Artist: Drake (feat. Nickelus F)
Album: Room for Improvement
Song Title: A Scorpio’s Mind
概要
本楽曲は、2006年にリリースされたデビュー・ミックステープ『Room For Improvement』に収録された、バージニア州のラッパーNickelus Fとのコラボ曲である。タイトル「A Scorpio’s Mind(蠍座の思考)」が示す通り、10月24日生まれのDrake(および共演のNickelus F)が持つ「執念深さ」「野心」「裏切りへの警戒心」という蠍座特有の性質がテーマとなっている。特にDrakeのヴァースは、当時のトロントのヒップホップシーンを牽引していたKardinal Offishall(カーディナル・オフィシャル)とその愛弟子Julienに対する強烈なサブリミナル・ディスとして知られている。自分をフックアップしない先輩ラッパーへの苛立ちと、実力でトロント(6ix)の王座を奪い取るという若き日の「Mob Boss(ボス)」的な傲慢さが、卓越したワードプレイとともに叩きつけられた初期の重要曲である。
和訳
[Intro: Nickelus F]
Niggas in the city hating me man they tripping
街の奴らは俺をヘイトしてる、マジで狂ってやがる
When I'm the only one that's really spitting
本当にラップ(スピット)してるのは俺だけなのにな
My nigga Lil Lee the only one that's really gripping
俺のダチのLil Leeだけが、本気で銃(グリップ)を握ってる
Why you dap me up acting like like we cool if you don't feel him nigga?
あいつを認めてないくせに、なんで俺にダップ(挨拶)して仲良いフリするんだよ?
Uh, I'm bringing back hip hop
あぁ、俺がヒップホップを取り戻す
Me and my nigga Drake
俺とダチのDrakeでな
VA, Toronto, Hip-Hop
バージニア、トロント、ヒップホップさ
[Verse 1: Nickelus F]
Aiight let me take my jacket off
よし、ジャケットを脱がせろ
Unlace the Timbs, here again comes the jabberjaw
ティンバーランドの紐を解いて、またおしゃべり野郎の登場だ
This time I'm blabbing on
今回は文句を言わせてもらうぜ
These rappers that feel a certain way but they give me dap and all
俺に気に食わない感情を抱いてるくせに、挨拶してくるようなラッパーたちにな
Mad cuz the freestyle iller than they whole catalog
俺のフリースタイルが奴らの全カタログよりヤバいからってキレてるんだろ
I got the gift like Santa Claus
サンタクロースみたいに才能(ギフト)を持ってるからな
Flow got spring like a catapult
カタパルトみたいに弾力(スプリング)のあるフロウ
Matter fact the flow Supreme like Diana Ross
実際のところ、ダイアナ・ロスみたいに最高の(シュープリーム)フロウさ
※Diana Rossが在籍した伝説的グループ「The Supremes」と最高(Supreme)を掛けたワードプレイ。
I'm at the do' like a deer with the antlers off
角(アントラー)の取れた鹿(雌鹿=Doe)のようにドア(Do')にいるぜ
※「Do'(Door)」と「Doe(雌鹿)」の同音異義語。角がない鹿=Doeという巧みな言葉遊び。
Niggas acting like Scummy was they nigga
奴らはScummyが自分のダチだったみたいに振る舞うが
Wouldn't even give my man a 12 bar feature
あいつに12小節の客演すらさせなかったくせにな
※亡くなったNickelus Fの親友「Scummy」への言及。生前はフックアップしなかったくせに、死後に親友面をする同業者への強烈なディス。
I know who you are cause he wanted me to eat ya
お前が誰か分かってるぜ、あいつは俺にお前を喰っちまえって言ってたからな
I said nah lets keep it peaceful
でも俺は「いや、平和にいこうぜ」って言ったんだ
My nigga was a true weed source
俺のダチは本物のハッパの供給源だった
He gave it to us for a cheap cost, at prices we all could eat off
俺たち全員が食っていけるくらいの安い値段で卸してくれた
A real street dog
本物のストリート・ドッグさ
The type of nigga that y'all niggas be studying learning how to get street off
お前らがストリートのやり方を学ぶために研究するような男だった
We have an impostor, alert the doctor
偽物がいるぞ、医者を呼べ
Bout to hit him up with the chopper like Blaka
ブラカッ!ってチョッパー(連射銃)で撃ち抜くところだ
Shock em like Blanka from Street Fighter, heat got a
『ストリートファイター』のブランカみたいに感電させる。俺の銃(ヒート)には
Hurricane kick, murder everything quick
ハリケーン・キック(竜巻旋風脚)がついてて、すべてを瞬殺するんだ
※カプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』のキャラクター、ブランカ(電撃)とリュウ/ケンの必殺技を引用したパンチライン。
Look, my new Ryu nine is stupendous
見ろよ、俺の新しいリュウ(9ミリ拳銃)はとてつもないぜ
※銃器メーカーの「Ruger(ルガー) 9mm」と『ストリートファイター』の「Ryu(リュウ)」を掛けている。
Why do guys choose my crew to pick wit
なんで奴らは俺のクルーに喧嘩を売りたがるんだろうな
My crew lie you guys into ditches
俺のクルーはお前らを溝に横たわらせるぜ
I said it and meant it the Scorpio's Mind has many dimensions
言った通りさ、本気だぜ。蠍座の思考にはいくつもの次元があるんだ
I'll say it in intent, sentence, indent, on instant pimpin
意図、文章、インデント(字下げ)で言ってやる、即座にピンプするぜ
Hope your listenin' to my diction
俺の言葉遣い(ディクション)を聴いててくれよ
If you are then you now should be itchin'
もし聴いてるなら、今頃うずうずしてる(痒がってる)はずだ
That it's crack we placed in your stereo system
俺たちがカーステレオに仕込んだのはクラック(麻薬)だからな
Yeah, I be at your burial trippin'
あぁ、お前の葬式でハイになって(トリップして)やるよ
Nickelus F from Richmond, VA
バージニア州リッチモンドから来たNickelus F
The Scorpio's Mind is not a game to play wit all day
蠍座の思考は、一日中遊んでられるようなゲームじゃないぜ
[Verse 2: Drake]
I've been hated by many, wanted by plenty
俺は多くの奴らに憎まれ、多くの奴らに求められてきた
Disliked by some, but confronted by none
一部の奴らには嫌われてるが、真正面から立ち向かってきた奴は一人もいない
※Drakeのキャリアを通じた人間関係のテーマ。裏で陰口を叩くが正面からは来ない同業者への皮肉。
Since they don't show me sincerity, I load up, lock up
奴らが俺に誠意を見せないから、俺は銃弾を装填して、ロックする
Take shots at em I guess you could call it a parody
奴らに向けて発砲(ディス)する、お前らはこれをパロディと呼ぶかもしれないがな
And compared to D
そしてこのD(Drake)と比べりゃ
They one-fourth from watermelon to a quarter felon, dude you a pear to me
奴らはスイカの4分の1から、4分の1の悪党にすぎない。お前なんて俺から見れば「洋梨」さ
※非常に難解なワードプレイ。「watermelon(黒人へのステレオタイプな果物)」の4分の1(quarter)と、「felon(重罪犯)」を掛け、相手のギャングスタぶる姿勢が中途半端であることを指摘している。さらに「pear(洋梨=柔らかい、ペア=同等)」を用いて相手を小馬鹿にしている。
If that's not how it is it's how it appear to be
もしそれが事実じゃないとしても、そう見えてるってことさ
You got blind heaters, in my sweats is a mind reader
お前らは盲目的に銃(ヒーター)を持ってるが、俺のスウェットの中にあるのは「心を読む銃(マインドリーダー)」だ
And when the psychic get to touching my palm
霊媒師が俺の手のひらに触れた時
Seein' your physical, the things that you never say to me visible
お前の本質が見えるんだ、お前が絶対に口にしないような事まで見透かせる
Especially when one of your artists feeling threatened
特に、お前のとこのアーティストの一人が脅威を感じてる時とかな
Cause I'm harnessing a weapon, won't you pardon my reflection
俺が武器(才能)をコントロールしてるからだろ、俺の鏡写しの姿を許してくれないか
Mirror, mirror tell me why they wanna get and scrimmage
鏡よ鏡、教えてくれ。なんで奴らは小競り合い(スクリメージ)をしたがるんだ?
And play around, to perfection I'm the spitting image
ふざけ回ってるが、俺は完璧さの「生き写し(spitting image)」なのさ
My verbal camp is vivid, I told you I'm spitting image
俺の言葉のキャンプは鮮明だ。言っただろ、俺は完璧の生き写し(ラップをスピットする像)だってな
It seems we often want to start but never get to finish
俺たちはよく事を始めようとするが、最後まで終わらせることはないみたいだな
My verbal campus is Villanova, and those of you feelin Hova
俺の言葉のキャンパスはビラノバ大学さ。そしてHova(Jay-Z)の気分になってるお前らへ
※VillanovaはNCAAの名門校。自分のリリシズムが大学レベルに高度であることを示し、Jay-Z(Hova)を気取っているフェイクなラッパーを牽制している。
And writing college rhymes, look the thrill is over
大学生レベルのライムを書いてる奴らよ、見ろ、スリルはもう終わりだ
Let me assist you like a specialist
スペシャリストみたいに俺がアシストしてやるよ
So you can pull it back and try catch the metaphors and the rest of this
だから曲を巻き戻して、このメタファーと残りの部分を理解しようとしてみな
It's not a problem wit X, I guess I'm a pessimist
Xとの間に問題があるわけじゃない、俺が悲観主義者(ペシミスト)なだけだろうな
Which means if shit goes bad I say, "I expected this"
つまり、もし状況が悪くなっても俺は「こうなると思ってたぜ」って言うってことさ
※蠍座特有の猜疑心。他人に期待せず、裏切りを常に予測している(Sad Boy的要素)。
And me and Julien we never got the chance to communicate
そして俺とJulien(ジュリアン)、俺たちはコミュニケーションを取る機会が全くなかったな
※当時のトロントのボスであったKardinal Offishallのクルーにいたアーティスト「Julien」への直接的なネームドロップ。地元の先輩アーティストが若きDrakeをフックアップしなかった事への確執の暴露である。
Instead of understanding its a tune of hate
理解し合う代わりに、これは憎しみの曲になっちまった
The city's mine like Oklahoma's a Sooner state
オクラホマが「スーナー・ステート(早すぎる者たちの州)」と呼ばれるように、この街(トロント)は俺のものだ
※オクラホマ州の愛称(The Sooner State)と、カレッジスポーツチーム(Oklahoma Sooners)を掛けたワードプレイ。誰よりも早くトロントの王座を奪うという野心的な宣言。
And we're gonna have to cross paths whether soon or late
遅かれ早かれ、俺たちの道は交わることになるんだ
So, why don't you walk up in the spot using less strut
だから、そんなに肩で風を切って歩くのはやめたらどうだ?
You ain't Morris Chestnut, you lighter and less cut
お前はモリス・チェスナットじゃない、もっと肌が明るくて筋肉もない(ひ弱な)奴だろ
※俳優Morris Chestnut(逞しい黒人俳優)を引き合いに出し、相手(Julien等)がタフガイぶっているが実際はひ弱だとディスっている。
And lets be honest, by now you should be your own scholar
正直になろうぜ、今頃お前は自分で自分の学者(自立したアーティスト)になってるべきだ
You still a protegé, that's the reason I don't holler
お前はまだ誰かの「弟子(プロテジェ)」のままだ、だから俺はお前に声をかけないのさ
You got rappers being repetitive actors
お前らの周りには、同じことを繰り返す役者みたいなラッパーばかりだ
You stay ahead of the game, I'm ahead of the practice boy
お前らはゲームの一歩先を行ってるつもりだろうが、俺は練習(プラクティス)の段階でとうにその先を行ってるんだよ、ボーイ
