Artist: Eminem
Album: The Slim Shady LP
Song Title: Just Don't Give a Fuck
概要
エミネムがメジャーデビューする以前の1997年に自主制作した『The Slim Shady EP』に収録され、その後ドクター・ドレーの目に留まるきっかけとなった歴史的な重要楽曲である。極貧の生活と皿洗いのアルバイトに追われる鬱屈した日常から生まれた「スリム・シェイディ」という猟奇的な別人格が、世間の道徳観やヒップホップ界の常識に対して高らかに中指を立てている。エヴァーラストやヴァニラ・アイスなど他の白人ラッパーを巧妙な言葉遊びでディスり、「自分は唯一無二の存在である」と主張する野心に満ちたヴァースは圧巻だ。失うものが何もない底辺の若者の怒りを、カートゥーン的なブラックユーモアと緻密な多音節韻(マルチシラブル)でパッケージした、初期エミネムの最高傑作の一つである。
和訳
[Intro: Frogg Dogg]
Woah, a-get yo' hands in the air
ウォウ、さあ、両手を挙げな。
And get to clappin' 'em and, like, back and forth
そして手を叩け、前後に揺らしながらな。
Because-a this is what you thought it wasn't
だって、お前らが思ってたのとは違う代物が来たからよ。
It be's the brothers representin' the Dirty Dozen
ダーティ・ダズン(D12)をレペゼンする兄弟たちだぜ。
※「Dirty Dozen」はエミネムが所属するデトロイトのヒップホップ・グループ「D12」のこと。
I be the F-R-O, the double G
俺はF-R-O、そしてダブルGだ。
And check out my man, he goes by the name of, er, uh
それから俺のダチをチェックしな、あいつの名前は、えーっと、あー…
[Verse 1: Eminem, Frogg Dogg]
Slim Shady, brain dead like Jim Brady
スリム・シェイディだ。ジム・ブレイディみたいに脳死状態さ。
※ジム・ブレイディ(Jim Brady)は、1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件で頭部を撃たれて重度な障害を負った大統領報道官。
I'm a M-80, you little like that Kim lady
俺はM-80(強力な爆竹)だ、お前はあのキムって女(リル・キム)みたいにちっぽけ(Lil)だぜ。
I'm buzzin', Dirty Dozen, naughty rotten rhymer
俺はバズってる。ダーティ・ダズン(D12)、タチの悪い腐ったライマーさ。
Cursin' at you players worse than Marty Schottenheimer
マーティ・ショッテンハイマーよりも酷い言葉で、お前らプレイヤーを罵倒してやるよ。
※マーティ・ショッテンハイマーはNFLの有名なヘッドコーチ。選手(プレイヤー)に対して激しく怒鳴り散らすことで知られていた。
You wacker than the motherfucker you bit yo' style from
お前は、自分のスタイルをパクった(Biteした)元のクソ野郎よりもダサいぜ。
You ain't gon' sell two copies if you press a double album
ダブルアルバムをプレスしたって、2枚(2コピー)すら売れねえよ。
Admit it, fuck it, while we comin' out in the open
認めろよ、クソくらえ。俺たちが表舞台に出てきたからにはな。
I'm doin' acid, crack, smack, coke, and smokin' dope then
俺はアシッド、クラック、スマック(ヘロイン)、コカインをキメて、それからハッパを吸う。
My name is Marshall Mathers, I'm an alcoholic (Hi, Marshall)
俺の名前はマーシャル・マザーズ、アルコール依存症だ。(こんにちは、マーシャル)
※AA(アルコホーリクス・アノニマス:断酒会)での典型的な自己紹介のパロディ。
I have a disease and they don't know what to call it
俺は病気を抱えてるが、連中はその病名を何て呼べばいいか分かっちゃいねえ。
Better hide your wallet 'cause I'm comin' up quick to strip yo' cash
財布を隠しとけ、お前の金をひん剥くためにすぐに駆けつけるからな。
Bought a ticket to yo' concert just to come and whip yo' ass
お前のコンサートのチケットを買ったのは、ただお前をぶちのめしに行くためだけだ。
Bitch, I'm comin' out swingin' so fast it'll make yo' eyes spin
ビッチ、俺は目が回るくらい速く拳を振り回しながら登場するぜ。
You gettin' knocked the fuck out like Mike Tyson (Pssh)
マイク・タイソンにやられたみたいに、完全にノックアウトされるのさ。(プシュッ)
The proof is in the puddin', just ask DeShaun Holton
証拠(Proof)はプリンの中(火を見るより明らか)だ、デショーン・ホルトンに聞いてみな。
※「The proof is in the pudding(論より証拠)」という慣用句と、エミネムの無二の親友でありD12のメンバーである「プルーフ(Proof、本名デショーン・ホルトン)」をかけたワードプレイ。
I'll slit yo' motherfuckin' throat worse than Ron Goldman
ロン・ゴールドマンよりも酷く、お前のクソみたいな喉を切り裂いてやるよ。
※1994年のO.J.シンプソン事件で、喉を切り裂かれて惨殺された被害者ロン・ゴールドマンを引き合いに出した不謹慎極まりないパンチライン。
[Chorus: Eminem]
So when you see me on yo' block with two Glocks
だから俺がお前のブロック(縄張り)に2丁のグロックを持って現れて、
Screamin', "Fuck the world" like 2Pac
2Pacみたいに「世界なんてクソくらえだ」って叫んでるのを見かけたら、
I just don't give a fuck
俺はマジで、何も気にしちゃいねえんだよ。
Talkin' that shit behind my back, dirty mackin'
俺の陰口を叩いて、汚い手で女を口説いて(ダーティ・マッキン)、
Tellin' your boys that I'm on crack
俺がクラックをやってるなんてお前のダチに言いふらしても、
I just don't give a fuck
俺はマジで、何も気にしちゃいねえ。
So put my tape back on the rack
だから俺のテープを棚に戻して、
Go run and tell your friends my shit is wack
走って逃げて、友達に「あいつの曲はダサい(ワックだ)」って告げ口しな。
I just don't give a fuck
俺はマジで、何も気にしちゃいねえからな。
But see me on the street and duck
だがストリートで俺を見かけたら、頭を引っ込めてろ。
'Cause you gon' get stuck, stole, and snuffed
だって、お前はナイフで刺されて、身ぐるみを剥がされて、殺される(スナッフ)からな。
'Cause I just don't give a fuck
俺はマジで、何も気にしちゃいねえんだよ。
[Verse 2: Eminem]
I'm nicer than Pete, but I'm on a search to crush a milkbone
俺はピートよりナイスだが、ミルクボーンを粉砕するために「サーチ(捜索)」してるんだ。
※90年代の白人ヒップホップ・デュオ「3rd Bass」のピート・ナイス(Pete Nice)とMCサーチ(MC Serch)、そして白人ラッパーのミルクボーン(Milkbone)の名前を編み込んだ高度なワードプレイ。
I'm everlastin', I melt vanilla ice like silicone
俺は永遠(エヴァーラスティン)だ、ヴァニラ・アイスをシリコンみたいに溶かしてやる。
※白人ラッパーのエヴァーラスト(Everlast)とヴァニラ・アイス(Vanilla Ice)の名前を動詞や名詞として使用し、自分以外の白人ラッパーを格下としてディスっている。
I'm ill enough to just straight up diss you for no reason
俺は理由もなくお前を真正面からディスれるくらいにイカれてる(イルだ)ぜ。
I'm colder than snow season when it's twenty below freezin'
氷点下20度の雪の季節よりも冷酷(コールド)さ。
Flavor with no seasoning, this is the sneak preview
味付けなしのフレーバー、これはスニーク・プレビュー(先行上映)だ。
I'll diss yo' magazine and still won't get a weak review
お前らの雑誌をディスっても、決して低い評価(ウィーク・レビュー)はされねえよ。
I'll make yo' freak leave you, smell the Folgers crystals
お前の女(フリーク)を逃げ出させて、フォルジャーズ(コーヒー)のクリスタルの匂いを嗅がせる。
※アメリカのコーヒーブランド「Folgers」のCMの定番フレーズ(目を覚ませ)を用いて、「現実を見ろ」と挑発している。
This is lyrical combat, gentlemen, hold your pistols
これはリリカルな戦闘(コンバット)だ。紳士諸君、ピストルを構えな。
While I form like Voltron and blast you with my shoulder missiles
俺がボルトロンみたいに合体して、肩のミサイルでお前らをブッ飛ばす間にな。
※「ボルトロン(Voltron)」は日本のアニメ『百獣王ゴライオン』などをベースにしたアメリカの人気ロボットアニメ。
Slim Shady, M&M was the old initials (Bye-bye)
スリム・シェイディだ、M&Mは昔のイニシャルさ。(バイバイ)
Extortion, snortin', supportin' abortion
恐喝、コカインの吸引、中絶の支持。
※保守層が眉をひそめる非道徳的なワードを、完璧な多音節韻で羅列している。
Pathological liar, blowin' shit outta proportion
病的な嘘つき、話を大げさに吹聴してやる。
The looniest, zaniest, spontaneous, sporadic
最高に狂ってて、ひょうきんで、自発的で、突発的。
Impulsive thinker, compulsive drinker, addict
衝動的な思考家、強迫的な飲酒家、中毒者。
Half animal, half man
半分は動物、半分は人間。
Dumpin' yo' dead body inside of a fuckin' trash can
お前の死体をクソみたいなゴミ箱の中に投げ捨てる。
With more holes than an afghan
アフガン編みの毛布より多くの穴を開けてな。
[Chorus: Eminem]
So when you see me on yo' block with two Glocks
だから俺がお前のブロック(縄張り)に2丁のグロックを持って現れて、
Screamin', "Fuck the world" like 2Pac
2Pacみたいに「世界なんてクソくらえだ」って叫んでるのを見かけたら、
(以下コーラス繰り返しにつき省略)
[Verse 3: Eminem]
Somebody let me out this limousine (Hey, let me out)
誰か俺をこのリムジンから出してくれ。(おい、出してくれよ)
I'm a caged demon
俺は檻に入れられた悪魔だ。
On stage screamin' like Rage Against the Machine
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンみたいにステージで叫び回る。
I'm convinced I'm a fiend
自分が悪魔(ヤク中)だと確信してるぜ。
Shootin' up while this record is spinnin'
このレコードが回ってる間に注射を打つんだ。
Clinically brain-dead, I don't need a second opinion
臨床的には脳死状態だ、セカンドオピニオンなんて必要ねえよ。
Fuck droppin' a jewel, I'm flippin' a sacred treasure
「宝石(名言)を落とす」なんてクソくらえだ、俺は神聖な宝物をひっくり返してるんだよ。
I'll bite yo' motherfuckin' style just to make it fresher
お前のクソみたいなスタイルをパクって、もっとフレッシュなものにしてやるぜ。
I can't take the pressure, I'm sick of bitches
プレッシャーには耐えられねえ、ビッチどもにはウンザリだ。
Sick of naggin' bosses bitchin' while I'm washin' dishes
俺が皿洗いしてる間に、ガミガミうるさいボスが文句を垂れるのにもウンザリなんだよ。
※娘を養うために、レストラン「Gilbert's Lodge」で過酷な皿洗いのアルバイトをしていた下積み時代のリアルな鬱屈の吐露。
In school, I never said much, too busy havin' a head rush
学校じゃ俺は多くを語らなかった、立ちくらみ(ヘッドラッシュ)を起こすのに忙しすぎてな。
Doin' too much rush, had my face flushed like red blush
ラッシュ(脱法ドラッグの芳香剤)をキメすぎて、顔が赤いチークみたいに紅潮してたんだ。
Then I went to Jim Beam, that's when my face grayed
それからジム・ビーム(バーボン)に手を出して、顔が灰色になっちまった。
Went to gym in eighth grade, **** the women's swim team
中学2年(8年生)の時はジム(体育館)に行って、女子水泳部を****(レイプ)してやったぜ。
※「Jim Beam」と「gym」の同音異義語を使った言葉遊び。自主規制音(****)で伏せられているが、モラルを度外視した過激な犯罪描写である。
Don't take me for a joke, I'm no comedian
俺をジョークだと思うなよ、俺はコメディアンじゃねえんだ。
Too many mental problems got me snortin' coke and smokin' weed again
精神的な問題が多すぎて、またコカインを吸ってハッパをキメちまう。
I'm goin' up over the curb, drivin' on the median
縁石を乗り越えて、中央分離帯の上を爆走してる。
Finally made it home but I don't got the key to get in
やっと家にたどり着いたが、中に入るための鍵を持っちゃいねえ。
[Chorus: Eminem]
So when you see me on yo' block with two Glocks
だから俺がお前のブロック(縄張り)に2丁のグロックを持って現れて、
(以下コーラス繰り返しにつき省略)
[Outro: Eminem]
(Shit, fuck everybody)
(クソッ、全員くたばれ)
Outsiderz, Pacewon, Young Zee (Fuck the entire world)
アウトサイダーズ、ペースウォン、ヤング・ジー。(世界中くたばりやがれ)
※エミネムがデビュー前に深い交流を持っていたニュージャージーのヒップホップ・クルー「Outsidaz」とそのメンバーへのシャウトアウト。
D.U.
D.U.
