔化すため、言い訳を並べて一部しか払えなかったストリートでの情けない失敗談。アニメ『エド エッド エディ』の主人公たちが詐欺に失敗して怒られるようなコミカルな情景と、一歩間違えれば暴力沙汰になるゲットーのリアルが同居している。

I mean, most of y'all niggas love drugs like me
つまりさ、お前らの大半も俺と同じようにドラッグを愛してるだろ
※自分の失敗を棚に上げ、リスナーや周囲の人間も同じ穴の狢(むじな)だと巻き込んでいる。

Love me like drugs, bitch, I might be
俺のことをドラッグみたいに愛してくれよ、ビッチ、俺はヤバいかもしれないぜ
※自身の音楽やラップスキルそのものが、リスナーにとって中毒性のあるドラッグ(I might be = 俺自身がドラッグそのもの)になり得るという比喩。

Yo' love light bulb, turn on lights, please
お前の愛の電球、その明かりを点けてくれよ
※ドラッグによる陶酔感や女性からの愛情を、暗闇を照らす電球(閃きや温もり)に例えている。「カートゥーンアニメでキャラクターが名案を思いついた時に頭上に光る電球」という、『エド エッド エディ』の世界観に合わせた見事な比喩でもある。

Turn off your cool, I mean, I might freeze
その「クールさ(冷たさ)」は消してくれ、俺が凍えちまうかもしれないからな
※「cool」には「かっこいい/落ち着いている」と「冷たい」のダブルミーニングがある。相手の冷たい態度(あるいはクーラー)のせいで凍えそうだから、もっと熱烈に愛してくれというユーモアのある口説き文句。

I mean hold on, relax, please give me a chance
いや待てよ、落ち着けって、俺にチャンスをくれよ
※会話のテンポが速くなり、薬効もあって相手の言葉を処理しきれなくなっている様子。

I was moving too fast, I ain't hear what you said
ちょっとペースが速すぎたな、お前が何て言ったか聞こえなかったぜ
※ドラッグのダウナーな効果で意識が朦朧とし、現実のコミュニケーションからフェードアウトしていく。

We was celebrating life, tryna get to the 'fetti
俺たちは人生を謳歌してたんだ、金(フェティ)を手に入れようとしながらな
※「'fetti」は「confetti(紙吹雪=お札)」から派生した金(Paper/Money)を意味するスラング(ベイエリアのラッパーたちがよく用いる)。ただ遊んでいるだけでなく、常にハッスルして抜け出そうとしているストリートの若者たちのリアル。

But me and my two niggas, we like Ed, Edd 'n' Eddy, damn
でも俺と2人のダチは、やっぱり『エド エッド エディ』みたいな悪ガキ3人組なんだよな、くそっ
※どれだけカッコつけても、結局はドジを踏んだりクスリで失敗したりする、憎めないフッドの悪ガキたちであるという自己肯定感に満ちた着地。

[Outro]

Ed, Edd 'n' Eddy (Ayy), Ed, Edd 'n' Eddy (Uh)
エド、エッド、エディ(Ayy)、エド、エッド、エディ(Uh)
※アウトロではタイトルのフレーズが呪文のように繰り返され、レイドバックしたビートとともにノスタルジックな余韻を残す。

Me and my two niggas be like Ed, Edd 'n' Eddy (Be like)
俺と2人のダチは、まるでエド、エッド、エディみたいにな
※(※注釈:以降、フックの繰り返し)

Ed, Edd 'n' Eddy (Uh), Ed, Edd 'n' Eddy (Yeah)
エド、エッド、エディ(Uh)、エド、エッド、エディ(Yeah)

Me and my two niggas be like Ed, Edd 'n' Eddy
俺と2人のダチは、まるでエド、エッド、エディみたいにな

Nigga, Ed, Edd 'n' Eddy, Ed, Edd 'n' Eddy
なぁ、エド、エッド、エディ、エド、エッド、エディ

Me and my two niggas be like Ed, Edd 'n' Eddy
俺と2人のダチは、まるでエド、エッド、エディみたいにな

Ed, Edd 'n' Eddy, Ed, Edd 'n' Eddy
エド、エッド、エディ、エド、エッド、エディ

Me and my two niggas be like Ed, Edd 'n' Eddy, damn
俺と2人のダチは、まるでエド、エッド、エディみたいな悪ガキどもさ、最高だぜ