Artist: Tyler, The Creator
Album: DON’T TAP THE GLASS
Song Title: Ring Ring Ring
概要
本作は、タイラー・ザ・クリエイターのサプライズアルバム『DON’T TAP THE GLASS』に収録された、実らない恋への未練と執着を歌う切ないR&Bチューンだ。「Don't tap the glass(ガラスを叩くな=私生活に踏み込むな)」というアルバム全体の排他的なテーマとは裏腹に、タイラー自身が元恋人(またはセックスパートナー)の「境界線」を破り、拒絶されているにもかかわらず深夜に電話をかけ続けるという皮肉で人間臭い矛盾が描かれている。歌詞中には、プリンスがシーナ・イーストンに提供した「Sugar Walls」や、クラシックなR&Bで別れた恋人へ繋ぐよう懇願する「Operator(電話交換手)」のモチーフが散りばめられており、Reddit等でも『IGOR』時代を彷彿とさせる愛の狂気と哀愁が見事に融合したトラックとして高く評価されている。
和訳
[Refrain]
I hope you good, I hope you well, I hope you lit
調子よくやってるか、元気か、最高にキメてるか。
I miss your touch, I miss your smell, I miss your lips
君の感触が、匂いが、唇が恋しいよ。
Baby, grab a drink, baby, grab some food, don't be a stranger
ベイビー、酒でも飲もう、飯でも食おう、他人行儀(ストレンジャー)にならないでくれ。
I know it's hard, though, huh
まあ、それが難しいのは分かってるけどな、ハッ。
[Chorus]
Hello?
もしもし?
Hello?
もしもし?
Hello?
もしもし?
[Verse 1]
You lift me up
君は俺をハイにしてくれる。
You get me up, I mean so high
俺を立たせてくれる、つまり、とんでもなく高く舞い上がるってことさ。
You drain me up
君は俺を吸い尽くす。
You rock my boat, I mean low tide
君は俺の船を激しく揺らす(オーガズムに導く)。つまり、ロータイド(干潮)になっちまうってことさ。
※rock my boat=アリーヤの名曲「Rock The Boat」などR&Bでよく使われる性的な隠語。激しいセックスの後にエネルギーが引き潮(ロータイド)のように引いていく虚脱感のメタファー。
I'd must admit right now
今、認めなきゃならないな。
Your sugar walls have been on my mind
君のシュガー・ウォールズ(甘い壁)が頭から離れないってことを。
※sugar walls=プリンスが変名でシーナ・イーストンに提供した1984年の楽曲「Sugar Walls」からの引用。女性器の内壁を指す露骨なメタファーであり、単なる恋愛感情を超えた強烈な肉体的執着を示している。
[Pre-Chorus]
I know you said not to call you again, but I miss you
もう二度と電話してくるなって言われたのは分かってる、でも君が恋しいんだ。
And I hope I can see you one more gin 'cause I miss you
もう一杯ジン(gin)を飲みながら君に会えたらって願ってる、君が恋しいから。
※one more gin=AAVE特有の発音「one more again(もう一度)」と、酒の「ジン(gin)」を掛けた天才的なワードプレイ。酔った勢いで元恋人に連絡してしまう「Drunk Text/Call」の典型的な行動であり、自分の未練を酒のせいにしようとしている。
[Chorus]
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone) Hello?
(リン、リン、リン… 電話に出てくれ)もしもし?
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone, girl) Hello?
(リン、リン、リン… 電話に出てくれよ、ガール)もしもし?
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone) Hello?
(リン、リン、リン… 電話に出てくれ)もしもし?
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone)
(リン、リン、リン… 電話に出てくれよ)
[Refrain]
I hope you good, I hope you well, I hope you lit (I hope you good)
調子よくやってるか、元気か、最高にキメてるか(元気でいてほしい)。
I miss your touch, I miss your smell, I miss your lips (Oh, I miss your lips)
君の感触が、匂いが、唇が恋しいよ(オー、君の唇が恋しい)。
Baby, grab a drink, baby, grab some food, don't be a strangеr (Oh, call my mama, baby)
ベイビー、酒でも飲もう、飯でも食おう、他人行儀にならないでくれ(オー、俺の母さんに電話してくれよ、ベイビー)。
I know it's hard, though (Don't tap the glass)
まあ、それが難しいのは分かってるけどな(ガラスを叩くな)。
※バックボーカルで「Don't tap the glass」と囁かれている。他人に自分の領域を踏み込まれることを極度に嫌うタイラー自身が、ここでは「元恋人のガラスを必死に叩きまくっている」という痛烈な自己矛盾を表現している。
[Verse 2]
I had to protect my heart
俺は自分の心を守らなきゃならなかったんだ。
And build a wall so tall, I couldn't look ovеr (Don't let me catch you here)
そして乗り越えられないほど高い壁を作った(こんな所で君を見つけたくない)。
※過去作『IGOR』などで描かれた、愛するがゆえに傷つくことを恐れて壁を作る防衛本能。
I need to touch you (One more time)
君に触れたいんだ(もう一度だけ)。
Girl, I need to see you (One more time)
ガール、君に会いたい(もう一度だけ)。
I need to smell you (I'll pick you up by 5)
君の匂いを嗅ぎたい(5時に迎えに行くよ)。
And I don't know why (Listen)
なんでこんな気持ちになるのか、自分でも分からないんだ(聞いてくれ)。
[Pre-Chorus]
I know you said not to call you again, but I miss you
もう二度と電話してくるなって言われたのは分かってる、でも君が恋しいんだ。
And I hope I can see you one more gin 'cause I miss you
もう一杯ジンを飲みながら君に会えたらって願ってる、君が恋しいから。
Baby, baby, baby, baby
ベイビー、ベイビー、ベイビー、ベイビー。
[Chorus]
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone) Hello?
(リン、リン、リン… 電話に出てくれ)もしもし?
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone, girl) Hello?
(リン、リン、リン… 電話に出てくれよ、ガール)もしもし?
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone) Hello?
(リン、リン、リン… 電話に出てくれ)もしもし?
(Ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring-ring, pick up the phone)
(リン、リン、リン… 電話に出てくれよ)
[Verse 3]
Operator, can you pick that phone? (Operator)
オペレーター(電話交換手)、その電話に出てくれないか?(オペレーター)。
※Operator=ジム・クロウチの「Operator (That's Not the Way It Feels)」など、昔のR&Bやブルースにおいて「別れた恋人に電話を繋いでほしい」と哀願する際のクラシックなモチーフ。相手に直接繋がらないため、交換手にすがるしかないという極限の孤独。
Pheromone, what the hell goin' on?
フェロモン、一体何が起きてるんだ?
Operator, what the fuck right now?
オペレーター、今は一体どうなってんだ?
How you feel right now? That's regret right now
今どんな気分だ? 今俺が感じてるのは「後悔」さ。
Operator, put your clothes back on
オペレーター、服を着直してくれ。
Operator, how we gon' move on? (Bro)
オペレーター、俺たちはどうやって前に進めばいい?(兄弟)。
※相手と肉体関係(フェロモン、服を脱ぐ)を持った後に生じる、虚無感と取り返しのつかない後悔がフラッシュバックしている。
Operator, can't be next time
オペレーター、次はもうないかもしれない。
Yeah, right, it ain't no dead line
ああ、そうだな、デッドライン(締め切り/死んだ回線)なんてないのさ。
※dead line=電話が切れて「ツーツー」と鳴る死んだ回線(Dead line)と、関係の終わり(締切)のダブルミーニング。
[Bridge]
Before you go and walk out my life
君が俺の人生から歩み去ってしまう前に。
I wanna tell ya (I wanna, wanna, wanna, wanna, wanna tell you)
君に伝えたいんだ(伝えたい、伝えたい、伝えたいんだ)。
Before you go and walk out my life
君が俺の人生から歩み去ってしまう前に。
I wanna tell ya (Tell you)
君に伝えたい(君に)。
How much I love you, I love you
どれだけ君を愛してるか。愛してる。
I love you, I love you
愛してる、愛してる。
I love you, I love you
愛してる、愛してる。
I love you, I love you (And I cannot give it up)
愛してる、愛してる(俺はどうしても諦めきれないんだ)。
I love you, I love you
愛してる、愛してる。
I love you (Tell you)
愛してる(君に伝えるよ)。
[Outro]
Operator, operator, operator, operator
オペレーター、オペレーター、オペレーター、オペレーター。
Operator, operator, ope—
オペレーター、オペレーター、オペ—。
Pick up the phone, girl
電話に出てくれよ、ガール。
※結局電話は繋がらず、狂気的なまでの「愛してる」の連呼と、虚しい呼びかけだけが響いて曲が終わる。スターとしての強固なエゴの裏にある、どうしようもない弱さと執着を描き切ったアウトロ。
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