Artist: Eminem
Album: The Slim Shady LP
Song Title: My Fault
概要
直前の『Lounge (Skit)』からシームレスに繋がる、ダークコメディとホラーが融合したストーリーテリングの傑作である。レイブパーティーで出会った元薬物依存症の少女スーザンに対し、スリム・シェイディが軽い気持ちでマジックマッシュルームを勧めた結果、彼女が袋ごと全量摂取してしまい凄惨なバッドトリップに陥るという物語を描く。幻覚によって過去の深刻なトラウマをフラッシュバックさせ、最終的に自傷行為に走る少女と、それに慌てふためく主人公の姿をコミカルなビートに乗せて歌い上げる。悲惨な現実とカートゥーン的なユーモアをスレスレのバランスで両立させる、初期エミネムの特異な才能が遺憾なく発揮された一曲だ。
和訳
[Chorus]
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルーム(幻覚キノコ)をキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。
[Verse 1]
I went to John's rave with Ron and Dave
俺はロンとデイブと一緒に、ジョンのレイブパーティーに行った。
And met a new wave blonde babe with half of her head shaved
そこで頭を半分刈り上げた、ニューウェーブ風の金髪美女に出会ったんだ。
※「rave」「Dave」「wave」「babe」「shaved」と流れるような脚韻(ライム)の連打。ストーリーテリングの中に高度なライミングを自然に組み込んでいる。
A nurse aid who came to get laid and tied up
ヤリまくって縛られたがってる、看護助手のアマさ。
With first aid tape and raped on the first date (Ooh)
救急用のテープ(ファーストエイド)で縛り上げられて、初デートで乱暴されたがってるような女だ。(オゥ)
※「nurse aid」「laid」「first aid」「raped」「first date」で踏み続ける多音節韻(マルチシラブル)。倫理的に完全にアウトな表現を軽快にライミングしていくエミネムの真骨頂。
Susan, an ex-heroin addict who just stopped usin'
名前はスーザン、ヘロインを辞めたばかりの元ヤク中だ。
Who love booze and alternative music (What up?)
酒とオルタナティヴ・ロックを愛してる。(調子はどうよ?)
Told me she was going back into usin' again (Nah)
「またヘロインに手を出そうとしてる」なんて俺に言いやがった。(やめとけって)
I said, "Wait, first try this hallucinogen
だから俺は言ってやった。「待てよ、まずはこの幻覚剤(ハルシノジェン)を試してみな。
It's better than heroin, Henn, the booze and the gin
ヘロインやヘネシー、酒やジンなんかよりずっとマシだからよ」
C'mere, let's go in here, who's in the den?"
「こっち来いよ、ここに入ろうぜ。この部屋には誰がいる?」
"It's me and Kelly!"
「アタシとケリーよ!」
"My bad" (Sorry)
「こりゃ失礼」(ごめんな)
"Let's try another room"
「別の部屋に行こうぜ」
"I don't trust you"
「アンタのこと信用できないわ」
"Shut up, slut, chew up this mushroom
「黙れビッチ、このマッシュルームを噛み砕け。
This'll help you get in touch with your roots
これで自分のルーツ(根源)と向き合えるようになるぜ。
We'll get barefoot, butt-naked, and run in the woods"
裸足になって、スッポンポンで森の中を走り回ろうぜ」
"Oh hell, I might as well try 'em, this party is so drab"
「あーもう、試してみようかしら。このパーティー退屈だし」
"Oh dag" (Mmm)
「おい、マジかよ」(んんっ)
"I ain't mean for you to eat the whole bag"
「おい、袋ごと全部食えなんて言ってねえぞ」
"Huh?"
「えっ?」
[Chorus]
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault (I'm sorry)
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。(ごめんな)
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。
[Verse 2]
"Yo, Sue"
「おい、スー」
"Get away from me, I don't know you"
「アタシから離れて! アンタなんか知らないわ!」
"Oh shoot, she's trippin'"
「ヤバいぜ、こいつトリップしちまってる」
"I need to go puke" (Blehh)
「吐きそう…」(ゲロロ)
"I wasn't tryna turn this into somethin' major
「こんな大事にするつもりじゃなかったんだよ。
I just wanted to make you appreciate nature
ただお前に、大自然の素晴らしさを実感してほしかっただけでさ。
Susan, stop crying, I don't hate ya
スーザン、泣き止んでくれ、お前のこと嫌いじゃないんだぜ。
The world's not against you, I'm sorry your father raped ya
世界中がお前を敵に回してるわけじゃない。親父さんにレイプされたのは気の毒だったよ。
※バッドトリップによって、彼女の奥底にあった近親相姦のトラウマがフラッシュバックしてパニックになっている。スリム・シェイディの慰め方も絶望的にズレており、事態を悪化させている。
So what you had your little coochie in your dad's mouth?
お前のアソコが親父の口に入ったからって、それがどうしたってんだ?
That ain't no reason to start wiggin' and spaz out (Nah)"
そんなことで発狂してパニックになる理由にはなんねえだろ(そうだろ)」
She said, "Help me, I think I'm havin' a seizure"
彼女は叫んだ「助けて、発作が起きてるみたい!」
I said, "I'm high too, bitch, quit grabbin' my T-shirt (Let go)
俺は言った「俺もハイなんだよ、ビッチ。俺のTシャツを引っ張るな(離せよ)
Would you calm down? You're startin' to scare me"
落ち着いてくれよ、こっちまで怖くなってきたぜ」
She said, "I'm 26 years old and I'm not married
彼女は叫んだ「アタシは26歳なのに結婚もしてない!
I don't even have any kids and I can't cook"
子供もいないし、料理もできないのよ!」
"(Hello) I'm over here, Sue (Hi)
「(おーい)俺はこっちだぞ、スー(ハイ)
You're talking to the plant, look
お前が話しかけてるのは観葉植物だ、見ろよ。
We need to get to a hospital 'fore it's too late
手遅れになる前に病院に連れて行かなきゃならねえ。
'Cause I never seen no one eat as many 'shrooms as you ate"
だって、お前ほど大量のマッシュルームを食った奴、今まで見たことねえからな」
[Chorus]
I never meant to give you mushrooms, girl (Whoops)
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。(おっと)
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault (It's an accident)
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。(ただの事故だぜ)
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。
[Verse 3]
"Susan, wait, where you goin'? You better be careful"
「スーザン、待て、どこ行くんだ? 気をつけろよ」
"Leave me alone, dad, I'm sick of gettin' my hair pulled"
「放っておいてよ、パパ! もう髪を引っ張られるのはウンザリなの!」
※強烈な幻覚により、目の前の主人公を虐待の加害者である父親だと完全に誤認している。
"I'm not your dad, quit trying to swallow your tongue
「俺はお前の親父じゃねえ! 自分の舌を飲み込もうとするのはやめろ。
Want some gum? Put down the scissors
ガムでも噛むか? そのハサミを下ろせって。
'Fore you do something dumb
何かバカなことをしでかす前にな。
I'll be right back, just chill, baby, please?
すぐ戻ってくるから、ちょっと落ち着いて待っててくれよ、な?
I gotta go find Dave, he's the one who gave me these
俺にこれを渡したデイブを引っ張ってこなきゃならねえ。
(I'ma kill him)
(アイツぶち殺してやる)
John, where's Dave at? Before I bash you"
ジョン、デイブはどこだ? お前をぶちのめす前に吐け」
"He's in the bathroom, I think he's takin' a crap, dude"
「アイツならトイレだよ。クソしてる最中だと思うぜ」
"Dave, pull up your pants, we need an ambulance
「デイブ、パンツを上げろ。救急車を呼ぶぞ。
There's a girl upstairs talking to plants, choppin' her hair off
上の階で女が観葉植物に話しかけながら、自分の髪を切り落としてるんだ。
And there's only two days left of Spring Break
それに春休み(スプリングブレイク)もあと2日しか残ってねえ。
※人が死にかけている凄惨な状況にもかかわらず、「春休みが終わっちゃう」という学生ノリの心配をしているサイコパスな描写。
How long do these things take to wear off?"
これ(クスリ)が抜けるまで、一体どのくらいかかるんだよ?」
"Well, it depends on how many you had"
「まあ、どれくらい食ったかによるな」
"I took three, she ate the other 22 caps
「俺は3つ(傘の部分を)食った。あいつは残りの22個全部食い尽くしやがったんだよ。
Now she's upstairs cryin' out her eyeballs, drinking Lysol"
今じゃ上の階で目玉が飛び出るほど泣き喚きながら、ライゾールを飲み干してるぜ」
※「Lysol(ライゾール)」はアメリカで一般的な強力な除菌クリーナー(消毒剤)。これを飲めば当然致命傷となる。
"She's gonna die, dude"
「お前、そいつ死ぬぞ」
"I know and it's my fault"
「分かってるよ、全部俺のせいなんだ!」
"Oh my God"
「オーマイガー」
[Chorus]
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world (I'm sorry)
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。(ごめんな)
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault (What do I do?)
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。(どうすりゃいいんだ?)
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルームをキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
But now you're sittin' in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこに座り込んで泣き喚いてる。
And now it's my fault, my fault
こうなったのも全部俺のせいだ、俺のせいなんだよな。
[Outro]
My God, I'm so sorry, I'm so sorry
なんてこった、本当にすまねえ、本当にすまねえ。
Susan, please wake up, please
スーザン、頼むから起きてくれ、頼むよ。
Please wake up, what are you doing?!
起きてくれよ、お前何やってんだ!?
You're not dead, you're not dead
死んでねえよな、死んでねえだろ。
I know you're not dead
死んでないって分かってるぞ。
Wake up, Susan, wake up
起きろよスーザン、目を覚ませってば。
Oh my God
ああ、なんてこった…。
※コミカルな曲調は終わり、静寂の中でスーザンが絶命したことを悟る悲劇的なエンディング。責任を痛感しながらも時すでに遅しという、ブラックコメディの完璧な幕引きである。
