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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

The Morning - G.O.O.D. Music (Raekwon, Pusha T, Common, 2 Chainz, CyHi, Kid Cudi & D’Banj) 【和訳・解説】

Artist: G.O.O.D. Music (Raekwon, Pusha T, Common, 2 Chainz, CyHi, Kid Cudi & D’Banj)

Album: Kanye West Presents: Good Music - Cruel Summer

Song Title: The Morning

概要

本作は、Kanye West主宰のG.O.O.D. Musicによる2012年のコンピレーションアルバム『Cruel Summer』に収録された、レーベルの枠を超えた超豪華ポッセ・カットである。Wu-Tang Clanの重鎮Raekwonの重厚なマフィオソ・ラップで幕を開け、Common、Pusha T、2 Chainz、CyHi the Prynce、Kanye Westへと次々にマイクがリレーされる。本作の裏テーマとして、当時ヒップホップ界隈で異常な盛り上がりを見せていた「大成功を収めたラッパーはイルミナティ(秘密結社)に魂を売っている」という陰謀論に対する、アーティスト側からの痛烈なアンサーが込められている。特にCyHiが放つ「白人のエリート集団(秘密結社)が黒人を入れるわけがない」という人種的・階級的リアリズムや、Kanyeの「俺たちは何もないところ(ゼロ)から這い上がっただけだ」というシャウトは、RedditやGeniusの考察フォーラムでもヒップホップ史に残る名ラインとして高く評価されている。IllmindとKanyeらが共同プロデュースした哀愁漂う壮大なビートに乗せ、ゲットーから這い上がった男たちの誇りとエゴが交錯する傑作である。

和訳

[Intro: D'banj]

Stuttering
言葉を詰まらせ、口ごもる
※ナイジェリア出身のアフロビーツ・スター、D'banjによるイントロ。エキゾチックで呪術的な雰囲気を楽曲に付加している。

Give 'em the rest and make 'em love again
奴らに休息を与え、もう一度愛させてやる
※(同上)

In my best, I be the runner dem
絶好調の俺は、誰よりも先を走るランナーさ
※(同上)

And I have the man dem stuttering-ing
俺の凄さに、奴らは言葉を失って口ごもるのさ
※(同上)

[Chorus: Andrea Martin]

I'm getting this nigga in the morning
朝にはあの男を私のモノにしてみせるわ
※NY出身のR&BシンガーAndrea Martinによるコーラス。ここでは「成功や富」という概念を擬人化した女性の視点、あるいはラッパーたちの富に群がる女性の視点が描かれている。

He gon' think he been chiefing, just too long when
彼はきっと「チーフィング(ハッパを吸う)」しすぎたって錯覚するはずよ
※「Chiefing」はマリファナを大量に吸うことを意味するスラング。

He see me in the evening
夕方に私を目にした時にはね
※自分の魅力(あるいは成功の魔力)があまりにも強烈なため、相手がドラッグでハイになっていると錯覚するほど酔いしれるだろうという比喩。

Wanna catch all these feelings
この溢れる感情をすべて捕まえたいの
※(同上)

Well, let me be the first to get mine, oh
さあ、私が一番乗りで頂くわ
※(同上)

[Verse 1: Raekwon]

Yeah, ayy, yo, ayy, yo
イェー、エイ、ヨウ、エイ、ヨウ
※Wu-Tang Clanのレジェンド、Raekwonのヴァース。後輩であるG.O.O.D. Musicの面々を従え、大御所の風格を見せつける。

Barbeque and blow in the back of the crib
アジトの裏庭でバーベキューしながら「ブロウ(コカイン)」をキメる
※「Blow」はコカインのスラング。日常のレジャーと極悪なドラッグ・ハッスルが同居する、マフィア映画のような情景描写(マフィオソ・ラップ)。

Sitting and counting, smoking a spliff, this shit's a gift
座って札束を数え、スプリフを吸う、この生活は神からの贈り物さ
※「Spliff」はマリファナを巻いたタバコ。

All my niggas' watches is rough
俺の仲間たちの時計はどれもイカツいぜ
※「Rough」はここではダイヤモンドがゴツゴツと埋め込まれた高級時計を意味する。

Grabbin' our crotches, yellin', "What up?"
股間を掴みながら「調子はどうだ?」って叫んでやる
※マイケル・ジャクソンのようなパフォーマンス、あるいはストリートの粗野なマチズモの誇示。

The jeans cost five hundred? Fuck
500ドルのジーンズ?クソくらえだ
※500ドル程度の服では自慢にならないほどの富を得ていることのアピール。

Stop it, keep baking, see the smell, it's a statement
やめとけ、焼き続けな、この匂いを嗅いでみろ、それが俺たちのステートメントさ
※「Baking」はクラック・コカインを火にかけて精製すること。彼らの発する危険な匂い(ストリートのリアル)そのものが、彼らの存在証明(ステートメント)である。

One freeze of this shit, you won't feel your legs, kid
この極上のブツを一口キメれば、足の感覚がなくなるぜ、坊や
※自分たちが提供する音楽(=コカイン)の純度と破壊力があまりにも高いというメタファー。

I'm a gangster, corporate hustler, my voice is illustrious
俺はギャングスターであり、企業を動かすハスラーだ、俺の声には輝かしい名声がある
※ストリートの売人から、音楽業界という合法的なコーポレートの世界で成功を収めたビジネスマンへの進化。

Hounded by vicious dons, nigga, we armed, trust me, bruh
凶悪なドンたちに追われているが、俺たちは武装してる、信じてくれよ兄弟
※(同上)

They yellin', "Chef killer, play with the cooks"
連中は叫んでる「シェフ・キラーだ、料理人(クック)たちと一緒に遊ぼうぜ」と
※「Chef」はRaekwonの代名詞的なニックネーム(The Chef)。「Cooks」は共にクラックを精製する仲間、つまりこの曲に参加しているラッパーたちを指している。

I say, "Yay", with two chains on, we common, let's push
俺は「イェー」と答える、2本のチェーンを着けてな、俺らはコモン(一心同体)だ、プッシュしようぜ
※Geniusでも大絶賛される、ヒップホップ史に残る伝説的なネームドロップ(名前遊び)。「Yay(Kanye/Ye)」「Two chains(2 Chainz)」「Common(Common)」「Push(Pusha T)」と、G.O.O.D. Musicの主要メンバーの名前をたった1行の自然な文章の中にすべて組み込んでいる、大ベテランの恐るべきライミング・スキル。

Burn another bush then burn another, we brothers
さらに草(ブッシュ)を燃やし、もう一つ燃やす、俺らは兄弟さ
※「Bush」はマリファナの隠語。一緒に回し吸いをするほどの強固な連帯感。

Love us or not, the Mark Zuckerbergs of the block
愛されようが憎まれようが、俺たちはブロック(フッド)のマーク・ザッカーバーグさ
※Facebook創業者のようなテクノロジー界の若き億万長者たちと、自分たちストリート出身の富豪を重ね合わせたライン。

Hug a knot, staying rich, we was built for the guap
札束の結び目(ノット)を抱きしめる、金持ちのままだ、俺たちは大金(グワップ)を稼ぐために作られた存在さ
※「Knot」は折り曲げて輪ゴムで止めた札束。「Guap」は大金を意味するスラング。

Park the green six deuce on the deuce, just props
緑の「62」を「42番街」に停める、ただの見栄(プロップス)さ
※「Six deuce」は超高級車マイバッハ 62のこと。「The deuce」はNYのタイムズスクエア周辺の42番街。最高級車を目抜き通りに停めて周囲を圧倒するフレックス。

Rock a kilt, mean Glock, I'm all machinery, ock
キルトを穿き、凶悪なグロックを構える、俺は全身凶器(マシナリー)だ、兄弟
※「Kilt」はスコットランドの伝統衣装。Kanye陣営が当時ファッションとしてキルトを取り入れていたことへの言及。「Ock」はアラビア語の「Akh(兄弟)」から派生したNYスラング。

Cling to me, now see how the scenery rock, yo?
俺にしがみつきな、この景色がどう揺れ動くか見てな、ヨウ
※自分たちが業界の景色(トレンド)を変えていく様を見せつけるという宣言。

[Chorus: Andrea Martin]

I'm getting this nigga in the morning
朝にはあの男を私のモノにしてみせるわ
※(Chorusリフレインのため解説省略)

He gon' think he been chiefing, just too long when
彼はきっと「チーフィング(ハッパを吸う)」しすぎたって錯覚するはずよ
※(同上)

He see me in the evening
夕方に私を目にした時にはね
※(同上)

Wanna catch all these feelings
この溢れる感情をすべて捕まえたいの
※(同上)

Well, let me be the first to get mine, oh
さあ、私が一番乗りで頂くわ
※(同上)

[Verse 2: Common & Andrea Martin]

I was born by a lake, chicken shack and a church
俺は湖のそば、チキン・シャック、そして教会のそばで生まれた
※シカゴ出身のCommonのヴァース。「Lake(ミシガン湖)」や「Chicken shack(ハロルズ・チキンなどのローカルチェーン)」はシカゴ・サウスサイドの原風景である。

That mean the flow got wings and it come from the dirt
つまり、このフロウには翼があり、泥水の中からやって来たってことさ
※フライドチキンの「羽(Wings)」と、教会のような神聖な「翼」、そしてゲットーの「泥(Dirt)」を掛け合わせた、コンシャス・ラッパーCommonらしい詩的な自己紹介。

Godly, I know she wanna test the 'Rari
神々しいぜ、あの子がフェラーリを試したがってるのは分かってる
※(次の行へ続く)

Eye on a dollar like Illuminati
イルミナティみたいに、1ドル札(のピラミッドの目)を見つめてるのさ
※「Illuminati(イルミナティ)」は世界を裏で牛耳るとされる秘密結社。アメリカの1ドル紙幣の裏に描かれているピラミッドと万物を見通す目(プロビデンスの目)がイルミナティの象徴であるとされる都市伝説を用いたライン。金(ドル)に目を奪われる女性を比喩している。

Life is foggy, trying to see through the mist of it
人生は霧がかかってる、その霞の向こうを見透かそうとしてるんだ
※不確実な未来や、名声に目が眩む状況に対する内省。

Could have been living it, you was Mrs. Mischievous
一緒に生きていけたかもしれないのに、君は「ミセス・ミズチーヴァス(いたずら好きな女)」だった
※「Mischievous(有害な/悪戯好きな)」という言葉を擬人化。金や浮気に走ったかつての女性への未練と決別。

This is just a letter to better your development (Oh)
これは君の成長を促すためのただの手紙さ
※(次の行へ続く)

Situation delicate
状況はデリケートなんだ
※自分のラップが、元恋人(あるいは過去の自分自身)への戒めの手紙として機能していることを示している。

[Verse 3: Pusha T]

Some claim God body, blame Illuminati
「ゴッド・ボディ」を自称する奴らもいれば、イルミナティのせいにする奴らもいる
※Pusha Tのヴァース。「God body」は黒人至上主義的な教派Five-Percent Nationにおいて、黒人男性自身が「神」であるとする教義。自分の成功を神や秘密結社のせいにしたがる大衆の陰謀論を冷笑している。

All 'cause his pockets now knotty as his hair, yeah
それもすべて、あいつのポケットが髪の毛みたいに結び目だらけ(札束でパンパン)になったからさ
※「Knotty」はドレッドヘアなどが「もつれている」状態と、ポケットの中の「札束の結び目(Knot)」が膨れ上がっている状態を掛けたWordplay。成功して大金を手にした途端に、周囲が勝手にオカルト的な噂を立て始めるというヒップホップ界の病理。

All Sonny, no Cher, only solitaires
ソニーばかりで、シェールはいねえ、あるのはソリティア(一粒ダイヤ)だけだ
※1960年代のポップデュオ「Sonny & Cher」を用いた超絶なWordplay。「Sonny」はSunny(輝く)、「Cher」はShare(分け前を与える/共有する)と同音。つまり「俺のダイヤ(Solitaires)は輝いているが、誰にも分け前はやらない(No share)」という圧倒的なエゴイズムの表現である。

You clusterfucks could cluster up
お前ら「クラスターファック(大混乱/クソ野郎の集まり)」がどれだけ群れようが
※「Clusterfuck」は無能が寄り集まって大惨事になることの俗語。雑魚ラッパーたちがいくら徒党を組んでも無駄だという挑発。

On tippy-toe and still not muster up
つま先立ちしたところで、まだ俺のレベルには届かないぜ
※(同上)

So it's (Ashes to ashes, dust to dust)
だから(灰は灰に、塵は塵に)なるのさ
※キリスト教の葬儀で用いられる祈祷文。Pusha Tの冷酷なコカイン・ラップによって、敵対者たちはすべて灰(死)に帰すという宣告。

In God we trust, the game is all us
俺たちが信じるのは神だけ、このゲームは完全に俺たちのものだ
※「In God We Trust」はアメリカ合衆国の公式標語であり、ドル紙幣にも印字されている。つまり「神を信じる」と言いながら、実際には「ドル(金)を信じている」という拝金主義の極地。

'Til the sky calls or it's flames on us, Push
空が俺たちを呼ぶか、炎に包まれるまではな、プッシュ
※天国(空)に行くか、地獄の業火(炎)に焼かれるその日まで、この麻薬とラップのゲームを支配し続けるというPusha Tの覚悟。

[Chorus: Andrea Martin & 2 Chainz]

I'm getting this nigga in the morning
朝にはあの男を私のモノにしてみせるわ
※(Chorusリフレインのため解説省略)

He gon' think he been chiefing, just too long when
彼はきっと「チーフィング(ハッパを吸う)」しすぎたって錯覚するはずよ
※(同上)

He see me in the evening (Yeah)
夕方に私を目にした時にはね(イェー)
※(同上)

Wanna catch all these feelings (True)
この溢れる感情をすべて捕まえたいの(トゥルー)
※(同上)

Well, let me be the first to get mine, oh (2 Chainz)
さあ、私が一番乗りで頂くわ(2 Chainz)
※(同上)

[Verse 4: 2 Chainz]

2 Chainz
2 Chainzだ
※2 Chainzの短いブリッジ的ヴァース。

I'm chilling in my camo, I'm flipping through the channel (Channel)
迷彩服(カモ)を着てくつろぎながら、チャンネルを回してる
※彼特有のコミカルでリズミカルなライミング。

On my G.O.O.D. Music shit, my logo's a Lambo (Damn)
G.O.O.D. Musicのバイブスさ、俺のロゴはランボルギーニだ(クソッ)
※G.O.O.D. Music陣営のシグネチャーである「Lamborghini Mercy(ランボルギーニ・ムルシエラゴ)」の引用。

Four doors of ammo
4枚のドアいっぱいの弾薬を積んでる
※高級車の4ドア(セダンやSUV)の中に、武器や仲間(戦力)をパンパンに詰め込んでいる状態。

Ammunition, I'm pitching
武器を放り込んでやるぜ
※(次の行へ続く)

To make your body switch another position
お前の体の体勢を、別の方向に変えてやるためにな
※弾丸を撃ち込んで相手をひっくり返す(殺す)ことと、女性のベッドでの体位を変えさせることのダブルミーニング。「Camo - Channel - Lambo - Ammo」という韻の踏み方が見事である。

[Verse 5: Cyhi the Prynce]

Yeah
ああ
※G.O.O.D. Musicのゴーストライターとしても暗躍した影の天才、CyHi the Prynceのヴァース。この楽曲の核心的なメッセージを投下する。

I hope the people is listening
みんながしっかり聴いてくれてるといいんだがな
※(次の行へ続く)

I could never sell my soul, I gave it back to God at my christening
俺が魂を売るわけがないだろ、洗礼式の時に神様にお返ししたんだからな
※「ラッパーは悪魔に魂を売って成功した」という陰謀論に対するクリスチャンとしての完璧なカウンター。自分の魂はすでに神のものであるため、悪魔(イルミナティ)に売る魂など最初から持っていないという見事なロジック。

It's tickling when I hear what haters be whispering
ヘイター共がコソコソ噂してるのを聞くと、笑っちまうよ(くすぐったいぜ)
※(次の行へ続く)

What makes you think the Illuminati would ever let some niggas in?
一体何が悲しくて、イルミナティが黒人を秘密結社に入れると思うんだ?
※RedditのHipHopHeads等のフォーラムで「ヒップホップにおける陰謀論を完全に終わらせた歴史的パンチライン」と絶賛されるライン。アメリカ社会において歴史的に迫害され、カントリークラブやエリート層から徹底的に排除されてきた黒人(Niggas)を、世界を裏で牛耳るような白人至上主義的な秘密結社がホイホイと迎え入れるはずがないという、身も蓋もない「人種的リアリズム」を突きつけている。

Huh, fake friends and siblings
ハッ、偽物の友達や兄弟たちよ
※成功した途端に群がってくる連中への皮肉。

Like to wish you well but ain't never flicked a nickel in
「成功を祈ってるよ」とか言いながら、1ニッケル(5セント)たりとも支援してくれたことなんてねえよな
※下積み時代には誰も金銭的・精神的なサポートをしてくれなかったという事実。

Haters wanna pull they pistol when they see me in this race car
俺がこのレーシングカーに乗ってるのを見ると、ヘイター共は銃を抜きやがる
※成功の象徴(高級スポーツカー)へのストレートな嫉妬と暴力。

But you can't spell war without a A-R
だが、「WAR(戦争)」という言葉は「A-R」抜きじゃ綴れないぜ
※「W-A-R」のスペルに含まれる「AR」と、アサルトライフル「AR-15」を掛けた極めてクレバーなWordplay。俺に戦争を仕掛けるなら、自動小銃の弾を浴びる覚悟をしろという警告。

15, I was pushing carts at K-Mart
15歳の頃、俺はKマートでカートを押してた
※アメリカの大衆スーパー「K-Mart」での低賃金労働。彼のルーツが完全なゲットー・ワーキングクラスであることを示している。

By 21, they said I'd be inside a graveyard
21歳になるまでに、俺は墓場に入ってるだろうって言われてたんだ
※黒人の若者の死亡率が異常に高い環境にいたこと。

Can't wait to get that black American Express
ブラックカード(アメリカン・エキスプレスのセンチュリオン)を手に入れるのが待ちきれないぜ
※究極の富とステータスの象徴。

So I can show them white folks how to really pull the race card
白人たちに、本当の「レース・カード」の切り方を教えてやるためにな
※「Pull the race card(人種カードを切る)」は、自分が不利になった際に「黒人だから差別された」と主張することを非難する白人側の決まり文句。CyHiはそれを逆手に取り、アメックスのブラックカード(Race card=人種を象徴する黒いカード、あるいは直前の「Race car」に乗るためのカード)を白人たちの目の前で切って(見せつけて)格の違いを分からせてやる、という天才的なダブルミーニングを展開している。

[Bridge: Kid Cudi & Kanye West]

(Woah)
(ウォウ)
※Kid CudiによるスペイシーなハミングとKanyeの掛け合い。

Yeah, you feeling on top now?
ああ、今は頂点に立った気分か?
※世間やヘイターから投げかけられる、皮肉交じりの問いかけ。

Getting that money, nigga?
金を稼いでるか、ニガ?
※(同上)

(You, you sold your soul)
(お前、お前は魂を売ったんだ)
※大衆が押し付けてくる「イルミナティに魂を売った」というレッテル。

(Hey, hey)
(ヘイ、ヘイ)
※(同上)

Yeah, you feeling on top now?
ああ、今は頂点に立った気分か?
※(同上)

(Hey, hey)
(ヘイ、ヘイ)
※(同上)

Getting that money, nigga?
金を稼いでるか、ニガ?
※(同上)

(You sold your soul)
(お前は魂を売ったんだ)
※(同上)

(Woah)
(ウォウ)
※(同上)

Yeah, you feeling on top now?
ああ、今は頂点に立った気分か?
※(同上)

Getting that money, nigga?
金を稼いでるか、ニガ?
※(同上)

(Hey, hey)
(ヘイ、ヘイ)
※(同上)

Nah, man, mad people was fronting
いや、違うね。沢山の連中が俺を舐めてかかってただけだ
※同アルバムの収録曲『New God Flow』でも全く同じラインがKanyeの口から語られる。アルバム全体を貫く重要なテーマへの回帰。

(Hey, hey)
(ヘイ、ヘイ)
※(同上)

Aw, man, made something from nothing
ああ、俺は何もないところから(ゼロから)這い上がったんだ
※魂を売ったわけではなく、血のにじむような努力と才能で無から有を生み出したという、Kanyeの魂の叫び。

[Verse 6: Kanye West]

I treat the label like money from my shows
俺はレーベルを、ライブのギャラと同じように扱ってる
※Kanye Westのヴァース。G.O.O.D. Musicという巨大レーベルの運営でさえ、彼にとっては自分のポケットマネー(ライブの収益)を回す感覚と同じだという圧倒的なスケール感。

G.O.O.D. would have been G.O.D., except I added more O's
G.O.O.D. Musicは「G.O.D.(神)」になるはずだったんだ、俺が「O(ゼロ)」をさらに付け足したことを除けばな
※「GOD」に「O」を足すと「GOOD」になるというスペル遊び。さらに「O」は銀行口座の残高の「ゼロ(桁数)」を意味しており、神聖な音楽集団に資本主義の圧倒的な「富」を注入したのがKanye自身であるというメガロマニア的な自負。

If I knew she was cheating and still bought her more clothes
もし彼女が浮気してるのを知りながら、それでも服を買い与えていたとしたら
※(次の行へ続く)

It's cause I was too busy with my Baltimore, you know
それは俺が「ボルティモア」で忙しすぎたからさ、分かるだろ?
※「Baltimore(ボルティモア)」を「B-More(Be More=より偉大になるため)」と掛けた秀逸なライン。また、ボルティモアを舞台にした麻薬密売ドラマ『The Wire』のように、ストリートのハッスル(ビジネス)に没頭しすぎていたというメタファーでもある。

Some people call that the art of war, you know
それを『孫子の兵法(アート・オブ・ウォー)』と呼ぶ奴もいる
※恋愛の駆け引きや、裏切りを知りつつ手なずけるビジネス手法を、古代中国の兵法書に例えている。

I guess it depends what you falling for, the clothes?
何に溺れるかによるんだろうな、服か?
※人々が魂を売ってしまう原因(物質主義)への問いかけ。

Cars, money, girls and the clothes
高級車、金、女、そして服
※『New God Flow』のバースとの完全なリンク。

All money, you sold your soul
「金がすべてだ、お前は魂を売ったんだ」
※(同上)

Nah, man, mad people was fronting
いや、違うね。沢山の連中が俺を舐めてかかってただけだ
※(同上)

God damn, we made something from nothing
クソッたれ、俺たちは何もないところから全てを創り上げたんだ
※黒人社会が抱えるルーツの欠落、貧困、そして陰謀論による中傷。そのすべてをはねのけ、己の力だけでヒップホップ帝国を築き上げたG.O.O.D. Musicの絶対的な勝利宣言として楽曲は幕を閉じる。