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Bad Guys Always Die - Eminem & Dr. Dre 【和訳・解説】

Artist: Eminem & Dr. Dre

Album: The Slim Shady LP (Expanded Edition)

Song Title: Bad Guys Always Die

概要

本作はウィル・スミス主演の西部劇アクション映画『ワイルド・ワイルド・ウェスト』(1999年)のサウンドトラックのために制作され、後に『The Slim Shady LP』の拡張版に収録されたエミネムとドクター・ドレーによるコラボレーション楽曲である。映画の西部劇の世界観を借りながら、その実態はドレーがかつて所属したデス・ロウ・レコード(及びシュグ・ナイト)との確執や、伝説的アルバム『The Chronic』の続編(後の『2001』)の制作権を巡る泥沼の争いを描いたメタフィクションとなっている。映画の悪役「ドクター・ラヴレス」をヒップホップ界の敵に見立て、最強の師弟コンビが共闘して「名誉と音楽」を奪還する劇画タッチのストーリーテリングは、両者の卓越したケミストリーを存分に堪能できる隠れた名曲だ。

和訳

[Intro: RBX]
The Wild, ha-ha
ザ・ワイルド、ハハッ。
※イントロの語りは、ドクター・ドレーの古くからの盟友であり、かつて共にデス・ロウ・レコードに所属していたラッパーのRBXが担当している。

The Wild West
ワイルド・ウェスト(開拓時代の西部)だ。

Ha, ride
ハッ、馬を走らせな。

[Verse 1: Dr. Dre & Eminem]
All you see is the sun reflectin' off of the gun
お前の目に映るのは、銃身に反射する太陽の光だけだ。

Ready for the showdown to go down at one
1時きっかりに始まる決闘(ショーダウン)の準備はできてるぜ。

Sweat on my brow, let's settle it now
額に汗がにじむ、さあ、今ここで決着をつけようぜ。

I'ma show you how real cowboys get down
本物のカウボーイのやり方ってヤツを見せてやるよ。

I'm polishin' gold, waitin' for this drama to unfold
俺は黄金を磨きながら、このドラマが幕を開けるのを待ってる。

I got a blunt rolled
ブラント(大麻を巻いた葉巻)も巻き終わったぜ。

Feelin' bold, gangsta's blood runs cold
肝が据わってくる、ギャングスタの血が冷たく流れてるんだ。

It's time to reload this old .45 colt
この古い45口径のコルト(拳銃)をリロードする時間だ。

The wind's gusty, it's hot, muggy and dusty
風が吹き荒れ、暑くて、蒸し暑くて、砂埃が舞ってる。

Bust a couple shots, make sure I'm not rusty
何発か試し撃ちをして、俺の腕が鈍ってない(錆びついてない)か確かめる。

It's past noon, he should be here soon
正午を過ぎた、奴ももうすぐここに来るはずだ。

Sip a little moonshine inside a saloon
酒場(サルーン)の中で密造酒(ムーンシャイン)を軽くすする。

All a sudden I can hear the sound of hooves
突然、馬のひづめの音が聞こえてきた。

Sounds like a thousand wolves
まるで千匹の狼の群れみたいな音だぜ。

I cock back, put the toast in the holster and froze
撃鉄を起こし、銃(トースト)をホルスターに収めて、身構えた。

I pose like a poster, he's closer than close
ポスターみたいにポーズをキメる、奴はすぐそこまで迫ってる。

I hold the heat sturdy, I heard he fights dirty
俺は銃(ヒート)をしっかり握る、奴は汚い手を使うって聞いてるからな。

But I'ma put 30 inside him and leave early
だが、俺は奴の体に30発ブチ込んで、さっさとズラかるつもりだ。

And just when I went to fill him with hot lead
そして、熱い鉛の弾を奴に浴びせようとしたまさにその時、

I put the gun to his head, and this is what he said
奴の頭に銃を突きつけると、奴はこう言いやがったんだ。

You never met me, you'll probably never see me again
「アンタは俺に会ったことがないし、たぶん二度と会うこともないだろう。

But I know you, the name's Slim, you want revenge?
だが俺はアンタを知ってる。名前はスリムだ。復讐したいんだろ?
※ここでエミネム(スリム・シェイディ)が登場する。敵として現れたかと思いきや、ドレーに共闘を持ちかけるという胸熱な展開。

Then don't shoot, I'm in the same boots as you
だったら撃つな。俺もアンタと同じ立場(ブーツ)にいるんだ。

I'm telling the truth, I got a price on my head too
本当だぜ、俺の首にも賞金が懸けられてるんだからな。

'Cause when you-
だって、アンタが—」

[Chorus: Brantley Kearns Jr.]
You ride like a cowboy toward the sun
お前はカウボーイのように太陽に向かって馬を走らせる。

And life ain't fun when you're on the run
逃亡生活なんて楽しいもんじゃないさ。

Got your gold and you got your gun
黄金を手に入れ、銃を手にした。

But life as an outlaw just begun
だが無法者(アウトロー)としての人生は始まったばかり。

Got your shotgun by your side
傍らにはショットガンを置き、

Got your horse and you got your pride
馬にまたがり、己の誇りを胸に抱く。

You ride 'til there ain't no place to hide
隠れる場所がなくなるまで、お前は走り続ける。

It's sad 'cause the bad guys always die
悲しいことさ、悪党(バッドガイ)はいつも死ぬ運命にあるんだから。

[Verse 2: Dr. Dre & Eminem]
He was shady, I seen by the look on his face
奴は怪しかった(シェイディだった)、顔を見れば分かったぜ。

He said, "Take ten paces," shit, I took eight
奴が「10歩歩け」って言ったが、クソッ、俺は8歩で振り返って、

Spun around and I aimed straight for the brain
奴の脳天に真っ直ぐ狙いを定めたんだ。

My shit went bang but it only fired a blank, he said
俺の銃がバンと鳴ったが、空砲が出ただけだった。奴は言った。

You need bullets, hurry up, run
「弾が必要だな。急げ、走れ」

I put a clip in the gun and pointed at his lungs
俺は銃にクリップ(弾倉)を装填し、奴の肺に狙いを定めた。

We both drew at the same time and stood stunned
俺たちは同時に銃を抜き、そして呆然と立ち尽くした。

Go ahead, shoot me, but I'm not the one you want
「やれよ、俺を撃て。だがアンタが探してるのは俺じゃないぜ」

I figured he was tellin' the truth, that's why I didn't shoot
俺は奴が真実を言ってるって気づいた、だから撃たなかったのさ。

So what we gon' do? It's on you
「で、どうする? アンタ次第だ」

Do you recall when you and Snoop was a group?
「アンタとスヌープがグループ(コンビ)だった頃を覚えてるか?

(The Chronic)
(『The Chronic』のことだ)
※ドクター・ドレーが1992年にリリースし、ヒップホップの歴史を変えた歴史的ソロアルバム『The Chronic』への言及。

Well, all we gotta do is find a map to part two
俺たちがやるべきことは、その『パート2』への地図を見つけることだけさ。
※ドレーが当時制作中だった次作(最終的に『2001』としてリリースされる)のこと。当時、かつての古巣デス・ロウのシュグ・ナイトが『Chronic 2000』というタイトルのコンピレーションを勝手にリリースし、タイトル権を巡って泥沼の争いとなっていた背景を「地図の奪還」になぞらえている。

And plus I know who's got it (Who?), some old dude
それに、俺は誰がそれを持ってるか知ってる(誰だ?)、ある年寄りさ。

Who's got twenty-six plaques and he already sold two
26個のプラチナム・プラーク(盾)を持ってて、すでに2個は売り払っちまったような奴だ」

Loaded up my saddle, got ready for battle
鞍(サドル)に荷物を積み込み、戦いの準備を整えた。

Hid two pieces of gold inside of my satchel
カバンの中に2つの金塊を隠したぜ。

We rolled two miles until we hit the spot
俺たちは目的の場所に着くまで、2マイル馬を走らせた。

An old ghost town that everybody forgot
誰もが忘れ去った、古いゴーストタウンだ。

A place where they used to smoke chronic a lot
昔、奴らがよくクロニック(極上の大麻)を吸ってた場所さ。
※デス・ロウ・レコードの全盛期(『The Chronic』の時代)の栄光が、今やゴーストタウンのように廃れていることを皮肉っている。

Slim grabbed the shotgun, Dre, here's the plot
スリムがショットガンを掴んで言った。「ドレー、計画はこうだ。

This is the spot, they call him Doc Loveless
ここがその場所だ、奴らはそいつを『ドク・ラヴレス』って呼んでる。
※映画『ワイルド・ワイルド・ウェスト』のメイン悪役である「ドクター・アーリス・ラヴレス」のこと。ここではドレーの音楽や権利を奪った憎き敵(=シュグ・ナイトなどの暗喩)として機能している。

He's going around saying he took the game from us
あいつは『俺たちからゲーム(ヒップホップの覇権)を奪い取った』って触れ回ってるんだ。

Let's shoot him in his kneecaps, he'll never see it comin'
奴の膝小僧を撃ち抜いてやろうぜ、不意打ちでな。

He ain't got no legs, they cut them off at the stomach
奴には両脚がねえんだよ、腹のところで切断されてるんだから。
※映画の悪役ドクター・ラヴレスが、下半身を失い車椅子に乗っている設定をそのままラップのパンチラインに持ち込んでいる。

He's got mechanical legs, he spins webs
奴は機械の脚(スパイダー・メカ)を持ってて、蜘蛛の巣を張るんだ。

Plus he's well-respected by the hip-hop heads
おまけに奴は、ヒップホップヘッズからやたらとリスペクトされてやがる。

Our mission is to get him to stop layin' eggs
俺たちの任務は、奴がこれ以上卵を産む(悪事を企む)のを止めることだ。

And we can put him on his back down a flight of steps
そして階段から奴を仰向けに突き落としてやるのさ」

I drew two guns, spun them on my fingers
俺は2丁の拳銃を抜き、指先でクルクルと回した。

Kicked the swingin' doors in, started gun-slingin'
スイングドアを蹴り開けて、銃を乱射し始めたぜ。

I could hear somebody singin', it sounded like a "G Thang"
誰かが歌ってるのが聞こえた、まるで「Nuthin' But a 'G' Thang」みたいだった。

And a verse from "Keep Their Heads Ringin'"
それに「Keep Their Heads Ringin'」のヴァースもな。
※どちらもドレーが生み出した歴史的なクラシック楽曲。敵陣営がかつてのドレーの栄光(音楽)にすがりついている様子を描写している。

I said, "It's Dre's day," and started to spray
俺は「ドレーの時代(Dre Day)だぜ」と言い放ち、弾をブチ撒き始めた。

It's 1800, he pulls a AK
時は1800年代だってのに、奴はAK(アサルトライフル)を引き抜きやがった。
※西部劇の時代設定を無視して現代の重火器が出てくる、ヒップホップ的な荒唐無稽さ。

Hollow tips started flyin' every which way
ホローポイント弾(殺傷能力の高い銃弾)が四方八方に飛び交い始めた。

That's when I seen Dre in trouble and came with the gauge
その時、俺はドレーがピンチなのを見て、ゲージ(ショットガン)を持って駆けつけたんだ。

I fired the first shot, spun his body around
俺が最初の一発を撃ち込むと、奴の体はクルクルと吹き飛んだ。

He hit the ground and landed upside down
奴は地面に激突し、真っ逆さまに墜落したぜ。

Dre grabbed the map, the plaques and the gold
ドレーは地図と、プラチナムの盾と、黄金を奪い返した。
※「地図=『2001』の制作権」、「盾と黄金=デス・ロウ時代に不当に搾取された正当な報酬と名誉」を取り戻したという、勝利のメタファーである。

I grabbed two girlies and a blunt that's rolled
俺は2人のギャルと、巻き終わったブラント(大麻)をひっ掴んだぜ。
※大義を果たす師匠の横で、女とハッパを手に入れるというスリム・シェイディらしいオチ。

[Chorus: Brantley Kearns Jr.]
You ride like a cowboy toward the sun
お前はカウボーイのように太陽に向かって馬を走らせる。

And life ain't fun when you're on the run
逃亡生活なんて楽しいもんじゃないさ。
(以下コーラス繰り返しにつき省略)

[Outro: RBX]
The Wild, ha-ha
ザ・ワイルド、ハハッ。

The Wild West
ワイルド・ウェスト(開拓時代の西部)だ。

Ha-ha, ride, ha
ハハッ、走れ、ハッ。

 

Slim Shady

Slim Shady

  • アーティスト:EMINEM
  • UNIVERSAL MUSIC GROUP
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