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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

CORSO - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator

Album: CALL ME IF YOU GET LOST

Song Title: CORSO

概要

本作は、タイラー・ザ・クリエイターのアルバム『CALL ME IF YOU GET LOST』の2曲目を飾る、DJ Dramaの強烈な煽りが印象的なバンガーだ。前半では新たな別人格「タイラー・ボードレール」として、複数台のロールスロイスや世界中を飛び回るパスポート、自身の香水ブランドなど、圧倒的な富と成功を見せつける。しかし後半のヴァースでは一転して、親友の恋人を奪おうとした泥沼の三角関係と、それに敗れたことによる「失恋」の痛みを赤裸々に告白する。「海で泣くために新しいボートを買った」というパンチラインに象徴されるように、莫大な富(フレックス)が実は心の空洞を埋めるための防衛規制に過ぎなかったことを暴露する、非常に人間臭くトラジコメディ的なヒップホップの傑作である。

和訳

[Intro: DJ Drama & Tyler, The Creator]
You see (Uh)
見ろよ(アー)

On this here stage tonight is something legendary (Yo)
今夜、このステージで伝説が起きるぜ(ヨォ)

He goes by the name of The Creator (Crazy, ayo)
奴の名は「ザ・クリエイター」だ(ヤバいな、エイヨォ)

But you, you call him Tyler Baudelaire (Look)
だがお前らは、奴を「タイラー・ボードレール」と呼ぶんだな(見な)
※タイラーの新たなオルターエゴ(別人格)である「Tyler Baudelaire」をDJ Dramaが大々的に紹介するイントロダクション。

 

[Verse 1: Tyler, The Creator & DJ Drama]
I be talkin' that fresh shit, I don't need gum (Nah)
俺はフレッシュな話(ラップ)をしてるから、ガムなんて必要ねえ(全くだ)
※fresh=「かっこいい・新しい」という意味と、「(息が)爽やか」という意味のダブルミーニング。

Cookie crumbs in the Rolls, never no weed crumbs (No)
ロールスロイスの中にはクッキーのカス。ウィード(マリファナ)のカスは絶対に落とさねえ(ありえねえな)
※タイラーは酒やドラッグをやらないストレート・エッジとして知られており、大のスイーツ好き(特にクッキーやケーキ)であることをフレックスしている。

He ain't talk to his bitch in three days
あの男は、自分の女と3日も口をきいてねえんだとさ

It ain't gotta be this way, I'm down for the threesome (Woo)
こんな風になる必要はねえよな。3Pなら俺も乗るぜ(ウー)
※アルバム全体のメインテーマである「泥沼の三角関係(友人の恋人に手を出したこと)」の伏線となるライン。

I might buy a boat (Nigga, yeah)
ボートでも買おうかな(イェー)

Depends if Capri got space, don't really need one
カプリ島に停めるスペースがあるかによるな、まあ本当は必要ねえけど
※Capri=イタリアの高級リゾート地、カプリ島。世界中を旅する富裕層のライフスタイルを誇示している。

I can go in the wintertime, baby, I bleed sun
冬にだって行けるぜ、ベイビー。俺の血は太陽でできてるからな
※bleed sun=「太陽の血を流す」。常に明るい場所(成功)にいることや、日差しの強い気候を好む性質を表す。

Find another nigga like me 'cause I ain't seen one (Tell 'em, no)
俺みたいな奴が他にいたら見つけてみろよ、俺は見たことねえからな(言ってやれ、いねえよ)

Pull up in that, uh, whatchamacallit? (Nyoom)
あの…何て言うんだっけ? あの車で乗りつけるぜ(ニューン)
※whatchamacallit=「ええと、あれ何だっけ」という口語表現。自分が持っている高級車の名前すら忘れるほどの富を余裕たっぷりにアピールしている。

Played a couple demos at Madison Square Garden
マディソン・スクエア・ガーデンで、デモ曲をいくつか流してやったよ
※音楽業界の頂点であるニューヨークの巨大アリーナ(MSG)を、ただの試聴会のように軽々と使ったという事実。

And tell them motherfuckers at Sony I'm not callin'
ソニーのクソ野郎どもに伝えておけ、「俺からは電話しねえ」ってな
※タイラーの作品はSony Music傘下のColumbia Recordsから配給されているが、メジャーレーベルに対しても自分が主導権を握っているという強気の態度。

I'm plottin' on a billi', chilly in my garden, yuh
庭でくつろぎながら、ビリオネア(10億ドル)への計画を練ってるのさ、ヤァ

 

[Break: DJ Drama]
Alright
オーライ

I admit it
認めるぜ

We just been playin' with you niggas, man
俺たちはお前らと遊んでやってただけだ

T, I think you need to load that second clip
T、2つ目の弾倉(クリップ)を装填する時間だぜ
※DJ Dramaのミックステープ特有の煽り。2番のヴァース(追撃)への導入。

 

[Verse 2: Tyler, The Creator & DJ Drama]
B-Hop, uh, French Waltz, uh
B-Hop、アー。フレンチ・ワルツ、アー。
※B-Hop=タイラーの愛好するBMXの技(Bunnyhop)や愛称。French Waltz=タイラーが手掛ける香水ブランドの名称。

She say she like the Royce and I'm like "Which one?"
彼女が「ロールスロイスが好き」って言うから、俺は「どっちの?」って返すんだ

I got two, hun, look (Let's go)
俺は2台持ってるからな、ハニー、見なよ(行くぞ)

Catch me in my other-other-other-other crib, that's my AKA
俺の別の、別の、別の、別の家まで会いに来な。それが俺の別名(AKA)だ

Hurricane-proof all the views, shit like "A Bay Bay" (Damn)
景色はすべてハリケーン対策バッチリだ、「A Bay Bay」みたいにな(クソッ)
※A Bay Bay=ラッパーのHurricane Chrisの2007年の大ヒット曲名。ハリケーン(台風)に耐えうる頑丈な豪邸と掛けている。

The fuzzy hat, ascot, passport got tattoos
モフモフの帽子にアスコットタイ、パスポートにはタトゥー(スタンプ)がびっしりだ
※『CMIYGL』期におけるタイラーの象徴的なファッション(ウシャンカ帽とタイ)と、世界中を旅している証拠である入国スタンプを描写している。

Slim nigga, big dick, with a fuckin' gap tooth
細身の黒人、デカいイチモツ、それにすきっ歯の野郎さ

The way he beam (Bunny)
あいつの笑顔の眩しさといったら(バニー)

Call me Mr. Always On Some Shit You Never Seen (Hop)
俺のことを「お前らが見たこともないようなことをいつもやってる男」と呼んでくれ(ホップ)

In that mansion, livin' single, bitch, I'm Maxine
あの大豪邸で独身貴族(リヴィン・シングル)を謳歌してる。ビッチ、俺はマキシーンさ
※90年代のアメリカのシットコム『Living Single』の登場人物である強気な女性弁護士、Maxine Shaw(マキシーン・ショー)の引用。

"Niggas of your standard shouldn't talk"
「お前らのレベルの奴らは口を挟むべきじゃない」

Give a fuck about your thoughts, call me if you get lost, bitch
お前らの考えなんて知ったこっちゃねえ。迷子になったら電話してきな、ビッチ

 

[Break: DJ Drama]
Okay, now you understand what we came here to do, right?
オーケー、これで俺たちが何をしにここへ来たか分かっただろ?

Oh yeah, me, I go by the name of DJ Drama
ああ、俺の名はDJ Dramaだ

And on my side, that's Tyler Baudelaire
そして俺の隣にいるのが、タイラー・ボードレール

AKA Bunnyhop
またの名を、バニーホップ

AKA The Creator
またの名を、ザ・クリエイター

Call me if you get lost, suckers (Hahaha)
迷子になったら電話してきな、マヌケども(ハハハ)

We didn't come to play wit' you niggas
お前らと遊びに来たわけじゃねえんだよ

 

[Verse 3: Tyler, The Creator & DJ Drama]
Look, tried to take somebody bitch 'cause I'm a bad person
なあ、誰かの女を奪おうとしたよ。俺は嫌な奴だからな
※ここでトーンが急変する。前半の莫大な富のフレックスから一転して、友人の恋人を奪おうとした自身の身勝手さと道徳的な罪悪感を告白する。

I don't regret shit because that **** worth it
後悔はしてねえ、だってあの女(の体)にはそれだけの価値があったからな
※****=検閲音で消されているが文脈的には「pussy(マンコ)」。泥沼の三角関係を赤裸々に描写している。

In the end, she picked him, I hope when they fuckin'
結局、彼女はあいつを選んだ。あいつらがヤってる時に、

She still thinkin' of me 'cause I'm that perfect
彼女がまだ俺のことを考えてくれてたらいいのに。俺は最高な男だからな
※強烈なエゴと、振られたことへの未練が入り混じった本音。

I'ma get that deep text when this verse surface
このヴァースが世に出たら、重たい長文テキストが送られてくるだろうな

Better send it to my ego 'cause that shit hurtin'
俺のエゴ宛てに送ってくれよ、心が痛んでるからな

Hope y'all shit workin' (True story), I'm a psycho, huh?
お前らが上手くいくことを願ってるよ(実話だぜ)。俺はサイコパスか?

Don't give a fuck, you left my heart twerkin'
知ったこっちゃねえ、君は俺の心をトゥワーク(激しく揺さぶる)させたまま去っていったんだ
※twerk=お尻を激しく振るダンスのこと。ここでは心臓がバクバクと激しく脈打ち、傷ついている状態をユーモラスかつ悲痛に表現している。

Movin', losin', grip on my doings (Yeah)
動き続け、失い続け、自分の行いのコントロールも効かなくなっていく(イェー)

Eyes is cryin' on the jet cruisin' (Phew-phew-phew)
プライベートジェットで空を飛びながら、俺の目は泣いてるんだ(ピューピューピュー)

'Bout to spend millions just to fill voids up
心に空いた穴(空虚感)を埋めるためだけに、何百万ドルも使おうとしてる
※前半で自慢していた富や贅沢な生活が、実はすべて失恋の痛みを紛らわせるための「防衛規制」であったことを自白する決定的なライン。

Drama, I need you (Yessir), can you turn the noise up?
Drama、お前が必要だ(イエッサー)、ノイズの音量を上げてくれないか?

Can you turn the noise up? Can you turn the noise up? (Go, go, go, go)
ノイズを上げてくれ、ノイズをもっと大きくしてくれ(行け、行け)
※悲しみや心の声(ノイズ)をかき消すために、DJ Dramaの賑やかな煽り声(あるいは音楽のボリューム)を求めている。

Turn the fuckin' noise up, ah, nigga, my heart broken
クソったれなノイズを上げてくれよ、ああクソ、俺は失恋したんだ

Remembered I was rich, so I bought me some new emotions
自分が金持ちだったことを思い出して、新しい「感情」を自分に買ってやった

And a new boat 'cause I'd rather cry in the ocean
それと新しいボートもな。だって、海の上で泣く方がマシだからさ
※「金で愛は買えないが、泣くためのヨットは買える」という、究極に悲しくも豪華なフレックス(自慢)。前半の「ボートでも買おうかな」という強がりが見事に回収されている。

It's T, baby, uh
俺だよ、Tだぜ、ベイビー、アー

 

[Outro: Tyler, The Creator & DJ Drama]
Hahahaha, I tried to tell y'all
ハハハハ、お前らには言おうとしたんだけどな

I don't even like using the word "bitch"
俺は本当は「ビッチ」なんて言葉を使うのも好きじゃねえんだよ

It just sounded cool
ただ、クールに聞こえるから言ってみただけさ
※ヒップホップ特有の「有害な男らしさ」やミソジニー的な表現に対する自己言及。強がってワルぶっていた自分を最後に笑い飛ばし、素のタイラーに戻って曲が幕を閉じる。

 

CALL ME IF YOU GET LOST

CALL ME IF YOU GET LOST

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