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FIRST TIME IN A LONG TIME - Kanye West (feat. Soulja Boy) 【和訳・解説】

Artist: Kanye West (feat. Soulja Boy)

Album: DONDA 2

Song Title: FIRST TIME IN A LONG TIME

概要

本作は、『DONDA 2』のフィナーレを飾るエモーショナルなトラックである。最も注目すべきは、客演にソウルジャ・ボーイ(Soulja Boy)が迎えられている点だ。前作『DONDA』の制作時、カニエは「Remote Control」からソウルジャのヴァースを無断でカットし、SNS上で激しいビーフ(抗争)に発展した。しかしその後カニエが公に謝罪し、本作での劇的な和解とコラボレーションが実現した。リリックにおいてカニエは、元妻キム・カーダシアンとの離婚により家を追い出され「ソファで寝るビリオネア」となった自嘲や、親友ヴァージル・アブローの死という深い喪失感を赤裸々に語る。一方のソウルジャ・ボーイは、スラムから這い上がった過去と現在の富を対比させ、自身が刑務所で過ごした日々を回顧する。両者が抱える「久しぶりの感覚(First time in a long time)」――それはしがらみからの解放感であり、同時にすべてを失った圧倒的な孤独感でもある。トラップ界のパイオニアとヒップホップ界の巨人が和解し、魂の救済を歌い上げたドキュメンタリーのような一曲だ。

和訳

[Chorus: Kanye West]

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。
※カニエにとって「久しぶりの感覚」とは、束縛(結婚生活や世間の目)から解放された自由であり、同時に愛する家族を失った絶対的な孤独状態でもある。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

[Verse 1: Kanye West]

I could see, I could breathe
目が見える、息ができるぜ。
※抑圧された環境(結婚生活やメディアの監視)から抜け出し、視界と呼吸を取り戻した解放感。

Don't believe me? Jesus freed me, now I'm free
信じられないか? ジーザスが俺を解放してくれたんだ、今の俺は自由さ。
※自身の解放をキリストの導きによるものだと宣言する、強固な信仰心。

I got kicked out the house, they hate the way I run my mouth
家から追い出されちまった。連中は俺の口の利き方(暴言)が気に入らねえんだ。
※元妻キム・カーダシアンとの離婚に伴い、カラバサスの豪邸を出たことへの言及。自分の歯に衣着せぬ発言(run my mouth)が離婚の一因であることを自覚している。

Know you hear me, name ring through the city
俺の声が聞こえてるだろ、俺の名前はこの街中に響き渡ってるぜ。

My doctors on Sebi, my Christ is on heavy
俺の主治医は(ドクター・)セビ流。俺のキリストへの信仰はヘヴィ(強烈)だ。
※"Dr. Sebi"は、ニプシー・ハッスルやレフト・アイなども傾倒していたホンジュラス出身の民間療法士(アルカリ性食事療法などで知られる)。現代の西洋医療ではなく、自然治癒やスピリチュアルな力に頼っているという宣言。

Whole gang, I'm the king of this, war timе, I'm ready
ギャング全員集合だ、俺がこのゲームの王だ。戦争(ウォータイム)の準備はできてるぜ。

These mountains ain't hеavy, John Madden, come and get me
こんな山(困難)なんて重くもねえ。ジョン・マッデンみたいに、俺を捕まえてみな。
※"John Madden"は伝説的なアメフトのコーチ・解説者であり、大人気ゲーム『Madden NFL』の顔(2021年末に他界)。ゲームのように戦略を練って向かってこいという、メディアや敵対者への挑発。

When I'm feeling mad, let me put it in the bag, hefty, tie it up
ムカつく時は、そいつをゴミ袋にブチ込んで、しっかり口を縛ってやるよ。
※"Hefty"はアメリカで有名なゴミ袋のブランド。ネガティブな感情や邪魔な連中をゴミとして処理するというメタファー。

I ran the world, but never trade it for my soul, though
俺は世界を支配した(ラン・ザ・ワールド)が、そのために自分の魂を売り渡したりは絶対にしない。

Now the line I drew set the goal, though
今、俺が引いたこの線が、新たなゴールを決めるんだ。

Yeah, I lost my best man and I lost my spouse
ああ、俺は親友(ベスト・マン)を失い、妻(スパウス)も失った。
※親友であるデザイナーのヴァージル・アブロー(2021年11月急逝)の死と、キム・カーダシアンとの離婚という、カニエの人生を揺るがした2大喪失の告白。

Only billionaire you know that's sleepin' on the couch (What?)
ソファで寝起きしてるビリオネア(億万長者)なんて、お前が知る限り俺だけだろ?(What?)
※総資産数千億円と言われながらも、離婚により家族と住む家を失い、文字通り「ソファで寝る」という惨めな生活を自嘲している。Reddit等でも「最高に哀愁漂うパンチライン」と絶賛された。

[Chorus: Kanye West]

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

[Verse 2: Kanye West]

Let it rain, rain, rain, righteously, I made a name
雨よ降れ、降れ、降れ。俺は正当なやり方(ライトアスリー)で名を上げたんだ。
※雨は試練や浄化のメタファー。どれだけバッシングの雨を浴びようと、自分の成功は正しい道筋の上に築かれたものだという主張。

Let it rain, rain, rain, it's value in struggle and pain
雨よ降れ、降れ、降れ。苦闘(ストラグル)と痛みの中にこそ価値があるんだ。

You want the money and fame, it's way more that you need to gain
お前は金と名声を求めてるが、人生には手に入れるべきものがもっと他にあるはずだ。

This part of creating a future just better for me and my family name, so
これも全て、俺と俺の家族の名前(ファミリーネーム)のために、より良い未来を創り出すための過程(パート)なんだよ、だから。

[Chorus: Kanye West & Soulja Boy]

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long (Yeah)
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。(Yeah)

This the first time in a long time (Yeah), this the first time in a long (Draco)
久しぶりだ(Yeah)、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。(ドラコ)
※"Draco"はソウルジャ・ボーイの現在のニックネーム(Big Draco)。

This the first time in a long time (Soulja), this the first time in a long
久しぶりだ(ソウルジャ)、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

[Verse 3: Soulja Boy]

This the first time in a long time
ずっと久しぶりの感覚だ。
※ここからソウルジャ・ボーイのヴァース。インターネット発のラップスターの先駆者である彼が、自身のアップダウンの激しいキャリアを回顧する。

Used to be broke but I'm on now
昔は一文無し(ブローク)だったが、今じゃトップにいるぜ。

I was just stuck at the bottom, grindin'
どん底で足掻きながら、必死に這い上がってきた(グラインディン)。

Now I'm shinin', sittin' at the top
今じゃ輝きを放って、頂点に座ってる。

I was just stuck in my feelings
昔は自分の感情(ネガティブな気持ち)に囚われて身動きが取れなかった。

Now I'm just ridin' 'round playin' with millions
今じゃ街をドライブしながら、数百万ドル(ミリオン)の金で遊んでる。

Now I'm havin' racks to the ceilin'
天井に届くほどの札束(ラックス)を持ってるぜ。

Stackin' up cash, what a wonderful feelin'
現金を積み上げていく(スタッキン・アップ)、なんて素晴らしい気分なんだ。

We used to go walk in the mall to go shop
昔はショッピングモールに歩いて買い物に行ってたよな。

But now, we can walk in and buy the whole buildin'
でも今じゃ、モールの中に入ってビルごと買えちまう。

We havin' mansions with acres
何エーカーもある広大な敷地の豪邸(マンション)に住んでる。

But honestly, we used to live in the trenches
でも正直に言うと、昔は塹壕(トレンチ=スラム街の過酷な環境)に住んでたんだ。

I'm on fire like a candle
俺はロウソクみたいに燃え上がってる。

And God ain't gon' give you no fight you can't handle
神様は、乗り越えられない試練(戦い)は決して与えないんだ。
※「神は乗り越えられる試練しか与えない」という聖書(コリントの信徒への手紙)由来のポピュラーな教え。カニエの宗教的なテーマと見事に共鳴している。

Back in the trap, we ain't even have cable
トラップ(麻薬の密売所/スラムの家)にいた頃は、ケーブルテレビすら契約できなかった。

Now I see my face on the channel
今じゃチャンネルを回せば、俺の顔がテレビに映ってるぜ。

And R.I.P. Virgil, that Off-White is on me
そして安らかに眠れ、ヴァージル。俺は今、あのOff-White(オフホワイト)を身に纏ってる。
※ヴァージル・アブローが創設したブランド「Off-White」。カニエのVerseに続き、ソウルジャも彼への哀悼の意を示している。

The 'Rari, it's swervin'
フェラーリが、蛇行(スワーヴィン)しながら突っ走る。

I went to jail for that Draco
俺はあのドラコ(銃)のせいでムショに入ったんだ。
※"Draco"はAK-47タイプのピストル。ソウルジャ・ボーイは実際に銃器不法所持等で逮捕・収監された過去がある。自分の異名(Big Draco)の由来でもある銃で投獄された過去の告白。

I guess that nobody perfect
完璧な人間なんて誰もいねえんだよ。

Ain't give me no bond
保釈金(ボンド)すら設定してもらえなかった。

I sat in that cell for a long time
俺はあの独房(セル)の中で、長い時間を過ごしたんだ。
※この「長い独房生活」からの解放こそが、彼にとっての「First time in a long time」の真意である。

Big Draco, big Ye
ビッグ・ドラコに、ビッグ・Ye。
※かつてSNSで「俺のヴァースをカットしやがって」と激しいビーフ状態にあった二人が、互いのリスペクトを込めて名前を並べる感動的なライン。ヒップホップならではのドラマチックな和解である。

First time in a long time
ずっと久しぶりの感覚だ。

[Chorus: Kanye West]

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。

This the first time in a long time, this the first time in a long
久しぶりだ、こんな気分になるのはずっと久しぶりなんだ。