Artist: Eminem, Jeff Bass & Royce Da 5'9"
Album: The Slim Shady LP
Song Title: Soap (Skit)
概要
エミネムのメジャーデビュー作『The Slim Shady LP』の終盤に配置された、アメリカの昼ドラ(ソープオペラ)のパロディ・スキットである。長年のプロデューサーであるジェフ・ベースと、デトロイトの盟友ロイス・ダ・ファイブ・ナイン(Royce Da 5'9")が声優を務め、1人の女(ヴェロニカ)を巡って昼ドラ特有の安っぽく大げさな愛憎劇を演じている。このバカバカしい寸劇は、直後に続く猟奇的なストーリーテリング曲『As the World Turns』(実在するアメリカの長寿ソープオペラと同タイトル)への完璧な前振りとして機能している。アルバム全体をテレビのチャンネル・サーフィンのように演出する、エミネムの卓越した構成力が光る小品だ。
和訳
[Roger & Skylar]
Skylar Montgomery?
スカイラー・モンゴメリーか?
※アメリカのソープオペラ(昼ドラ)特有の、大げさで芝居がかったトーンで会話が始まる。
What do you want from me, Roger?
俺に何の用だ、ロジャー?
I know it was you all along messing around with my dear Veronica
愛しのヴェロニカとずっとコソコソ付き合ってたのは、お前だったんだな。
Wait a minute, you hold it right there
待てよ、早まるんじゃない。
Me and that woman love each other
俺とあの女は愛し合ってるんだ。
Love? What do you know of love?
愛だと? お前に愛の何が分かるってんだ?
We were destined to be together
俺たちは結ばれる運命だったのさ。
I met her on the beach
ビーチで彼女に出会ったんだ。
※いかにもメロドラマにありがちな、安っぽくロマンチックな出会いのクリシェ(お約束)をわざとらしく演じている。
Are you out to destroy me?
お前は俺を破滅させる気か?
No, Roger, that's not what I want to do
違うよ、ロジャー。そんなこと望んじゃいない。
I love her, and we're gonna be together
俺は彼女を愛してる、俺たちは一緒になるんだ。
Never
絶対に渡さん!
※このセリフの直後、次曲『As the World Turns』の不穏なビートへとシームレスに切り替わる。安っぽいテレビドラマの世界から、スリム・シェイディの狂気に満ちた歪んだ物語へとリスナーを一気に引きずり込む見事な演出である。
