Artist: Drake
Album: Comeback Season
Song Title: Going in for Life
概要
本楽曲は、2007年にリリースされたDrakeの第2弾ミックステープ『Comeback Season』に収録された、キャリア初期の圧倒的なハングリー精神を象徴する一曲である。タイトル「Going in for Life(終身刑に服す/人生を懸けて挑む)」が示す通り、マイクに向かうたびに明日がない覚悟でラップをしているという彼の真摯な姿勢がテーマとなっている。リリックには、不正な資金洗浄やユダヤ系弁護士の雇用など、後の「Mob Boss(マフィアの首領)」的ペルソナに通じるマフィア映画さながらの描写が散りばめられている。また、Jay-Zとスコッティ・ピッペンの比喩を用いて「今は脇役でも、必ずトップの座を奪い取る」と宣言する野心的なラインは、TVドラマの俳優からヒップホップ界の頂点へと登り詰める直前の、ギラギラとした初期Drakeのエネルギーを完璧に真空パックした名バースである。
和訳
[Verse]
I don't think they really ready for my wardrobe
奴らは俺のワードローブ(衣装)を目の当たりにする準備ができてないだろうな
I show up right before the store close
閉店間際の店に現れて
And blow the fee from my last four shows
過去4回のショーのギャラを全部吹き飛ばすんだ
I do one song and use four flows
俺は1曲の中で4つのフロウを使い分ける
She used to be a Christian before
昔は熱心なクリスチャンだった彼女も
Now, all she wanna do is shop for Christian Dior clothes
今じゃクリスチャン・ディオールの服を買うことしか頭にない
※宗教の「Christian」と高級ブランド「Christian Dior」を掛けた、Drake得意のワードプレイ。物質主義に染まる女性への皮肉である。
Like, "Baby, those are cute, I adore those"
「ベイビー、それ可愛いわね、すごく好き」なんて言いながらな
Me and the salesman build a rapport so
俺と店員はいい関係(ラポール)を築いてるから
He understand the fact that I'm spending offshore dough
俺がオフショア(海外口座)の金を使ってるって事実を理解してくれてるんだ
Cash-only transactions, homie
現金のみの取引だぜ、ホーミー
And please, no receipts—the feds like to explore those
レシートは要らないぜ、サツ(連邦捜査局)はああいうのを調べたがるからな
※マフィアのボス(Mob Boss)のように不正な資金洗浄や脱税を仄めかす、ハードコアなペルソナの演出。
They can't audit if they dont know I bought it
俺が買ったって知らなきゃ、奴らも監査(オーディット)のしようがない
Been doing it for years, homie; thoroughly, I thought it...
何年もやってることさ、ホーミー。徹底的に考え抜いたんだ...
Through, what it do? I am currently recording on a track
調子はどうだい? 俺は今、トラックのレコーディング中さ
Admitting most of my currency’s imported
俺の資産の大半が海外から持ち込まれた(輸入された)ものだって認めるよ
But too late now, it's too legitimate to hit 'em with...
でももう遅いな、合法化されすぎちまってるから、奴らにブチ当てることはできないぜ...
A lawsuit, even if those are acts that I did commit
訴訟をな、たとえそれが俺が実際にやったことだとしても
Repeat offender, Anita Baker playing in the whip
再犯者さ。車(ウィップ)の中ではアニタ・ベイカーが流れてる
As they pull me over, "my sweet surrender"
警察に車を止められながら、「My Sweet Surrender(甘い降伏)」ってな
※R&BレジェンドAnita Bakerの大ヒット曲「Sweet Love」の歌詞"Sweet surrender"の引用。警察に捕まる状況とロマンチックな楽曲を掛けている。
I got a Jewish lawyer as my lead defender
俺の主任弁護人はユダヤ系の弁護士だ
A Menschkeit, as they say; he’s a legal bender
奴らが言うところの「メンシュカイト(立派な人物)」さ。法を捻じ曲げる天才だ
※「Menschkeit」はイディッシュ語で「高潔な人、人間性」を意味する。Drake自身のユダヤ系のルーツを反映させた、ストリートとインテリジェンスの交差点。
And ATF is present, every regal member
そしてATFのメンバーも勢揃いしてる、全員が王族(リーガル)みたいにな
※「ATF」はOVOの前身となるトロントのクルー「All Things Fresh」。
The coalition is so efficient
この連合(コアリション)は極めて有能だ
You have to be invited, or there's no admission
招待されなきゃ、入場は許されない
We know tradition, we spend money
俺たちは伝統を重んじる、そして大金を使う
So don't try to compete if you in no position
だからその立場にいないなら、俺たちと張り合おうとするな
I wish you would listen
お前が耳を傾けてくれればいいんだが
I take you back to this trial
この裁判(試練)の話に戻そう
Where I am about to be home again like New Edition
ニュー・エディションみたいに、俺はもうすぐ家に帰る(Home Again)ところさ
※R&BグループNew Editionの1996年のアルバム『Home Again』と、無罪放免になって家に帰る状況を掛けたワードプレイ。
My foot is just solely fit for this shoe it fits in
俺の足は、この靴にしかピッタリ収まらないんだ
Used to record in the basement that Renny grew his piff in
昔は、Rennyが極上のハッパ(piff)を育ててた地下室でレコーディングしてたな
When Pops turned over keys like a new ignition
親父が新しいイグニッションみたいに鍵を回してくれた時に
※車のキーと、コカインのキロ買い(keys)のダブルミーニング。
If Hov is Jordan, I guess I'm cool with Pippen
もしHov(Jay-Z)がマイケル・ジョーダンなら、俺はスコッティ・ピッペンで満足さ
'Til I mention that I wanna play a new position
「新しいポジションでプレイしたい」って俺が言い出すまではな
No team-playing, no screen-setting
チームプレイもいらない、スクリーン(味方の壁になるプレイ)もセットしない
"Because I wanna win games, Coach, I'm through assisting"
「だって俺は試合に勝ちたいんだ、コーチ。アシストはもう終わりだ」
※Jay-Zをジョーダンに例え、自分は彼を支えるピッペン的立ち位置(No.2)だと言いつつ、最終的にはNo.1の座を奪いに行くという極めて野心的なスポーツ・リファレンス。
The takeover, the break's over, nigga
乗っ取り(テイクオーバー)の始まりだ、休憩(ブレイク)は終わりだぜ、ニガ
※Jay-Zの有名なディストラック「Takeover」の冒頭ラインへの強烈なオマージュ。
And I'ma keep killing 'em until the day that Drake's over
そしてDrakeが終わるその日まで、俺は奴らを殺し(圧倒し)続ける
The wait's over, the tape's coming
待たせたな、ミックステープが来るぜ
They bullshitting, but I am equipped with great plumbing
奴らはクソみたいなこと(bullshitting)ばかり言ってるが、俺には最高の配管(プラミング)が備わってるからな
※Bullshit(クソ)とそれを流すためのPlumbing(配管・フロウの良さ)を掛けたシニカルなジョーク。
The human mentality, so eager to hate something
人間の心理ってやつは、何かを憎むことに必死になりすぎる
And try to play it off like it ain't jumping
そして、俺が盛り上がってない(バズってない)フリをしようとする
And it's the predicament that you found Drake in
それが、お前らが見つけたDrakeの苦境(プレディカメント)さ
The condo that I just purchased sound vacant
買ったばかりのコンドミニアムは、まだ空っぽの音がする
'Cause I have just been sittin' in this cell
だって俺は、ずっとこの独房(セル/小さな部屋)に座ったままだからな
Thinking what I could've done to make my first video groundbreaking
最初のミュージックビデオを画期的なものにするために、何ができたかを考えながら
And whenever I'm flowing on the mic
そして、俺がマイクでフロウする時はいつでも
Aside from talking 'bout the D I'm throwing in your wife
お前の妻にD(ディック/ドレイク)をブチ込んでる話は別としてな
I treat this one session as if it were my last
俺はこの1回のセッションを、まるで人生最後のものであるかのように扱う
And I pretend tomorrow is the day I'm going in for life, like that!
そして、明日が俺の「終身刑(Going in for life)」の日であるかのように振る舞うんだ、こんな風にな!
※曲のタイトルを完璧に回収。刑務所に一生入る(going in for life)覚悟で、ブースに入って全力でラップしている(going in)という熱い決意表明。
