Artist: Future & Metro Boomin
Album: WE DON'T TRUST YOU
Song Title: Runnin Outta Time
概要
本作「Runnin Outta Time」は、歴史的アルバム『We Don’t Trust You』の核心テーマである「パラノイア(人間不信)」を、メランコリックな恋愛関係の終焉と重ね合わせて描いた内省的なトラックである。Metro Boominの哀愁漂うR&Bテイストのビートに乗せ、Futureは過去の裏切りや、富と名声がもたらす孤独な心理状態を吐露する。表面上は別れゆく女性への未練や不信感を歌っているが、Reddit等の考察では、かつての盟友(Drakeなど)との関係悪化や、音楽業界全体に蔓延するフェイクな人間関係に対する深い絶望の暗喩として高く評価されている。アウトロに収録されたスタジオでの無防備な会話は、孤独なトラップスターの人間味を垣間見せる貴重なドキュメンタリー的要素となっている。
和訳
[Chorus]
Maybe we just runnin' out of time
たぶん、俺たちの時間はもう残り少ないんだ
※タイトルフレーズ。恋愛関係の終わりの予感と同時に、信頼できる人間関係を築くための「時間切れ」、あるいは自分自身のキャリアにおけるタイムリミットへの不安を示唆している。
Ain't no need to try to hold you up 'cause you always mines
お前を引き留めようとする必要はねぇ、だっていつだってお前は俺のものだからな
※物理的に離れても、相手の心や所有権は自分にあるという独占欲とエゴ。
But I can't trust nobody, I was down, wasn't nobody left
でも俺は誰も信用できねぇ。どん底に落ちた時、周りには誰も残っちゃいなかった
※アルバムタイトル『We Don't Trust You』の根幹を成すマインドセット。成功する前の苦境(ダウンしていた時期)に誰も助けてくれなかったというトラウマが、現在の強烈な人間不信を生んでいる。
They done turned they back on me, never turned on myself
奴らは俺に背を向けたが、俺は決して自分自身を裏切ることはなかったぜ
※他人は簡単に裏切るが、自分のストリートの信念や才能だけは信じ抜いてトップに立ったという誇り。
Maybe we just runnin' out of time (Of time)
たぶん、俺たちの時間はもう残り少ないんだ(時間がな)
※コーラスの反復。
Ain't no need to try to hold you up 'cause you always mines
お前を引き留めようとする必要はねぇ、だっていつだってお前は俺のものだからな
※コーラスの反復。
But I can't trust nobody, I was down, wasn't nobody left
でも俺は誰も信用できねぇ。どん底に落ちた時、周りには誰も残っちゃいなかった
※コーラスの反復。
They done turned they back on me, never turned on myself
奴らは俺に背を向けたが、俺は決して自分自身を裏切ることはなかったぜ
※コーラスの反復。
[Verse 1]
I can't trust nobody, I can't trust nobody I know
俺は誰も信用できねぇ、知り合いの誰一人としてな
※長年付き合いのある親しい人間(かつてのコラボレーターたち)でさえも疑わなければならない業界の闇。
Left me alone, I was grindin', I had to find myself
一人取り残されても、俺はハッスルし続けた。自分自身を見つけ出すしかなかったんだ
※「grindin'」はストリートで必死に稼ぐこと、努力すること。孤独の中でアイデンティティを確立した過去。
Real one, had to remind myself
俺は本物の男だってことを、自分で自分に言い聞かせなきゃならなかった
※周囲の裏切りに心が折れそうになる中、自己肯定感を保つための葛藤。
Sometimes evеn rich niggas get lost
時には金持ちの野郎でさえ、道を見失うことがある
※富が全てを解決するわけではなく、むしろ新たな迷いや孤独を生み出すという虚無感。
I'm experiеncin' more paranoia
俺はさらに深いパラノイア(人間不信)を経験してるんだ
※金と権力を持つほど、擦り寄ってくる人間の真意が分からなくなり、偏執病的な警戒心が強まっていく。
Finding love got me more paranoid
愛を見つけることで、余計にパラノイアがひどくなる
※真実の愛だと信じたい一方で、「金目当てではないか」「いつか裏切るのではないか」という疑念が拭えないという悲劇的パラドックス。
I can't tell who real anymore
もう誰が「本物」なのか、俺には区別がつかねぇよ
※フェイクな人間(Leeches)に囲まれたスターの悲痛な叫び。
It's the ones that I cherish and adore
俺が大切に想い、愛している奴らほどそうだ
※【Drakeらへの隠喩】最も近しい存在や愛情を注いだ相手ほど、裏切った時のダメージが大きく、疑いの対象になってしまう。かつて「兄弟」と呼び合った相手との決裂を暗示していると考察されている。
It'll never be like it was before
もう以前のような関係には、絶対に戻れねぇんだ
※修復不可能な関係の終焉。
Before I was climbing up the charts
俺がチャートを駆け上がる前のようにはな
※純粋だった無名時代への郷愁。
When you leaving, you leave me no choice
お前が去っていく時、俺にはどうすることもできねぇ
※相手の意志をコントロールできない無力感。
I'll come back in a platinum Rolls-Royce
俺はプラチナムのロールスロイスに乗って戻ってくるぜ
※失った関係を埋め合わせるかのように、物質的な究極の成功(プラチナム・クラスの超高級車)を誇示するトラップスターの防御機制。
I'll come through if you need me, of course
お前が俺を必要とするなら、もちろん駆けつけてやるよ
※冷めた態度を装いつつも、本心では相手を完全に見捨て切れない未練。
Hope it come to the day we rejoice
いつか俺たちが喜び合える日が来ることを願ってる
※再び信頼を取り戻せる日への微かな希望。
I got your back like a spine
背骨みたいに、俺はお前の背中を支えてるぜ
※「got your back」は「お前を守る、バックについている」というイディオム。それを人体の背骨(spine)にかけて、必要不可欠で強固なサポートを約束している。
[Chorus]
Maybe we just runnin' out of time
たぶん、俺たちの時間はもう残り少ないんだ
※コーラスの反復。
Ain't no need to try to hold you up 'cause you always mines
お前を引き留めようとする必要はねぇ、だっていつだってお前は俺のものだからな
※コーラスの反復。
But I can't trust nobody, I was down, wasn't nobody left
でも俺は誰も信用できねぇ。どん底に落ちた時、周りには誰も残っちゃいなかった
※コーラスの反復。
They done turned they back on me, never turned on myself
奴らは俺に背を向けたが、俺は決して自分自身を裏切ることはなかったぜ
※コーラスの反復。
Maybe we just runnin' out of time (Of time)
たぶん、俺たちの時間はもう残り少ないんだ(時間がな)
※コーラスの反復。
Ain't no need to try to hold you up 'cause you always mines
お前を引き留めようとする必要はねぇ、だっていつだってお前は俺のものだからな
※コーラスの反復。
But I can't trust nobody, I was down, wasn't nobody left
でも俺は誰も信用できねぇ。どん底に落ちた時、周りには誰も残っちゃいなかった
※コーラスの反復。
They done turned they back on me, never turned on myself
奴らは俺に背を向けたが、俺は決して自分自身を裏切ることはなかったぜ
※コーラスの反復。
[Verse 2]
Never could trust you, I still got your location on
お前のことは決して信用できなかった、今でもお前の位置情報(ロケーション)はオンにしたままだぜ
※スマートフォンの位置情報共有機能(Find My Friendsなど)。相手を信じられないため、常にどこにいるか監視し続けているという現代的でリアルなパラノイア。
Fell out of love, I delete all the nudes off the phone
愛が冷めちまったから、スマホからお前のヌード写真を全部消去した
※デジタルタトゥーとしての思い出の完全な削除。関係の完全な断絶。
Can't get a reaction out of me, that's what you want
俺から反応を引き出そうとしても無駄だ、お前が望んでるのはそれなんだろ
※相手が自分を怒らせたり嫉妬させたりして気を引こう(reaction)としているのを見透かし、あえて無関心を装う態度。
It's not sexy to show your vulnerability, keep it calm
自分の弱み(脆さ)を見せるのはセクシーじゃねぇ、冷静さを保つんだ
※ストリートのボスとして、感情を取り乱して隙(vulnerability)を見せることは致命的であるという自己防衛。
Had her eatin' sushi out my palm
俺の手のひらから、あの女に寿司を食わせてやったぜ
※「eating out of my palm(手のひらから食べる)」という「相手を完全に手懐けている」ことを意味するイディオムに、高級食である寿司(Nobuなどの高級和食店がラッパーの定番)を掛けた表現。
Got a new penthouse, sittin' at the palms
新しいペントハウスを手に入れた、ヤシの木(パームズ)に囲まれてくつろいでる
※前行の「palm(手のひら)」と「Palms(ヤシの木、またはラスベガスの高級リゾートPalms Casino Resort)」を掛けた秀逸なライム。
Got a flock of birds wrapped around my arms
俺の腕には、鳥(女たち)の群れが巻き付いてるぜ
※「birds」はスラングで女性(特に軽い女性)のこと。両腕に何人もの女性を抱えているプレイボーイぶり。
Tried to park the Bugatti in the lobby
ロビーにブガッティを駐車しようとしたんだ
※超高額なハイパーカー(ブガッティ)をホテルのエントランスに横付けする、あるいは自宅の専用エレベーターで部屋(ロビー)まで持ち上げるという非常識な富の誇示。
Went to Puerto Rico, went to Bali
プエルトリコへ行き、バリ島へ飛んだ
※プライベートジェットで世界中のリゾートを股にかけるライフスタイル。
Got her body done just for a hobby (I did)
趣味の延長で、あの女の体をイジらせて(整形させて)やった(俺がやったんだ)
※「body done」は豊胸やBBL(ブラジリアン・バット・リフト)などの美容整形。自分の好みに合わせて女性の肉体を金でカスタマイズするという、究極のパパ活的フレックス。
Got her skatin' on new ice like it's hockey (Pluto)
ホッケーみたいに、新しいアイス(ダイヤ)の上であいつを滑らせてやる(Pluto)
※「ice」はダイヤモンドのジュエリー。高価なダイヤを与えて女性を喜ばせる様子を、アイスホッケーのスケートリンクに見立てた美しい言葉遊び。「Pluto」はFutureのオルターエゴ。
Made her throw away all the Versace
あの女のヴェルサーチェを全部捨てさせてやった
※相手が元々持っていたハイブランド品(過去の男からのプレゼントや自分の趣味に合わないもの)を捨てさせ、自分が一から全てを買い与える(俺色に染める)という支配欲の表れ。
Bitches fuckin' each other, we watchin'
ビッチ同士がヤり合ってるのを、俺たちは眺めてるのさ
※乱交パーティー(スリーサムなど)で、女性同士の絡みを鑑賞するという退廃的な享楽の極地。
[Chorus]
Maybe we just runnin' out of time (Of time)
たぶん、俺たちの時間はもう残り少ないんだ(時間がな)
※コーラスの反復。
Ain't no need to try to hold you up 'cause you always mines
お前を引き留めようとする必要はねぇ、だっていつだってお前は俺のものだからな
※コーラスの反復。
But I can't trust nobody, I was down, wasn't nobody left
でも俺は誰も信用できねぇ。どん底に落ちた時、周りには誰も残っちゃいなかった
※コーラスの反復。
They done turned they back on me, never turned on myself (Never turned on myself)
奴らは俺に背を向けたが、俺は決して自分自身を裏切ることはなかったぜ(決して裏切らなかった)
※コーラスの反復。
[Outro: Future & Metro Boomin]
Baby, we runnin' through timezones
ベイビー、俺たちはタイムゾーン(時差)を越えて駆け抜けてる
※プライベートジェットで世界中を飛び回る多忙な日々。時間が尽きていく(Runnin outta time)感覚への言及でもある。
You comin' back, no matter where you go
どこへ行こうと、お前は必ず戻ってくるさ
※別れを予感しつつも、自分の魅力と富から相手は逃れられないという確信。
Ayy
エイ
※ここからスタジオでの生の会話(スキット)に切り替わる。
Yeah, I'm fried, yeah, I'm fried
あぁ、俺は完全にフライド(キマってる)だ、マジでキマってるぜ
※「fried」はマリファナ等のドラッグで極度にハイになり、脳が「揚げられた」ように思考が停止している状態を示すスラング。
Hold on, yeah, I'm fried
待ってくれ、あぁ、キマってるわ
※会話の生々しい記録。
Hold on
待ってくれ
※同上。
And I'm tryna get fried, so pass the weed over here
俺ももっとキマりたいから、そっちのウィード(マリファナ)を回してくれよ
※Metro Boominか取り巻きの声。レコーディングスタジオがパーティー空間と化している。
Fried
フライドだ
※同上。
Yeah, y'all ain't exempt
あぁ、お前らも例外じゃねぇぞ(全員飲めよ)
※スタジオにいる全員に酒(テキーラのショットなど)を強要するノリ。
It's her birthday
彼女の誕生日なんだから
※同席している女性(ダンサーやスタッフなど)の誕生日を祝う日常的な風景。曲の重苦しいパラノイアのテーマと、スタジオの享楽的でチルな空気のコントラストが際立つ。
Let's do it
やろうぜ
※乾杯の合図。
Whose birthday is it?
誰の誕生日だって?
※ハイになりすぎて状況を把握できていない声。
Alright, come on, I'll pick up the song back goin' so y'all can take shots
オーケイ、さあ来い。お前らがショットを飲めるように、もう一回曲をかけ直してやるよ
※プロデューサー(Metro)がビートを再び流し、酒のペースを作る。音楽制作の現場のリアルな空気感。
Yes, sir
イエス・サー
※アウトロの締めくくり。トラップスターたちの孤独とパラノイアを描いた楽曲は、彼らの日常の「麻痺(ハイ)」の連続の中に溶けていく。
