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City of Gods - Kanye West, Fivio Foreign & Alicia Keys 【和訳・解説】

Artist: Kanye West, Fivio Foreign & Alicia Keys

Album: DONDA 2

Song Title: City of Gods

概要

本作は、ニューヨーク・ドリルシーンの顔役であるFivio ForeignとKanye Westのコラボレーションに、Alicia Keysの壮大なボーカルが加わった、現代版「Empire State of Mind」とも呼ぶべきニューヨーク賛歌である。The Chainsmokersの楽曲をサンプリングしたAliciaのコーラスが響く中、Fivioは亡きPop Smokeから「ニューヨークの王」の座を継承した自負とストリートの過酷な現実をスピットする。一方Kanyeのヴァースは、元妻キム・カーダシアンの新恋人ピート・デヴィッドソン(当時SNL出演中)に対する「100人のグーン(刺客)を送り込む」という強烈な脅迫や、Drakeとの和解、そして黒人セレブリティへの偏見など、当時の彼の個人的な狂騒とエゴイズムが爆発した内容となっている。Playboi Cartiのアドリブが全体を煽り立てる、美しさと暴力性が同居するスタジアム級のドリル・アンセムだ。

和訳

[Chorus: Alicia Keys & Playboi Carti]

New York City, please go easy on me tonight
ニューヨーク・シティ、今夜はどうか私に優しくして。
※Alicia Keysによるコーラス。The Chainsmokersの「New York City」のメロディと歌詞を補作・引用している。過酷な街ニューヨークに対する、悲痛で美しい祈り。

New York City, please go easy on this heart of mine (What?)
ニューヨーク・シティ、どうかこの心に優しくして。(What?)
※Playboi Cartiのシグネチャーである"What?"のアドリブが、神聖なコーラスにドリル特有の攻撃性を付加している。

[Verse 1: Fivio Foreign & Playboi Carti]

Yeah, look, huh, nigga, this my shit
Yeah、見な、なぁ、これが俺の曲(スタイル)だぜ。
※ここからFivio Foreignのヴァース。ブルックリン・ドリルの重低音ビートが鳴り響く。

Welcome to the city of Gods (What?)
神々の街(シティ・オブ・ゴッズ)へようこそ。(What?)
※ニューヨーク、特にヒップホップにおいて数々の伝説(神々)を生み出してきた街への敬意。

Pop was the king of New York, now I'm the nigga in charge
ポップ(スモーク)がニューヨークの王だった。今じゃ俺がその座を仕切ってる。
※2020年に悲劇的な死を遂げたブルックリン・ドリルのパイオニア、Pop Smokeへの追悼と、彼が残した「王」の称号を自分が継承したという力強い宣言。

Only the drillers, the city is ours
ドリラーたちだけのものだ、この街は俺たちのものさ。

We found out the opps and we pick 'em apart
敵(オップス)を見つけ出し、徹底的に解体してやる。
※ドリル・ミュージック特有の過激なギャングスタ・ライフの描写。

I give 'em my time so I give 'em my heart
俺は奴らに俺の時間を捧げた、だから俺の心も捧げるんだ。

If the city love me, then I'm really a star (What?)
この街が俺を愛してくれるなら、俺は本物のスターだってことだ。(What?)
※最も厳しい耳を持つニューヨークのストリートからプロップス(支持)を得ることの絶対的な価値。

[Chorus: Alicia Keys]

New York City, please go easy on me tonight
ニューヨーク・シティ、今夜はどうか私に優しくして。

Nеw York City, please go easy on this hеart of mine
ニューヨーク・シティ、どうかこの心に優しくして。

'Cause I'm losing my lover to the arms of another
だって私は、愛する人を別の誰かの腕の中に失おうとしているから。
※カニエの離婚(キム・カーダシアンがピート・デヴィッドソンの元へ去ったこと)を示唆する切ないライン。

New York City, please go easy on me
ニューヨーク・シティ、どうか私に優しくして。

[Verse 2: Fivio Foreign & Playboi Carti]

Yeah, look, this is the city of money and violence
Yeah、見な、ここは金と暴力の街だ。

Everything we do is gon' come with a challenge
俺たちがやる事すべてに、試練がつきまとう。

Every bitch you fuck is gon' come with a balance (What?)
お前がヤるビッチ全員に、代償(バランス)が伴うんだぜ。(What?)
※"balance"は銀行口座の残高、あるいは因果応報(カルマ)。女遊びがトラブルや出費に直結するストリートの現実。

Every shooter with me is coming in silence (What?)
俺についてるヒットマンたちは、無音で忍び寄るぜ。(What?)

And you niggas better pick a side (Better pick a side)
お前ら、どっちにつくか(味方か敵か)決めておいた方がいいぞ。

You niggas side hoppin' (You niggas side hoppin')
お前らはあっちこっちに寝返る(サイド・ホッピング)コウモリ野郎だ。

If I want 'em to not let you come into the city, it's my option (Baow)
もし俺が「あいつをこの街に入れるな」と命じれば、それが実現する。俺にはその力(オプション)があるんだ。(Baow)
※街の権力者としての絶対的な影響力の誇示。

This is the home of the fly shoppin' (Yeah)
ここはイケてる買い物(フライ・ショッピング)の本場だ。(Yeah)

This where the bitches gon' watch pockets (Yeah)
ここはビッチどもがお前らのポケット(財布の膨らみ)を品定めする街だ。(Yeah)

When I'm on TV, I gotta look good
テレビに出る時は、バッチリキメなきゃならねえ。

'Cause I know the whole block watchin'
だってブロック(地元)の連中全員が見てるって分かってるからな。

If you chill with the opps, we is not vibin'
もしお前が敵(オップス)とつるんでるなら、俺たちとは気が合わねえ(バイブスが合わない)。

If I see 'em in person, we Fox 5 'em
もし直接そいつらを見かけたら、「Fox 5」してやるよ。
※"Fox 5"はニューヨークのローカル・ニュース番組。転じて、殺人事件を起こして「ニュースのトップニュースにしてやる(殺す)」という残虐なスラング。

Yeah, the police is on us, we not stoppin'
ああ、サツが俺たちをマークしてるが、俺たちは止まらねえ。

(Yeah, the police is on us, we not stoppin', nah)
(サツがマークしてるが、止まらねえよ)

This is the town of the big drip (Big drip), smooth talk (Smooth talk, ha)
ここは強烈なセンス(ビッグ・ドリップ)と、滑らかな舌先(スムース・トーク)の街だ。
※ニューヨーク・ヒップホップの伝統的なスタイル(ファッションと話術)の継承。

Milly Rock (Milly Rock), Shmoney Dance (Shmoney Dance), Woo Walk (Woo)
ミリー・ロック、シュマネー・ダンス、ウー・ウォーク。
※ニューヨーク発祥のヒップホップ・ダンス。2 Millyの「Milly Rock」、Bobby Shmurdaの「Shmoney Dance」、そしてPop Smokeらによる「Woo Walk」。

You will not survive being too soft (No)
優しすぎ(ソフト)ちゃ、この街じゃ生き残れねえよ。(No)

Been a long time, we took a new loss (No)
長いこと、俺たちは新たな喪失(ダチの死)を経験してきた。

Shooters shootin' 'til we got a new corpse (Baow)
ヒットマンたちは新たな死体(コープス)が転がるまで撃ち続ける。(Baow)

If we stop then we lettin' it cool off (Baow, boom)
もし俺たちが手を止めれば、この抗争は冷めちまうからな。(Baow, boom)
※復讐の連鎖を止めることは、ストリートの熱(プライド)を冷ますことと同義であるという狂気。

[Chorus: Alicia Keys]

New York City, please go easy on me tonight
ニューヨーク・シティ、今夜はどうか私に優しくして。

New York City, please go easy on this heart of mine
ニューヨーク・シティ、どうかこの心に優しくして。

'Cause I'm losing my lover to the arms of another
だって私は、愛する人を別の誰かの腕の中に失おうとしているから。

New York City, please go easy on me
ニューヨーク・シティ、どうか私に優しくして。

[Verse 3: Kanye West & Playboi Carti]

We went off the grid (What?)
俺たちはグリッド(監視網)から外れたんだ。(What?)
※ここからカニエ・ウェストのヴァース。前作『DONDA』の収録曲「Off The Grid」(Fivioも参加)への言及。

We ain't watch the throne, we took it
俺たちは王座を見守って(Watch the throne)なんかない、奪い取ったんだ。
※カニエとJay-Zの伝説的コラボアルバム『Watch The Throne』のタイトルを用いたパンチライン。今は自分が単独で王座を完全に掌握しているという圧倒的なフレックス。

We went viral on 'em, they lookin'
俺たちがバズって、連中が注目してるぜ。

It's a Sunday Service in Brooklyn (What?)
これはブルックリンでの「サンデー・サービス」だ。(What?)
※自身が主催するゴスペル集会「Sunday Service」を、ドリルの聖地ブルックリンに持ち込んだという宗教的かつストリート的な宣言。

It's the city that come with the lights
ここは眩しい光(名声)が溢れる街。

I'm with the drillers that come with the night
俺は夜の闇と共に現れるドリラー(殺し屋たち)と一緒だ。
※光(セレブとしてのカニエ)と闇(ストリートのFivioら)の融合。

They ain't do four years in college, but they'll do twenty-five to life
こいつらは大学で4年間過ごしちゃいないが、「25年から終身刑」なら食らう連中だぜ。
※"College Dropout"(大学中退)であるカニエと、刑務所で長期刑(25 to life)を宣告されるストリートの若者たちを対比させた、アメリカの教育と司法システムに対する重い風刺。

We make money every night (What?)
俺たちは毎晩金を稼ぎ出す。(What?)

Never too big of a price (What?)
高すぎる代償なんてねえよ。(What?)

After I buy the Chicago Bulls (What?), I'ma go and link with Mike (What?)
俺がシカゴ・ブルズを買収したら、マイケル(ジョーダン)に会いに行くぜ。(What?)
※ビリオネアであるカニエならNBAチームすら買収できるという誇大妄想的なフレックス。

And if I let 'em have my wife, niggas should thank me
もし俺が、俺の妻を奴らにくれてやるなら、奴らは俺に感謝すべきだ。
※キム・カーダシアンと交際を始めたピート・デヴィッドソンへの強烈なマウント。「俺が手放したから、お前がお下がりをもらえたんだぞ」という傲慢なディス。

With this Balenciaga and Balenci' boots and a new blue Yankee
このバレンシアガの服とブーツ、それに新しい青のヤンキースのキャップでな。
※当時のカニエのシグネチャー・スタイル。NYを象徴するヤンキースのキャップを被り、この街を支配する姿。

This is Ye, I'm so focused, throw on a mask, no COVID
これがYeだ。俺は超集中してる。マスクを被るが、COVID(コロナ)のためじゃねえ。
※『DONDA』期にカニエが常に被っていたフルフェイスマスクへの言及。感染予防ではなく、外界との遮断と精神的集中のための鎧である。

I'ma turn your life to a meme, let Justin LaBoy post it
お前の人生をミーム(笑い者)に変えてやる。ジャスティン・ラボイに投稿させようか。
※Justin LaBoyはInstagramで絶大な影響力を持つインフルエンサーでありカニエの側近。敵対者をSNSで社会的に「キャンセル」できる力を持つという脅し。

You got a album? Postpone it
アルバムを出す予定か? 延期(ポストポーン)しな。

I drop two and they both going
俺が2枚(DONDA 2などのプロジェクト)出せば、どっちもチャートを独占するからな。
※他のアーティストのリリース日を潰してしまうほどの圧倒的な影響力。

I got a feeling they in they feelings
連中が「感情的(イン・ゼア・フィーリングス)」になってる気がするぜ。
※"In my feelings"(感傷的になる、ムカつく)というスラング。カニエの成功に嫉妬し、感情を乱しているヘイターへの冷笑。

They filmin' a show, but won't show it
奴ら、番組(ショー)を撮影してるくせに、俺に見せようとしねえんだ。
※Huluで放送されたカーダシアン家のリアリティ番組『The Kardashians』への不満。自分の家庭の内情がエンタメとして消費されていることへのパラノイア。

You gotta watch me in slow motion, I'm in that wide-body Benz
お前ら、ワイドボディのベンツに乗った俺を、スローモーションで眺めるしかないんだぜ。

I go back to college, do an album, and then drop out again
俺は大学に戻ってアルバムを作り、また中退(ドロップアウト)してやる。
※自身のデビューアルバム『The College Dropout』への完璧なセルフ・オマージュ。いつだって初心に戻り、業界のルールから逸脱(ドロップアウト)して新しいものを創り出せるという宣言。

Took me a minute to get here, my vision is crystal clear
ここまで来るのに少し時間がかかったが、俺の視界(ビジョン)はクリスタルみたいに澄み切ってる。

Ayy, Fivi', excuse me, but this the feature of the year
Ayy、Fivi(Fivio)、悪いが、これが「フィーチャー・オブ・ザ・イヤー(今年最高の客演)」だぜ。
※Fivioの楽曲(本作はFivioのアルバム『B.I.B.L.E.』にも収録)に参加し、完全に主役を喰ってしまったというカニエの自画自賛。

I feel like Sinatra in these streets, me and Drizzy, we at peace
このストリートじゃ、俺は(フランク・)シナトラ気分だ。俺とDrizzy(ドレイク)は平和(ピース)を保ってるぜ。
※長年ビーフ状態にあったカニエとドレイクが、2021年末の「Free Larry Hoover」コンサートで劇的な和解を果たしたことへの言及。大御所シナトラのように、業界のゴッドファーザーとして振る舞う余裕。

This the backpack with the Polo and the first Jesus piece
これは(俺が着ていた)ポロのバックパックと、初代のジーザス・ピース(ネックレス)だ。
※デビュー当時のカニエを象徴する「バックパッカー・スタイル(Poloの服とリュック)」と、Roc-A-Fella時代の「ジーザス・ピース」への回帰。原点であるソウルフルなヒップホップ精神を失っていないというアピール。

I'm from the Chi' but I'm always New York
俺はシカゴ(Chi)出身だが、心はいつもニューヨークだ。

In the city, they treat me like Jesus is walkin'
この街じゃ、連中は俺を「歩くイエス・キリスト」みたいに扱うぜ。
※カニエの初期の名曲「Jesus Walks」と、自身がニューヨークで神格化されている状況を掛けたワードプレイ。

I been through the pain and all of the torment
俺はあらゆる痛みと、全ての苦悩(トーメント)を経験してきた。

I'm sayin' His name, I make that important (What?)
俺は神(His)の名を口にする。それを重要なことにするんだ。(What?)
※世俗的な成功の頂点にいても、常に神の存在をカルチャーの中心に据えるというカニエの使命感。

Now it's time to give 'em hell
さあ、奴らに地獄を見せてやる時間だ。
※ここから、ピート・デヴィッドソンへの直接的な攻撃が始まる。

Ask my staff, I pay 'em well
俺のスタッフに聞いてみろよ、俺はたっぷり給料を払ってるってな。

This afternoon, a hundred goons pullin' up to SNL (What?)
今日の午後、100人のグーン(刺客)がSNL(サタデー・ナイト・ライブ)のスタジオに押し寄せるぜ。(What?)
※当時キムと交際し、コメディ番組『SNL』のレギュラーであったピート・デヴィッドソンに対する、ヒップホップ史上最も露骨で恐ろしい脅迫ライン。金に物を言わせて暴漢を送り込むという、カニエの狂気がピークに達した瞬間である。

When I pull up, it's dead on arrival
俺が乗り込めば、到着時死亡(D.O.A.)だ。
※自分が登場した時点で、相手は社会的に(あるいは物理的に)完全に終わりだという殺意の表現。

They act like they love you, they don't even like you
連中は愛してるフリをするが、お前のことなんて好きでも何でもねえ。

They throw a party, won't even invite you
パーティーを開いても、お前を招待すらしないんだ。
※ハリウッドやセレブ界隈のフェイクな人間関係への嫌悪感。

I seen the same thing happen to Michael
マイケル(・ジャクソン)に同じことが起きるのを見たよ。

When you Black and you rich, they sayin' you psycho (What?)
黒人で大金持ちになると、連中はお前を「サイコ(精神異常者)」扱いするんだ。(What?)
※Reddit等でも深く議論された社会派のパンチライン。マイケル・ジャクソンがメディアから「Wacko Jacko(奇人ジャコ)」とバッシングされた歴史と、双極性障害を抱えるカニエ自身が「クレイジーだ」と糾弾される現状を重ね合わせ、そこにはアメリカの構造的な人種差別があるという鋭い指摘。

It's like a cycle
まるで負のサイクル(悪循環)だ。

If you text me anything hype, you better text back and say it's a typo
もし俺にイキった(ハイプな)テキストを送ってきたら、すぐに「タイプミス(タイポ)でした」って送り直した方が身のためだぞ。
※"hype"と"typo"のライム。カニエを怒らせたら社会的に抹殺されるという警告。

The city of Gods, no city is like you
神々の街。お前のような街は他にはない。

This the new New York, Ye is the GOAT
これが新しいニューヨークだ。Ye(カニエ)がG.O.A.T.(史上最高)だ。

Fivi' is viral and this is the B.I.B.L.E. (What?)
Fivi(フィヴィオ)はバズりまくってる。そしてこれが『B.I.B.L.E.(バイブル)』だ。(What?)
※Fivio Foreignのデビューアルバムのタイトル『B.I.B.L.E.』の宣伝と、この曲自体がストリートの新たな「聖書」であるという完璧なエンディング。

[Chorus: Alicia Keys & Fivio Foreign]

New York City, please go easy on me tonight (What the fuck? The fuck?)
ニューヨーク・シティ、今夜はどうか私に優しくして。(一体何事だ? 何なんだよ?)

(What the fuck?) New York City, please go easy on this heart of mine
(マジかよ?)ニューヨーク・シティ、どうかこの心に優しくして。

'Cause I'm losing my lover to the arms of another
だって私は、愛する人を別の誰かの腕の中に失おうとしているから。

New York City, please go easy on me
ニューヨーク・シティ、どうか私に優しくして。

[Outro: Alicia Keys]

Don't leave me, go easy, go easy, go easy
私を置いていかないで、優しくして、優しく、優しく。

Don't leave me, go easy, go easy, go easy
私を置いていかないで、優しくして、優しく、優しく。

Don't leave me, go easy, go easy, go easy
私を置いていかないで、優しくして、優しく、優しく。

New York City, please go easy on me
ニューヨーク・シティ、どうか私に優しくして。
※Aliciaの荘厳なフェードアウトが、カニエとFivioが撒き散らした狂気と暴力を美しく浄化していく。