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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

FRIED - ¥$, Kanye West & Ty Dolla $ign 【和訳・解説】

Artist: ¥$, Kanye West & Ty Dolla $ign

Album: VULTURES 2

Song Title: FRIED

概要

本作「FRIED」は、前作『VULTURES 1』における世界的大ヒット曲「CARNIVAL」の続編とも呼べる、アグレッシブなスタジアム・バンガーである。インテル・ミラノのウルトラス(熱狂的サポーター)によるチャントを再びサンプリングし、狂騒的な地鳴りのようなビートを構築している。タイトルの「Fried」は「(ドラッグ等で)極度にハイになる」「精神的に焼き切れる(限界を超える)」ことを意味し、度重なる炎上や親友たちの死を経てパラノイアに陥りながらも生存するカニエの狂気が描かれる。タイピングと血液型を掛けた「typo / type O」の天才的なパンチラインや、ファストフードに擬えたグロテスクな性的メタファーなど、倫理観を完全に放棄したヴィラン(悪役)としてのヒップホップ美学が炸裂した一曲だ。

和訳

[Intro: The Inter Milan Ultras]

Oh-oh-oh, oh-oh-oh
Oh-oh-oh, oh-oh-oh
※『VULTURES 1』の「CARNIVAL」と同じく、イタリアのサッカークラブ「インテル・ミラノ」の熱狂的サポーター集団(Curva Nord Milano)によるチャントをサンプリング。前作の狂熱をそのまま引き継ぐ「CARNIVAL Pt. 2」としての位置付けを明確に示している。

Oh-oh-oh, oh-oh-oh
Oh-oh-oh, oh-oh-oh

[Verse 1: Kanye West]

I done had too many friends that died
死んじまったダチが多すぎるんだ。
※Virgil AblohやKobe Bryant、あるいはシカゴのストリートで命を落とした仲間たちなど、彼が失ってきた多くの親友への言及。

Sometimes, I can't believe I'm still alive
時々、自分がまだ生きてるのが信じられなくなる。
※数々の精神的崩壊(双極性障害)や社会的抹殺(キャンセル)を経験し、パラノイアに苛まれながらも第一線に立ち続けていることへの実感。

She told you I ain't had it, but she lied
あいつはお前に「俺はもう終わった(持ってない)」なんて言ったらしいが、そいつは嘘だぜ。

[Chorus: Kanye West]

Boy, don't play with me, you know I'm fried
なあ、俺をナメるなよ、俺が完全に焼き切れてる(フライド)って分かってるだろ。
※"fried"は「ドラッグで極度にハイになっている状態」や「精神的に限界を超えてイカれている状態」を指すスラング。もはや失うもののない危険な状態であることを警告している。

Boy, don't play with me, you know I'm fried
俺をナメるなよ、俺が完全に焼き切れてるって分かってるだろ。

[Verse 2: Kanye West]

She givin' blowjobs and I applied
あいつがフェラ(ブロウジョブ)を提供してるって言うから、俺はそれに応募(アプライ)したのさ。
※仕事の求人(job)に応募する(apply)という言葉と、ブロウジョブ(blowjob)を掛けた秀逸で下劣なワードプレイ。

She say she starvin', order her some fries
「お腹がペコペコ(スターヴィン)」だって言うから、あいつにフライドポテト(フライズ)を注文してやった。

Then I ate the breast, then the thighs
それから俺は胸肉(ブレスト)を食って、太もも(サイズ)を平らげたんだ。
※タイトルの「Fried(フライドチキン)」に掛けて、女性の胸(乳房)と太ももをチキンの部位に見立てて貪るという、狂気的でカニバル的な性的メタファー。

Then I gave the rest to the guys
そして、残りはダチ共にくれてやったぜ。
※ストリートの「仲間で回す(Train)」という文化の表現。

You was typin' crazy, out your mind
お前、正気を失って狂ったようにタイピング(SNSで書き込み)してたよな。

This is not a typo, we reply
これはタイプミス(タイポ)じゃねえ、俺たちが直接返答(リプライ)してやるよ。
※ネット上のヘイター(キーボード・ウォリアー)に対する物理的な報復の予告。

Now you spillin' type O out your side
今じゃお前は、脇腹から「O型(タイプ・オー)」の血を流してるぜ。
※前行の"typo(タイプミス)"と、血液型の"type O(O型)"を完璧に踏んだ天才的なパンチライン。キーボードを叩いていた(typin')ヘイターが、現実世界で撃たれて血(type O)を流しているという凄惨な情景。

[Chorus: Kanye West]

Boy, don't play with me, you know I'm—
なあ、俺をナメるなよ、分かってるだろ俺が—

Boy, don't play with me, you know I'm fried
俺をナメるなよ、俺が完全に焼き切れてるって分かってるだろ。

[Verse 3: Kanye West]

Pray on our enemies when we dine
食事(ダイン)の席では、俺たちの敵のために祈り(プレイ)を捧げる。
※"Pray(祈る)"と"Prey(捕食する)"のダブルミーニング。敵を物理的・ビジネス的に食い物にしているというマフィア的な余裕。

We just hope the feds take a bribe
サツ(連邦捜査局)がワイロを受け取ってくれることを祈るだけさ。

Only one gon' walk away when we collide
俺たちが激突した時、歩いて帰れる(生き残る)のは片方だけだぜ。

Twenty dollars, he out his fuckin' mind?
「20ドル? あいつは完全にイカれてるのか?」
※カニエが自身のブランド「YEEZY」のアパレル全品を20ドル(約3000円)で販売するという破壊的な価格設定を行ったことに対する、業界や世間の驚愕の反応をそのままリリックに引用している。

Ten bitches came with Dolla, they all dimes
Dolla(タイ・ダラー・サイン)と一緒に10人のビッチが来た。全員が10点満点(ダイム)のイイ女だ。
※"dime"は10セント硬貨のことだが、ストリートスラングでは「10点満点中10点の極上の女」を指す。

They offerin' blowjobs and I applied
あいつらがフェラを提供してるから、俺は応募してやったのさ。

They all starvin', order them some fries
あいつら全員お腹を空かせてるから、ポテトを注文してやった。

Then I lick the breast, then the thighs
それから胸を舐め回して、太ももを味わうんだ。

[Chorus: Kanye West]

Bitch, don't play with me, you know I'm—
ビッチ、俺をナメるなよ、分かってるだろ俺が—

Boy, don't play with me, you know I'm fried
俺をナメるなよ、俺が完全に焼き切れてるって分かってるだろ。

[Verse 4: Ty Dolla $ign]

Ooh, swervin' in the Lam' off the lot
Ooh、ディーラーの駐車場(ロット)から出したばかりのランボで蛇行(スワーヴィン)するぜ。
※ここからTy Dolla $ignのバース。

Five percent the tint with no top
透過率5パーセントのフルスモーク、なのに屋根(ルーフ)は開けっ放しさ。
※完全に顔を隠せる真っ暗な窓ガラス(5% tint)にしているのに、わざわざオープンカーにして目立っているという矛盾したフレックス。

They love me in my city like I'm Pac
地元の街(LA)じゃ、俺は2パック(Pac)みたいに愛されてるんだ。

Remember when we used to window shop
ショーウィンドウを外から眺める(ウィンドウ・ショッピング)だけだった頃を思い出すぜ。

Now I just whipped the Porsche to the mosque
今じゃ、ポルシェをかっ飛ばしてモスク(イスラム教の礼拝所)へ乗り付けるんだ。
※Tyの兄であるBig TC(現在服役中)はイスラム教に改宗しているため、その繋がりを示唆している。

Ye copped me the chain with the cross
Ye(カニエ)が、十字架のチェーンを買ってくれたぜ。
※モスクへ行きながら、首にはキリスト教の十字架(クロス)を下げているという宗教的モチーフの交錯。熱心なキリスト教徒であるKanyeとの固い絆の証明でもある。

Had to throw some hundos in the wash
100ドル札の束(ハンドズ)を、洗濯機(ウォッシュ)に放り込まなきゃならなかった。
※マネーロンダリング(資金洗浄)のストリートな隠語、あるいは文字通りポケットに大金を入れたまま洗濯してしまうほどの裕福さの誇示。

Baby, take a seat or take it off
ベイビー、座るか、それとも服を脱ぐ(テイク・イット・オフ)か選びな。

So much ice on me, I can't defrost
俺の体は大量のアイス(ダイヤ)に覆われてる。解凍(ディフロスト)なんてできねえよ。

Where them that was sayin' I fell off?
「俺は終わった(オワコンになった)」なんて言ってた奴らは、一体どこに消えたんだ?

[Chorus: Ty Dolla $ign]

Boy, don't play with me, you know I—
なあ、俺をナメるなよ、分かってるだろ俺が—

Boy, don't play with me, you know I'm fried
俺をナメるなよ、俺が完全に焼き切れてるって分かってるだろ。

[Outro: The Inter Milan Ultras]

Oh-oh-oh, oh-oh-oh
Oh-oh-oh, oh-oh-oh

Oh-oh-oh, oh-oh-oh
Oh-oh-oh, oh-oh-oh

Oh-oh-oh, oh-oh-oh
Oh-oh-oh, oh-oh-oh