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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Junya pt 2 - Kanye West (feat. Playboi Carti & Ty Dolla $ign) 【和訳・解説】

Artist: Kanye West (feat. Playboi Carti & Ty Dolla $ign)

Album: Donda (Deluxe)

Song Title: Junya pt 2

概要

本作は、カニエ・ウェストの『Donda』に収録された、日本を代表する世界的ファッションデザイナー「ジュンヤ・ワタナベ(渡辺淳弥)」へのトリビュート楽曲のパート2である。パート1のプレイボーイ・カルティに加え、タイ・ダラー・サインの新たなヴァースが追加されている。カニエのファッション界への異常なまでの執着とリスペクトが表現されており、パイプオルガンのような無機質でミニマルなビート上で、ハイブランドの名前が次々とドロップされる。特にパート2では、アンダーカバーの高橋盾(Jun Takahashi)やボッテガ・ヴェネタなど、ストリートとモードの境界線を破壊したブランドへの言及が増加している。ヒップホップにおける「成功の象徴」が、従来のゴールドチェーンから前衛的な日本人デザイナーのアーカイブ・ピースへと変遷した現代のカルチャーを象徴する、極めてファッショナブルかつエッジの効いたバップ(Bop)である。

和訳

[Chorus: Kanye West]

Junya Watanabe on my wri', wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。
※コム・デ・ギャルソン傘下の「Junya Watanabe」は時計を作っていないため、Reddit等では「ジャケットの袖が手首にかかっている状態」を指しているという説や、単に語感の良さを優先したフレックスであるという考察が主流である。

Junya Watanabe on my wri', wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

Tell 'em this, did he miss?
奴らに聞いてみろよ、あいつ(カニエ)は外したか?ってな。
※自分が手掛ける音楽やファッション(Yeezy)のデザインにおいて、絶対にミス(失敗)をしないという強烈な自負。

Junya Watanabe on my, mm
俺の身にはジュンヤ・ワタナベ、mm。

I can't really see, where did I miss? (Mm, mm)
俺には全く見えねえよ、俺のどこに隙があったって言うんだ? (Mm, mm)

[Verse 1: Kanye West]

Ex-strippers (Mm-mm)
元ストリッパーの女たち。
※過去の享楽的な人間関係や取り巻きたち。

New killers (Mm-mm)
新たなヒットマンたち。
※ストリートの危険な連中、あるいはシーンに現れた気鋭の若手ラッパー(Cartiなど)の比喩。

Chi' **** tell 'em (Mm-mm)
シカゴのダチら、奴らに言ってやれ。
※"Chi"はカニエの地元シカゴ。

This on Donda (Mm-mm)
これはドンダに誓って。
※亡き母Dondaの名前を担保にする、ストリートにおける最上級の誓い。

On my mama (Mm-mm)
俺のママに誓って。

Made a promise (Mm)
約束したんだ。
※母に対して、最高傑作を作る、あるいは絶対に失敗しない(missしない)という誓い。

[Chorus: Kanye West]

Junya Watanabe on my wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

Junya Watanabe on my wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

Tell 'em this, did he miss?
奴らに聞いてみろよ、あいつは外したか?ってな。

Junya Watanabe on my, mm
俺の身にはジュンヤ・ワタナベ、mm。

I can't really see, where did I miss? (Mm)
俺には全く見えねえよ、俺のどこに隙があったって言うんだ? (Mm)

Junya Watanabe on my wri' (Mm, mm)
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。 (Mm, mm)

Junya Watanabe on my—
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

[Verse 2: Kanye West]

All summer (Mm-mm), all summer (Mm-mm)
夏の間ずっと、ひと夏中だ。
※『Donda』の制作やリスニングパーティーでスタジアムに籠もり、夏を支配していたカニエの状況。

.45 gunners (Mm-mm), in pajamas (Mm-mm)
45口径を持ったガンナーたちが、パジャマ姿でうろついてる。
※メルセデス・ベンツ・スタジアムのロッカールームで寝泊まり(パジャマ)しながら、武装したセキュリティやギャングメンバーが警護していた異様な制作環境の描写。

They piranhas (Mm-mm)
あいつらはピラニアだ。
※血に飢えた危険なストリートの連中、あるいはカニエの富に群がるハイエナのような業界人。

Buy out the store in hours like we planned it
計画通り、数時間で店の在庫を全部買い占めてやる。
※ハイブランドのブティックを貸し切りにして爆買いする、ビリオネアとしてのフレックス。

[Chorus: Kanye West]

Junya Watanabe on my wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

Junya Watanabe on my wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

Tell 'em this, did he miss?
奴らに聞いてみろよ、あいつは外したか?ってな。

Junya Watanabe on my, mmh
俺の身にはジュンヤ・ワタナベ、mmh。

I can't really see, where did I miss? (Mm)
俺には全く見えねえよ、俺のどこに隙があったって言うんだ? (Mm)

Junya Watanabe on my wri'
俺の手首にはジュンヤ・ワタナベ。

[Verse 3: Playboi Carti & Kanye West]

For five summers, hold up, uh
ここ5回の夏、待てよ。
※プレイボーイ・カルティのヴァース。"five summers"は彼がブレイクした2015〜2016年頃から、現在に至るまでのシーンの支配期間を指している。

For five summers, hold up
この5回の夏、待てよ。

For five summers, hold up, uh
この5回の夏、待てよ。

For five summers, hold up, uh
この5回の夏、待てよ。

We took over, hold up, uh
俺たちがシーンを乗っ取ったんだ、待てよ。
※カルティとカニエが、それぞれの世代でヒップホップ界のトレンドを完全に掌握したこと。

We took over, hold up
俺たちが乗っ取ったんだ、待てよ。

We took over, hold up
俺たちが乗っ取ったんだ、待てよ。

We took over, hold up
俺たちが乗っ取ったんだ、待てよ。

Born in Atlanta (Mm-mm)
俺はアトランタ生まれだ。
※トラップミュージックの聖地、アトランタ出身であるカルティの強烈なアイデンティティ。

Not Montana (Mm-mm)
モンタナじゃねえ。
※田舎のモンタナ州(あるいはカニエが牧場を持っていたワイオミング州近郊)ではなく、ストリートの最前線である南部出身だというアピール。

'Scuse my manners, (Mm-mm)
行儀が悪くて悪かったな。
※アトランタ特有のラフなストリートの態度。

I got standards, uh, yeah
俺には高い基準(スタンダード)があるんだよ。
※ファッションや音楽に対する妥協のない美学。

'Scuse my manners (Mm-mm)
行儀が悪くて悪かったな。

I got standards (Mm-mm)
俺には高い基準がある。

I got status (Mm-mm)
俺には地位(ステータス)がある。
※カルト的な人気を誇る自身の立ち位置。

You don't want static (Mm-mm)
お前ら、俺と揉め事(スタティック)は起こしたくないだろ。
※"static"はビーフや抗争を指すスラング。

I'm from Atlanta, hold up (Mm-mm)
俺はアトランタ出身だ、待てよ。

Came from the attic, hold up, yeah (Mm-mm)
屋根裏部屋(アティック)から這い上がってきたんだ、待てよ。
※何もない底辺の環境からスターダムへ登り詰めたハングリー精神。

I'm in Mercedes, uh-uh (Mm-mm)
今はメルセデスに乗ってるぜ。
※スタジアムの名前(Mercedes-Benz Stadium)と高級車を掛けている。

This not practice, uh (Mm-mm)
これは練習(プラクティス)なんかじゃねえ。
※アレン・アイバーソンの有名な「Practice」スピーチの引用。本番の真剣勝負だという意思表示。

I'm not leavin', hold up, uh (Mm-mm)
俺はここから離れねえよ、待てよ。
※アルバムが完成するまでスタジアムから出ないというカルティとカニエの決意。

Where's my mattress? Hold up (Mm-mm)
俺のマットレスはどこだ? 待てよ。
※実際にスタジアムの小さな独房のような部屋にマットレスを敷いて寝泊まりしていたエピソード。

In the back of my mansion, mm (Mm-mm)
俺の豪邸の奥さ。
※スタジアム自体を一時的な自分の「豪邸」として扱っているフレックス。

Hundred K on my mattress, uh (Mm-mm)
マットレスの上に10万ドル(約1500万円)の札束だ。
※ストリートのハスラーがマットレスの下に金を隠す習慣のスケールアップ版。

Yeah, I'm all about fashion, yeah (Mm-mm)
ああ、俺はファッションが全てなんだ。

And she all about fashion, hold up (Mm-mm)
あの女もファッションが全てだ、待てよ。

She rock YEEZY, hold up (Mm-mm)
彼女はYEEZYを着こなしてる、待てよ。
※カニエのブランドであるYeezyをネームドロップ。

So we always matchin', hold up, uh (Mm-mm)
だから俺たちはいつもペアルック(マッチング)なんだ、待てよ。
※カルティもYeezyを着用しており、カニエへの敬意を示している。

Carti and Yeezy (Mm-mm)
カルティとイージー(カニエ)。

How'd that happen? (Mm)
どうしてこうなったんだ?
※世代の違う天才二人が、ファッションと音楽を通じて奇跡的なコラボを果たしたことへの驚きと高揚感。

[Verse 4: Ty Dolla $ign]

Junya Watanabe, ayy
ジュンヤ・ワタナベ、ayy。
※ここからTy Dolla $ignのヴァース(パート2限定)。

Jun Takahashi, ayy (Ayy-ayy)
高橋盾、ayy。
※日本の世界的ブランド「UNDERCOVER(アンダーカバー)」の創設者である高橋盾へのシャウトアウト。Junya Watanabeと並び、ストリートとハイファッションを融合させた偉大な日本人デザイナーへのリスペクト。

Undercover, ayy (Ayy-ayy)
アンダーカバー、ayy。

Eat up like hibachi, yeah, yeah (Ayy)
ヒバチみたいに食い尽くすぜ。
※"hibachi"はアメリカの日本風鉄板焼きレストラン(Benihanaなど)の総称。日本人デザイナーの文脈から、日本の食事へとワードプレイを繋げている。

These Bottega, ayy
このボッテガ、ayy。
※イタリアの高級ブランド、ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)。

Slime green like wasabi, yeah, yeah (Ayy-ayy)
ワサビみたいなスライム・グリーンだぜ。
※ボッテガのアイコニックなカラーである「パラキート(鮮やかな緑色)」を、ヤング・サグ等のスラングである「スライム(緑色)」と、日本の「ワサビ」に掛けて表現した非常にスキルの高いライン。

I know the steppers and hitters (Ayy)
俺はヤバい連中(ステッパー)やヒットマンと知り合いだ。
※ファッションに身を包みながらも、ストリートの凶悪な人間関係は維持している。

They don't do karate, ooh (Ayy-ayy)
あいつらは空手なんかやらねえよ。
※日本の格闘技「空手」のネームドロップ。素手(空手)ではなく、銃(hit/step)で確実に殺るという恐ろしいギャングの比喩。

I drive the Lam' and the Chevy
俺はランボルギーニとシボレーを乗り回す。

I keep my bro in the back of the Kelly, yeah (Ayy-ayy)
ダチをエルメスのケリーバッグの裏に隠してるぜ。
※超高級バッグであるKellyの中に、ドラッグや銃などを隠し持っているというアンバランスなフレックス。

I got a house on the hill and it's empty
丘の上に豪邸を持ってるが、空っぽなんだ。
※ビバリーヒルズ等の大豪邸に住みながらも、心が満たされない虚無感、あるいは忙しすぎて帰れない状況。

I'm with my girl, why you keep tryna tempt me? (Ayy)
俺は自分の女と一緒にいるんだ、なんでお前は俺を誘惑しようとするんだ?
※他の女性(グルーピー)からの執拗なアプローチをかわす態度。

Cullinan truck now, the Bentley
今はロールス・ロイス・カリナン(SUV)だ、あとはベントレー。
※超高級車のコレクション。

Came with a umbrella like Mr. Bentley (Ayy)
ミスター・ベントレーみたいに、傘が付いてるぜ。
※ロールス・ロイスのドアに内蔵されている専用の傘と、かつてP・ディディの付き人として常に傘をさしていた名物男「Fonzworth Bentley(フォーンズワース・ベントレー)」を掛けた素晴らしいヒップホップIQのライン。

Uh, I'm really him evidently
Uh、俺が「本物(Him)」だってことは明らかだろ。
※"Him"は圧倒的な存在感を持つ男を指すスラング。

Putting it on, but it's really in me
服(ハイブランド)を着飾ってるが、本質は俺の中にあるんだ。
※高級な服を着ているから偉いのではなく、俺自身の魂が本物だから服が輝くのだという名言。

I was created in the image of God
俺は神の似姿として創られたんだからな。
※旧約聖書(創世記)の引用。『Donda』の宗教的テーマに沿って、自分の中に神聖な価値があることを宣言している。

Junya Watanabe on my (Woo, woo-woo)
俺の身にはジュンヤ・ワタナベ。

Boolies on my couch, stays on my—
ソファにはブーリーズ(Bloodsの仲間)がいる、ずっと俺の——
※"Boolies"はBloodsのメンバーが使うスラング(CooliesのCをBに変えたもの)。

Mike Amiri, did he miss?
マイク・アミリ、あいつは外したか?
※LA発のラグジュアリーストリートブランド「AMIRI」の創設者マイク・アミリ。Junyaに続き、ヒップホップ界で絶大な支持を得るデザイナーをシャウトアウト。

Junya Watanabe on my (Woo-woo-woo-woo)
俺の身にはジュンヤ・ワタナベ。

[Outro: Ty Dolla $ign]

On my
俺の身に。

I'm just tryna find our way, yeah
俺はただ、俺たちの進むべき道を見つけようとしてるだけさ。

Look what God done done for the kid
見ろよ、神がこのガキ(俺)のために成し遂げてくれたことを。
※ストリート出身の自分が、ハイブランドを纏い世界中から称賛されるスターになったことへの、神への純粋な感謝で曲が締めくくられる。

 

Donda (Deluxe)

Donda (Deluxe)

  • Getting Out Our Dreams II, LLC / Def Jam Recordings
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