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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

FOREVER ROLLING - ¥$, Kanye West & Ty Dolla $ign & Lil Baby 【和訳・解説】

Artist: ¥$, Kanye West & Ty Dolla $ign & Lil Baby

Album: VULTURES 2

Song Title: FOREVER ROLLING

概要

本作「FOREVER ROLLING」は、『VULTURES 2』においてアトランタを代表するラッパーLil Babyを客演に迎えた、重厚なハッスラー・アンセムである。タイトルの「Rolling」は、ドラッグ(MDMAなど)による酩酊状態を示すと同時に、どんな逆境でも歩みを止めず「前進し続ける(Roll)」というストリートの生存戦略のダブルミーニングとなっている。カニエ・ウェストは、サウジアラビアへの隠遁生活や、既存のファッション業界・音楽業界に中指を立てて「Yeezy」の独立を誇示する、傲慢かつ孤高のエゴイズムを展開する。対照的に後半のLil Babyは、仲間への裏切り、刑務所にいる兄弟へのSNS上での偽善的なサポート("Free 'em"の形骸化)を痛烈に批判し、ストリートの冷酷な現実と真の忠誠心(ロイヤルティ)を説く。虚飾のエンターテインメントと血の通ったストリートのリアルが、重たいトラップビートの上で見事に交差した一曲だ。

和訳

[Verse 1: Kanye West]

Took nothin' to somethin', I took the time out to
無(ナッシン)から有(サムシン)を生み出した。そのために俺は時間を割いてきたんだ。
※ゼロから帝国を築き上げたカニエのハングリー精神の回顧。

Let 'em divide us, to strugglin' and they never found out who
奴らに俺たちを分断させ、もがかせた。そして奴らは誰の仕業か決して気づかなかったのさ。

I call the vision in Saudi, it's like a hide-out
サウジでビジョン(計画)を練る。まるで隠れ家(ハイド・アウト)みたいにな。
※2023年後半、カニエとTy Dolla $ignが『VULTURES』の制作拠点としてサウジアラビアの砂漠地帯(アル・ウラー等)にスタジオを構え、世間の喧騒やキャンセルカルチャーから隔離(hide-out)されて音楽作りに没頭していた事実への言及。

I make a move in the mornin', fuck it, let's ride out
朝になれば行動を起こす。クソくらえ、さあ乗り出そうぜ。

Them Lamborghinis be skridin' on any corner
あのランボルギーニが、どのコーナーでもスキール音(スクライディン)を鳴らして曲がっていく。

Ain't really nothin' I ain't had, nigga, you know I ain't lyin'
俺が手に入れてないものなんてマジで何一つねえよ、ニガ。俺が嘘をついてないのは分かってるだろ。

"Keep your money in front you," I had to tell the lil' homie
「自分の金は常に目の前に置いておけ」って、若いダチ(リル・ホーミー)に教えてやらなきゃならなかった。
※業界の搾取や裏切りから身を守るための、ベテランからのストリート・ナレッジ。

You stop believin' these hoes, you had the time of your life
お前がこのビッチどもを信じるのをやめれば、最高の人生の時間を送れるぜ。

Mask on out in public like you ain't never know him
公の場ではマスクを着けろ、あいつのことなんか全く知らないみたいにな。
※カニエが長年公の場でフルフェイスマスクを着用していることへの言及であり、周囲との関わりを断絶する象徴。

Pills turn 'em to zombies, now they forever rollin'
錠剤(ピル)が奴らをゾンビに変える。今じゃ奴らは永遠にキマッた(ローリン)ままさ。
※"rollin'"はMDMA(エクスタシー)などでハイになっている状態を指すスラング。薬物中毒で自我を失った業界の人間たちへの冷たい視線。

How many times you ain't want 'еm, then they tell you what you gonna do?
お前が奴らを必要としてない時に限って、奴らはお前に「こうしろ」って指図してくる。何度そんなことがあった?

Had to dip off from London, I had too many that night
ロンドンから逃げ出さなきゃならなかった。あの夜は(酒やドラッグを)やりすぎたんだ。

Fuck your favoritе rapper, his number ain't even numbers
お前の「お気に入りのラッパー」なんてクソくらえだ、あいつの数字(売上・再生数)なんて数字と呼べる代物じゃねえよ。
※Drakeらを含む、現行のトップラッパーたちへの傲慢なディス。

Fuck your latest designer, this that new Yeezy come-up
お前のところの「最新のデザイナー」もクソくらえだ。これが新しいYeezyの成り上がり(カムアップ)だぜ。
※AdidasやGap等の大手企業との提携を解消し、完全にインディペンデントな体制で再始動した自身のブランド「Yeezy」の圧倒的な優位性の誇示。

Platinum cars turn milk chocolate to peanut butter
プラチナの車が、ミルクチョコレートをピーナッツバターに変える。
※車の内装色(淡いブラウン)や、あるいは高級車に乗ることで集まってくる様々な肌の色の女性たちをチョコレートやピーナッツバターに例えた比喩。

Niggas claimin' they called me, ain't even had my number
「俺に電話した」なんて主張してる野郎どもは、俺の電話番号すら持ってねえくせにな。

In the midst of the storm and you see me stuntin' on 'em
大嵐(大炎上)の真っ只中だっていうのに、俺が奴らの前でフレックス(スタンティン)してるのが見えるだろ。

He gon' handle that for you, now you forever owe him
あいつがお前のためにそれを処理してやったら、お前はあいつに一生の借り(オウ)ができるんだ。

Fuck the head of the company, I'm the better owner
企業のトップ(社長)なんてクソくらえだ、俺の方がよっぽどマシなオーナーだからな。
※大企業のCEOたち(特にAdidasの幹部など)に対する強烈な敵意と、自らが独立した経営者であることのプライド。

Y'all put hurdles in front of me with bananas on 'em
お前らは俺の前にハードルを置いて、その上にバナナを乗せやがる。

Then you wonder why a ape'll go bananas on 'em
それで、類人猿(エイプ)が狂ったように暴れる(ゴー・バナナズ)理由を不思議がるんだな。
※"go bananas"(発狂する、ブチギレる)という慣用句と、猿(ape)の好物であるバナナを掛けた、非常に巧妙なワードプレイ。メディアがカニエを意図的に挑発(ハードルにバナナを置く)しておきながら、彼が怒り狂うと「彼はおかしい」と非難するマッチポンプな構造を痛烈に皮肉っている。

Protect your head from this burn, like it's tannin' lotion
この火傷(バーン/炎上)から頭を守れよ、日焼け(タンニン)ローションみたいにな。

See, we started off hustlin', then we ended up ballin'
いいか、俺たちはハッスル(泥臭く稼ぐこと)から始めて、最後には豪遊(ボーリン)するようになった。

I had to follow my callin', now we forever rollin'
俺は自分の天命(コーリン)に従わなきゃならなかった。今じゃ俺たちは、永遠に止まらず転がり続けてる(フォーエバー・ローリン)のさ。

[Chorus: Ty Dolla $ign]

Forever rollin'
永遠に転がり続ける。

Forever rollin'
止まらずに前進し続ける。

Forever rollin'
永遠に転がり続ける。

Forever rollin'
止まらずに前進し続けるんだ。

[Verse 2: Lil Baby & Ty Dolla $ign]

Why you always act like you want me to come and jack you up?
なんでお前はいつも、俺に行ってボコボコ(ジャック・アップ)にしてほしいみたいな態度をとるんだ?
※ここからLil Babyのバース。ストリートでの裏切りや人間関係の摩擦がテーマとなる。

Never gon' be you against the world 'cause I'ma back you up
「お前 vs 世界」なんて孤立した状況には絶対させねえよ。俺がお前をバックアップしてやるからな。

You know why we stand there, bro, the cap ain't nothin'
俺たちがなぜそこに立ってるか分かってるだろ、兄弟。嘘(キャップ)なんかじゃねえ。

I was on my last and I can't ask for nothin'
俺がどん底(オン・マイ・ラスト)の時、誰にも助けを求めることなんてできなかった。

They get on yo' ass soon as I press the button
俺がボタン(指示)を押せば、奴ら(ヒットマン)はすぐにお前のケツを狙いに行くぜ。

It ain't no comparison, I'm one of one
比較(コンパリソン)にすらならねえ。俺は唯一無二(ワン・オブ・ワン)だ。

I pray God amputate my legs if I was to ever run
もし俺が逃げ出すようなことがあったら、神様に両足を切断(アンプテート)してほしいと祈るぜ。
※絶対に敵から逃げないという、ストリートの強固な決意とロイヤルティ。

Youngins doin' shit I don't condone, but I still pay they bond
若い連中(ヤンギンズ)が俺の許せないようなバカをやらかしても、俺はあいつらの保釈金(ボンド)を払ってやるんだ。
※地元の若者たちが問題を起こしても、最終的には身内として面倒を見るというボスとしての責任。

I don't fuck with dog, but I look out for mom, though
あの野郎(ドッグ)とはもう関わらねえが、あいつの母親の面倒は見てやってるぜ。

Bro need a spot, I let 'em play the condo
兄弟(ブロ)に身を隠す場所が必要なら、俺のコンドミニアムを使わせてやる。

I know that I'm that, but I still play it humble
俺が「大物(ザット)」だってことは分かってるが、それでも謙虚(ハンブル)に振る舞ってるのさ。

Said you had my back but you ain't never come through
「俺の背中(バック)は守る」って言ってたのに、お前は一度も約束を果たさ(カム・スルー)なかったな。

Told you to go back 'cause I didn't really want you
お前に「戻れ」って言ったのは、本当はお前のことなんて必要じゃなかったからさ。

Beg me to come back, you know I always come through
俺に戻ってきてくれと懇願しろよ。俺が必ず約束を果たす男だってことは分かってるだろ。

Tell me where you gon' run to
教えてくれ、お前はどこへ逃げるつもりなんだ?

You tell it your way, I tell mine, but it's only one truth
お前はお前の言い分を語り、俺は俺の言い分を語る。だが、真実(トゥルース)は一つだけだ。

Damned if I don't, even sometime, even damned if I do
やらなくても地獄。時には、やっても地獄(ダームド・イフ・アイ・ドゥ)だ。

Had somebody knew what we talk about, that shit lame too
俺たちが何を話してるか誰かに知られたら、それもまたクソダサい(レイム)ことだ。

All we ever had was the block, bro, we damn near raised each other
俺たちにあったのはこの区画(ブロック)だけだった。兄弟、俺たちはほぼ互いを育て合ったようなもんだったろ。

Never let 'em break up the gang, we gotta stay together
奴らに俺たちのギャングを解体させるな。俺たちは一緒にいなきゃならねえ。

However I see that they plan it, I'ma play it better
奴らがどう計画を立てようと、俺はもっと上手く立ち回って(プレイ)やるよ。

You know that we all that we got, so we gotta stay together
俺たちには俺たちしかいないって分かってるだろ。だから一緒にいなきゃならねえんだ。

Sayin' "Free 'em" ain't doin' nothin', you love 'em, send 'em letters
SNSで「あいつを解放しろ(Free 'em)」なんて言うだけじゃ何もならねえ。本当に愛してるなら手紙(レター)を送ってやれよ。
※Lil Babyのバースにおける最大のハイライト。仲間が逮捕された際に、インターネット上でハッシュタグ付きの「Free 〇〇」を掲げるだけの表面的なストリートカルチャーを痛烈に批判し、本当に心配しているなら留置所に手紙を送ったり面会に行ったりするべきだという真のサポートを説いている。Redditでも絶賛されたリアルなライン。

Know I'm going over the top for you, I'll pay whatever
俺がお前のために限界を超えて(オーバー・ザ・トップ)動いてるのが分かるだろ。いくらでも払ってやる。

Ain't no stoppin', I'm all in, you know I gotta get 'em
止まることなんてねえ、俺は全てを賭けてる(オール・イン)。あいつらを絶対に捕まえなきゃならねえんだ。

The world got a whole lot to offer, you got to live a little
世界には提供してくれるものがたくさんある。お前も少しは人生を楽しまなきゃな。

Some shit I can't figure out and I'll probably never get it
俺にも理解できないクソみたいなことがある。そして多分、一生理解できないだろうな。

[Chorus: Kanye West & Ty Dolla $ign]

Forever rollin'
永遠に転がり続ける。

Forever rollin'
止まらずに前進し続ける。

Forever rollin'
永遠に転がり続ける。

Forever rollin'
止まらずに前進し続けるんだ。