Album: DON’T TAP THE GLASS
Song Title: Sucka Free
概要
タイラー・ザ・クリエイターのサプライズアルバム『DON'T TAP THE GLASS』に収録された「Sucka Free」は、西海岸のGファンクや2000年代初頭のバウンスに回帰したようなレイドバックしたトラックだ。タイトルの「Sucka Free(サッカー・フリー)」は、偽物(サッカー)や中身のない人間関係から距離を置き、自身のビジネスと富に集中するというヒップホップの古典的なマントラである。歌詞中には彼が生まれ育ったホーソーンやエル・セグンド、PCH(パシフィック・コースト・ハイウェイ)といったLA周辺の象徴的な地名が登場し、さらには「Odd Future, Wolf Gang」という初期のクルー名を叫ぶことで、自身のルーツへの帰還とブレないアイデンティティを示している。家具を買う前にチェーンを買うようなフェイクなラッパーたちを痛烈に皮肉りながら、ただひたすらに自分の人生と金を謳歌するタイラーの圧倒的なエゴと美学が凝縮された西海岸アンセムである。
和訳
[Intro]
This that Eastside, Hawthorne, ride down El Segundo to PCH shit
これはイーストサイド、ホーソーン、エル・セグンドからPCHを流す時の音楽さ。
※Hawthorne(ホーソーン)はタイラーの地元。El Segundo(エル・セグンド)やPCH(パシフィック・コースト・ハイウェイ)はLA周辺の海岸沿いの象徴的なドライブコース。西海岸のレイドバックしたローカルな空気を一瞬で醸し出している。
Put your top down, sun beamin', for real, huh
車のルーフを下ろせ。太陽がギラギラ照りつけてるぜ、マジでな、ハッ。
[Chorus]
I'm that guy, tryna get my paper, baby
俺は「あの男(選ばれし者)」さ。自分の札束(ペーパー)を稼ごうとしてるんだ、ベイビー。
※paper=紙幣、お金。
I'm that guy forever
俺は永遠に「あの男」なんだよ。
I'm that guy, tryna get my paper, baby
俺は「あの男」さ。自分の札束を稼ごうとしてるんだ、ベイビー。
I'm that guy forever (Yeah, ayy)
俺は永遠に「あの男」なんだよ(イェー、エイ)。
[Verse 1]
City back up (Ayy), got my racks up (Ayy, bro)
街全体がバックアップしてる(エイ)。俺の札束(ラックス)は積み上がってるぜ(エイ、兄弟)。
Baby-blue Bimmer, watch it back up
ベイビーブルーのビーマー(BMW)。バックするから見とけよ。
Got my jewels on, so I'm strapped up
ジュエリーを身につけてるから、武装(ストラップ)もバッチリさ。
※strapped up=銃を携帯していること。高価なジュエリーを狙う強盗に対する自己防衛。
We don't know you, nigga, back up (Uh-huh)
お前のことなんて知らねえよ。下がってろ(アーハァ)。
Pockets full of chili like it's hot sauce (Uh-huh)
ポケットの中はチリ(金)でパンパンだ、まるでホットソースみたいにな(アーハァ)。
※chili=現金を意味するスラング。ホットソースとの言葉遊び。
Niggas actin' silly just to pop off
野郎どもは目立つ(ポップ・オフする)ためだけに、マヌケな真似をしてやがる。
Hop off my dick, there's some hoes in here
俺のディックから降りろ(媚び売るな)。ここにはビッチどもがいるんだからな。
Odd Future, Wolf Gang, all the bros in here
オッド・フューチャー、ウルフ・ギャング。俺の兄弟たちは全員ここにいるぜ。
※タイラーが結成した伝説的ヒップホップコレクティヴ「Odd Future Wolf Gang Kill Them All (OFWGKTA)」への強烈なシャウトアウト。どれだけ世界的スターになっても、原点の絆を誇示している。
You niggas bums, you never really figured it out
お前らはただのクズ(バム)だ。物事の真理を全く分かっちゃいねえ。
You the type to let a bitch wear her shoe in your house (Hah)
お前は、ビッチが土足で家に上がり込むのを許しちまうようなタイプさ(ハッ)。
※アメリカでも黒人家庭などでは家の中で靴を脱ぐルールを持つことが多い。ルールを守らせる威厳やプライドがない男への痛烈な皮肉。
You the type to buy a chain before some furniture, couch
お前は、家具やソファを買う前にチェーン(ネックレス)を買っちまうようなタイプだ。
※見栄っ張りで生活の基盤が整っていないフェイクなラッパーの典型例。
And you the type of nigga never had a fist hit your mouth (Bink-bink-bink, huh)
そしてお前は、口元に拳を食らった(殴られた)ことすらないような野郎だ(ビィン・ビィン・ビィン、ハッ)。
※口先ばかりで実際のストリートの痛みを経験していない(温室育ちの)連中への批判。
You ain't got no guap, no paper, ain't no ink
お前には大金(グワップ)も、札束(ペーパー)も、インク(契約書)もねえ。
See, I'm that guy, give a fuck what you think (Nigga)
ほら、俺こそが「あの男」なんだ。お前らがどう思おうが知ったこっちゃねえよ(なぁ)。
So please keep that weirdo shit from me
だから、そのキモい真似(馴れ合い)は俺に近づけないでくれ。
I'm just stackin' up my cheese, tryna stay sucker-free
俺はただ自分のチーズ(金)を積み上げて、サッカー(偽物)と関わらないようにしてるだけさ。
※cheese=お金。sucker-free=偽物、嫌な奴、バカな奴ら(suckers)と関わらない、または騙されない状態を指す。この楽曲のコアテーマ。
[Chorus]
I'm that guy, tryna get my paper, baby
俺は「あの男」さ。自分の札束を稼ごうとしてるんだ、ベイビー。
I'm that guy forever
俺は永遠に「あの男」なんだよ。
I'm that guy tryna get my paper, baby
俺は「あの男」さ。自分の札束を稼ごうとしてるんだ、ベイビー。
I'm that guy forever
俺は永遠に「あの男」なんだよ。
[Post-Chorus]
I'm stackin' my ones on a Tuesday, I'm gettin' that paper
火曜日だって1ドル札(ワンズ)を積み上げてる。俺は金を稼いでるんだ。
I'm stackin' my ones on the weekend, I'm gettin' that paper
週末だって札束を積み上げてる。俺は金を稼いでるんだ。
[Verse 2]
Bro, all the bums to the back, bitch, I'm dumb to the max
兄弟、クズどもは全員後ろに下がれ。ビッチ、俺は限界までバカ(最高)になってるぜ。
※dumb=「バカな」という意味から転じて、ヒップホップスラングでは「イケてる」「最高にキマっている」という意味を持つ。
I'm him, I'm that guy, run and tell that
俺こそがヤバい奴(Him)であり、「あの男」さ。走って奴らに伝えてこいよ。
All that street talk corny 'bout rats
ネズミ(密告者)がどうのこうのっていうストリートの武勇伝なんて、ダサい(コーニー)だけだ。
Bro, you are a good man, what you know about that, nigga?
兄弟、お前は(ストリートの悪党じゃなくて)ただの良い奴だろ。お前がストリートの何を知ってるって言うんだよ?
※ストリート出身ではないのにギャングスタを気取っているフェイクな同業者への冷ややかな視点。前作『CHROMAKOPIA』の「Take Your Mask Off」でも同様のテーマが歌われている。
Niggas weird and that's on my mommy
野郎どもはキモいぜ。母さんに誓って本当さ。
Hoes tell, they don't need no lobby
ビッチどもはペラペラ喋る。ロビー(待合室)なんて必要ないんだ。
※ゴシップやすぐに情報を漏らす女たちへの警戒。
Went the extras, ain't need no hobby
エキストラ(余分なこと/大金)を稼ぎに行った。趣味なんて必要ねえ。
Drop the top, I'm never sloppy
車のルーフを下ろす(ドロップ・ザ・トップ)。俺は決してだらしない(スロッピーな)真似はしないぜ。
Keep a thumper, brodie
デカい銃(サンパー)を持っておけよ、兄弟。
Can you please hop off my bumper, nigga?
頼むから、俺のバンパーから降りて(付き纏うのをやめて)くれないか?
※hop off my bumper=車のバンパーに乗る(ベタベタついてくる、媚びを売る)連中を振り払うスラング。自分の成功にあやかろうとする人間を完全に拒絶している。
[Chorus]
I'm that guy (Niggas weird, bro), tryna get my paper, baby
俺は「あの男」さ(野郎どもはキモいぜ、兄弟)。自分の札束を稼ごうとしてるんだ、ベイビー。
I'm that guy forever
俺は永遠に「あの男」なんだよ。
I'm that guy tryna get my paper, baby
俺は「あの男」さ。自分の札束を稼ごうとしてるんだ、ベイビー。
I'm that guy forever
俺は永遠に「あの男」なんだよ。
[Post-Chorus]
I'm stackin' my ones on a Tuesday, I'm gettin' that paper
火曜日だって1ドル札を積み上げてる。俺は金を稼いでるんだ。
I'm stackin' my ones on the weekend, I'm gettin' that paper (What y'all niggas on, bro?)
週末だって札束を積み上げてる。俺は金を稼いでるんだ(お前ら一体何やってんだよ、兄弟?)。
I'm stackin' my ones on a Tuesday, I'm gettin' that paper
火曜日だって1ドル札を積み上げてる。俺は金を稼いでるんだ。
I'm stackin' my ones on the weekend, I'm gettin' that paper (Woo)
週末だって札束を積み上げてる。俺は金を稼いでるんだ(ウー)。
[Outro]
Mind your business, mind your figures, nigga
自分のビジネスに集中しろ、自分の数字(稼ぎ)を気にしろよ、なぁ。
Get your paper up and turn the goofy down, for real, bro, hmm (Don't tap the glass)
金を稼いで、そのバカみたいな振る舞い(グーフィー)はやめろ。マジでさ、フン(ガラスを叩くな)。
※アルバムタイトル『DON'T TAP THE GLASS』の回収。外野のノイズやフェイクな連中を遮断し、自分自身の富と美学だけを追求するというタイラーの揺るぎないスタンスで曲が締めくくられる。
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