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I’m Shady - Eminem 【和訳・解説】

Artist: Eminem

Album: The Slim Shady LP

Song Title: I’m Shady

概要

カーティス・メイフィールドの名曲「Pusherman」を彷彿とさせるファンキーなベースラインに乗せ、エミネムが自身の別人格「スリム・シェイディ」のキャラクター性を総括する自己紹介的なトラックである。ドラッグの売人(プッシャー)を気取りながら、ポップカルチャーのパロディ、矛盾だらけの道徳観、そして同アルバム内で自らがついた嘘(妻の殺害やエイズ感染など)のメタ的な種明かしまでをシームレスに展開する。また、次作で世界的アンセムとなる名曲『Stan』の構想を予感させるフレーズも飛び出すなど、単なるショック・ラップにとどまらないエミネムの高度な自己プロデュース能力と、クレバーなストーリーテラーとしての底知れぬ才能が垣間見える一曲だ。

和訳

[Verse 1]
Who came through with two Glocks to terrorize your borough? (Huh?)
お前らの街(ボロー)を恐怖に陥れるために、2丁のグロック(拳銃)を持って現れたのは誰だ?(あ?)

Told you how to slap dips and murder your girl? (I did)
ビッチどものビンタの仕方や、自分の彼女を殺す方法を教えたのは誰だ?(俺だよ)
※同アルバム内の『Role Model』や『'97 Bonnie & Clyde』で歌ってきた非道徳的な内容を自ら振り返っている。

Gave you all the finger and told you to sit and twirl
お前ら全員に中指を立てて、「それに座って回れ(くたばれ)」って言ってやったよな。

Sold a billion tapes, and still screamed "Fuck the world"
テープ(アルバム)を10億本売っても、未だに「世界なんてクソくらえだ」って叫んでるぜ。

(I'm Slim Shady) So come and kill me while my name's hot
(俺はスリム・シェイディだ)だから俺の名前が売れてる(ホットな)うちに、俺を殺しに来いよ。

And shoot me twenty-five times in the same spot (Ow)
そして同じ場所を25回撃ち抜いてみろ。(アウッ)

I think I got a generation brainwashed
俺は一つの世代を丸ごと洗脳しちまったみたいだな。

To pop pills and smoke pot 'til they brains rot (Uh-oh)
脳みそが腐るまでピルをキメて、ハッパを吸うようにな。(アッオー)

Stop they blood flow 'til they veins clot
血管が詰まって血流が止まるまでな。

I need a pain shot and a shot of plain Scotch
俺には痛み止めの注射と、ストレートのスコッチ(酒)が1杯必要だ。

Purple haze and acid raindrops
パープル・ヘイズ(大麻)と、アシッド(LSD)の雨粒もな。

Spike the punch at the party and drank pop
パーティーじゃパンチ(飲み物)にクスリを盛って、炭酸飲料を飲み干す。

Shaved my armpits and wore a tank top
脇毛を剃って、タンクトップを着てやったぜ。

Bad Boy, I told you that I can't stop
俺はバッド・ボーイだ、「止まらねえ(I can't stop)」って言っただろ。
※P・ディディ(パフ・ダディ)が率いるレーベル「Bad Boy Records」と、彼らの楽曲で頻出するキャッチフレーズ("I can't stop, won't stop")をサンプリングした皮肉なワードプレイ。

You gotta make 'em fear you 'fore you make 'em feel you
奴らに俺を「理解(フィール)」させる前に、まずは「恐怖」を植え付けなきゃならねえ。

So everybody buy my shit or I'ma come and kill you
だから全員俺のアルバムを買え、さもなきゃお前らを殺しに行くぞ。

[Chorus]
I got mushrooms, I got acid, I got tabs and aspirin tablets
俺はマッシュルームを持ってる、アシッドも、タブレットもアスピリンの錠剤もあるぜ。
※売人(プッシャー)のように、リスナーに向けて様々なドラッグを羅列するフック。

I'm your brother when you need some good weed to set you free
お前を解放してくれる上質なハッパが必要な時、俺はお前の兄弟(ブラザー)さ。

You know me, I'm your friend when you need a Mini Thin
俺のこと知ってるだろ、ミニ・シン(気管支拡張薬/覚醒剤の代用品)が必要な時、俺はお前のダチだ。

(I'm Slim Shady, Shady, Shady, Shady) I'm Shady
(俺はスリム・シェイディ、シェイディ、シェイディ…)俺はシェイディだ。

[Verse 2]
I like happy things, I'm really calm and peaceful (Uh-huh-huh)
俺はハッピーなことが好きだ、マジで穏やかで平和主義者なんだぜ。(アハハ)

I like birds, bees, I like people
鳥も、蜂も、人間も好きだ。

I like funny things that make me happy and gleeful
俺をハッピーでご機嫌にしてくれる、面白いことが好きなんだよ。

Like when my teacher sucked my wee-wee in preschool (Woo)
保育園の時に、先生が俺のオチンチン(wee-wee)をしゃぶってくれた時とかな。(フゥー)
※平和的な自己紹介から一転、突如として児童的虐待というタブーなブラックジョークを放り込むエミネムの黄金パターン。

The ill type, I stab myself with a steel spike
俺は病んでる(イルな)タイプだ、鋼鉄のスパイクで自分自身を刺す。

While I blow my brain out just to see what it feels like
「どんな気分か確かめるため」だけに、自分の脳みそをブッ飛ばすのさ。

'Cause this is how I am in real life (Mhm)
だって、現実の俺はこういう奴だからな。(フン)

I don't want to just die a normal death
ただ普通に死ぬなんてごめんだ。

I wanna be killed twice (Uh-huh)
俺は2回殺されたいんだよ。(ああ)

How you gonna scare somebody with a gun threat
銃で脅したくらいで、どうやって人をビビらせるつもりだ?

When they high off of drugs they haven't even done yet? (Huh?)
そいつらが、まだ手を出してもいないドラッグでガンギマリになってるって時によ。(あ?)

So bring the money by tonight
だから今夜までに金を持ってこい。

'Cause your wife said this the biggest knife
だってお前の嫁さんが「こんなにデカいナイフ、

She ever saw in her life (Help me, help me)
人生で初めて見た」って言ってたからな。(助けて、助けて)

I try to keep it positive and play it cool
俺はポジティブでクールに振る舞おうとしてるんだぜ。

Shoot up the playground and tell the kids to stay in school
遊び場(学校)で銃を乱射しながら、ガキどもには「ちゃんと学校に残れ」って教えるのさ。
※学校での銃乱射事件を想起させつつ「学校に通え(Stay in school)」という教育的なスローガンを叫ぶ、矛盾を極めた強烈な社会風刺。

(Stay in school)
(ちゃんと学校に行けよ)

'Cause I'm the one they can relate to and look up to better
だって俺こそが、ガキどもが共感して、一番尊敬できる存在だからな。

Tonight I think I'll write my biggest fan a fuck-you letter
今夜は、俺の「一番のファン(biggest fan)」に「くたばれ」って手紙でも書こうかな。
※この狂信的なファンへの冷酷な態度は、次作『The Marshall Mathers LP』に収録される歴史的傑作『Stan』のコンセプトへ直接的に繋がる重要な伏線である。

[Chorus]
I got mushrooms, I got acid, I got tabs and aspirin tablets
俺はマッシュルームを持ってる、アシッドも、タブレットもアスピリンの錠剤もあるぜ。

I'm your brother when you need some good weed to set you free
お前を解放してくれる上質なハッパが必要な時、俺はお前の兄弟(ブラザー)さ。

You know me, I'm your friend when you need a Mini Thin
俺のこと知ってるだろ、ミニ・シンが必要な時、俺はお前のダチだ。

(I'm Slim Shady, Shady, Shady, Shady) I'm Shady
(俺はスリム・シェイディ、シェイディ、シェイディ…)俺はシェイディだ。

[Verse 3]
Yo, I'll listen to your demo tape and act like I don't like it
ヨォ、お前のデモテープを聴いて、気に入らないフリをしてやるよ。

(Aw, that shit is wack)
(ああ、こりゃダサいな)

Six months later, you'll hear your lyrics on my shit
そして半年後、お前は俺の曲の中で、自分の書いたリリックを聴くことになるのさ。
※業界の先輩ラッパーやプロデューサーが、無名の若手のアイデアを盗むというヒップホップ界の悪しき風習(バイト)を皮肉っている。

(That's my shit)
(それ、俺のリリックじゃねえか!)

People don't buy shit no more, they just dub it
連中はもうアルバムを買わねえ、ただダビング(コピー)するだけだ。

That's why I'm still broke and had the number-one club hit
だから俺は、クラブでナンバーワンのヒット曲を持ってるのに未だに一文無しなんだよ。
※違法コピーや海賊版が蔓延し、アーティストに利益が還元されない当時の音楽業界へのリアルな不満。

(Yup, uh-huh)
(ああ、全くだ)

But they love it when you make your business public
だが世間の連中は、お前が自分のプライベート(事情)を公の場に晒すのが大好きなんだ。

So fuck it, I've got herpes while we on the subject (Uh-huh)
だからクソくらえだ、ついでに言うと俺はヘルペス持ちだぜ。(ああ)

And if I told you I had AIDS, y'all would play it
もし俺が「俺はエイズだ」って言ったら、お前らは喜んで曲をかけるだろ。

'Cause you stupid motherfuckers think I'm playin' when I say it
だってお前らバカなクソ野郎どもは、俺がそう言っても「ただのジョークだろ」って勘違いするからな。

Well, I do take pills, don't do speed
まあ、ピルはやるけど、スピード(覚醒剤)はやらない。

Don't do crack (Uh-uh), don't do coke, I do smoke weed (Uh-huh)
クラックもやらない(ううん)、コカインもやらない、ハッパは吸うけどな。(ああ)

Don't do smack, I do do shrooms, do drink beer (Yup)
スマック(ヘロイン)はやらない、マッシュルームはやるし、ビールも飲むぜ。(ああ)

I just wanna make a few things clear
ただ、いくつかハッキリさせといた方がいいと思ってな。

My baby mama's not dead (Uh-uh), she's still alive and bitching (Yup)
俺の娘の母親(キム)は死んじゃいねえ(ううん)、未だに生きてて文句ばかり垂れてるぜ。(ああ)
※同アルバムの『'97 Bonnie & Clyde』で「妻を殺して湖に捨てた」と歌ったことに対する、スリム・シェイディ自身によるメタ的な種明かし。「あれはただのフィクションだ」と冷静に訂正している。

And I don't have herpes, my dick's just itchin'
それから、俺はヘルペスじゃない。ただイチモツが痒いだけだ。

It's not syphilis, and as for being AIDS-infested
梅毒でもないし、「エイズに感染してる」って件についてだが、
※『Cum On Everybody』で「俺は末期のエイズだ」と発言したことへの訂正。

I don't know yet, I'm too scared to get tested
それはまだ分かんねえんだ、怖すぎて検査を受けに行けねえからな。
※完全に否定すると思いきや、最後のオチで再び現実と虚構を曖昧にし、ダークなユーモアでバースを締めくくっている。

[Chorus]
I got mushrooms, I got acid, I got tabs and aspirin tablets
俺はマッシュルームを持ってる、アシッドも、タブレットもアスピリンの錠剤もあるぜ。
(以下コーラス繰り返しにつき省略)

[Outro]
I told you I was Shady (Yup)
俺はシェイディだって言っただろ。(ああ)

Y'all didn't wanna believe me (Mm-mm, mm-mm)
お前ら、信じようとしなかったよな。(ううん、ううん)

I'm Shady
俺はシェイディだ。

And that's my name
それが俺の名前さ。

 

Slim Shady

Slim Shady

  • アーティスト:EMINEM
  • UNIVERSAL MUSIC GROUP
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