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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Lose Control - Yeat & Elton John 【和訳・解説】

Artist: Yeat & Elton John

Album: ADL

Song Title: Lose Control

概要

アンダーグラウンド発のレイジ・サウンドの旗手であるYeatと、生ける伝説エルトン・ジョンという、世代とジャンルを超越した奇跡のコラボレーション楽曲。エルトンはこれまでもEminemやYoung Thugなど、異端の天才ラッパーたちをいち早く評価しフックアップしてきた歴史があり、本楽曲はその系譜に連なる極めて重要なマイルストーンである。イントロではエルトンの1975年の名曲「Someone Saved My Life Tonight」の象徴的なフレーズが歌い直されており、原曲が持つ「抑圧からの解放」というテーマが、Yeatの「名声とドラッグによる現実からの逃避」と鮮烈なコントラストを描く。神聖な響きを持つエルトンのボーカルから一転、Yeatのバースでは薬物依存、果てしない物質主義、そして「神にハンドルを委ねる(破滅への降伏)」という狂気的なライフスタイルが生々しく描写される。「Lose Control(コントロールを失う)」という言葉が、精神的な自由への飛翔なのか、それとも死と隣り合わせの墜落なのか、リスナーに強烈な二面性を突きつける傑作である。

和訳

[Intro: Elton John]

Sweet freedom whispered in my ear
甘い自由が俺の耳元で囁いた
※エルトン・ジョンの1975年の名曲「Someone Saved My Life Tonight」からの引用。原曲は不幸な結婚や自殺の危機といった「束縛」からの生還を歌ったものであり、ここではあらゆる地上のしがらみからの解放を意味している。

You're a butterfly
君は蝶々だ
※蝶は「変容(メタモルフォーゼ)」と「自由」の普遍的なメタファー。Yeatが単なるサウンドクラウドのラッパーから、世界的なスターへと羽化した姿をエルトンが祝福している構図だ。

And butterflies are free to fly
そして蝶は自由に飛び回るもの

Fly away, high away, fly, fly
飛んで行け、高く、飛べ、飛べ
※原曲の「bye bye」が「fly, fly」に変更されている。社会的・音楽的な枠組みを飛び越えるというメッセージに加え、Yeatがドラッグによって「High(トぶ)」になることへの皮肉なダブルミーニングとも解釈できる。

Ooh
ウー

Ooh
ウー

[Verse: Yeat]

Oh, you know it, so baby, let's go (Go)
ああ、分かってるだろ、ベイビー、行こうぜ(ゴー)

You know that you got it, girl, don't you come on, let's go
お前がイケてるのは分かってる、なぁ、来いよ、行くぞ
※エルトンの神聖で天上界のようなイントロから一転、Yeatの享楽的で俗物的なストリートの日常へ一気に引き戻される。この落差こそが本楽曲のコアである。

Flashin' lights in my face, camera lights at night
顔にフラッシュが光る、夜のカメラのライトがな
※Kanye Westの「Flashing Lights」を彷彿とさせる、パパラッチやSNSによる絶え間ない監視の描写。名声の代償としてのプレッシャー。

You can step away, still gon' concern you
距離を置こうとしたって、結局はお前を巻き込むことになるぜ
※名声やドラッグの誘惑、あるいはYeat自身の影響力から逃れようとしても、すでにその引力圏内にいる以上は不可能であるという絶対的な自信、もしくは呪縛の暗示。

[Chorus: Yeat]

Still, we was outside poppin' pills, yeah
それでも俺らは外でピルをキメてたんだ、イェー
※「outside」はストリートや現場にいること。「poppin' pills」はパーコセットやエクスタシーなどの処方薬・合成麻薬の乱用。エルトンの「精神的なHigh(神聖)」に対して、Yeatの「化学的なHigh(退廃)」の対比が強烈に示されている。

Makin' money, gettin' real, yeah (Ah)
金を稼いで、リアルになっていく、イェー(アー)

I done fucked my new bitch last week, yeah
先週新しいビッチを抱いたばかりだぜ、イェー

I got a new one dependin' how I feel, yeah (Ah)
気分次第でまた新しい女を手に入れる、イェー(アー)
※尽きることのない富と、それに伴う虚無的な消費行動の描写。

I'ma smoke it up now, I disappear
今からガンガン吸って、姿を消してやるよ
※大麻(ウィード)による現実逃避。名声(カメラのフラッシュ)から逃れるための煙幕(smoke)としての機能も果たしている。

Got the money on my mind, yeah, got ideas (Grrah)
頭の中は金のことでいっぱいだ、イェー、アイデアが湧いてくる(グラァ)

And the bitch gon' pull up, yeah, they always see us (Yeah)
ビッチが車で乗り付けてくる、ああ、奴らはいつも俺らを見てる(イェー)

We at the club, yeah, yeah, they always see us (They always see us)
俺らがクラブにいると、イェー、イェー、奴らはいつも俺らに釘付けだ(いつも見てる)

Ooh-ooh-ooh, ah, when you outside in the sundress, let me fuck
ウー、アー、お前がサンドレスで外にいる時、ヤらせてくれよ

Ooh, woah, we was in the whip, drivin' down the coast
ウー、ウォウ、俺らは車に乗って、海岸沿いをドライブしてた
※「whip」は高級車。LAのパシフィック・コースト・ハイウェイなどを疾走する、成功したラッパーの典型的なフレックス。

Yeah, I just passed the wheel to God, told God, "Yeah, I'ma lose control" (Lose control)
ああ、神にハンドルを任せて言ったんだ、「ああ、俺はコントロールを失うぜ」ってな(コントロール不能だ)
※カントリー歌手Carrie Underwoodの「Jesus, Take the Wheel」のダークでニヒリスティックな再解釈。神に救済を求めるのではなく、ドラッグによる完全な酩酊状態で運転の制御を放棄(lose control)するという、狂気的で破滅的なパンチライン。死を恐れていない極限状態。

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ
※シラフ(現実)に戻っても、すぐにまたプレッシャーから逃れるためにドラッグや享楽に溺れてしまうという、依存症の抜け出せない負のループ。

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...
※言葉が不自然に途切れる(カットオフされる)ことで、意識のブラックアウトや、最悪の場合は交通事故(クラッシュ)を音楽的に生々しく表現している。

[Chorus: Yeat]

Still, we was outside poppin' pills, yeah
それでも俺らは外でピルをキメてたんだ、イェー

Makin' money, gettin' real, yeah (Ah)
金を稼いで、リアルになっていく、イェー(アー)

I done fucked my new bitch last week, yeah
先週新しいビッチを抱いたばかりだぜ、イェー

I got a new one dependin' how I feel, yeah (Ah)
気分次第でまた新しい女を手に入れる、イェー(アー)

I'ma smoke it up and now I disappear
今からガンガン吸って、姿を消してやるよ

Got the money on my mind, yeah, got ideas
頭の中は金のことでいっぱいだ、イェー、アイデアが湧いてくる

Ooh-ooh-ooh, ah, when you outside in the sundress, let me fuck
ウー、アー、お前がサンドレスで外にいる時、ヤらせてくれよ

Ooh, woah, we was in the whip, drivin' down the coast
ウー、ウォウ、俺らは車に乗って、海岸沿いをドライブしてた

Yeah, I just passed the wheel to God, told God, "Yeah, I'ma lose control" (Lose control)
ああ、神にハンドルを任せて言ったんだ、「ああ、俺はコントロールを失うぜ」ってな(コントロール不能だ)

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...

[Outro: Yeat]

Ooh-ooh-ooh, ah, I know it all
ウー、アー、俺は全て分かってるんだ
※自身の破滅的なライフスタイルが異常であるという明確な自覚。無知ではなく、知った上で「コントロールを失う」ことを選択している。

Ooh-ooh-ooh, ah, yeah, I know what I want
ウー、アー、イェー、俺は自分が何を求めているか分かってる

Ooh-ooh-ooh, ah, yeah, I know what I want
ウー、アー、イェー、俺は自分の欲望を理解してるんだ

I want it, I want it, I want it, I want it
欲しい、欲しい、欲しい、それが欲しいんだ
※名声、ドラッグ、富、あるいはエルトンが歌った「自由」に対する、強迫観念的で狂気じみた果てしない渇望。

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...

Every time I come back, I'ma lose control
戻ってくるたびに、俺はコントロールを失うんだ

I'ma lose control, I'ma lose cont—
コントロールを失う、俺はコン...
※不気味なほど何度も繰り返され、最後まで完結することなく途切れるアウトロ。彼がこの無限のループから永遠に脱出できないことを決定づける、映画的で恐ろしいエンディングである。