Artist: G.O.O.D. Music (Kanye West)
Album: Kanye West Presents: Good Music - Cruel Summer
Song Title: Mercy
概要
本作は、2012年にリリースされたG.O.O.D. Musicのコンピレーションアルバム『Cruel Summer』のリードシングルであり、2010年代のヒップホップにおける「ラグジュアリー・トラップ」の美学を決定づけた歴史的な一曲である。Kanye Westを中心に、Big Sean、Pusha T、2 Chainzという凄腕のMCたちが集結し、それぞれの特異なキャラクター(コミカルなWordplay、冷酷なコカイン・ラップ、誇大妄想的な権力誇示、不条理なパンチライン)を極限まで発揮している。プロデューサーのLiftedらが手掛けた、重低音が響き渡るミニマルなトラップ・ビートの不穏さと、ジャマイカのレゲエアーティストSuper Beagle『Dust A Sound Boy』からのサンプリング(地獄の苦しみを歌う旧約聖書的なボーカル)が、圧倒的な富(ランボルギーニ)の誇示と不気味に交錯する。圧倒的なエゴイズムとダークな芸術性が融合した、Kanye West帝国を象徴するマスターピースである。
和訳
[Intro: Fuzzy Jones]
Well, it is a weepin' and a moanin' and a gnashin' of teeth
泣き叫び、うめき、歯ぎしりすることになるだろう
※ジャマイカのレゲエアーティストSuper Beagleの1986年の楽曲『Dust A Sound Boy』からのサンプリング。Fuzzy Jonesによるイントロの語りである。元ネタは新約聖書(マタイによる福音書)における地獄の描写であり、これからG.O.O.D. Musicの圧倒的な音楽によってヘイターたちが絶望し、地獄の苦しみを味わうことを宣言する恐ろしいメタファーとなっている。
It is a weepin' and a moanin' and a gnashin' of teeth
泣き叫び、うめき、歯ぎしりすることになる
※(同上)
It is a—when it comes to my sound which is the champion sound
俺のサウンドに関して言えば、これこそがチャンピオンのサウンドなんだ
※ダンスホール・レゲエにおけるサウンドクラッシュ(音の戦い)の文脈。他のラッパーやレーベルを完全に破壊する「無敵のサウンド」であることを誇示している。
Believe, believe
信じろ、間違いないぜ
※(同上)
[Chorus: YB, Big Sean & Fuzzy Jones]
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー
※「Mercy」はランボルギーニの高級スポーツカー「ムルシエラゴ(Murciélago)」のスラング呼称。フロリダのアーティストYBのボーカルをピッチアップしてサンプリングしている。「Mercy(慈悲)」という単語が、イントロの地獄の描写に対する皮肉なコントラストを生み出している。
Your chick, she so thirsty
お前の女、超欲求不満みたいだな
※「Thirsty」は直訳の「喉が渇いた」から転じ、性的な欲求や金・名声への飢え(ビッチ的なガツガツした態度)を指すAAVEである。
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Believe)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(信じな)
※ランボルギーニという圧倒的な富を見せつけることで、他人の彼女でさえも自分の意のままになるというストレートなボースト。
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー
※(Chorusリフレインのため解説省略)
Your chick, she so thirsty
お前の女、超欲求不満みたいだな
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ
※(同上)
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※「Swerve」はBig Seanのシグネチャー・アドリブの一つで、高級車を急ハンドルで切る様子や、嫌な連中をかわすことを意味する。
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Woah, believe)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(ウォウ、信じな)
※(同上)
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー
※(同上)
Your chick, she so thirsty (Boy)
お前の女、超欲求不満みたいだな(ボーイ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Boy)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(ボーイ)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ
※(同上)
[Verse 1: Big Sean & Kanye West]
Okay, drop it to the floor, make that ass shake (Shake, shake)
オーケイ、床まで落とせ、そのケツを揺らしな(シェイク、シェイク)
※Big Seanのヴァース。ストリップクラブやパーティーでの典型的な光景。
Woah, make the ground move: that's an ass quake
ウォウ、地面を揺らしてみせろ、そりゃまさにケツの地震(アスクエイク)だな
※「Earthquake(地震)」と「Ass(尻)」を掛けたワードプレイ。
Built a house up on that ass: that's an ass-state
そのケツの上に家を建てるぜ、そりゃ不動産(アステート)ってやつだ
※「Estate(不動産/土地)」を「Ass-state」ともじり、巨大な尻を一つの土地に見立てている。
Roll–roll–roll my weed on it: that's an ass tray
その上でハッパを巻いてやる、そりゃ灰皿(アストレイ)だな
※「Ashtray(灰皿)」を「Ass-tray」に。3連続の「Ass」ダジャレは、Big Sean特有のコミカルでキャッチーなラップスタイルを決定づけた歴史的なパンチラインである。
Say, Ye, say, Ye, don't we do this every day–day? (Huh?)
なあ、Ye、俺たち毎日こんなことばっかやってないか?(あ?)
※YeはKanye Westのこと。高級車と女に囲まれる生活が日常茶飯事であることをアピールしている。
I work them long nights, long nights to get a payday (Huh?)
給料日のために、長い夜を何度も働き通してきたんだ
※今の豪遊ライフは、血の滲むようなスタジオでのハードワークの賜物であるという主張。
Finally got paid, now I need shade and a vacay
やっと大金が入ったからな、今は日陰とバカンスが必要だぜ
※成功を掴んだ後のリフレッシュを求めるライン。
And niggas still hatin'
なのに連中はまだ妬んでやがる
※成功者には常にヘイター(アンチ)がつきまとうという事実。
So much hate, I need a AK (AK)
あまりにもヘイトが多いから、AKが必要だぜ
※嫉妬から身を守るためのアサルトライフル「AK-47」のことだが、同時にKanyeの当時の恋人「Kim Kardashian」のイニシャルを逆にした「K.A.」や、Kanye本人「A K(A Kanye)」とのダブルミーニングであるという考察もReddit等のフォーラムで深く議論されている。
Now we out in Paris, yeah, I'm Perrierin'
今じゃ俺らはパリにいる、ああ、ペリエで乾杯さ
※KanyeとJay-Zの楽曲『Niggas in Paris』の歴史的成功を受けてのライン。高級炭酸水「Perrier(ペリエ)」を動詞化(Perrier-ing)し、パリでの贅沢な振る舞いを表現している。
White girls politickin', that's that Sarah Palin
白人の女たちがすり寄ってくる、まるでサラ・ペイリンみたいにな
※「Politicking(政治的駆け引きをする)」は、下心を持って相手に取り入ろうとする行動を指す。2008年米大統領選の共和党副大統領候補だった白人女性政治家Sarah Palinに例えた痛烈な比喩。
Get–get–get–get–get–gettin' hot, Californicatin'
アツくなってきやがったぜ、カリフォルニケイションさ
※Red Hot Chili Peppersの名曲、あるいは同名ドラマからの引用。「カリフォルニアのような乱れた性生活や享楽的なライフスタイル」を意味する。
I give her that D, 'cause that's where I was born and raised in
あの子に”D”を与えてやるよ、だってそこが俺の生まれ育った場所だからな
※「D」はDick(男性器)のことだが、同時にBig Seanの故郷である「Detroit(デトロイト)」を指す秀逸なダブルミーニング。デトロイトのストリートで培ったタフさをベッドの上でも発揮するという意味。
[Chorus: YB, Big Sean & Fuzzy Jones]
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※(Chorusリフレインのため解説省略)
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Swerve)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(スクルッ)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Swerve, believe)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(スクルッ、信じな)
※(同上)
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※(同上)
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Swerve)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(スクルッ)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Swerve)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(スクルッ)
※(同上)
[Post-Chorus: Fuzzy Jones & Big Sean]
Well, it is a weepin' and a moanin' (Swerve)
泣き叫び、うめくことになるだろう(スクルッ)
※(Introリフレインのため解説省略)
And a gnashin' of teeth (Swerve)
そして歯ぎしりすることにな(スクルッ)
※(同上)
It is a weepin' and a mournin' (Swerve)
泣き叫び、嘆き悲しむことになる(スクルッ)
※(同上)
And a gnashin' of teeth (Swerve)
そして歯ぎしりすることにな(スクルッ)
※(同上)
It is a—when it comes to my sound (Swerve)
俺のサウンドに関して言えば(スクルッ)
※(同上)
Which is the champion sound (Swerve)
これこそがチャンピオンのサウンドなんだ(スクルッ)
※(同上)
Believe, believe (Swerve)
信じろ、間違いないぜ(スクルッ)
※(同上)
Believe, believe (Swerve)
信じな(スクルッ)
※(同上)
[Verse 2: Pusha T]
Yuugh! It's prime time, my top back, this pimp game, ho
ユーッ!プライムタイムだぜ、ルーフを開け放つ、これがピンプのやり方さ、ビッチ
※Pusha Tのヴァース。「Yuugh!」は彼特有のドラッグ・ディーラー的な嫌悪感と優越感を示すアドリブ。オープンカーで街を流す様子を表現。
I'm red leather, this cocaine, I'm Rick James, ho
俺は赤いレザー、これはコカイン、俺はリック・ジェームスだぜ
※赤いレザーの服とコカイン中毒で知られた伝説的ファンクシンガーRick Jamesへの言及。Pusha Tのラップの核である「コカイン・ラップ」の宣言でもある。
I'm bill-droppin', Ms. Pac-Man, this pill-poppin' ass ho
俺は札束を落とし、ミズ・パックマンみたいなクスリ漬けのビッチがそれを喰い尽くす
※札束(あるいはMDMAなどのピル)を、アーケードゲーム『パックマン』のように次々と飲み込んでいく女性のメタファー。ドラッグと金の退廃的な世界観。
I'm poppin' too, these blue dolphins need two coffins
俺もキメてるぜ、このブルー・ドルフィンには棺桶が2つ必要だ
※「Blue dolphins」はイルカの刻印がされた高純度のエクスタシー(MDMA)のストリートネーム。あまりにも強力なため、致死量に達して棺桶が2つ(自分と相手の分)必要になるという強烈なライン。
All she want is some heel money
彼女が欲しいのはヒールを買う金だけ
※女性を惹きつけるのは結局のところ物質的な富であるという冷酷な観察。
All she need is some bill money
彼女が必要なのは請求書を払う金だけさ
※(同上)
He take his time, he counts it out
その辺の奴らは時間をかけて紙幣を数えてるが
※(次の行へ続く)
I weighs it up, that's real money
俺は重さを量るんだ、それが「本物の金」ってやつさ
※Pusha T屈指のドラッグ・マスマティクス(麻薬密売の計算)パンチライン。小銭稼ぎのハスラーは紙幣を1枚ずつ数えるが、真のキングピン(麻薬王)は金が多すぎるため「束の重さ」で金額を量るという、圧倒的なスケールの違いを見せつけている。
Check the neck, check the wrist
首元を見な、手首を見な
※チェーンや高級時計のフレックス。
Them heads turnin': that's exorcist
みんな振り返ってガン見してるぜ、まるでエクソシストだな
※映画『エクソシスト』の悪魔に取り憑かれた少女の首が360度回転する有名なシーンと、彼らのジュエリーの輝きに街中の人々が振り返る様子を掛け合わせた巧みな比喩。
My Audemars like Mardi Gras
俺のオーデマ・ピゲはマルディグラみたいに派手だぜ
※高級時計ブランドのオーデマ・ピゲ(Audemars Piguet)。その文字盤に敷き詰められた宝石のカラフルな輝きを、ニューオーリンズの華やかなカーニバル「マルディグラ」に例えている。
That's Swiss time, and that's excellence
スイス製の時計さ、これぞ最高級の証だ
※スイスが高級時計の世界的産地であることへの言及。
Two-door preference
車は2ドアが俺の好みだ
※スポーツカー(クーペ)を好むこと。
Roof gone, George Jefferson
屋根(ルーフ)は開けっ放し、ジョージ・ジェファーソン気取りさ
※70〜80年代のアフリカ系アメリカ人向けシットコム『The Jeffersons』の主人公George Jeffersonへの言及。彼が成功して高級マンションのペントハウス(屋根の上/上層階)へ引っ越した主題歌「Movin' On Up」と、車の屋根(ルーフ)を開けることを掛けている。
That white frost on that pound cake
パウンドケーキに乗った白いフロスト(砂糖衣)
※Pusha Tの真骨頂であるコカインの暗号。「Pound cake」は1ポンドのコカインの塊、「White frost」はその純度の高さや白さを意味する。
So your Duncan Hines is irrelevant, woo
だからお前のダンカン・ハインズなんかお呼びじゃないんだよ、ウー
※Duncan Hinesはアメリカの有名な市販ケーキミックスのブランド。俺が扱う最高品質のコカイン(自家製パウンドケーキ)に比べれば、お前らの扱う市販品レベルの安物の粉など相手にならないという麻薬売買のメタファー。
Lambo Murciélago
ランボ・ムルシエラゴさ
※曲のテーマである車の名前。
She go wherever I go
俺が行くところなら、あの子はどこへでもついてくる
※(同上)
Wherever we go, we do it pronto, it's like—
どこへ行くにしても、俺らは速攻でヤるんだ、こんな感じにな—
※「Pronto」はスペイン語由来で「迅速に、すぐに」の意。
[Chorus: YB, Big Sean & Fuzzy Jones]
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※(Chorusリフレインのため解説省略)
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Swerve)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(スクルッ)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Swerve, believe)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(スクルッ、信じな)
※(同上)
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※(同上)
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Swerve)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(スクルッ)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Swerve)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(スクルッ)
※(同上)
[Post-Chorus: Fuzzy Jones & Big Sean]
Well, it is a weepin' and a moanin' (Swerve)
泣き叫び、うめくことになるだろう(スクルッ)
※(Post-Chorusリフレインのため解説省略)
And a gnashin' of teeth (Swerve)
そして歯ぎしりすることにな(スクルッ)
※(同上)
It is a weepin' and a mournin' (Swerve)
泣き叫び、嘆き悲しむことになる(スクルッ)
※(同上)
And a gnashin' of teeth (Swerve)
そして歯ぎしりすることにな(スクルッ)
※(同上)
It is a—when it comes to my sound (Swerve)
俺のサウンドに関して言えば(スクルッ)
※(同上)
Which is the champion sound (Swerve)
これこそがチャンピオンのサウンドなんだ(スクルッ)
※(同上)
Believe, believe (Swerve)
信じろ、間違いないぜ(スクルッ)
※(同上)
Believe (Swerve)
信じな(スクルッ)
※(同上)
[Bridge: Fuzzy Jones]
Well, it is a weepin' and a moanin'
泣き叫び、うめくことになるだろう
※(同上)
And a gnashin' of teeth in the dancehall
ダンスホールで歯ぎしりすることになる
※レゲエにおける現場(ダンスホール)での完全なる勝利宣言。
And who no have teeth gwan rub pon dem gums
歯を持たない奴らは、歯茎を擦り合わせることになるだろう
※パトワ語「gwan (going to)」「pon (upon)」。歯がない者(力を持たない者)は地獄で歯を食いしばることもできず、ただ歯茎を擦り合わせて苦しむという恐ろしい比喩。G.O.O.D. Musicに歯向かう弱者への宣告。
Cuh when time it comes to my sound
なぜなら、俺のサウンドに関して言えば
※「Cuh」は「Because」のパトワ。
Which is the champion sound
これこそがチャンピオンのサウンドなんだからな
※(同上)
The bugle has blown fi many times
ラッパはこれまでに何度も吹き鳴らされてきた
※「Bugle」は軍隊のラッパや、聖書のヨハネの黙示録における終末のラッパを暗示している。
And it still have one more time left
そして、まだもう一回分残ってるんだ
※G.O.O.D. Musicの快進撃がまだ終わっていないことのメタファー。
Cuh the amount of stripe weh deh pon our shoulder
俺たちの肩には、それだけ多くの階級章(ストライプ)が刻まれているからな
※軍服の肩章(階級を示すストライプ)。シーンにおいて彼らがどれほど多くの実績と敬意(ランク)を獲得してきたかを示している。
[Verse 3: Kanye West & 2 Chainz]
Let the suicide doors up
スーサイド・ドアを跳ね上げろ
※Kanye Westのヴァース。スーサイド・ドアは後ろヒンジで開く特殊な車のドア(ランボルギーニ等のシザーズドアと混同されがちだが、ここでは高級車の象徴として使用)。
I threw suicides on the tour bus
ツアーバスにもスーサイド・ドアを取り付けてやった
※常軌を逸したカスタマイズによる富の誇示。
I threw suicides on the private jet
プライベートジェットにまでスーサイド・ドアを付けてやったぜ
※航空力学的に不可能なことまで成し遂げるという、Kanye特有の誇大妄想的なフレックス。
You know what that mean, I'm fly to death
それがどういう意味か分かるか、俺は死ぬほどイケてる(フライだ)ってことさ
※「Suicide(自殺)」と「Fly to death(死ぬほどイケてる/文字通り空を飛んで死ぬ)」という見事なワードプレイ。
I step in Def Jam buildin' like I'm the shit
デフ・ジャムのビルに乗り込むぜ、俺が一番のビッグボスだって顔してな
※Kanyeが所属していた巨大レーベルDef Jamのオフィスでの振る舞い。彼が単なる契約アーティストではなく、レーベルを牽引する絶対的な存在であることを示している。
Tell 'em gimme fifty million or I'ma quit
「5000万ドルよこせ、さもなきゃ辞めるぞ」って言ってやった
※当時のDef Jam首脳陣に対する法外な要求。Kanyeの底知れぬエゴと、自身の芸術的価値への絶対的な自信を表現した有名なライン。
Most rappers' taste level ain't at my waist level
大半のラッパーの「センス(テイストレベル)」は、俺の腰の高さにすら届いちゃいねえ
※音楽性だけでなく、ファッションやデザインにおける自身の美学(Taste)が他のラッパーとは次元が違うという見下し。「腰の高さ」とは、文字通り足元にも及ばない、あるいはフェラチオの体勢を暗喩しているとも解釈される。
Turn up the bass 'til it's up-in-yo-face level
お前らの顔面にブチ当たるレベルまでベースを上げろ
※『Mercy』の異常に重いトラップ・ベースに対する言及であり、ヘイターの顔面をぶん殴るようなサウンドを作っているという誇示。
Don't do no press but I get the most press, kid
プレス(取材)は一切受けないが、一番プレス(報道)されてるのは俺だぜ、坊や
※メディア嫌いでインタビューを拒否しても、皮肉にもタブロイド紙やニュースのヘッドラインを常に独占してしまうKanyeの特異な立ち位置。
Plus, yo, my bitch make your bitch look like Precious
それに加えて、俺の女と並べば、お前の女なんか映画の『プレシャス』みたいに見えるぜ
※当時の恋人Kim Kardashianの美貌を誇示する一方で、映画『Precious』の肥満体型の黒人ヒロインを引き合いに出した非常に無神経で物議を醸したライン。Kanyeのルッキズムと傲慢さが全開になっている。
Somethin' 'bout Mary, she gone off that molly
メアリーの奴はどうかしちまってる、モリー(MDMA)で完全にイッてるな
※映画『メリーに首ったけ(There's Something About Mary)』のタイトルと、ストリートでのマリファナの隠語「Mary Jane」を掛けている。さらに「Molly」でハイになっているパーティーガールの描写。
Now the whole party is melting like Dalí
今やパーティー全体がダリの絵みたいにドロドロに溶けてるぜ
※ドラッグで視界が歪んだカオスなパーティー会場を、サルバドール・ダリのシュルレアリスム絵画『記憶の固執(溶ける時計)』に例えた芸術的でサイケデリックなメタファー。
Now everybody is movin' they body
みんなが体を揺らしてる
※(同上)
Don't sell me apartment, I'll move in the lobby (Yah)
俺にアパートの部屋なんか売るな、ロビーに引っ越してやるよ(ヤア)
※普通の部屋では満足できず、巨大で豪華な建物のエントランス・ロビーそのものを自宅にしてしまうという、常識外れの富の誇示。
Niggas is loiterin' just to feel important
連中は自分が重要人物だと錯覚したくて、ウロウロたむろしてるだけさ
※(次の行へ続く)
You gon' see lawyers and niggas in Jordans (2 Chainz)
そこじゃ弁護士と、ジョーダンを履いた黒人たちが入り乱れてるのを見るだろうな(2 Chainz)
※Kanyeの周囲には、ビジネスを動かす白人のエリート弁護士と、ストリート上がりのラッパーや取り巻き(Air Jordan着用)がカオスに混在しているという、現代のヒップホップ帝国を象徴する光景。
[Verse 4: 2 Chainz & Big Sean]
Okay, now catch up to my campaign
オーケイ、俺のキャンペーン(快進撃)に追いついてきな
※2 Chainzのヴァース。大統領選の「キャンペーン」になぞらえ、シーンにおける自分の圧倒的な勢いを示している。
Coupe the color of mayonnaise
クーペの色はマヨネーズさ
※車のボディカラーを調味料(マヨネーズ=白/オフホワイト)に例える、2 Chainz特有のコミカルな表現。
I'm drunk and high at the same time
俺は酒に酔って、同時にハイになってるぜ
※(同上)
Drinkin' champagne on the airplane (Tell 'em)
飛行機の中でシャンパンを飲んでるんだ(言ってやれ)
※プライベートジェットでの豪遊。「Campaign, mayonnaise, same time, airplane」と見事な韻を踏んでいる。
Spit rounds like a gun range (Baow)
射撃場みたいに弾(ライム)をブッ放すぜ(バウ)
※銃の弾(Rounds)と、口から吐き出す言葉を掛けている。
Beat it up like Rampage
ランペイジみたいにボコボコにしてやるよ
※総合格闘家クイントン・”ランペイジ”・ジャクソン、あるいは同名のアーケードゲームを引用した暴力的な比喩。同時にベッドでの激しいセックスも暗喩している。
Hundred bands, cut your girl
100バンド(10万ドル)だ、お前の女を切り捨てるぜ
※「Band」は1000ドルの札束のこと。圧倒的な金を見せつけて他人の女を奪い(Cut)、関係を断ち切らせる。
Now your girl need a Band-Aid (Damn)
今じゃお前の女には「バンドエイド」が必要だな(クソッ)
※直前の「Hundred bands」「Cut」を受けた言葉遊び。傷ついた(あるいは激しいセックスをした)彼女には絆創膏が必要だという2 Chainzらしいダジャレ。
Grade A, A1
グレードA、A1ランクさ
※最高品質のコカイン、あるいは自分自身のステータス。
Chain the color of Akon
チェーンの色はエイコンだな
※セネガル出身のR&BシンガーAkonの非常に濃い肌の色と、自身の着けているブラック・ダイヤモンドのネックレスの色を掛けた、ヒップホップ史に残る有名なパンチライン。黒人コミュニティ内でのカラーイズムを逆手に取ったユーモア。
Black diamonds, backpack rhymin'
ブラックダイヤモンドに、バックパック・ライミングさ
※「バックパック・ラップ」は元々アングラでリリカルなヒップホップを指す言葉だが、ここでは彼自身が高価なデザイナーズ・バックパックを背負いながらラップしている物理的な状況を指している。
Co-signed by Louis Vuitton (Yep)
ルイ・ヴィトンのお墨付きだぜ(イェップ)
※ストリートのラッパーがハイブランドに認められ、パトロン(Co-sign)のような関係を築いていることのフレックス。
Horsepower, horsepower
馬力に馬力だ
※高級車のエンジンの強さ(馬力)。
All this Polo on, I got horsepower
全身ポロ(ラルフローレン)を身にまとって、俺には「馬の力」があるんだ
※Ralph Laurenのアイコンである「馬に乗ったポロ選手」のロゴと、車の「馬力(Horsepower)」を掛けた秀逸なWordplay。
Pound of this cost four thousand
この極上ウィードは1ポンドで4000ドルするんだぜ
※超高級なマリファナの値段。
Now I make it rain, she want more showers
俺が札束の雨(メイク・イット・レイン)を降らせると、彼女はもっとシャワーを浴びたがるのさ
※ストリップクラブで札束をばら撒く行為(Make it rain)と、雨(Rain)に関連してシャワー(Showers)を欲しがるという表現。
Rain (Rain) pourin' (Pourin')
雨だ(雨だ)土砂降りだぜ(土砂降りだ)
※金が無限に降り注ぐ様。
All my cars is foreign (Foreign)
俺の車は全部外車(フォーリン)だ
※ランボルギーニやマイバッハなど、ヨーロッパの高級輸入車であることを誇示。
All my broads is foreign (Foreign)
俺の女たちも全員外国人(フォーリン)さ
※アメリカ国内だけでなく、世界中のエキゾチックな美女たちをはべらせているというステータス。
Money tall like Jordan
俺の金はジョーダンみたいに背が高いんだ
※積み上げた札束の高さが、身長198cmのマイケル・ジョーダンと同じくらいあるという比喩。
[Chorus: YB, Big Sean & Fuzzy Jones]
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※(Chorusリフレインのため解説省略)
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Swerve)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(スクルッ)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Swerve)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(スクルッ)
※(同上)
O-o-o-o-o-okay, Lamborghini Mercy (Swerve)
オ・オ・オ・オ・オーケイ、ランボルギーニ・マーシー(スクルッ)
※(同上)
Your chick, she so thirsty (Swerve)
お前の女、超欲求不満みたいだな(スクルッ)
※(同上)
I-I-I-I-I'm in that two-seat Lambo (Swerve, believe)
俺は2シーターのランボに乗ってるんだ(スクルッ、信じな)
※(同上)
With your girl, she tryna jerk me (Swerve, believe)
お前の女と一緒にな、あいつ俺のモノを扱きたがってるぜ(スクルッ、信じな)
※(同上)
[Post-Chorus: Fuzzy Jones & Big Sean]
Well, it is a weepin' and a moanin' (Swerve)
泣き叫び、うめくことになるだろう(スクルッ)
※(Post-Chorusリフレインのため解説省略)
And a gnashin' of teeth (Swerve)
そして歯ぎしりすることにな(スクルッ)
※(同上)
It is a weepin' and a moanin' (Swerve)
泣き叫び、うめくことになるだろう(スクルッ)
※(同上)
And a gnashin' of teeth (Swerve)
そして歯ぎしりすることにな(スクルッ)
※(同上)
It is a—when it comes to my sound (Swerve)
俺のサウンドに関して言えば(スクルッ)
※(同上)
Which is the champion sound (Swerve)
これこそがチャンピオンのサウンドなんだ(スクルッ)
※(同上)
Believe, believe (Swerve)
信じろ、間違いないぜ(スクルッ)
※(同上)
Believe, believe (Swerve)
信じろ、間違いないぜ(スクルッ)
※(同上)
Well, it is a weepin' and a moanin' and a gnashin' of teeth
泣き叫び、うめき、歯ぎしりすることになるだろう
※(同上)
It is a weepin' and a moanin' and a gnashin' of teeth
泣き叫び、うめき、歯ぎしりすることになる
※(同上)
It is a—when it comes to my sound which is the champion sound
俺のサウンドに関して言えば、これこそがチャンピオンのサウンドなんだ
※(同上)
Believe, believe, believe, believe
信じろ、信じろ、信じろ、信じな
※(同上)
