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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Nobody Knows My Struggle - Future & Metro Boomin 【和訳・解説】

Artist: Future & Metro Boomin

Album: WE STILL DON’T TRUST YOU

Song Title: Nobody Knows My Struggle

概要

本作「Nobody Knows My Struggle」は、前曲「#1 (Intro)」からシームレスに繋がる『WE STILL DON'T TRUST YOU』Disc 2の実質的なオープニング・トラックである。Metro BoominとSouthsideによる不穏なビートの上で、Futureは現在の頂点に立つまでの凄惨なハッスル(コカイン密売やフッドでの過酷なサバイバル)を回顧し、「誰も俺の本当の苦労(Struggle)など知らない」と孤独を吐露する。Drakeとの決別や業界の人間不信が渦巻く中、ストリートの最底辺から富と名声の頂点(ドバイのヨットやハイブランド)へと駆け上がった自身の軌跡を誇示しつつ、その過程で失った純粋さや癒えないトラウマを浮き彫りにした、冷徹かつエモーショナルなバンガーだ。

和訳

[Intro]

(I knew we couldn't trust him)
(あいつを信用できないって分かってたさ)
※アルバムのテーマである「不信感」を象徴するフレーズ。文脈的にDrakeとのビーフや、業界内のフェイクな人間関係を指していると考察される。

Don't nobody know my struggle, don't nobody know my struggle
俺の苦労なんて誰にも分からねえ、誰も俺のストラグルを知らねえんだ

(This beat is so, so Metro)
(このビート、マジでメトロって感じだ)

(Southside, Southside, Southside)
(サウスサイド、サウスサイド、サウスサイド)

It really hurt me to say it (haey ,kcart eht no edishtuoS)
これを口にするのはマジで心が痛むんだがな(サウスサイド・オン・ザ・トラック、イェー)
※前曲「#1 (Intro)」からのCharlamagne Tha Godの音声サンプリングの続き。カッコ内はSouthsideのプロデューサータグ「Southside on the track, yeah」が逆再生(リバース)されている。Metro Boominが得意とするダークでサイケデリックな演出。

It really hurt me to say it
マジで認めたくないことなんだが

[Chorus]

Yeah, don't nobody, don't nobody, don't nobody
ああ、誰も、誰も分かっちゃいねえ

Don't nobody, don't nobody, don't nobody
誰も、誰も分かっちゃいねえ

Don't nobody know my struggle
俺のストラグル(苦闘)なんて、誰も知りやしねえんだ
※頂点に立った現在でも、底辺のゲットーから這い上がってきた泥臭い過去の苦悩は、周囲のセレブや後から群がってきた連中には絶対に理解できないという強い断絶感。

[Post-Chorus]

Yeah
ああ

Hasta la vista, baby
アスタ・ラ・ビスタ(地獄で会おうぜ)、ベイビー
※映画『ターミネーター2』のアーノルド・シュワルツェネッガーの有名な決め台詞(スペイン語で「さよなら」の意)。過去の苦労やヘイターたち、あるいはかつての仲間への冷酷な決別宣言。

[Verse 1]

Committed to the gang as a youngster
ガキの頃からギャングに忠誠を誓ってた

Slang cocaine, yeah, nigga gettin' money
コカインを捌いて、ああ、金を稼いでたのさ

Heard you dippin' in a powder bag, feedin' your nostrils
お前は粉(コカイン)の袋に手をつっこんで、鼻から吸い込んでるらしいな

Heard you dippin' in a molly bag 'cause it's popular
流行りだからってモリー(MDMA)の袋にも手を出してるんだろ
※自身が生きるために麻薬を「売って」いたストリートの過去と、現在のラッパーやヘイターたちが単なる遊びや流行りで麻薬を「消費して」いるだけの状況を対比させ、リアルさの違いを浮き彫りにしている。

Dirty jeans nigga, in the trap with my trousers
薄汚れたジーンズ、トラップハウスでズボンをずり下げてたあの頃
※トラップハウス(麻薬の密売所)での下積み時代。

I got money, I got power, heard your daddy was on that powder
今じゃ金も権力もある、お前の親父もあの粉(コカイン)に依存してたって聞いたぜ

Dolce Gabbana, Dolce Gabbana when I was just frontin', when I was just frontin'
ドルチェ&ガッバーナ、ただ見栄を張ってた頃に着てたドルガバさ
※「frontin'」は見栄を張る、虚勢を張ること。金がないのにハイブランドを着て、成功者のふりをしていたハッスラーの初期衝動。

Now we go shoppin', we go out the country
今じゃ俺たちは国外へショッピングに出かける

I'm sittin' on the yacht, the yacht, it look like Dubai
ヨットの上でくつろいでる、ドバイみたいな豪華なヨットでな

These bitches surrounding me like I'm a, uh, act like I'm a god
ビッチどもが俺を取り囲む、俺がまるで神様であるかのように振る舞うんだ

They know I'm that guy, they know that I'm fly, they know that I'm high
俺が「特別な男(That guy)」だって奴らは分かってる、俺が最高にイケてて、ハイにキマってることもな

They know that they fuck with me, gotta be bi, yeah, she gotta be bi
俺とヤリたいなら、バイセクシャルじゃなきゃダメだぜ、ああ、女同士でもヤれる女じゃなきゃな
※複数の女性と同時に遊ぶため、相手の女性にもバイセクシャルであることを求める、Future特有のトキシックな性規範。

You thinkin' I started this shit and then wasn't gon' finish, you gotta be crazy
俺がこのゲームを始めておいて、最後までやり遂げないなんて思ってたなら、お前はどうかしてるぜ

You know that them pistols and peelers, them hustlers, them dealers, you know who done raised me
拳銃やストリッパー、ハッスラーにドラッグディーラーども、誰が俺を育てたか分かってるだろ
※「peelers」は服を脱ぐ者(ストリッパー)のこと。アトランタのストリートやストリップクラブの過酷な生態系が彼の人格とキャリアを形成した。

Ayy, they say that them feds, they comin' through sweepin', they tryna put all us in cages
サツ(連邦捜査局)が俺たちを一掃しに来るって噂だ、俺たち全員を檻にぶち込もうとしてる
※YSL(Young Thugのレーベル)のRICO法による大規模逮捕など、アトランタのヒップホップコミュニティを狙い撃ちにする警察・司法の脅威を描写している。

Once that I finally made it, mama, I finally made it
俺はようやく成功を掴んだんだ、ママ、ついにやり遂げたんだよ
※過酷なストリートからの脱出と、母親への報告。ハードコアなバースの最後に覗く、無垢でエモーショナルな瞬間。

[Chorus]

Yeah, don't nobody, don't nobody, don't nobody
ああ、誰も、誰も分かっちゃいねえ

Don't nobody, don't nobody, don't nobody
誰も、誰も分かっちゃいねえ

Don't nobody know my struggle
俺のストラグルなんて、誰も知りやしねえんだ

[Post-Chorus]

(Trust me)
(俺を信じろ)

Yeah
ああ

Hasta la vista, baby
アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー

[Verse 2]

My crack is in the bushes 'fore I learned to cook it (Yeah, yeah)
コカインの精製(クック)を覚える前は、茂みにクラックを隠してたな
※警察のガサ入れや強盗からドラッグを守るため、ストリートの茂みに隠していたディーラー初期の生々しい記憶。

Before I learned to cook it, bought a couple cookies (Whip)
クックのやり方を覚える前は、クッキー(クラックの塊)をいくつか買ってたのさ(混ぜろ)
※「cookie」は精製されてクッキー状に固まったクラック・コカインのこと。

I bought a brand new Bentley, it was fully loaded (Skrrt)
ピカピカのベントレーを買ったぜ、フルオプション仕様(フル装填)のやつをな(スキール音)

You shootin' a hundred rounds, you gotta unload it (Brrat, brrat)
100発の弾を撃ち込むなら、全弾ブッ放さなきゃならねえ(ブラット、ブラット)
※「fully loaded」の車のオプションと、銃の「装填(loaded)」「発砲(unload)」を掛けたワードプレイ。

Back in the dope hole, I'm goin' mad evil
昔のドープ・ホール(麻薬窟)に戻れば、俺は最高に邪悪(イービル)な男になる

Servin' that base and that boy, they shootin' up with that needle (Woo)
ベース(クラック)とボーイ(ヘロイン)を捌く、ジャンキーどもが注射器(ニードル)でそれを打ち込んでる(ウー)
※「base」はフリーベース(クラック)、「boy」はヘロインのストリート・スラング(対してコカインは「girl」と呼ばれる)。

I'll shoot you myself like you got diabetes (Woo)
お前が糖尿病患者かのように、俺自身の手で「注射(銃撃)」してやるよ(ウー)
※インスリン注射が必要な糖尿病(diabetes)と、銃で撃つ(shoot)ことを掛けた残酷で秀逸なパンチライン。

I know that you need it, so I'ma give it to you (Rrr)
お前がソレを必要としてるのは分かってる、だから俺がくれてやるよ(ルルル)
※ドラッグを求めるジャンキーへの供給と、銃弾を喰らわすことのダブルミーニング。

You know that I'm leanin', so nigga, give it to me
俺がリーンでキマってるのは知ってるだろ、だからソレを俺に寄越せ

I got my Actavis raw and it's uncut (Pour up)
アクタヴィスの原液を持ってるぜ、何も混ぜてない純度100%のやつをな(注げ)
※「Actavis」は最も人気があり、現在では製造中止となり超高額で取引されているプロメタジン・コデイン・シロップの伝説的ブランド。

I'ma to cook up this raw, it was untouched (Whip)
この手付かずの極上(ロウ)なブツを料理してやるよ(混ぜろ)
※音楽(ビート)の制作と、ドラッグの精製(クック)のダブルミーニング。

By the time you see the final cut, it's a movie (Movie)
ファイナル・カット(完成版)を見る頃には、まるで映画(ムービー)になってるぜ

By the time the ho get to you, she a groupie (Freebandz)
その女がお前のところに行く頃には、ただのグルーピーに成り下がってるさ(フリーバンズ)
※Future(やFreebandzのクルー)が散々遊んだ後のお下がりの女を相手にするしかない他の男たちへのディス。

Roc-A-Fella niggas, this shit was Freebandz (The gang)
ロッカフェラの連中みたいにな、俺たちのシノギはフリーバンズだったんだ(ギャング)
※Jay-Zが設立した伝説的レーベル「Roc-A-Fella Records」の強大な影響力と結束力を、自身のレーベル「Freebandz」に重ね合わせている。

As-Salaam-Alaikum, I got my whole clan (Clan)
アッサラーム・アライクム(あなたの上に平安を)、俺には一族(クラン)がついてる
※イスラム教の挨拶。ネイション・オブ・イスラム(NOI)や五パーセント国家など、米国の黒人コミュニティに深く根付くイスラム文化の影響。クルーの結束の強さを示す。

Ethiopian bitches, yeah, they from the motherland
エチオピアのビッチたち、ああ、母なる大地(アフリカ)から来た極上の女さ
※ヒップホップにおいてエチオピアやエリトリアなど東アフリカ系の女性は非常に美人が多いとされ、しばしばステータス・シンボルとしてリリックに登場する。

[Chorus]

Yeah, don't nobody, don't nobody, don't nobody
ああ、誰も、誰も分かっちゃいねえ

Don't nobody, don't nobody, don't nobody
誰も、誰も分かっちゃいねえ

Don't nobody know my struggle
俺のストラグルなんて、誰も知りやしねえんだ

[Post-Chorus]

Yeah
ああ

Hasta la vista, baby
アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー