Artist: Tyler, The Creator
Album: CHROMAKOPIA
Song Title: Tomorrow
概要
本作は、タイラー・ザ・クリエイターのアルバム『CHROMAKOPIA』に収録された、加齢とライフステージの変化に伴う焦燥感を赤裸々に綴った極めて内省的な楽曲だ。冒頭で母親のボニータ・スミスから「孫の顔が見たい」と懇願される通り、周囲の同世代の友人たちが次々と結婚や出産(第二子誕生など)を経験していく中、自分にはフェラーリと派手なスーツの写真しかないという、30代の成功者特有の孤独と葛藤を描いている。肉体的な老いや「かつてのT(タイラー)はもういない」というアイデンティティの変容を認めつつも、世間や親からの「身を固めるべき」というプレッシャーに抗い、未だ家庭を持つ覚悟が決まらない自身のリアルなパラノイアを、アコースティックで温かみのあるサウンドに乗せて切実に吐露している。
和訳
[Intro]
(Give it up)
(諦めなさい)
※文脈上「私が折れる」「孫を諦める」のではなく、「私に譲りなさい/さあ早く(孫を)ちょうだい」というニュアンス。
Nigga, I'm gettin' old and I need a grandchild, please (Give it up)
ねえ、私ももう歳なんだから、孫の顔を見せてちょうだい、お願いだから。(さあ、ちょうだいよ)
※タイラーの母親、ボニータ・スミスの肉声。息子の成功を見届けた彼女の現在の最大の願いが「孫」であることが生々しく語られる。
Just one, please, all I need is one (Give it— Give it up)
一人でいいの、お願い、一人だけでいいから。(さあ、ちょうだい)
We need a little Ty-Ty walkin' around here, okay?
ここを歩き回る「小さなタイタイ」が必要なのよ、分かるでしょ?
※Ty-Ty=タイラーの愛称。自分の息子にそっくりな孫の誕生を待ち望んでいる。
We need a little dookie booty runnin' around here, okay?
おむつをぽっこりさせた可愛いお尻(ドゥーキー・ブーティー)が走り回る姿が見たいのよ、ねえ?
※dookie booty=赤ちゃんのおむつがうんち(dookie)で膨らんでいる様子を指す愛称的なスラング。
[Verse 1: Tyler, The Creator]
My mother's hands don't look the same
母さんの手は、もう昔と同じようには見えない。
These jet black strands are turning gray
真っ黒だった髪の毛(ストランド)も、白髪に変わってきてる。
I'm gaining weight, I'd rather rest
体重も増えてきたし、休んでいたい気分だ。
※30代(現在33歳)に差し掛かり、明確に肉体的な老いや体力の衰えを感じ始めているリアルな描写。
The thought of children, it brings me stress
子供を持つって考えると、ストレスを感じちまうんだ。
Because time is changing
だって、時間は変わり続けてるからな。
[Chorus: Tyler, The Creator]
But don't you wait on me (Don't), I'll be fine
でも、俺のことは待たないでくれ(待たないで)、俺は大丈夫だから。
※孫を待つ母親や、結婚・定住を期待する社会に対して「自分のペースで生きるから期待しないでくれ」という本音。
But don't you wait on me, I'll be finе (Don't, don't)
俺のことは待たないでくれ、俺は大丈夫だから(待たないで、待たないで)。
Don't you wait for me
俺を待たないでくれ。
'Cause time got nothing right, don't, uh (Don't)
だって、時間ってやつは何一つ正しくしてくれないんだから、やめてくれ、アー(待たないで)。
※時間が解決してくれる(年齢と共に自然と親になる覚悟ができる)という一般的な考えを否定している。
[Post-Chorus: Tyler, The Creator]
Worry 'bout tomorrow (Don't, don't)
明日のことなんて心配するな(心配するな、するな)。
Worry 'bout tomorrow
明日のことなんて心配するな。
Can't worry 'bout tomorrow, ayy, ayy, ayy (Tomorrow)
明日のことなんて心配してられないぜ、エイ、エイ、エイ(明日のことなんて)。
Worry 'bout tomorrow (Tomorrow)
明日のことなんて心配するな(明日のことなんて)。
[Verse 2: Tyler, The Creator]
Yеah, what's gotten into me? Nah, that ain't the energy
ああ、俺はどうしちまったんだ? いや、そういうバイブス(エネルギー)じゃないな。
That version of T that you knew is a memory
あんたが知ってる「昔のT(タイラー)」は、もうただの思い出さ。
※過激で破天荒だったOdd Future時代の自分はとうに卒業し、成熟した現在の自分を提示している。
Who is that? You niggas get too attached to hear it
誰のことだ? お前らは昔の俺に執着しすぎて、今の俺の声が聞こえちゃいない。
Fear it, face clear, few wrinkles on my spirit
それを恐れな。顔はクリア(綺麗)だけど、俺の魂にはいくつかシワが刻まれてるぜ。
※face clear=高級スキンケアで肌は綺麗に保っているが、内面(spirit)には年齢や経験によるシワ(成熟や苦悩)が刻まれているという文学的な表現。
Now, cousin, this ain't no tubbin'
なあ兄弟、これはバスタブでくつろいでるようなもんじゃない。
※tubbin'=バスタブに浸かってリラックスすること。人生は常に挑戦であり、安住しているわけではないという意思表示。
I don't like cages, I'd rather be flooded
檻(ケージ)に入れられるのは好きじゃない。俺はむしろ水浸し(フラッド)でいたいんだ。
※家庭という「檻」に縛られるよりも、富やジュエリー(flood)に囲まれ、自由で流動的な人生を送りたいという欲望。
Thought this shit out, I pop out with that oven
このクソみたいな状況を考え抜いて、俺はあのオーブンを持って飛び出すぜ。
※oven=「bun in the oven(妊娠している)」という慣用句と、熱い作品(アルバム)を生み出すオーブンのダブルミーニング。家庭を持つ代わりに、アーティストとしての熱気を放ち続けるという宣言。
Tell that new version of me that I'm comin', yeah
新しいバージョンの俺に、「今行くぞ」って伝えておけよ、イェー。
My brodie had another baby, that's like number two (Number two)
俺のダチにまた子供が生まれた。確か2人目だったな(2人目さ)。
My homegirl a knot-tier, she like thirty-two (Thirty-two)
女友達は結婚(タイ・ザ・ノット)した。あいつは確か32歳だったか(32歳さ)。
※tie the knot=結婚するという慣用句。周囲の同年代の友人たちが次々と家庭を持ち、ライフステージを進めていることへの焦燥感。
They sharin' pictures of these moments, shit is really cute
あいつらはそういう瞬間(家族の成長)の写真をシェアしてる。マジで可愛いよな。
And all I got is photos of my 'Rari and some silly suits (Man)
それに比べて、俺が持ってるのはフェラーリやバカみたいなスーツの写真だけだ(なあ)。
※物質的な成功(高級車やファッション)は極めたものの、家庭的な温かさや次世代への継承といった側面では自分に何も残るものがないという、強烈な虚無感と対比。Geniusでも最も共感を集めたラインの一つ。
Mhm, will I flip the switch and finally settle down?
ンー、俺もスイッチを切り替えて、いよいよ身を固める時が来るのか?
Mhm, or go the other way and keep my panties down?
ンー、それとも逆の道を行って、パンティーを下ろしたまま(奔放な性生活を)続けるのか?
※settle down(定住・結婚)と、panties down(性的な自由・奔放さ)という二つの道の間の揺れ動き。
Uh-huh, I'm too paranoid, so I'ma air it out
アーハァ、俺はパラノイア(被害妄想)がひどすぎるから、全部ぶちまけて(風通しを良くして)やるよ。
※アルバム全体に通底する「パラノイア」のテーマ。他人に心を開き、家庭を持つことに対する極度の恐怖感。
And any pressure that you puttin' on me, I'ma tear it down
そして、お前ら(社会や家族)が俺にかけてくるどんなプレッシャーも、俺はぶち壊して(引き裂いて)やるぜ。
※最終的に、他人の期待に応えて無理に定住するのではなく、自分に課せられるプレッシャーそのものを破壊するという力強い拒絶。
[Chorus: Tyler, The Creator]
Don't you wait on me (Don't you wait on me), I'll be fine
俺のことは待たないでくれ(俺のことは待たないで)、俺は大丈夫だから。
Don't you wait on me (Don't you wait on me), I'll be fine
俺のことは待たないでくれ(俺のことは待たないで)、俺は大丈夫だから。
Don't you wait for me
俺を待たないでくれ。
'Cause time got nothing right
だって、時間ってやつは何一つ正しくしてくれないんだから。
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