Artist: Tyler, The Creator
Album: CHROMAKOPIA
Song Title: Judge Judy
概要
本作は、タイラー・ザ・クリエイターのアルバム『CHROMAKOPIA』に収録された、性的な解放と喪失をテーマにした切なくも美しいストーリーテリング楽曲だ。タイトルはアメリカの有名な法廷リアリティ番組『Judge Judy』に由来するが、ここでは「ジュディという女性をジャッジ(批判・偏見の目で見る)しない」というダブルミーニングとして機能している。前半ではカフェで出会った自由奔放な女性ジュディとの赤裸々で倒錯した性体験が軽快に語られるが、後半で彼女からの手紙が読み上げられ、彼女が不治の病でこの世を去ったという衝撃的な結末が明かされる。前作の楽曲「DOGTOOTH」の歌詞をセルフサンプリングするなどタイラーの確固たる価値観を提示しつつ、チャイルディッシュ・ガンビーノの温かいコーラスが、死の直前に「本当の自分」を受け入れてもらえたジュディの救いをソウルフルに彩る名曲である。
和訳
[Verse 1: Tyler, The Creator]
I met this girl named Judy at the cafe 'round my way
俺の地元のカフェで、ジュディって名前の女の子に出会ったんだ。
※'round my way=「自分の近所で」「地元の」を意味するスラング。
Her breasts were near her chest and she had curls that hid her face
胸は胸元の高い位置にあって、顔を隠すようなカールの髪をしてた。
Her legs were Eiffel Tower, I could tell her daddy Black (Ah)
脚はエッフェル塔みたいに長くて、彼女の父親が黒人だってすぐに分かったよ(アー)。
※黒人特有のスタイルや骨格の良さを称賛する表現。
Peanut butter jelly toasted in her lap
ピーナッツバタージェリーのトーストを膝の上に乗せていた。
※文字通りのサンドイッチの意味と同時に、彼女の肌の色(ピーナッツバター)や魅力的な身体のメタファーとしても機能している。
We chop and chop it up, I like her thoughts and time had flew
俺たちはひたすら話し込んだ。彼女の考え方が気に入って、時間はあっという間に過ぎたよ。
※chop it up=「楽しくおしゃべりをする」「語り合う」という意味のストリートスラング。
She said she had no plans and ask me what I'm 'bout to do
彼女は「この後は予定がない」って言って、俺に「あなたは何をするの?」って聞いてきた。
I stuffed us in the Phantom and wiggled through the streets
俺たちはファントムに乗り込んで、街の中を縫うように走った。
※Phantom=ロールス・ロイス・ファントム。高級車でデートに連れ出すフレックス。
She said she never do this, but she think that I'm sweet
彼女は「こんなこと普段は絶対しないけど、あなたのことは素敵だと思う」って言ったんだ。
[Chorus: Tyler, The Creator]
So I won't judge Judy
だから俺はジュディをジャッジ(批判)しない。
No, I won't judge Judy
ああ、俺はジュディを偏見の目で見ないんだ。
※有名なTV番組『Judge Judy』と、「JudyをJudgeしない」という言葉遊び。
[Verse 2: Tyler, The Creator]
We end up at my home, we dance around and made some sweets (We made some sweets)
結局俺の家に来て、踊りながら一緒にお菓子を作った(お菓子を作ったんだ)。
We started swapping spit and then she got on top of me (She got on top of me)
唾液を交換し(キスし)始めて、それから彼女が俺の上に跨った(俺の上に乗ったんだ)。
※swapping spit=ディープキスを意味する生々しいスラング。
I ask her what she into, she told me lead the way (You go first, I'm into)
「どんな性癖(プレイ)が好きなんだ?」って聞いたら、彼女は「あなたがリードしてよ」って答えた(「あなたが先よ、俺の性癖は…」)。
Body rubs, bondage, and creampies, we could play
ボディマッサージにボンデージ、それに中出し。いくらでも遊べるぜ。
※creampies=中出し(膣内射精)を意味するポルノスラング。タイラーの赤裸々で過激な性の好みの告白。
Around in public, any cum is now a fetish, I imagine (Ayy)
公共の場でのプレイ、どんな精液だって今やフェティッシュになる。俺の想像だけどな(エイ)。
Fiend for foot massages, giving oral is my passion (Uh)
足裏マッサージの中毒(フィーンド)で、オーラルをしてやるのは俺の情熱さ(アー)。
You could ride my face, I don't want nothing in return (Wait)
俺の顔に跨っていいぜ、見返りなんて何もいらねえ(待てよ)。
Your body count and who you fuck is not my concern
君の経験人数や、誰とヤッたかなんて俺の知ったこっちゃない。
※【重要】この2行は、前作『CALL ME IF YOU GET LOST: The Estate Sale』に収録された楽曲「DOGTOOTH」のフックと全く同じ歌詞のセルフサンプリング。女性の過去や世間の倫理観に縛られず、目の前の相手をありのまま受け入れるというタイラーの揺るぎないスタンスを強調している。
[Chorus: Tyler, The Creator & Childish Gambino]
'Cause I don't judge Judy (Yeah, yeah, yeah, what's your fetish and what are you into?)
だって俺はジュディをジャッジしないからな(イェー、君のフェティッシュは何だ?何が好きなんだ?)。
No, I don't judge Judy (Don't matter, you're safe here, I won't judge you now)
ああ、俺はジュディをジャッジしない(関係ないさ、ここは安全だ、俺は君を批判しない)。
No, I don't judge Judy (Judy, Judy, Judy, I, I'll try to hold you down and dick you down)
俺はジュディをジャッジしない(ジュディ、俺は君を組み敷いて、ヤリまくってやるよ)。
※dick you down=激しくセックスするという意味のAAVE(アフリカ系アメリカ人英語)。
No, I don't judge Judy (Judy, Judy)
俺はジュディをジャッジしない(ジュディ、ジュディ)。
※バックボーカルとしてChildish Gambino(ドナルド・グローヴァー)が参加し、ソウルフルで官能的なコーラスを添えている。
[Bridge: Tyler, The Creator & Childish Gambino]
She's just like me, uh, yeah, uh, uh, yeah
彼女はまるで俺みたいだ、アー、イェー。
I can't judge Judy (Oh, na-na-na-na)
俺はジュディをジャッジできない(オー、ナナナナ)。
[Interlude: Tyler, The Creator & Childish Gambino]
She like rope, hands around her throat
彼女はロープが好きで、首を絞められるのが好きだった。
Couple guys, it made her feel alive (Yeah, yeah, oh)
複数の男とヤることで、彼女は「生きている」と実感できたんだ(イェー、イェー、オー)。
She had a free spirit, you know? (Judy, Judy, Judy)
彼女は自由な魂(フリースピリット)を持ってた、分かるだろ?(ジュディ、ジュディ、ジュディ)
And she was great with women, exhibitionist (Judy, Judy, Judy, Judy)
それに彼女は女の扱いも上手くて、露出狂だった(ジュディ、ジュディ、ジュディ)。
I lean voyeur, so it worked out (Judge Judy, oh my God)
俺は覗き見趣味(ボワイヤール)の傾向があるから、上手く噛み合ったのさ(ジャッジ・ジュディ、オーマイガー)。
※世間一般からは「逸脱している」とされる彼女の多様な性癖(バイセクシャル、BDSM、ポリアモリー、露出狂)をタイラーが一切否定せず、むしろ自身の性癖とマッチさせて完全に受容したことを示している。
Our frequencies matched (Oh, na-na-na-na)
俺たちの波長(周波数)は合ってたんだ(オー、ナナナナ)。
No pressure, just, just
プレッシャーなんてない。ただ、ただ。
She wrote me a letter
彼女は俺に手紙を書いたんだ。
※ここで曲調が急変し、結末へと向かう。
[Verse 3: Tyler, The Creator & Childish Gambino]
Sorry that I haven't been communicating much (Uh, ooh, ooh, ooh)
「ずっと連絡を取れなくてごめんなさい(アー、ウー、ウー)。
This past year has been rough, it spreaded to my head (Yeah, yeah, yeah)
この1年は本当にしんどかったの。私の頭にまで転移してしまったから(イェー、イェー、イェー)。
※"it spreaded to my head"(頭にまで広がった)。彼女が癌などの重い病気を患っており、脳にまで転移した末期状態であったことを示す決定的なライン。Reddit等の考察では、彼女が生き急ぐように過激なセックスを求めた理由が「死期が近かったから」であることがここで腑に落ちる構造となっている。
I knew it when we met, if you're reading, it's too late
私たちが出会った時から、私は自分の病気のことを知っていたの。あなたがこれを読んでいるなら、もう遅すぎる(私は死んでいる)わ。
I'm on the other side, but I just wanna say
私はもう「あちら側」にいるけど、これだけは言っておきたくて。
Thank you for the moments I could grab before I left (Wait)
私が旅立つ前に、掴み取ることができた(あなたとの)時間に感謝してる(待って)。
I hope you live your life, your truest self with no regrets
あなたには、後悔のないように、最も本当の自分として人生を生きてほしい。
I wasn't living right until they told me what was left
私は、彼ら(医者)から『残されたもの(余命)』を告げられるまで、正しく生きて(living right)いなかったの。
※"what was left" と "living right" を対比させたワードプレイ。死を宣告されて初めて、他人の目を気にせず自分の「真の欲求(特異な性癖など)」を解放して自由に生きることができたという悲痛な告白。
I'm wishing you the best, P.S.
あなたの幸せを祈ってるわ。追伸。
Thank you for not judging, Judy
私をジャッジせず(ありのまま受け入れて)くれてありがとう。ジュディより」
Damn
クソッ。
※手紙を読み終えたタイラーの、言葉を失った静かな絶望で曲が締めくくられる。
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