Artist: Kanye West
Album: ye
Song Title: No Mistakes
概要
2018年発表のアルバム『ye』に収録された「No Mistakes」は、ソウルフルなサンプリングとチャーリー・ウィルソン、キッド・カディによる温かいコーラスが光る、自己肯定感に満ちた前向きな一曲だ。スリック・リックの名曲「Hey Young World」のフレーズ「信じようと信じまいと、神はまだ君を照らしている」を効果的にサンプリングし、苦難の中にある自身とリスナーを鼓舞している。
カニエは巨額の借金や世間からの猛烈なバッシングによって傷ついた名誉(名前の汚れ)、そして白髪が混じり始めた自身の加齢といった現実を素直に受け入れつつも、「自分より成功していない奴のアドバイスは聞かない」という強烈なエゴイズムを健在させている。また、当時水面下でビーフが再燃しつつあったドレイクに向けられたと思われるパトロナイジング(見下したような)なパンチラインも含まれており、数々の困難を乗り越えてきたカニエの図太い自信と不遜さが同居する象徴的なトラックである。
和訳
[Intro: Slick Rick]
Believe it or not
信じようと信じまいとな。
Believe it or not
信じようと信じまいと。
[Chorus: Charlie Wilson & Kid Cudi]
Make no mistake, girl, I still love you
勘違いしないでくれ、俺はまだ君を愛してるぜ。
Make no mistake, girl, I still love you
間違いなく、まだ君を愛してるんだ。
Make no mistake, girl, I still love you
勘違いしないでくれ、俺はまだ君を愛してるぜ。
Make no mistake, girl, I still love you
間違いなく、まだ君を愛してるんだ。
[Verse: Kanye West & Slick Rick]
Take the top off, let the sun come in (The Lord still shines on you)
屋根(トップ)を開けて、太陽の光を入れようぜ。(神は今も君を照らしている)
※オープンカーのルーフを開ける描写と、心を閉ざさずに神の恩恵(太陽の光)を受け入れるというダブルミーニング。Slick Rickの1988年の楽曲「Hey Young World」からのサンプリングがカニエのラインに呼応している。
Woah, for all my dogs that stayed down, we up again (Again)
Woah、ずっと俺を支えてくれたマイメンたちへ、俺たちはまた這い上がるぜ(再びな)。
※stayed down=困難な時でも裏切らずに側にいてくれたこと、義理堅い状態を指すストリートスラング。
Oh, I got dirt on my name, I got white on my beard
Oh、俺の名前は泥にまみれたし、顎髭には白髪も混じってきた。
I had debt on my books, it's been a shaky-ass year
帳簿には借金も抱えた、マジで不安定でヤバい一年だったよな。
※2016年にTwitterで公表した「5300万ドル(約60億円)の個人的な借金」や、精神科への強制入院、数々の炎上騒動によって大荒れだった近年の状況を振り返っている。
Let me make this clear, so all y'all see
ここでハッキリさせておくぜ、お前ら全員が分かるようにな。
I don't take advice from people less successful than me
俺は自分より成功してねえ奴からのアドバイスなんて聞かねえんだよ。
※世間や業界人からの批判や助言に対するカニエ流のシャットアウト。圧倒的な成功を収めたが故の傲慢さの表れである。
Hah? Ain't no love lost, but the gloves off
Hah? 恨みはねえが、手加減(グローブ)は外させてもらうぜ。
※gloves off=ボクシングのグローブを外す、つまり「素手で容赦なく叩きのめす」「本気でいく」という意味のイディオム。
And we up in this bitch until they turn the club off
クラブの明かりが消されるまで、俺たちはここで暴れまくるのさ。
Had to tell the dogs, "Turn the snubs off"
ダチどもには「スナブノーズ(銃)をしまえ」って言わなきゃならなかった。
※snub=銃身の短いスナブノーズ・リボルバー(拳銃)の略称。仲間たちが過激な行動(暴力)に出ようとするのをカニエが制止したという描写。
Plus they already mad that the Cubs lost
それに、あいつらはカブスが負けたことで既にキレてるからな。
※Cubs=シカゴ・カブス。カニエの地元シカゴのMLBチームを引き合いに出し、仲間の機嫌が悪い理由をユーモラスに表現している。
(Believe it or not) These two wrongs'll right you
(信じようと信じまいと)この2つの過ちが、お前を正すのさ。
※「Two wrongs don't make a right(2つの過ちを犯しても正しいことにはならない=悪に悪で報いても良くならない)」という英語の有名なことわざを捻り、あえて「俺の過ちがお前を正す」と主張している。
(Believe it or not) I was too grown in high school
(信じようと信じまいと)俺は高校時代から大人びすぎてたんだ。
(Believe it or not) The true soul of Ice Cube
(信じようと信じまいと)俺にはアイス・キューブの真のソウルが宿ってる。
※N.W.A.の元メンバーであるIce Cubeは、黒人の権利や社会問題に対して歯に衣着せぬ発言をすることで知られる。カニエは自身がその反逆的な精神を受け継いでいると宣言している。
Too close to snipe you, truth told, I like you
狙撃(スナイプ)するには近すぎる、実を言うと俺はお前が好きなんだ。
Too bold to type you, too rich to fight you
テキストを送るには大胆すぎるし、殴り合うには金持ちになりすぎた。
Calm down, you light skin
落ち着けよ、ライトスキン(色白)野郎。
※「Too close〜」からここまでのラインは、当時カニエとの関係が悪化していたDrake(ドレイク)に向けたサブリミナル・ディスだと広く解釈されている。ドレイクは白人と黒人のミックスであり「ライトスキン」のラッパーの代表格である。SNSでの小競り合いに対し、「俺は直接殴り合うには金持ちすぎる(=お前より格上だ)」と兄貴風を吹かせて煽っている。
[Chorus: Charlie Wilson & Kid Cudi (Slick Rick)]
Make no mistake, girl, I still love you (Make no)
勘違いしないでくれ、俺はまだ君を愛してるぜ。
Make no mistake, girl, I still love you (No way)
間違いなく、まだ君を愛してるんだ。
(Believe it or not, the Lord still shines on you)
(信じようと信じまいとな、神は今も君を照らしている)
Make no mistake, girl, I still love you
勘違いしないでくれ、俺はまだ君を愛してるぜ。
(Believe it or not, the Lord still shines on you)
(信じようと信じまいとな、神は今も君を照らしている)
Make no mistake, girl, I still love you
間違いなく、まだ君を愛してるんだ。
(Believe it or not, the Lord still shines on you)
(信じようと信じまいとな、神は今も君を照らしている)
Make no mistake, girl, I still love you (No way)
勘違いしないでくれ、俺はまだ君を愛してるぜ。
Make no mistake, girl, I still love you
間違いなく、まだ君を愛してるんだ。
