Artist: G.O.O.D. Music (Kid Cudi)
Album: Kanye West Presents: Good Music - Cruel Summer
Song Title: Creepers
概要
本作は、G.O.O.D. Musicのコンピレーションアルバム『Cruel Summer』(2012年)に収録された、Kid Cudiの単独トラックである。他の楽曲がレーベルメイト同士の豪華なマイクリレーや壮大なフレックスを展開する中、本作はUKのプロデューサーDan Blackによるニューウェーヴ調のエレクトロニックなビートに乗せ、Cudiが自身の内面と徹底的に向き合う異彩を放つ一曲となっている。名声を得たことによって生じる周囲の嫉妬や野次馬的な視線(Creepers)への不快感をあらわにしつつ、ヴァースでは自らの自己嫌悪、メンタルヘルス、そしてドラッグ依存の闇を赤裸々に吐露する。ヒップホップにおけるマッチョイズムを否定し、「若きヒッピー」として精神の平穏(インナーピース)を追い求める彼のアウトサイダー的な美学が凝縮された、Reddit等の熱狂的なファンコミュニティでも高く評価されるパーソナルな名曲である。
和訳
[Chorus]
Yeah, I see you hatin' over there
ああ、お前らが向こうでヘイトしてるのが見えるぜ
※名声を得たKid Cudiに対する、周囲の嫉妬や批判の目を指摘している。
See you jockin' over there, see you lookin' at my girl over here
向こうでコソコソ探りを入れて、こっちにいる俺の女を見てるよな
※「Jocking」は他人のスタイルを真似したり、過剰に媚びたり、あるいは私生活に干渉してくること。他人のプライベート(恋人)にまで首を突っ込む野次馬への不快感。
Why you worried 'bout the girl over here?
なんでこっちの女のことを気にしてるんだ?
※(同上)
Keep your eyes over there, it is creepy when you stare
自分の手元だけ見てろよ、ジロジロ見られると気味が悪いんだ(クリーピーだぜ)
※タイトル「Creepers(気味の悪い奴ら、ストーカー)」の回収。有名人の私生活を覗き見しようとするパパラッチや世間の視線を「Creepy」と表現している。
Come on, hey, I see you hatin' over there
おいおい、お前らが向こうでヘイトしてるのが見えるぜ
※(同上)
I see you jockin' over there, think about your own life
向こうでコソコソ干渉してる暇があるなら、自分の人生の心配でもしろよ
※他人のアラ探しばかりしている大衆に対する、ヒップホップ的な「Mind your own business(自分のことに集中しろ)」というメッセージ。
Why you talkin' 'bout the young hippy?
なんで「若きヒッピー」のことをとやかく言うんだ?
※Cudi自身を「Young hippy」と称している。彼の音楽性やファッション、マインドセットが、旧来のステレオタイプなラッパー像とは異なるオルタナティヴな存在(ヒッピー)であることを示している。
I'm just doin' my thang, if you know what I mean, get it right
俺はただ自分のやりたいことをやってるだけさ、言ってる意味が分かるか、勘違いすんなよ
※世間の枠にハマらず、独自のアートを追求するCudiのスタンス。
And they think they know
連中は俺のことを分かってる気でいる
※メディアやファンが、表層的な情報だけでアーティストの内面を理解した気になっていることへの皮肉。
And they think they know the deal, for real
マジな話、連中は事情をすべて知ってるつもりなんだ
※(同上)
I'm just doin' my thang, if you know what I mean, get it right
俺はただ自分のやりたいことをやってるだけさ、言ってる意味が分かるか、勘違いすんなよ
※(同上)
And they think they know
連中は俺のことを分かってる気でいる
※(同上)
And they think they know the deal, for real
マジな話、連中は事情をすべて知ってるつもりなんだ
※(同上)
I'm just doin' my thang, if you know what I mean, yo
俺はただ自分のやりたいことをやってるだけさ、言ってる意味が分かるか、ヨウ
※(同上)
[Verse]
I don't love who I am so I'm workin' on a fix
俺は今の自分が好きじゃない、だからそれを直そう(フィックスしよう)と努力してるんだ
※Kid Cudiの真骨頂である、メンタルヘルスと自己嫌悪の赤裸々な告白。同時に「Fix」はスラングでドラッグの「一服(摂取)」を意味し、自己否定感を薬物で埋め合わせようとしている精神的な危うさを暗示する高度なダブルミーニングである。
I don't need a bitch tryna tear my mind out my grip
俺の正気を奪い取ろうとするようなビッチなんて必要ねえ
※「Mind out my grip(心を自分でコントロールできない状態)」にするような、有害な人間関係(Toxic relationship)を拒絶している。精神の安定を最優先する姿勢。
If I had one wish, it'd be to have more wishes, duh
もし一つだけ願いが叶うなら、「もっと願いを叶えてくれ」って頼むに決まってるだろ、当たり前じゃん
※「Duh(当たり前だろ)」という砕けた表現。欲望の果てなさ、あるいは現状に対する不満が一つや二つでは解決できないほど根深いことを示している。
Fuck tryna make it rhyme
韻を踏むなんてクソ食らえだ
※ラッパーとしての形式(ライム)よりも、感情をそのまま吐き出すこと(リアルであること)を優先するCudiのオルタナティヴな反骨精神。実際にこのラインは前後の行と韻を踏んでいない。
Throw them stones, with your bitch ass
その女々しいケツで、石でも投げてきな
※「Throw stones」は聖書の「罪のない者だけが石を投げよ」に由来する、他人を非難・攻撃する行為のメタファー。ヘイターの攻撃を真正面から受け止める覚悟。
Cutting me deep and even though I bleed
深く切り裂かれて、たとえ血を流したとしても
※批判やゴシップによって精神的なダメージ(流血)を負っている生々しい描写。
I stand alone, alone I'll be
俺は一人で立ち上がる、俺はこれからも孤独(アローン)のままさ
※Cudiの代表曲『Day 'N' Nite』などで一貫して歌われる「孤独なアウトサイダー」としてのアイデンティティの再確認。
Heart of a lion still shinin' on your sucka ass
それでもライオンの心臓は、お前らクソ野郎どもの上で光り輝いてるんだ
※自身のデビューアルバム『Man on the Moon』収録の楽曲『Heart of a Lion』の引用。傷ついても折れない百獣の王のような勇気とプライドを誇示している。
Workin', workin', workin', for inner peace
内なる心の平和(インナーピース)を求めて、必死にもがいてる
※金や名声ではなく、精神の平穏こそが彼にとっての最大の戦い(Work)であるという事実。
Fightin' for the freedom of my soul, I can hear the speech
俺の魂の自由のために戦ってるんだ、スピーチが聞こえるぜ
※キング牧師などの公民権運動の演説(Speech)を彷彿とさせる表現。彼自身の心の解放を、黒人の歴史的な自由への戦いと重ね合わせている。
Yeah I mumble while I'm trippin on so many pills
ああ、大量のピル(薬)でトリップしながらブツブツ呟いてるんだ
※処方薬や抗うつ剤、あるいは違法薬物の乱用による酩酊状態の告白。彼の精神的闘争が、現実にはドラッグ依存というダークな側面と隣り合わせであることを示す、Redditのファンフォーラム等でもよく議論されるライン。
Hah, they figured that they know a nigga
ハッ、連中は俺のことを分かってる気でいやがる
※表面的なパブリックイメージやゴシップだけで、自身の深い心の闇や苦悩(ドラッグ依存など)を理解したつもりになっている世間に対する冷笑。
[Chorus]
Yeah, I see you hatin' over there
ああ、お前らが向こうでヘイトしてるのが見えるぜ
※(Chorusリフレインのため解説省略)
See you jockin' over there, see you lookin' at my girl over here
向こうでコソコソ探りを入れて、こっちにいる俺の女を見てるよな
※(同上)
Why you worried 'bout the girl over here?
なんでこっちの女のことを気にしてるんだ?
※(同上)
Keep your eyes over there, it is creepy when you stare
自分の手元だけ見てろよ、ジロジロ見られると気味が悪いんだ(クリーピーだぜ)
※(同上)
Come on, hey, I see you hatin' over there
おいおい、お前らが向こうでヘイトしてるのが見えるぜ
※(同上)
I see you jockin' over there, think about your own life
向こうでコソコソ干渉してる暇があるなら、自分の人生の心配でもしろよ
※(同上)
Why you talkin' 'bout the young hippy?
なんで「若きヒッピー」のことをとやかく言うんだ?
※(同上)
I'm just doin' my thang, if you know what I mean, get it right
俺はただ自分のやりたいことをやってるだけさ、言ってる意味が分かるか、勘違いすんなよ
※(同上)
And they think they know
連中は俺のことを分かってる気でいる
※(同上)
And they think they know the deal, for real
マジな話、連中は事情をすべて知ってるつもりなんだ
※(同上)
I'm just doin' my thang, if you know what I mean, get it right
俺はただ自分のやりたいことをやってるだけさ、言ってる意味が分かるか、勘違いすんなよ
※(同上)
And they think they know
連中は俺のことを分かってる気でいる
※(同上)
And they think they know the deal, for real
マジな話、連中は事情をすべて知ってるつもりなんだ
※(同上)
I'm just doin' my thang, if you know what I mean, yo
俺はただ自分のやりたいことをやってるだけさ、言ってる意味が分かるか、ヨウ
※(同上)
