Artist: Kanye West (feat. Young Thug & Kid Cudi)
Album: Donda (Deluxe)
Song Title: Remote Control pt 2
概要
本作「Remote Control pt 2」は、神があらゆる事象を「リモコン」で完璧に操作(コントロール)しているという宗教的運命論を軽快なトラップ・ビートに乗せた一曲だ。『Donda』通常版ではKid Cudiのヴァースが土壇場でカットされたことが論争を呼んだが、このデラックス版(pt 2)で晴れてYoung ThugとKid Cudiの二人が共演する完全版として日の目を見た。ストリートのフレックス(自慢)と神への信仰を独特のワードセンスで繋ぐYoung Thugと、サイケデリックでメロディアスなCudiのフロウが絶妙なコントラストを生んでいる。さらにアウトロでは、ネットミームとして局地的に流行した不条理キャラクター「Globglogabgalab(グロブグロガブガラブ)」の音声がサンプリングされており、神聖なアルバムの中に突然インターネットの狂気(トロール)をぶち込むというKanye特有の予測不能なユーモアが炸裂している。
和訳
[Intro: Kanye West]
Please don't ask again, who's up in the van?
二度と聞かないでくれ、あのバンに乗ってるのは誰かってな
They my only fans
あいつらは俺の「オンリーファンズ」さ
※OnlyFans(有料コンテンツ配信サービス、主にアダルト目的で使われる)と「俺だけのファン(Only fans)」を掛けた秀逸なワードプレイ。
I was in my hovercraft, had another laugh
ホバークラフトに乗って、また一つ笑い飛ばしてやった
How you roll with them? When you know I'm him
俺が「本物(Him)」だって分かってるくせに、なんであんな奴らとつるんでるんだ?
※himはスラングで「選ばれし者」「圧倒的な存在(神など)」を指す。
[Chorus: Kanye West]
Got it on remote control
(神が)リモコンでコントロールしているんだ
Got it on remote control
(神が)リモコンでコントロールしている
Got it on remote control, like a CEO
CEOみたいに、リモコンでコントロールしてるのさ
※世界のすべてを掌握し、思い通りに操作する神(あるいはビリオネアとしてのKanye自身)の全能感をリモコンに例えている。
I thought you should know
お前も知っておくべきだと思ってな
[Verse 1: Kanye West]
On my Instagram, it get outta hand
俺のInstagramじゃ、事態は手に負えなくなる
※KanyeのInstagramでの過激な連投や暴走(outta hand)への自虐。
Why you so mad?
なんでそんなに怒ってるんだ?
[Interlude] [Pre-Chorus: Kanye West]
He got it on remote control, like a CEO
主はCEOみたいに、リモコンでコントロールしているのさ
Feelin' like the man, feelin' like the man
無敵になった気分だ、無敵の気分さ
I was in my hovercraft, floatin' down the path
ホバークラフトに乗って、道を浮かんで進んでたんだ
God just grabbed my hand, had a bigger plan
神が俺の手を掴んだ。もっと壮大な計画(プラン)があったんだよ
※自分がホバークラフト(富やテクノロジー)で進んでいたつもりが、実はすべて神のより大きな計画(Bigger plan)によって導かれていたという信仰の告白。
[Chorus: Kanye West & Young Thug]
He got this on remote control
主がこいつをリモコンでコントロールしているんだ
He got it on remote control
リモコンでコントロールしている
'Trol
トロール
Woah-woah, woah-woah
Woah-woah, woah-woah
[Verse 2: Young Thug]
I just, oh, I owe you a load
俺はただ、ああ、お前には山ほど借りができたな
※ここからYoung Thugのヴァース。独特のねっとりとしたフロウが始まる。
I live on the Titanic (Oh), I can rock your boat (Spider)
俺はタイタニック号に住んでる(Oh)、お前の船を揺らしてやるぜ(スパイダー)
※Aaliyahの名曲「Rock The Boat(船を揺らす=セックスの隠語)」とタイタニックの沈没を掛けた危険な誘惑。SpiderはThug自身のブランド名であり別名。
Hoppin' out the brand new Rolls (Skrrt, skrrt)
ピカピカのロールスロイスから飛び降りる(Skrrt, skrrt)
Hoppin' out the brand new Rolls (Skrrt, skrrt)
ピカピカのロールスロイスから飛び降りる(Skrrt, skrrt)
Jеsus sent me brand new clothеs (Skrrt, skrrt)
イエスが俺に新品の服を送ってくれたぜ(Skrrt, skrrt)
※Kanyeのゴスペル的なテーマに合わせ、自分の高級ファッションすらも「イエスからの贈り物」だと言い切るThug流のフレックス。
Wrist still thirty-two below (Yeah)
手首は相変わらず氷点下32度(凍りついてる)だぜ(Yeah)
※手首のダイヤモンド(Ice)が冷たく輝いている状態(Bling)。
I want my mob ties to shine (Hah)
俺のマフィアの繋がり(仲間たち)を輝かせたいんだ(Hah)
※Thugが率いるYSL(Young Stoner Life)レコードのメンバーたちへの愛情。
I could caress your mind with the right time (Time)
タイミングさえ合えば、お前の心を愛撫してやれるぜ(Time)
Don't you give your love up, this is the right sign (Sign), sign (Yeah)
愛を諦めるなよ、これが正しいサイン(兆し)なんだからな(Yeah)
I treat you lovely and righteous and kind (Hah)
俺はお前を愛らしく、正しく、そして優しく扱うぜ(Hah)
And we'll be lastin' with another 'til we die (Yeah)
そして俺たちは死ぬまで、お互いに永遠に続くのさ(Yeah)
I'd give you kids at the drop of a dime (Dime)
いつでもすぐに、お前に子供を作ってやるぜ(Dime)
※at the drop of a dimeは「ためらうことなくすぐに」「あっという間に」の意。
Oh-woah, told the **** fold my clothes (Fold my clothes)
Oh-woah、ビッチに俺の服を畳めって言ってやった(俺の服を畳め)
Take it to the light like a strobe (Yeah)
ストロボみたいに、そいつを光の中へと持っていくんだ(Yeah)
Taking me to court like O (Taking me to court like OJ)
俺を法廷(コート)に引きずり出す、まるでOみたいにな(OJみたいに法廷へ)
※「O」はO.J. Simpson(O.J.シンプソン事件で歴史的な裁判にかけられた元NFLスター)のこと。富と名声を得た黒人が法廷闘争に巻き込まれるアメリカ社会の現実。(※皮肉にも、Thug自身がこのアルバムの直後にYSLのRICO法違反で長期間の法廷闘争を強いられることとなる)
Paparazzi sleep at my door, I just thought that you should know (Sleep at my door)
パパラッチが俺の家のドアの前で寝泊まりしてる。お前も知っておくべきだと思ってな(ドアの前で寝てる)
I get frozen like the North Pole, don't you freeze up on a pole
俺は北極(ノースポール)みたいに凍りついてる。お前はポール(ストリップポール)の上でフリーズするなよ
※North Pole(北極=ダイヤモンドの冷たさ)と、ストリップクラブのpole(ポール)を掛けたワードプレイ。
[Pre-Chorus: Young Thug]
He got this on remote control like a sink in gold
主はこいつをリモコンでコントロールしている、黄金のシンクみたいにな
He got it, no fight, no more meds, twilight in the game
主は分かってる。争いも、もう薬(メッズ)も必要ねぇ。このゲームの黄昏時だ
He got it on my hover craft, have another laugh
主が俺のホバークラフトをコントロールしてる。また笑ってやろうぜ
Pop on a handstand, twilight in the man
逆立ち(ハンドスタンド)をキメる、男の中の黄昏時さ
[Chorus: Young Thug & Kanye West]
He got it on remote control
主がこいつをリモコンでコントロールしているんだ
He got it on remote control
リモコンでコントロールしている
He got it on remote control, like that's to know
リモコンでコントロールしているのさ、知っておくべきだ
Should know
知っておくべきだ
[Verse 3: Kid Cudi]
You not understand, I am not your mans
お前は分かっちゃいない。俺はお前の仲間(手下)じゃない
※ここから待望のKid Cudiのヴァース。通常版でカットされたため、ファンの間ではこのpt 2が実質的な「完成版」として扱われている。
See, I'm super, I got plans, trips across the land
いいか、俺はスーパー(特別)なんだ。計画があるし、国中を旅してる
Diamonds dancin' on my hands, Cudder in demand
手元でダイヤモンドが踊ってる、Cudder(カディ)は引っ張りだこさ
※CudderはKid Cudiの愛称。
All in pink like Killa' Cam, holy
全身ピンクだぜ、まるでKilla Cam(キャムロン)みたいにな。なんてこった
※Killa CamことCam'ronは、2000年代に全身ピンクのファーコートとレンジローバーでヒップホップ界にピンクの流行を作った伝説的ラッパー。彼のアイコニックなスタイルへのオマージュ。
Watch 'em go, baby like what she see, hey
奴らが行くのを見てな、ベイビーは自分の見ているものがお気に入りさ、hey
In the evening, it's the time, and it's right, hey
夕暮れ時、その時間が来たんだ、いい感じだぜ、hey
Takin' it solo, lose the bag, it's disco, hey
一人(ソロ)でいくぜ、バッグ(金や重圧)を捨てて、ディスコみたいに踊るんだ、hey
Just a-just a doin' damage plus some damage, you know, it's a thing
ただダメージを与えて、さらにダメージを追加するだけさ。分かるだろ、そういうもんなんだ
And we ridin', it's a little bit of liquor and we slidin', it's on
俺たちは車を走らせる、少し酒を入れて、滑るように進む。始まったぜ
And we 'bout it, say goodbye to the worries, baby, so long
俺たちは本気だ。すべての悩みにサヨナラを言うんだ。ベイビー、あばよ
※'bout it(about it)は「本気だ」「やる気満々だ」という南部発祥のスラング。
Feelin' she love my shine, oh
彼女が俺の輝きを愛してるのを感じるぜ、oh
color outside the lines, I am so out of-out of control
クソッ、枠線(ライン)の外をはみ出して色を塗ってやる。俺は完全にコントロール不能だ
※「color outside the lines」は「常識やルールに縛られない」という慣用句。神が「remote control」しているというアルバムのテーマに対し、Cudiは自由に「out of control(制御不能)」に生きているという見事な対比。
And I'm fallin', glowin' in the mold
そして俺は落ちていく、型(モールド)の中で光り輝きながら
And she said she understands the code, see, we play our roles
彼女は「そのコード(暗号・掟)は理解してる」って言った。いいか、俺たちはそれぞれの役割を演じてるだけさ
This is how it goes, innocent, ooh
そういう風に進んでいくのさ、無邪気にね、ooh
And I'm tryna find you in my dreams, ooh
俺は夢の中で、お前を探そうとしてるんだ、ooh
See, I'm just a creature in the night, she gives me what I like
いいか、俺はただの夜の生き物(クリーチャー)さ。彼女は俺が好きなものをくれる
Electric through my bones, feels so right
骨の髄まで電気が走るんだ、最高の気分だぜ
[Outro: Tony Halstead as The Globglogabgalab]
Ooh, ha-ha-ha, mmh, splendid
Ooh、ハハハ、mmh、素晴らしい
Simply delicious, oh, ha-ha-ha
全くもって美味だ、oh、ハハハ
※【Redditで大論争を巻き起こしたアウトロ】ここで突然、2012年の低予算インディー映画『Strawinsky and the mysterious house』に登場する本の妖精「Globglogabgalab」の歌声がサンプリングされる。2018年頃からTikTok等で不条理ミームとして流行していた音声であり、Kanyeがこの厳粛なゴスペル・アルバムのトラックの末尾に、意図的にネットの「トロール(悪ふざけ)」をぶち込んだことで世界中のリスナーが困惑し、そして歓喜した。
I am the Glob-glo-gab-galab
私はグロブ-グロ-ガブ-ガラブ
The shwabble-dabble-wabble-gabble flibba blabba blab
シュワブル-ダッブル-ワッブル-ガッブル フリバ ブラバ ブラブ(※意味のないスキャット)
I'm full of shwibbly liber-kind
私はシュウィブリーな本たちで満ちている
I am the yeast of thoughts and minds
私こそが、思考と精神の「酵母(イースト)」なのだ
※一見ふざけたミームだが、「yeast(酵母)」が思考を膨らませる(発酵させる)という表現は、Kanye自身がサンプリングやアイデアを膨らませて音楽(Donda)を作り上げるプロセスに対する、極めて自己言及的なメタファーであるとする深読みの考察もRedditに存在する。
Shwabble dabble glibble glabble schribble shwap glab
シュワブル ダッブル グリブル グラブル シュリブル シュワプ グラブ
Dibble dabble shribble shrabble glibbi-glap shwap
ディブル ダッブル シュリブル シュラブル グリビ-グラプ シュワプ
Shwabble dabble glibble glabble shwibble shwap-dap
シュワブル ダッブル グリブル グラブル シュウィブル シュワプ-ダプ
Dibble dabble shribble shrabble glibbi-shwap glab
ディブル ダッブル シュリブル シュラブル グリビ-シュワプ グラブ
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ディブル ダッブル シュリブル シュラブル グリビ-シュワプ グラブ
Ooh, ha ha ha, mmm, splendid
Ooh、ハハハ、mmm、素晴らしい
Simply delicious
全くもって美味だ
Ohm, ha ha ha ha
Ohm、ハハハハ
