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FATHER - Kanye West (feat. Travis Scott) 【和訳・解説】

Artist: Kanye West (feat. Travis Scott)

Album: BULLY

Song Title: FATHER

概要

本作「FATHER」は、カニエ・ウェストのソロアルバム『BULLY』に収録された、トラヴィス・スコット客演による魂の再生と成功を祝ぐゴスペル・トラップである。冒頭から響き渡る神への感謝の祈りとは対照的に、リリックではかつてのストリートでの過酷な日々や、ゴシップサイト(Worldstar)を騒がせた過去を振り返りつつ、現在は経済紙(Newsweek)を飾るまでの規格外の成功を収めた自負が語られる。トラヴィスも自身のルーツであるヒューストンのストリップクラブからマリブのビーチへの飛躍を歌い上げる。過去の自分(Old self)に別れを告げ、神と共にある「映画のような人生」を肯定しつつも、ストリートの冷酷さを忘れない力強くも内省的なアンセムだ。

和訳

[Intro]

Give us love another day
もう一日、私たちに愛を与えてください。

And hear our prayer
そして、私たちの祈りを聞き届けてください。

Please, Lord, when, whenever we pray
どうか、主よ。私たちが祈る時はいつでも。

Father, You've been, You've been good
父なる神よ、あなたは、あなたは私たちに良くしてくださいました。

I just wanna say thank you, Lord
ただ「ありがとうございます」と伝えたいのです、主よ。

I just wanna say thank you, Lord
ただ感謝を捧げたいのです、主よ。

You've been better to us
あなたは私たち自身が自分を労わる以上に。

Than we've been to ourselves
私たちに良くしてくださいました。

Father
父なる神よ。
※荘厳なゴスペルのコーラス。これまでの罪や過ちを悔い改め、現在の成功と生への感謝を神(Father)に捧げている。

[Verse 1: Kanye West]

Know you wonder where the F we been (Where you been?)
俺たちが一体どこ(the F=the fuck)にいたのか、気になってたんだろ?(どこにいたんだ?)

But I'm back to life like an Epi-Pen
だが俺は、エピペンみたいに息を吹き返した(バック・トゥ・ライフ)ぜ。
※エピペン(EpiPen)は重度のアナフィラキシー・アレルギー反応を抑え、命を救うための緊急補助治療剤。社会的に抹殺されかけたどん底の状況から、劇的な復活を遂げたカニエの生命力を表している。

And she still in the leopard skin
そして、あの子はまだ豹柄(レオパード)を着ている。

And I check me out, then check me in
俺は自分自身をチェックアウト(見つめ直す/退院する)して、そしてまたチェックインするんだ。

See this coat, nigga?
このコートが見えるか、ニガ?

[Chorus: Kanye West]

Bye-bye to my old self (Old self), wake up to the new me (It's a new me)
過去の俺(オールド・セルフ)にバイバイだ。新しい俺として目を覚ます(新しい俺さ)。

I used to be in World Star (World Star), now I'm making Newsweek (Newsweek)
昔は「World Star」に載ってたが、今じゃ「Newsweek」を飾ってるぜ。
※「WorldstarHipHop」はストリートの喧嘩や過激なゴシップ動画が集まるアンダーグラウンドなサイト。「Newsweek」は世界的な政治・経済を取り扱う権威あるニュース雑誌。ストリートの厄介者から、世界経済を動かすビリオネアへと成り上がった完璧な対比のパンチライン。

I used to hang on the 9 (On the 9), now I bought two streets (Two streets)
昔は「9(サウスサイド)」でたむろしてたが、今じゃストリートを2つ丸ごと買い取った。
※"the 9"はカニエの地元シカゴのサウスサイド(79丁目など)を指すストリートの呼称。フッドの路上で遊んでいた男が、今や不動産を買い占めるほどの富を築いたことの誇示。

College Road to King Drive (King Drive)
カレッジ・ロードから、キング・ドライブまでな。
※「King Drive(マーティン・ルーサー・キング・ドライブ)」はシカゴのサウスサイドを貫く主要なストリート。

Yeah, this life is a movie (Movie)
ああ、この人生はまるで映画(ムービー)さ。

Bye-bye to my old self (Old self), wake up to the old me (It's a new me)
過去の俺にバイバイだ。そして昔の(本来の)俺として目を覚ます。(新しい俺さ)

I used to be in World Star (World Star), now I'm making Newsweek (Newsweek)
昔は「World Star」に載ってたが、今じゃ「Newsweek」を飾ってるぜ。

I used to hang on the 9 (On the 9), now I bought two streets (Two streets)
昔は「9」でたむろしてたが、今じゃストリートを2つ丸ごと買い取った。

College Road to King Drive (King Drive)
カレッジ・ロードから、キング・ドライブまでな。

Yeah, this life is a movie (Movie)
ああ、この人生はまるで映画さ。

[Interlude]

Father
父なる神よ。

'Cause, I look good, I smell good, I feel good (Yes)
だって、俺は見た目も最高で、いい匂いがして、気分も最高だからな。(Yes)

And you sing good, and make love good
お前は歌うのも上手いし、メイク・ラブも最高さ。

[Verse 2: Travis Scott]

Know you wonderin' where the F I been (F I been)
俺が一体どこにいたのか、気になってたんだろ?
※ここからTravis Scottのバース。師であるKanyeのフロウを踏襲している。

Goin' hard like a crack syringe (Crack syringe)
クラックの注射器みたいに、激しく攻め込んでるぜ。
※ドラッグの注射器が皮膚を突き破るように、シーンの最前線でハードに(Goin' hard)活動しているという比喩。

I been breaking bad, now I'm back again (Back again)
悪事も働いてきた(ブレイキング・バッド)が、今また戻ってきたぜ。
※大ヒットドラマ『Breaking Bad』を用いたワードプレイ。

Gettin' meal tickets, no raffling (Raffling)
ミール・チケット(大金)を手に入れてる。くじ引き(ラッフリング)みたいな運頼みじゃねえよ。

(You see these kicks, nigga?)
(このスニーカーが見えるか、ニガ?)

Made checks off the right steps (Right steps)
正しいステップを踏んで、小切手(チェックス)を稼いだのさ。
※"checks"は小切手(大金)と、Travisがコラボして莫大な富を生み出しているNikeの「スウッシュ・ロゴ(Check mark)」のダブルミーニング。Nikeのスニーカー(Kicks)を履いて「正しいステップ」を踏んだからこそ今の成功があるという天才的なライン。

More vision, get some Oakleys (Oakleys)
もっと広い視界(ビジョン)を。オークリーのサングラスを手に入れな。

She used to be a lone star (Lone star)
あの子はかつて「ローン・スター(孤独な星)」だった。
※"Lone Star"はテキサス州(Travisの出身地であるヒューストンがある州)の愛称。地元の女の子についての言及。

Waking up to Lucy's (Lucy's)
ルーシー(LSD)と共に目を覚ます。

Bend it back for me (Back)
俺のために背中を反らしな。

Back it, back it, bend it back for me (Back it)
ケツを突き出して、反らすんだ。

Back, back it, back it
突き出しな、突き出すんだ。

[Chorus: Travis Scott]

Used to live within the 7 (In the 7)
昔は「7(ゾーン7)」の中に住んでた。
※テキサスのフッドや特定の区画(ヒューストンのサウス・パーク等)への言及。

Now I bought two streets (Two streets)
今じゃ俺もストリートを2つ買い取ったぜ。

Always team Luther King Drive (King Drive)
いつだってチームは「ルーサー・キング・ドライブ」さ。
※カニエのコーラスと呼応し、黒人コミュニティの象徴的なストリート名を挙げている。

Now it's Malibu Beach ('Bu Beach)
それが今では、マリブ・ビーチにいるんだ。
※ストリートの底辺から、超富裕層が住む西海岸のマリブへと成り上がったコントラスト。

Used to be V Live (V Live)
昔は「V Live」に入り浸ってた。
※「V Live」はヒューストン発祥の有名なストリップクラブ。トラップミュージックのカルチャーと密接に結びついた場所。

Now I'm trapped at the boom beat
今じゃ、このブーム・ビート(音楽制作)の中に閉じ込められてる(トラップされてる)のさ。

[Outro: Travis Scott]

Father (Yeah)
父なる神よ。(Yeah)

Help us now (Turn me up)
今すぐ私たちをお救いください。(音量を上げてくれ)

Father (Damn, I want him to inherit it, but damn, nigga can't rob me)
父なる神よ。(クソ、あいつにはこれを相続させたいが、誰にも俺から奪うことはできねえよ)
※最後のアドリブ。自分の築いた遺産(富やレガシー)を後継者や子供に譲りたいという親心と、ストリートの警戒心(誰にも自分の金は奪わせない)が交錯する、生々しいハッスラーの呟き。