Artist: Drake
Album: Comeback Season
Song Title: The Winner
概要
本楽曲は、2007年にリリースされたDrakeの第2弾ミックステープ『Comeback Season』のハイライトとなる、勝利の予言とも言えるアンセムである。当時まだ世界的スターになる前であったにも関わらず、グラミー賞のような大舞台で「俺にはこれを受け取る資格がある(I deserve this shit)」と受賞スピーチの練習をしているという、途方もない野心と自信(Mob Boss的な傲慢さ)が描かれている。一方で、俳優からラッパーへの転身を冷笑した高校の教師(ミセス・マレー)への当てつけや、無名時代にアトランタのスタジオで使い走りをしていた過去の悔しさ、そして苦労をかけた母親、叔父、亡き恩人(エヴリン・シャー)への深い感謝など、彼の根底にある人間臭さ(Sad Boy的な脆さ)が赤裸々に綴られている。初期Drakeのリリシズムとハングリー精神が最高潮に達したクラシックである。
和訳
[Verse 1]
I’m performing tonight you know that shit gone be packed
今夜は俺のライブだ、会場が超満員になるのは分かってるだろ
Pay me in advance and make sure that it’s exact
ギャラは前払いで頼む、金額がキッチリ合ってるか確認しろよ
My ex girl’ll probably show up for the simple fact
元カノもたぶん顔を出すだろうな、理由は単純さ
That tomorrow she can tell all of her friends it was whack
明日、友達全員に「あんなのダサかった(ワックだった)」って言いふらすためにな
※自分の成功を素直に喜べない元恋人の心理を突く、Drake特有の女々しくも鋭い観察眼。
But fuck that though, this about me
でもそんなこたぁどうでもいい、これは俺の話だ
They say my whole fan base is missing ID
世間は、俺のファンベースは全員「身分証(ID)がない(未成年)」だなんて言うが
※学園ドラマ『Degrassi』の俳優であったため、当時のファン層が10代の若者ばかりだった事実への言及。
But the young trendsetting musician I be
でも、俺はトレンドを創り出す若きミュージシャンさ
Got critics giving up the recognition I de-serve
批評家たちも、俺にふさわしい評価を与えざるを得なくなってる
Never bring your Mrs by me
お前の奥さん(Mrs.)を俺のそばに連れてくるなよ
I’m it I’m it call me Mr. IT
俺が「それ(本物)」だ、俺のことを「ミスター・IT」と呼べ
If I get one wish I'ma wish to die free
もし一つ願いが叶うなら、俺は「自由に死ぬ(ダイ・フリー)」ことを願うね
They say gon head, ball like Ms. Arie and I do
奴らは「やっちまえ、ミス・アリーみたいに豪遊(ボール)しろ」って言うから、俺はその通りにするぜ
※「die free(ダイ・フリー)」とR&Bシンガーの「India.Arie(インディア・アリー)」の音の響きを掛けた、ヒップホップIQの極めて高いワードプレイ。
The realest in my age group, no shit
同世代の中で一番リアルな存在さ、マジでな
SoHo, Cosmo, Balmain blow fish
ソーホー、コスモポリタン、バルマン、そしてブローフィッシュ
※高級エリア(NYのSoHo)、高級雑誌やカクテル、ハイブランドのBalmain、そしてトロント(及びNY)の高級寿司店Blowfishを羅列したセレブなライフスタイルの誇示。
Let's make a toast, tell your friends come closer
乾杯しようぜ、君の友達にもこっちに来るように言ってくれ
Drinks on me like a coaster
酒は俺の奢り(Drinks on me)だ、コースターみたいにな
※「On me(俺の奢り)」と、グラスの下に敷かれる「コースター」を掛けたダブルミーニング。
[Chorus]
We doing it big
俺たちはデカくやってるぜ
Look at what I done
俺が成し遂げたことを見てみろ
Look at where I’m is
俺が今いる場所を見てみろよ
It’s only just begun
まだ始まったばかりさ
'Cause I was staying home
だって俺はずっと家に引きこもってたからな
When they was having fun
他の奴らが遊び歩いてる時にな
So please don’t be surprised when they announce that I won
だから、奴らが「俺の勝利」を発表しても驚かないでくれ
And this is how my speech goes
そして、これが俺の(授賞式の)スピーチさ
I deserve this shit, I deserve this shit, I deserve this shit
「俺にはこれを受け取る資格がある。俺にはその資格があるんだ」
That’s all I got to say, at the top is where I stay
俺が言うべきことはそれだけだ、俺の居場所はこの頂点さ
And tell my haters never go away
そして俺のヘイターどもに伝えてくれ、絶対にどこにも行くなよってな
The Winner
勝者(ザ・ウィナー)より
[Verse 2]
Long awaited, hated
長く待たれ、そしてヘイトされた
Fans see me out and they holla happy belated
ファンは俺を街で見かけると、「遅れたけどおめでとう」って声をかけてくる
It’s about time that you made it
「お前が成功するのは時間の問題だったな」
I was bumping your songs when nobody else played it
「他の誰も聴いてない頃から、お前の曲をガンガン流してたぜ」ってな
When I was up in Hot Beats in Atlanta steady giving daps
俺がアトランタの『Hot Beats(スタジオ)』にいて、ひたすら挨拶(ダップス)を交わしてた頃
Fetching niggas drinks but I never got to rap
ラッパーどもに酒を買いに走らされて、ラップさせてもらえる機会なんて一度もなかった
※下積み時代、Trey Songzなどのセッションでアトランタのスタジオにいたものの、誰にもラッパーとして相手にされなかった悔しい過去の回想。
If anybody asked though I prolly woulda snapped
もし誰かが「ラップしてみろ」って言ってくれてたら、俺は確実にブチかましてたはずさ
But I can’t sign nothing 'til my lawyer get the facts and
でも、弁護士が事実確認をするまでは、俺は何のサインもしないぜ
No one decides who the definition of talent is
「才能」の定義が何なのかなんて、誰にも決められやしない
And Mrs. Murray look at what my talent did
ミセス・マレー、俺の才能が何をもたらしたか見てみろよ
※Drakeの母校(Forest Hill Collegiate Institute)の教師。彼がラップや演技に夢中で学業を疎かにしていることを批判していた人物への強烈な当てつけ。
And what your business is
そして、あんたの「ビジネス(お節介)」が何だったのかをな
It's been a couple years
あれから数年が経った
Guess it’s not about who you know
「誰を知っているか」じゃないんだな
It’s just how you balance it
どうバランスを取るかってことさ
It’s always awkward to dummy a nigga artist
他のニガのアーティストをコケにするのは、いつだって気まずいもんさ
And get on someone song when you know you coming the hardest
誰かの曲に客演で呼ばれたのに、自分が一番ヤバいバースを蹴っちまうって分かってる時はな
※客演で主役を食ってしまう(Renegadeする)という、圧倒的な自信の表明。
It's how you start actin' when nobody can reach you
誰も手が届かなくなった時、人はどう振る舞い始めるかだ
My plan just hatched, happy easter
俺の計画は孵化(ハッチ)したばかりさ、ハッピー・イースター
※イースター・エッグ(卵)と、計画が形になる「孵化する(ハッチ)」を掛けたワードプレイ。
[Chorus]
We doing it big
俺たちはデカくやってるぜ
Look at what I done
俺が成し遂げたことを見てみろ
Look at where I’m is
俺が今いる場所を見てみろよ
It’s only just begun
まだ始まったばかりさ
'Cause I was staying home
だって俺はずっと家に引きこもってたからな
When they was having fun
他の奴らが遊び歩いてる時にな
So please don’t be surprised when they announce that I won
だから、奴らが「俺の勝利」を発表しても驚かないでくれ
And this is how my speech goes
そして、これが俺の(授賞式の)スピーチさ
I deserve this shit, I deserve this shit, I deserve this shit
「俺にはこれを受け取る資格がある。俺にはその資格があるんだ」
That’s all I got to say, at the top is where I stay
俺が言うべきことはそれだけだ、俺の居場所はこの頂点さ
And tell my haters never go away
そして俺のヘイターどもに伝えてくれ、絶対にどこにも行くなよってな
The Winner
勝者(ザ・ウィナー)より
[Verse 3]
Uhh, ok I do it for the love
あぁ、オーケー、俺は愛のためにやってる
Bunk bed flow, always one level above
二段ベッド(バンクベッド)のフロウさ、いつだって「一段上」にいる
※二段ベッドの上段と、他のラッパーより常にレベルが上であることを掛けたジョーク。
If I’m in your starting five you will never need a sub
俺がお前のスターティング・ファイブ(スタメン)にいるなら、控え選手(サブ)なんて一生必要ないぜ
And I’m neva looking down so I always know wassup
俺は決して下を向かない、だからいつも何が起きてるか(上/ワサップ)把握してるのさ
A lot of people sayin' fuck me
多くの奴らが「俺なんかクソくらえだ」って言ってる
Problem is they be telling everybody but me
問題は、奴らが俺以外の全員にそれを言いふらしてるってことだ
But I always got a Starbucks verse
でも俺にはいつも「スターバックス」のバースがある
Being brewed too hot please please double cup me
熱く淹れられすぎ(ブリュー)ちまったから、頼むから「ダブルカップ」にしてくれ
※熱いコーヒーを入れるスターバックスの二重カップ(スリーブ)と、US南部のドラッグカルチャーである「リーン」を飲むための「ダブルカップ」を掛けた天才的な言葉遊び。
They never gave me support like Chuck Ts
奴らは俺に全くサポートをくれなかった、チャック・テイラー(コンバース)みたいにな
※コンバースの定番スニーカー「Chuck Taylor」は底が平らで土踏まずの「サポート(アーチサポート)」がないことと、シーンからの「サポート(支援)」がないことを掛けている。
Nick cannon and will never did it this ill
ニック・キャノンやウィル(・スミス)でさえ、ここまでヤバい(イルな)ことはできなかったぜ
※テレビ俳優・コメディアンからラッパーへと転身した先人二人を引き合いに出し、自分の方が圧倒的にラッパーとして優れているという宣言。
So you tell the house band don’t you dare interrupt me
だから(授賞式の)ハウスバンドに伝えてくれ、俺のスピーチを演奏で遮るなよってな
Thanks to my mother for never giving up
決して諦めなかった母さんに感謝する
You deserve the world, now gon' live it up
母さんは世界を手にする資格がある、これからは最高の人生を楽しんでくれ
Thanks to Uncle Steve, my hero who always saved us
スティーブ叔父さん、いつも俺たちを救ってくれたヒーローに感謝する
I could never give back everything you gave us
叔父さんが俺たちに与えてくれたすべてを、返し切ることなんて到底できないよ
※経済的に苦しかった時期にDrakeと母親を金銭面で支え、車を与えてくれた叔父スティーブへのシャウトアウト。
[Bridge]
And to my dad even though we was apart
そして親父へ、俺たちは離れ離れだったけど
I couldn’t leave you out, you forever in my heart
親父を省くことなんてできない、あんたは永遠に俺の心の中にいるよ
※幼少期に両親が離婚しメンフィスに住んでいた父親(Dennis Graham)への複雑な愛情表現。
Yeah, and in the name of Evelyn Sher
あぁ、そしてエヴリン・シャーの名において
I’ll forever forgive anybody that never was there
俺が苦しかった時にそばにいなかった奴らのことを、永遠に許すことにするよ
For me, no other woman could ever compare
俺にとって、彼女に比肩する女性なんて他にはいない
My angel, I hope heaven’s prepared for whenever you there
俺の天使よ、あなたがいつそこへ行ってもいいように、天国がちゃんと準備されてることを祈ってる
※Drakeの母親の親友であり、金銭的に苦労していた彼らに家を提供するなど、Drakeにとっての「代理の祖母/天使」であった故・Evelyn Sherへの感動的な追悼。
[Verse 4]
I got a revolutionary flow in every scenario coming through your stereo
俺はどんなシナリオでも革命的なフロウを持って、お前のステレオから流れてくる
Got a new chick, booty round like the merry go
新しい女をゲットした、メリーゴーランドみたいに丸いケツをしてるぜ
Bitches like where he at, they be like there he go
ビッチたちは「彼はどこ?」って探して、そして「あそこよ!」って騒ぐんだ
And this verse deserve a burial
そしてこのバースには「埋葬」がふさわしい(それくらいヤバい)
Don’t cry for me this ain’t motherfucking Mario
俺のために泣かないでくれ、これはクソみたいなマリオ(の曲)じゃないんだからな
※R&BシンガーMarioの2007年のヒット曲「Crying Out For Me」への言及。俺はそんなメソメソした男じゃないという強がり。
Yeah and Polo isn’t at my session
あぁ、ポロが俺のセッションにいなくたって構わない
※当時数々のヒット曲を生み出していた大物プロデューサー「Polo da Don」のネームドロップ。大物がいなくても自力でヒットを生み出せるという自信の表れ。
Mr. Anticipation keeping everybody guessing like
「ミスター・アンティシペーション(期待の男)」が、全員をこうやって推測させ続けるのさ
[Chorus]
We doing it big
俺たちはデカくやってるぜ
Look at what I done
俺が成し遂げたことを見てみろ
Look at where I’m is
俺が今いる場所を見てみろよ
It’s only just begun
まだ始まったばかりさ
'Cause I was staying home
だって俺はずっと家に引きこもってたからな
When they was having fun
他の奴らが遊び歩いてる時にな
So please don’t be surprised when they announce that I won
だから、奴らが「俺の勝利」を発表しても驚かないでくれ
And this is how my speech goes
そして、これが俺の(授賞式の)スピーチさ
I deserve this shit, I deserve this shit, I deserve this shit
「俺にはこれを受け取る資格がある。俺にはその資格があるんだ」
That’s all I got to say, at the top is where I stay
俺が言うべきことはそれだけだ、俺の居場所はこの頂点さ
And tell my haters never go away
そして俺のヘイターどもに伝えてくれ、絶対にどこにも行くなよってな
The Winner
勝者(ザ・ウィナー)より
