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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Everyday Hustle - Future, Metro Boomin & Rick Ross 【和訳・解説】

Artist: Future, Metro Boomin & Rick Ross

Album: WE DON'T TRUST YOU

Song Title: Everyday Hustle

概要

本作「Everyday Hustle」は、マイアミの絶対的ボスであるRick Rossを迎えた、ソウルフルかつ重厚なバンガーである。Evie Sandsの「I Can't Let Go」をピッチアップして使用したMetro Boominの哀愁漂うサンプリング・ビート上で、FutureはRick Rossの本名(William)と彼のクラシック「Hustlin'」を引用しながら、自身がトラップで培ってきた日常的なハッスルを重ね合わせる。Rossは自身の巨大な富や、元パートナー(Tia Kemp)との泥沼の争いを赤裸々にラップし、マイアミの伝説的アイコンとしての貫禄を見せつける。さらに特筆すべきは、アルバム全体を貫くMobb Deepの故Prodigyのインタビュー音声がここでもアウトロに配されている点だ。「リアルなフッドではそんなフェイクな音楽は聴かれない」という痛烈な批判は、Drakeらストリート・クレドを持たないラッパーたちへの暗黙の、しかし決定的なディスとして機能しており、Reddit等でも本作の真のテーマとして高く評価されている。

和訳

[Intro: Future]

Everyday hustle like William
ウィリアムみたいに、毎日ハッスルしてるぜ
※【Rick Rossへのシャウトアウト】「William」は客演しているRick Rossの本名(William Leonard Roberts II)。彼の2006年の大ヒット・デビュー曲にしてヒップホップ・アンセム「Hustlin'」の象徴的なフック「Everyday I'm hustlin'」へのリファレンスであり、彼への最大のリスペクトから曲が幕を開ける。

Yeah
イェー
※イントロ。

[Verse 1: Future]

Everyday hustle like William, I'm chargin' a chicken just for the verse, yeah
ウィリアムみたいに毎日ハッスルしてる、俺は1ヴァースにつき「チキン(1キロのコカイン)」を請求するぜ、yeah
※「chicken」はストリートスラングで1キログラムのコカイン、または現金10万ドル(約1500万円)を意味する。自身の客演ギャラがそれほど高額であるというフレックス。

I get in that kitchen, I cook, go to work, I go berserk, yeah
キッチンに入り、クスリを調理して仕事に取り掛かる。狂ったように稼ぐぜ、yeah
※「kitchen」と「cook」は、クラック・コカインの精製と、スタジオでの楽曲制作(クッキング)のダブルミーニング。

Go out and get it, secure the city, can't sink like the Titanic
外に出て掴み取る、この街を完全に手中に収めるんだ。タイタニックみたいに沈むわけにはいかねぇ
※アトランタでの絶対的な支配権の確立。どれほど巨大になっても、油断して破滅(タイタニックの沈没)するようなヘマはしないという宣言。

Bitch know I'm a Freeband bandit
俺がフリーバンズのバンデット(盗賊)だってことは、ビッチも知ってるさ
※Futureが主宰するレーベル「Freebandz」のレペゼン。富を根こそぎ奪い取るストリートの無法者。

This paper comin' to me twenty-four hours, I can't go to sleep
24時間ずっと金(ペーパー)が舞い込んでくる、眠ってる暇なんてねぇよ
※不眠不休のハッスルと、ストリーミングやビジネスから生み出される不労所得の誇示。

I know the power of a dollar, tote fifty rounds at least
1ドルの持つ権力を知ってるぜ、だから最低でも50連マガジンを持ち歩いてる
※貧困を知っているからこそ金の力を誰よりも理解しており、その富を守るため(あるいは奪われないため)に重武装(50 rounds=50発の弾丸)しているというゲットーのパラノイア。

Uh, she know I get money, she know (Know that shit)
Uh、俺が稼いでるってことくらい、あの女も分かってる(分かってるさ)
※自分の富に引き寄せられてくる女性たち。

Soon as I up the score
俺がスコア(稼ぎや敵のキル数)を上げた途端にな
※「up the score」はストリートの抗争で敵を倒して優位に立つこと、あるいは純粋に大金を稼ぐこと。

Just like double O
まるでダブルオー(00)みたいにな
※「double O」はPlayboi Cartiが主宰するレーベル「Opium(00)」へのシャウトアウト、あるいはジェームズ・ボンド(007)のように秘密裏に危険な任務をこなす姿のメタファー。

Stay down with me or let me go
俺についてくるか、それとも俺を自由にしてくれ
※成功への過酷な道程を共に歩む覚悟がない女性には去れという冷徹なスタンス。

Start the whip, I just lay closе
車のエンジンをかけろ、俺はただ身を潜めてる
※「whip」は高級車。追っ手やファンから身を隠し(lay close)、静かに移動するスターの日常。

And start me to whip up the floor
そしてフロアを沸かせる準備をするんだ
※「whip」にはコカインを混ぜる(精製する)意味もあり、クラブを盛り上げることとストリートのハッスルを掛けている。

She with mе, she down like the bros
彼女は俺と一緒だ、まるでダチみたいに忠誠を誓ってくれてる
※「down」はどんな危険な状況でも裏切らない(ride or die)こと。

Holdin' me down like the chosen one
俺が「選ばれし者」であるかのように、俺を支えてくれるんだ
※成功者(The chosen one)である自身を精神的・物理的にサポートする女性。

Early in the morning (Go)
朝の早い時間から(行け)
※時間帯に関係なく続くハッスル。

Late up at night (Go)
深夜の遅い時間まで(行け)
※同上。

Just be precise (Just be precise)
ただ、的確に動けよ(的確にな)
※ストリートのビジネスにおいても音楽においても、ミスは命取りになる。

Got a pack for the flight (Got a pack)
フライトのためにパック(クスリ)を用意したぜ(用意したぜ)
※「pack」は大量のマリファナやドラッグの束。プライベートジェットでの移動中のハイ。

All I took was a nina (All I took)
俺が持っていったのは、9ミリ(ニーナ)だけだ(それだけだ)
※「nina」は9ミリ口径の拳銃。最小限の武装。

I show up in a beamer (I showed up)
俺はビーマー(BMW)で姿を現す(現れるぜ)
※高級車での登場。

Smackin' cougars like Trina (Smackin', smackin')
トリーナみたいな年上のイイ女(クーガー)とヤりまくる(ヤりまくるぜ)
※「cougar」は若い男を好む魅力的な年上女性。「Trina」はマイアミを代表する伝説的フィメールラッパーであり、セックスシンボル。Rick Rossの地元マイアミへのリファレンスでもある。

Water flow, Aquafina (Water)
水の如きフロウ、まるでアクアフィーナだ(水だぜ)
※「Aquafina」はペプシコ社のミネラルウォーターのブランド。自分のラップのフロウが水のように滑らかであり、身につけているダイヤモンド(Water/Ice)が極めて透明度が高いことのダブルミーニング。

Sing to me like Tina (Sing to me)
ティナみたいに俺に歌ってくれ(歌ってくれ)
※伝説的シンガーのティナ・ターナー(Tina Turner)のようにベッドで声を上げる女性の描写。また「Tina」はクリスタルメス(覚醒剤)の隠語でもあり、ドラッグのハイに溺れる意味も含まれる。

Sippin' dope out the liter
1リットルボトルのドープ(リーン)をすすってる
※大量のコデインシロップの摂取。

Meditation off the kush (Kush)
極上のクッシュで瞑想するんだ(クッシュ)
※「kush」は高品質なマリファナ。

Drinkin' Hi-Tech and Trish
ハイテックとトリッシュを飲んでる
※「Hi-Tech」と「Tris (Trish)」は、どちらもパープル・ドランク(リーン)の原料としてトラップで愛飲される処方箋咳止めシロップの人気ブランド。異なるブランドのシロップをちゃんぽんする重度の依存。

New baguette, yo, check the 'fits out
新しいバゲット・ダイヤだ、おい、この服装(フィッツ)を見てみろよ
※「baguette」は長方形にカットされた高級ダイヤモンド。完璧なファッションとジュエリーの誇示。

Soon as the bitch check the Ritz out
ビッチがリッツ・カールトンをチェックアウトした途端にな
※超高級ホテル(Ritz)での密会。

You down or you scared? (Scared)
やる気はあるのか、それともビビってんのか?(ビビってんのか?)
※危険なストリートのライフスタイルについてこれるかどうかのテスト。

I knew she was just 'bout to say it (Just 'bout to say it)
あいつがそう言うってことは、ハナから分かってたさ(分かってたぜ)
※女性の心理を見透かしている。

I break her a lil' bread
俺はあいつに、少しばかりのパン(金)をちぎって分けてやる
※「bread」は現金。

Don't let that shit go to your head
だが、その程度で調子に乗るんじゃねぇぞ
※金を与えても、自分がボスであるという力関係(主導権)は絶対に譲らないという警告。

[Interlude: Rick Ross]

Huh
ハッ
※Rick Ross特有の重低音の唸り声(シグネチャー・アドリブ)。

Biggest
ビゲストだ
※自身の別名「The Biggest Boss」の略。

(Maybach Music)
(マイバッハ・ミュージック)
※Rick Rossのレーベル「Maybach Music Group (MMG)」の象徴的なプロデューサー・タグ。女性の声で囁かれる。

[Verse 2: Rick Ross]

Goin' broke, niggas in a panic
一文無しになって、野郎どもはパニックに陥ってる
※Rick Rossのヴァースの入り。金が尽きて焦るストリートのハスラーたちを冷ややかに見下ろす。

Sellin' dope, nigga send a pallet
ドープを売り捌く、ダチがパレットごと送ってくるぜ
※末端の売人ではなく、フォークリフトで運ぶような「パレット(荷役台)」単位で麻薬を密輸・卸売する巨大なカルテルのボスの視点。

Young killers, city full of talent
若き殺し屋たち、この街は才能で溢れてるな
※マイアミ(あるいはアトランタ)のストリートに蔓延る若く冷酷なギャングたちを、ある種の「才能(talent)」と表現するダークな視座。

You testified, hate to see it happen
お前は法廷で証言(チクリ)しやがった、そんな惨状を見るのは反吐が出るぜ
※「testified」は警察や検察に協力して仲間を売ること。ヒップホップ界で最も忌み嫌われる「スニッチ(密告者)」への強烈な嫌悪。

New bitch, never meet the parents
新しいビッチ、だが親には絶対に会わせねぇ
※遊びの女性とは真剣な関係(家族ぐるみの付き合い)には発展させないというプレイボーイの線引き。

Triple beam, I'ma keep it balanced
トリプル・ビームの秤、俺は常にバランスを保つぜ
※「Triple beam」は麻薬の計量に使われる精密な天秤(トリプルビーム・バランス・スケール)。ドラッグの計量と、人生やビジネスの均衡を保つことを掛けたハスラーの定番フレーズ。

Built a bunker real deep in Tampa
タンパの地下深くに、本物のバンカー(シェルター)を建設したぜ
※「Tampa」はフロリダ州の都市。単なる豪邸ではなく、核攻撃や警察の襲撃に備えた地下シェルターまで所有しているという、コロンビアの麻薬王のようなパラノイアと巨大な資産。

Got two hundred cars, haters screamin', "Damn it"
車を200台所有してる、ヘイター共は「クソッ」って叫んでるよ
※Rick Rossが実際にジョージア州の巨大な敷地(The Promise Land)に数百台のクラシックカーや高級車をコレクションしている事実に基づく究極のフレックス。

Baby mama still the biggest opp
子供の母親(元カノ)が、いまだに俺の最大の敵(オップ)だぜ
※【私生活の暴露】Rossの元パートナーであり子供の母親であるTia Kempのこと。彼女は長年にわたりSNSやポッドキャストでRossを痛烈に批判・暴露し続けており、ストリートのギャングや警察よりも彼女との泥沼の争いの方が厄介だという自嘲的なジョーク。

Team of shooters just to keep it locked
このシマを完全にロックしておくために、シューター(ヒットマン)のチームを雇ってる
※巨大な富を守るための私兵部隊の存在。

Rolls-Royce, you can keep the top
ロールス・ロイス、屋根(トップ)はそのまま残しておいていいぜ
※通常、ラッパーはオープンカー(ドロップトップ)を好むが、重厚なロールス・ロイスの屋根はあえて残し、プライバシーや防弾性を重んじるボスの余裕。

Bag of old money, love to see it rot
古びた現金の詰まったバッグ、そいつが腐っていくのを見るのが大好きなんだ
※「old money」は昔稼いだ金、または代々続く富裕層の財産。金庫に保管した大量の現金が、湿気で文字通り腐敗(rot)していくほど使い切れないという、スケールが狂った金持ちのフレックス。

Yellow bitch, better keep her pampered
イエローのビッチ、彼女は甘やかしておいた方がいい
※「Yellow」は明るい褐色の肌(ライトスキン)の女性。金を使って機嫌をとっておく。

Luther Campbell, I'm the new example
ルーサー・キャンベル、俺が新たな模範(エグザンプル)だ
※【マイアミ・レジェンドへの敬意】「Luther Campbell (Uncle Luke)」はマイアミ・ベースのパイオニア「2 Live Crew」のリーダー。過激な性表現で逮捕されながらも表現の自由のために戦ったマイアミの伝説的アイコン。Rossは自身がその遺志を継ぐ新たなマイアミの象徴だと宣言している。

Metro Boomin, time to cue the sample
Metro Boomin、サンプリングを流す時間だぜ
※プロデューサーであるMetro Boominへの直接の呼びかけ。この曲の基盤となっているソウルフルなボーカル・サンプル(Evie Sands)へのメタ的な言及。

Niggas movin' bricks, then you can use the Phantom
野郎どもがブリック(キロ単位のコカイン)を動かしてるなら、ファントムを使わせてやってもいいぜ
※麻薬密輸で成果を上げた優秀な部下(兵隊)に対する、超高級車ロールスロイス・ファントムの貸与というボスの特権的報酬。

Black jet, I just flew to Texas
真っ黒のプライベートジェット、ちょうどテキサスへ飛んだところだ
※テキサス州(ヒューストンなど)はヒップホップとリーンの聖地。漆黒のジェット機での優雅な移動。

Sippin' Tuss', mama can't accept it
タスをすすってる、お袋は絶対に受け入れてくれないだろうな
※「Tuss'」はTussionex(タシオネックス)、非常に強力で高価な医療用咳止めシロップ(ヒドロコドン配合)のブランド。母親が悲しむと分かっていても、重度のドラッグ依存から抜け出せないリアルな葛藤。

Never seen me on ketamine, but for the real team, I can win a gamble
俺がケタミンをやってる姿は見たことないだろ、だが本物のチームのためなら、俺はギャンブルで勝ちに行けるぜ
※「ketamine(ケタミン)」は近年一部のセレブやテクノ界隈で流行しているパーティードラッグ(馬の麻酔薬)。流行りの白人的なドラッグには手を出さずストリートのリアルを保ちつつ、仲間のためなら命を懸けた勝負(ギャンブル)に出るというRossの美学。

In the cell on the cell phone
刑務所の独房(セル)の中で、携帯電話(セルフォン)を握りしめてる
※「cell」と「cell phone」の言葉遊び。刑務所に収監されている仲間が、密輸された携帯電話で外の世界のボス(Ross)と連絡を取っている状況。

How you sellin' dope when it smell wrong?
匂いがおかしいのに、どうやってそのドープを売り捌くつもりだ?
※質の悪いフェイクなドラッグ(不純物だらけのコカインやウィード)を売ろうとする三流のハスラーたちに対する、本物(Big Boss)からの冷酷なダメ出し。

[Interlude: Future]

Yeah
イェー
※Futureのアドリブ。

Woah, woah
ウォー、ウォー
※アドリブ。

Yeah, yeah, yeah
イェー、イェー、イェー
※アドリブ。

[Verse 3: Future]

Fightin' for your life, spin by the hospital
お前は命懸けで戦ってる、病院の周りをぐるぐると回るように(襲撃しに)な
※「spin」は車で敵の陣地を周回して銃撃の機会をうかがうこと。撃たれた敵が運び込まれた病院の周囲を、確実にトドメを刺すためにうろつくという極めて残虐なストリートの報復。

Bare-faced just like I'm lil' Critter
素顔(ベアフェイス)のままだ、まるでリル・クリッターみたいにな
※「Bare-faced」はマスクで顔を隠さずに堂々と犯罪を行うこと。「lil' Critter」はアトランタのストリートの仲間や伝説的なハスラーの名前であると考えられ、彼の無謀なまでの度胸へのシャウトアウト。

Body snatchers, wig splitters, cap peelers, gravediggers, snake niggas
死体泥棒、頭カチ割り野郎、帽子(頭皮)剥がし、墓掘り人、裏切り者のヘビ野郎ども
※ストリートに存在する冷酷な殺し屋(shooter)や裏切り者たちを表す血生臭いスラングの羅列。殺伐とした環境の描写。

Ain't nobody safe, nigga
誰も安全じゃねぇんだよ、なぁ
※ゲットーの過酷な現実。

Meet me at the nearest coke spot
一番近いコカインの取引所(コーク・スポット)で会おうぜ
※常に裏ビジネスの現場にいる。

Middle of the slums, standin' at the boat dock
スラムのど真ん中、ボートの波止場に立ってる
※マイアミなどの海沿いのスラムで、ボートを使った麻薬密輸(海上ルート)を指揮している光景。

Loadin' up the cash, move it in the U-Haul
現金を積み込み、U-Haul(引っ越し用トラック)で運ぶんだ
※麻薬取引で得た莫大な現金が乗用車では運びきれず、引っ越し用のレンタルトラック(U-Haul)を金庫代わりにするというカルテル規模のハッスル。

Went inside my bag, went and took a roof off
バッグ(ゾーン)に入り込み、屋根をぶっ飛ばしてやった
※「in my bag」は絶好調であること。オープンカーの屋根を開けるように、自分の限界を突破した。

Crash dummy, goin' retarded, spendin' cash on it
クラッシュダミーみたいに狂ったように、そこに現金を注ぎ込む
※「Crash dummy」は後先考えずに無謀な行動(暴力や散財)をする者のこと。理性を失って(goin' retarded)大金を使い果たす。

Smashin' in a Demon, still'll smash a European
ダッジ・デーモンを乗り回し、それでもヨーロッパ車をクラッシュさせる
※「Demon」はダッジ・チャレンジャーの超高出力モデル(アメ車)。アメ車のマッスルカーを荒々しく乗り回しつつも、ベントレーなどの高級ヨーロッパ車(European)も所有し、それを平気でぶち壊す(smash)ほどの圧倒的な財力。

Gold-diggin' bitches, you can't tell a nigga shit
金目当てのビッチ共、お前らが俺に指図できることなんて何一つねぇよ
※「Gold-diggin'」は金銭目的で近づく女性。彼女たちの思惑など全て見透かしている。

He just got his first wish, can't tell these lil' niggas shit
あいつは初めての願いを叶えたばかりだ、この若造どもに何か言って聞かせることなんてできやしねぇ
※ストリートで初めて大金を手にしたばかりの血気盛んな若者(lil' niggas)は、誰の忠告も聞かず暴走するという世代の描写。

Tryna put him on some game, you better put him on a hit
あいつにゲーム(生き抜く知恵)を教えようとするより、殺し(ヒット)の仕事を任せた方がマシだ
※血に飢えた若者には、賢明なアドバイスをするよりも、暴力的な任務(ヒットマンとしての仕事)を与えた方が機能するという悲惨な現実。

Livin' in the trenches, it's survival of the fittest
トレンチ(泥沼のスラム)で生きるってのは、適者生存の世界なんだよ
※弱肉強食というストリートの絶対法則。

Thirty milligrams, niggas rather take the fent'
30ミリグラムのピル、野郎どもはむしろフェンタニルを進んで飲みたがる
※「Thirty milligrams」はロキシコドンなどの鎮痛剤(通称Roxy 30s)。現在のアメリカのストリートでは、純粋な薬よりも、致死性の高い安価な合成麻薬「フェンタニル(fent')」が混入された偽薬を、より強いハイを求めてあえて摂取する若者が増えているという、薬物汚染の極めてダークな現実を突いている。

Niggas got it out the mud, it's codeine when you piss
泥沼から這い上がってきた野郎ども、小便をすりゃコデインが出てくるぜ
※「out the mud」は貧困からの脱出。成功しても重度のリーン(コデイン)依存からは抜け出せず、体内が完全に薬物で汚染されている状態。

Drop a brick in the toilet, he ain't talkin' 'bout shit
トイレにブリック(レンガ)を落とす、あいつは「クソ(ウンコ)」の話をしてるわけじゃねぇぞ
※【天才的なダブルミーニング】「brick」はキロ単位のコカインの塊。警察のガサ入れ(家宅捜索)の際に、証拠隠滅のためにコカインのブロックをトイレに流す(Drop a brick)ストリートの描写。同時に、「トイレにレンガサイズの固形物を落とす」という言葉から連想される「排泄(shit)」と掛け、「俺はクソみたいな嘘(shit)を語ってるわけじゃない=リアルな話をしている」という究極のワードプレイを完成させている。

Drop a brick in the toilet, he ain't talkin' 'bout shit
トイレにブリックを落とす、あいつは「クソ」の話をしてるわけじゃねぇぞ
※反復によるパンチラインの強調。

[Outro: Prodigy of Mobb Deep]

That shit don't pop in the hood, man
あんなクソみたいな音楽、リアルなフッドじゃ絶対に流行らねぇよ、なぁ
※【Prodigyのインタビュー・サンプリング】Mobb Deepの故Prodigyによる生前の肉声。本作の、そしてアルバム全体のメッセージを象徴する重要なアウトロ。

You talkin' about the grimy nigga in the hood?
お前は、フッドにいる薄汚れた本物のハスラーたちのことを言ってんのか?
※「grimy」はストリートで泥水をすすって生き抜いているリアルな人間たち。

I don't know what lil', um, supposed to be hood you from
お前がどこの、えーっと、自称「フッド」の出身か知らねぇがな
※安全な郊外で育ったにもかかわらず、ギャングスタやストリート出身を自称する「フェイクなラッパー」への痛烈な皮肉。

But in the real hood, in America, that shit don't fly, we don't listen to that bullshit, son
だがアメリカの「本物」のフッドじゃ、あんなものは通用しねぇ(飛ばない)。俺たちはあんなクソみたいな音楽(ブルシット)は聴かねぇんだよ、坊や
※【Drakeらへの最終宣告】ストリートの苦しみやリアルなハッスル(Everyday Hustle)を経験していないポップスターたちの音楽は、真のヒップホップ・カルチャー(本物のフッド)においては全くリスペクトされないというProdigyの冷酷な事実の突きつけ。この言葉により、Future&Metro陣営が「リアル」の側に立っていることが証明され、曲が締めくくられる。