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WHATEVER WORKS - Kanye West 【和訳・解説】

Artist: Kanye West

Album: BULLY

Song Title: WHATEVER WORKS

概要

Kanye Westのアルバム『BULLY』に収録された「WHATEVER WORKS」は、過去の痛みや炎上(Crash out)、そしてメディアの喧騒から距離を置き、達観した境地へと至ったYeの現在のマインドセットを象徴するトラックだ。「I'll always forgive you(いつも君を許すよ)」という静かなイントロから始まり、下積み時代(Ford Focusに乗っていた頃)から、各国の王族と会談する現在までの凄まじい成り上がりを振り返る。しかし彼は、大統領や王よりも自身の娘たちの方が高貴であると言い放ち、フェイクニュースには見切りをつけて「ログオフ」する。特筆すべきは「Yeezy airbags when I'm crashin' out(炎上してもYeezyというエアバッグがある)」というラインだ。何度失言や奇行で世間からバッシングを浴びようとも、彼が築き上げた絶対的なブランドと富が彼を守り抜くという、痛烈なまでの自信と資本主義的リアリズムが込められている。レモネードの格言をアーノルド・パーマーに昇華させるワードプレイも秀逸な、Ye流の「ケセラセラ(何とかなるさ)」を体現した一曲である。

和訳

[Intro]

I'll always forgive you
俺はいつだって君を許すよ
※過去の因縁や裏切り、あるいはメディアや大衆のヘイトに対するYeの達観したスピリチュアルな宣言。

I'll always forgive you
いつだって許してやるさ

[Chorus]

Had a change of heart, I've felt different at first
心境の変化があったんだ、最初は違う風に感じてたけどな

Lot of pain, lot of hurt, but still, could've been worse
たくさんの痛み、たくさんの傷を負ったが、それでも、もっと最悪な事態になってたかもしれないだろ

In a big city in pole position, when you reverse
大都会のポールポジション(最前列)にいたのに、お前がバックギアに入れた時にな
※人生やキャリアの頂点にいたはずが、相手の行動(あるいは自身の炎上)によって逆戻りした状況のメタファー。

She had that new convertible, the Lil Uzi Vert
あいつは新型のコンバーチブル(オープンカー)に乗ってた、リル・ウージー・ヴァートみたいにな
※「Convertible」とLil Uzi「Vert」を掛けた定番のヒップホップ・ワードプレイ。Uzi自身も派手なカスタムカー愛好家として知られる。

Down payment on the cars you love went on the purse
お前が欲しがってた車の頭金(ダウンペイメント)は、結局バッグ(パース)の代金に消えちまった

"Go to work," or whatever she said, whatever works
「仕事に行って」とか、あいつが何を言おうが、結果オーライ(上手くいけば何でもいい)さ
※「Whatever works」は「上手くいくなら何でもいい、結果良ければすべて良し」というイディオム。理不尽な要求や状況も受け流す姿勢。

[Verse]

Unemployed, early in the story, I was startin' off
無職だった頃、物語の序盤、俺はまだ駆け出しだった

Had to Ford Focus, before I couldn't afford a car
フォード・フォーカスに乗ってたんだ、車を買う余裕(アフォード)すらなくなる前にな
※「Ford」と「Afford(余裕がある)」を掛けた秀逸な言葉遊び。Yeの無名時代の経済的な苦労を振り返っている。

Now she finna throw it like she do it for an Audemars
今じゃあいつは、オーデマ(ピゲ)をもらうためみたいにケツを振ってやがる
※「Audemars Piguet」の高級時計。成功した途端に金やブランド品目当てで近づき、媚びを売る(Throw it)女性への皮肉。

Meetin' with somе ministers and kings, I was noddin' off
大臣や王族たちとの会談中にも、俺は居眠り(ノディング・オフ)してたぜ
※世界的なアイコンとして各国の権力者と面会する立場になりながらも、そんな権威には全く興味がないという絶対的なエゴの誇示。

Haven't seen a king that was royal as my daughters arе
俺の娘たちほど気高い(ロイヤルな)王様なんて、今まで見たことがねえよ
※NorthやChicagoといった自身の娘たちへの深い愛情。どんな権力者よりも自分の血を引く家族こそが真の王族であるというYeの強い家族観。

They all fallin' for the fake news, man, I'm loggin' off
奴らはみんなフェイクニュースに騙されてやがる、なぁ、俺はもうログオフするぜ
※メディアの偏向報道やSNSの喧騒に対する嫌悪感。真実を見失った大衆から距離を置く(Log off)宣言。

They sent shots while we spin blocks in an armored car
俺らが防弾車でブロックを旋回(スピン)してる間に、奴らは銃弾(ヘイト)を撃ち込んできやがった
※「Spin blocks」は敵の縄張りを報復のために車で回ること。ストリートの抗争をメタファーとし、強固な防御(Armored car=富やチーム)でヘイターの攻撃を弾き返している様子。

Now they want the tea 'cause it's pipin' hot
今度は奴ら、淹れたて(パイピン・ホット)の熱いお茶(ゴシップ)を欲しがりやがる
※「Tea」はAAVEで「ゴシップ、噂話」のこと。散々Yeを叩きながらも、結局は彼の最新の動向やスキャンダルを誰よりも求めている大衆やメディアの偽善を突いている。

Life gave me lemons, made an Arnold Palmer on the rocks
人生が俺にレモンを与えたから、オン・ザ・ロックのアーノルド・パーマーを作ってやったよ
※「When life gives you lemons, make lemonade(人生が酸っぱいレモン=試練を与えたなら、甘いレモネードを作れ)」という有名な格言のアップデート。「Arnold Palmer」はレモネードとアイスティーを半分ずつ割った飲み物。単なるレモネードではなく、さらに一工夫加えた特製ドリンクにするというYe流の逆境の乗り越え方。

I feel like Arnold Schwarzenegger, contract terminator on the spot
アーノルド・シュワルツェネッガーになった気分だ、その場で契約を終わらせる(ターミネートする)ぜ
※前行の「Arnold」からの連想ゲーム。不利なビジネス契約や自分を縛るシステムを、ターミネーターのように容赦無く破壊・終了(Terminate)させる冷酷なCEOとしての立ち回り。

They wanna back-and-forth, I'd rather not
奴らは言い争い(バック・アンド・フォース)をしたがってるが、俺は御免だね

Yeezy airbags when I'm crashin' out
俺がブチ切れて自滅(クラッシュ・アウト)する時も、Yeezyというエアバッグがあるからな
※「Crash out」は暴走する、炎上するというストリート・スラングと、文字通りの自動車事故を掛けている。どれだけ失言や奇行で世間からバッシング(事故)を受けても、「Yeezy」という巨大なブランドと財産がクッション(エアバッグ)となり、決して致命傷には至らないという資本主義的な無敵の宣言。

They gon' hate it with a passion now, I love it (Man)
奴らは今、情熱を込めて俺を憎んでやがる、最高じゃねえか(なぁ)
※ヘイターたちのエネルギーすらも自分の原動力(Love it)として吸収する、ヴィラン(悪役)としての余裕。

[Chorus]

Had a change of heart, I felt different at first
心境の変化があったんだ、最初は違う風に感じてたけどな

Lot of pain, lot of hurt, but still, could've been worse, man
たくさんの痛み、たくさんの傷を負ったが、それでも、もっと最悪な事態になってたかもしれないだろ、なぁ

It still could've been worse
もっと酷いことになってた可能性だってあるんだ

In a big city, in pole position, when you reverse
大都会のポールポジションにいたのに、お前がバックギアに入れた時にな

She had that new convertible, the Lil Uzi Vert
あいつは新型のコンバーチブルに乗ってた、リル・ウージー・ヴァートみたいにな

Down payment on the cars you love went on the purse
お前が欲しがってた車の頭金は、結局バッグの代金に消えちまった

"Go to work," or whatever she said, whatever works, works
「仕事に行って」とか、あいつが何を言おうが、結果オーライ(上手くいけば何でもいい)なのさ

[Refrain]

Whatever works, works, huh, whatever works, works
上手くいくならそれでいいさ、ハァ、結果良ければすべて良しだ

Whatever works, works, yeah, whatever works, works
何とかなるもんだ、イェー、上手くいくならそれでいい

Whatever works, works, yeah, whatever works, works
結果良ければすべて良しだ、イェー、何とかなるさ

Whatever works, works, whatever works, works
上手くいくならそれでいい、結果良ければすべて良しだ

Whatever works, works
何とかなるもんさ

[Outro]

I'll always forgive you
俺はいつだって君を許すよ

I'll always forgive you
いつだって許してやるさ
※すべての喧騒、ヘイト、炎上を乗り越え、最終的に「許し」という究極の平和へと帰結する、Yeの精神的な成熟を感じさせるアウトロ。